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【東証プライム:4933】「化学」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。本項目を含む、本書における当社又は当社グループに関連する見通し、計画、目標などの将来に関する記述は、当社が現在入手している情報に基づき、本書提出日現在における予測等を基礎としてなされたものであり、実際の結果は記載内容と大きく異なる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「We are Social Beauty Innovators for Chain of Happiness 私たちは、美しく革新的な方法で、“幸せの連鎖”が溢れる社会の実現に挑戦し続けます。」をMissionに掲げております。
このMissionの下、商品を通じてお客様に幸せな体験を届けることで、喜びや笑顔を生み出すことを大切にするとともに、雇用や利益創出に努めております。お客様、取引先、社会・地球そして従業員にひろがる幸せの連鎖の最大化を目指し企業経営を行っております。
当社グループはMissionを追求するために、大切にしたい3つの価値観をValuesとし、その価値観に沿った行動指針を8つのCredoとして明示しています。そして、Mission、Values、Credoから成る、I-ne Philosophyを軸とした採用活動や人材育成を実施することで、急速な事業拡大を支える、統制のとれた組織運営を実現しています。
Values(アイエヌイーの価値観)
「Innovate」
We are Innovators!イノベーションに終わりはない。常識にとらわれず、アイデアを出し続けよう。
「Commit」
大胆な目標を掲げ、ポジティブに粘り強くやり切る“カオスプレイヤー”でいよう。
「Respect」
感謝・謙虚・利他のマインドを忘れず、最高のチームで、最高の仕事をしよう。
Credo(アイエヌイーの行動指針)
1.ボス(注1)目線: | 「ボスの毎日をポジティブに、人生を豊かにできるのか?」全てはそこからはじめよう。 ボス目線で、半歩先のインサイトをつかもう。 |
2.Ownership: | 君ができることはもっとある。 あらゆることに関心を持ち、自分ごと化することから始めよう。 できない理由ではなく、できる方法を考えよう。 |
3.In-N-Output: | 常にアウトプットを意識し知的好奇心を携え、インプットしよう。それが創造の源泉になる。 |
4.最上志向: | 最上の理想を持とう。思考の枠組みを外し、野心的な目標を掲げ、全力でChallengeしよう。 |
5.Speedful: | 質を担保したスピードは、価値である。目標から目を離さず、そこへ辿り着く最短ルートの思考と行動をしよう。 |
6.Feedback is a Gift: | 異なる視点から学び合い、高め合おう。建設的なフィードバックは、仲間の成長とイノベーションにつながる。 |
7.Knowledge & Share: | 成功も失敗も、未来を切り開くために活かそう。振り返りと経験を共有することで、集合知は蓄積され、組織は成長する。 |
8.Do the Right Thing: | ボスやメンバー、社会に対して誠実でいよう。自分を律し凡事徹底することで信頼は築きあげられる。 |
(注1)当社グループは常に顧客志向での商品開発及び会社運営を目指しており、顧客及び最終ユーザーをボスと呼んでおります。ボス(boss)とは、ロングマン現代英英辞典によるとthe person who employs you or who is in charge of you at work(雇用者もしくは業務上の指示者)もしくはinformal someone with an important position in a company or other organization(会社もしくは他の形態の組織における非公式な重要人物)とあり、当社では役員・従業員共に、社内の上司ではなく、お客様(顧客及び最終ユーザー)の意向に沿った活動を強く意識させるためにお客様を会社にとって重要な人物になぞらえ、この呼称を用いています。
(2)経営環境
総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、当社の主要顧客となる30代の平日1日の主なメディアの平均利用時間において、テレビ(リアルタイム)視聴が2014年の2023年対比-61.7分となっており、テレビ(リアルタイム)視聴時間が減少しています。一方ネット利用は2014年の2023年対比+114.3分となっており大幅に利用時間が上昇しており、テレビ離れは更に進んでいくものと予想されます。
