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【東証スタンダード:343A】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
また、この目標は現時点の事業環境や経営戦略に基づくものであり、将来の市場環境やその他の要因により変動する可能性があるため、達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは「社会に価値を提供し、幸福を創造することにより、必要とされる存在となる」を企業理念として、「出張をもっとスマートに」をミッションとしております。BTM(ビジネストラベル・マネジメント)サービスをコアサービスとして、当社グループのサービスがより良い社会づくりに貢献し、お客様、お取引先、従業員など全関係者の幸せに寄与し、その結果我々の存在価値を認めて頂けるような企業運営を行ってまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、BTMサービスのデジタル化による競争優位性の強化と社内オペレーションの生産性向上を目指し、その指標として売上高営業利益率及び自己資本利益率を重視しています。売上高営業利益率は20%以上、自己資本利益率は10%以上を目標水準としております。また、重要KPIはコアサービスであるBTMサービスのMAU(月間利用企業社数)、予約件数、売上単価としております。2025年3月に策定した中期経営計画に基づき、「Smart BTM」の新機能開発や営業・マーケティング活動強化によりアクティブユーザー数の増加を目指してまいります。
実績値 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
売上高営業利益率(%) | 17.6 | 22.5 |
自己資本利益率(%) | 15.1 | 14.8 |
MAU(社) (注1) | 1,002 | 1,125 |
予約件数(件) | 93,273 | 104,308 |
売上単価(円) | 12,067 | 12,350 |
(注1)MAU(月間利用企業社数)の期間平均値となります。
(3) 経営環境
業務出張市場においては、オンライン会議への代替、航空券価格や宿泊代金の高止まりにより出張頻度を抑える動きがあるものの、海外進出日系企業における拠点総数は、2023年調査81,969拠点と2019年調査74,072拠点と比較し増加傾向(※1)であり、経済活動におけるグローバル化はますます進んでおります。また、出張を通じて「新たな気づき」「仕事への前向きな態度変容」「偶発的なビジネス拡大」といった副次的な意義を見出していた(※2)とされており、対面コミュニケーションも再評価されております。さらに、人手不足により間接業務の外注化機運は引き続き高水準で推移(※3)しています。出張関連業務をアウトソーシングする流れも出ており、これらを踏まえ、業務出張市場は中長期的に成長していくものと想定しております。
加えて、業務のデジタル化やリスク管理意識の高まりから、社内の出張手続きの電子化、危機管理対応やデータの一元化等に関するニーズも発生してきており、そうした要請に応えていくことにより、当社の存在意義を示すことができるものと考えております。
※1 外務省「海外進出日系企業拠点数調査」(2024/7/8)
※2 株式会社パーソル総合研究所「出張に関する定量調査」(2024/8/28)
※3 株式会社矢野経済研究所「人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査(2025年)」(2025年4月21日発表)シェアードサービスセンター、学校法人業務アウトソーシング、給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サービス、採用アウトソーシング(RPO)、アセスメントツール、従業員支援プログラム(EAP)、健診・健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス(オフィスコーヒーサービスや菓子の配置販売等)、人材派遣、人材紹介、再就職支援の14分野が対象。
(4) 中長期的な経営戦略
当社グループは、2025年3月の取締役会で決定した「ビジョン2030」として日本の業務出張市場において「BTMで一番多くの企業に利用されるデジタルサービスとなる」を掲げております。これまで培ってきたスタッフによる手配力や対応力と合わせて、アナログ対応が多い出張手配・管理においてデジタル化を推進し、当社グループミッションである「出張をもっとスマートに」を実現してまいります。
BTMサービスでは、クラウド出張手配システム「Smart BTM」を提供しており、当社の知名度向上とともに、出張手配のデジタルソリューションにおける想起ブランドとして「Smart BTM」の認知拡大を図り、更なるユーザー企業数の増加を目指しております。同システムでは、国内・海外航空券、ホテル、JR、Wi-Fi手配などがオンラインで予約できる他、システム上のチャット機能により専任オペレーターに相談することも可能です。また、24時間365日のサポートデスクも付帯しており、出張中のトラブルや、急な変更の場合でも、経験豊富な自社スタッフによりサポートしております。また、出張代金は企業との売掛精算となるため、出張者の立替が不要な点も好評を得ております。また、個人事業主や小規模事業者向けにはオンライン予約専用のサービスとして「Easy Booking」も提供しており、簡単な操作性でシームレスな予約体験を特徴としています。
さらに、バックオフィス向けサービスとして、出張管理システム「Travel Manager」を提供しております。SaaS型の課金体系となっており、当社として新たな収益源となることを目指しております。
同システムでは、出張稟議・報告のワークフロー機能、GPSを用いた危機管理機能、経費精算機能などを備え、出張に関わる業務をオールインワンで管理することが可能で、これにより、重複申請やデータ不一致の防止、海外出張時のトラブルリスクの軽減が図られ、出張管理と経費精算の一体化が実現します。これらの機能を通じて、利用企業の業務効率化、リスクマネジメント、内部統制の強化に寄与するものと考えております。
官庁・公務サービスおよび米軍サービスでは、各組織の特性に応じた接客対応力をさらに向上させ、中長期的な取引の継続を目指します。個人サービスでは、取引企業の従業員向けプライベート旅行のサポートなど、BTMサービスとのシナジーを意識した展開を推進します。海外サービスにおいては、各国で法人向けサービスの強化に注力するほか、カナダでは日本行きインバウンド需要の獲得に向けた取り組みを進めてまいります。
(5) 優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、主に以下の様な課題に対処すべきと認識しております。なお、以下に記載する課題に関しては、当社グループとして対処すべき優先順位が高いと考えるものから順番に記載しております。
(手数料収入の拡充)
当社グループの収益は主にお客様からの手配手数料等で構成されていますが、今後は新たな手配商材の拡充や新サービスの提供により、手数料収入の多様化と安定性を図ります。そのために、営業活動によって集めた顧客ニーズを分析し、継続的にシステム及びサービスを改善することで、受注の拡大を図ってまいります。
(デジタルトランスフォーメーションの推進)
主力のBTMサービスにおいて、働き方改革に伴う生産性向上など社会的課題の解決に向け、一層の利便性や効率性を求めるお客様の声が日増しに多くなっており、当社でもクラウド出張予約システム「Smart BTM」の利用企業が増加しております。お客様のニーズを満たすと同時に当社の生産性向上にも寄与すると見込まれることから、引き続き、システムの機能強化、業務の自動化等、デジタル化をより推進してまいります。一方で、24時間365日のサポートデスクやオンライン手配できない場合のオペレーター対応なども引き続き、継続してまいります。
(マーケティングの強化)
法人顧客の新規獲得において、当社グループの認知度向上及び信頼性などの企業イメージの向上が重要な要素と考えております。そのために、インターネット広告やSNSの活用など多様なマーケティングを実施し、当社グループが提供するサービス価値を多くのお客様に知って頂くため、マーケティング活動を強化してまいります。
(営業の強化)
新規顧客の獲得や既存顧客の継続的な利用を維持するには営業活動が重要と考えております。営業では旅行業の知識のみならず、お客様の業務・会計システムとのデータ連携に関する知識、ヒアリング力や提案力を含めたコンサルティング能力が求められ、それに対応できる営業人員の育成が課題と考えております。継続的な教育を実施すると共に、顧客企業の利用分析や訪問履歴など営業管理の強化を図ることで、顧客の継続率及び満足度上昇に努めてまいります。
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