このような環境の中、当社は創業以来培ってきたデジタルを活用した商品開発、D2C(注2)ビジネスモデル及びデジタルマーケティングノウハウやEコマースを中心としたオンライン及び卸売事業者 、小売店及び量販店運営事業者、自社店舗等を通じたオフラインでの販売実績を基に更なる成長を目指してまいります。
(注2)D2C:自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態のこと。Direct to Consumerの略称
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの中長期的な経営戦略
① ヘアケア系カテゴリー:各ブランドの拡大及び、海外展開
(製品戦略)
主要ブランドであるBOTANIST、YOLUを中心にヘアケアカテゴリーでのシェア拡大に取り組むとともに、各ブランド資産を元に「アウトバスカテゴリー」や「ボディカテゴリー」等の取扱商品数の拡充、独自のブランドコンセプトを活かした新規カテゴリーへの参入、主要ブランドに続く継続的な新ブランドの開発等から、継続的な売上増加を目指します。
(海外戦略)
BOTANIST、YOLUにおいては台湾、香港等の東アジア及びシンガポール、マレーシア等の東南アジアにてオンライン及びオフライン販売を展開しております。それに加え、アジア圏に留まらず、アメリカ等の他地域にも販路を拡大するなどグローバルビジネスの基盤を更に強化していきます。
② 美容家電:SALONIAの拡大及び、海外展開
(製品戦略)
SALONIAブランドの核となるヘアアイロンやドライヤー等の「ヘアケア家電」に徹底的にこだわるとともに、同カテゴリーでの中高価格帯の商品開発や、脱毛器や美顔器などの「美容家電」にカテゴリーを広げ、手に取りやすい価格ながら、こだわりの品質で「BEAUTY is simple 続けられるキレイを。」をコンセプトとして継続的な売上増加を目指します。
(海外戦略)
台湾などの東アジアやUSへのオンラインならびにオフラインへの展開を検討しています。
③ スキンケア他:各ブランドの拡大販売
(製品戦略)
既存ブランドについては、WrinkFade、SKN REMED等の複数のブランドに対する積極的な投資を行い、国内オンラインを中心に販売を拡大させるとともに、スキンケア他カテゴリーにおける新ブランドを継続的に生み出し売上高増加に取り組みます。また、2024年10月にグループジョインしたTOUT VERTブランドの認知率の向上と販路拡大に注力し、ヘアケア・美容家電に続く第3の柱として事業を成長させていきます。
④ 独自のブランド開発モデルを基盤とする新規ブランド及び、商品の成功、当社グループの「IPTOS」モデルによる商品開発・ブランド開発について
当社グループは効率的で持続可能なブランド開発モデルとして「IPTOS」モデルを推進しております。「IPTOS」とは当社グループの造語であり、I:Idea、P:Plan、T:Test、O:Online/Offline、S:Scaleの意を示しております。各ステージでのアクションは主に以下の通りとなります。
I:Idea (アイデア)
マーケティング担当者のキャッチした情報からのマーケットニーズの分析や、全社員アイデアコンテスト等を行い、商品企画に繋がるアイデアを醸成していきます。
P:Plan (企画)
“I:Idea” のステージで醸成されたアイデアを基に複数の商品企画を社内で立案しコンセプトテストを行った上で、商品企画を決定しマーケティング計画を立案し開発・生産に入ります。
T:Test (検証・需要予測)
“P:Plan” のステージで生産開始をした商品について、自社サイト及びインターネットモールを通じた小口販売を行い、消費者の反応を確認し次のステージへ進めるかどうかを決定します。
O:Online/Offline (テスト販売)
“T:Test” のステージで反応が確認された商品については、インターネットモールを通じた販売を本格化させるとともに、一部の小売店で店頭販売を行うよう卸売業者に配荷を行います。その販売と併せてインターネット上の広告を積極的に展開し、認知度の向上・販売実績の形成を図ります。
S:Scale (ECスケール・小売拡大)
“O:Online/Offline” のステージで販売実績も上がり、認知度も向上したと判断出来る商品について、卸売事業者を通じた小売店及び量販店運営事業者への卸売販売を本格展開し日本国内全域への販売を開始するとともに、引き続きインターネット上の広告を積極的に展開し、更なる認知度の向上も図っていきます。
また“S:Scale“フェーズにおいて、国内外でのチャネル拡大や既存カテゴリーの拡充、新規カテゴリーへの展開、成長シナジーのある企業を通じたブランドのスケールなど、経営資源の選択と集中に取り組み、ブランド拡大に向けた再投資を行うことにより、当社ブランドの積極的な成長を実現してまいります。
このIPTOSモデルを通じて、市場の潜在的な消費のトレンドを早期に発見し、商品へと具現化させる活動を継続することで、市場のニーズを先取りした商品を迅速なスピードでリリースすることを目指しております。同時に、厳密な撤退基準を設け、可能性の低い企画については早期に撤退の判断ができる仕組みを構築しております。このように「規律あるブランド管理」を行うことにより、市場のニーズとのアンマッチによる損失を最小限に止めるようリスク管理を行っております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業拡大及び企業価値向上を示す指標として、売上高成長率、営業利益率、EBITDAマージンを重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① ブランドポートフォリオの確立
当社グループは、主力ブランドの売上安定化を図るとともに継続的に新規ブランド及び商品を生み出し、特定のブランド及び商品による依存リスクの分散を図っております。ヘアケア市場においては、市場の競争が高まる中でも各ブランドにて商品開発、認知及び配荷の強化に取り組み、第18期連結会計年度(2024年12月期)ではYOLUブランド、BOTANISTブランド及びSALONIAブランドの当社グループ売上高構成比がそれぞれ35%、30%、24%となっております。また、左記ブランド以外にDROAS、WrinkFade、TOUT VERTなど複数のブランドを展開しており、分散化が図られております。
今後は、2025年2月12日に更新した長期ビジョン達成に向け、強みである「ブランド創出力」「OMO」「IPTOS」を活用し、投資効率を重視し、優先順位を明確にしながら経営方針及び経営戦略に即した戦略的投資をスピード感をもって実行していきます。また、主力のヘアケア系・美容家電カテゴリーの成長、スキンケア・新カテゴリーにおいての更なる成長を図ると共に、M&Aを通じた新たな強みの獲得及び事業領域の拡張にも取り組み、引き続きブランドポートフォリオの確立に向け、継続的かつ積極的な投資を行ってまいります。
② 優秀な人材の確保と育成
グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、人材に対する投資を高めていくことが最も重要だと認識しているため、当社Missionに共感し、高い熱意のある人材の採用や育成強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めてまいります。従業員のモチベーション向上、更なる技術や知識の蓄積等を念頭に、従業員のキャリア実現と事業成長に資する制度を検討し、今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針です。
また、当社グループでは、役員及び従業員のモチベーションを向上させることを目的に、インセンティブとして新株予約権の付与を行っております。
人材戦略については、「第2 事業の状況、2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 海外戦略の実行
当社グループの中長期での企業価値の最大化には、当社ブランドのグローバル化への推進が不可欠となります。現在は、東アジア、東南アジア及び米国への展開を実施しており、今後、市場環境と適切な財務規律に基づいた投資判断を行い、タイミングを見極めながら当社ブランドの複数国に対しての販売チャネル拡大に取り組み、グローバル推進を図ってまいります。
④ 環境問題、社会課題に対する取り組み
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のSDGsの取り組みを推進することは企業の責務となっています。また、当社グループはMissionに基づき、社会に対してポジティブな影響を与える存在になるという強い意志があり、社会情勢やステークホルダーの期待を踏まえ「マテリアリティ(重要課題)」を特定し、目標を掲げ様々な取り組みを実施しております。2024年の具体的な取り組みとしては、環境省の「製品・サービスのカーボンフットプリント(以下CFP)に係るモデル事業」に採択され、ボタニストモイストシャンプーのボトル・パウチの原材料調達から使用廃棄に至るまでのCO₂の見える化としてCFPを算定、持続可能なパーム油の調達の一環としてRSPOのクレジットであるB&C(ブックアンドクレーム)の購入開始、サプライヤーへのパートナーシップ要件に関する同意書署名を依頼、環境保全活動の推進を目指したBOTANIST財団では2団体に助成を実施、さらに、BOTANIST、YOLU、SALONIAなどブランドごとのパーパスの実現に向けたブランドサステナ活動を実施しました。
なお、サステナビリティ戦略及び今後の取り組みについては、「第2 事業の状況、2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
⑤ 外部環境変化への対応
過去数年にわたる新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、社会活動や経済活動、人々の生活様式に急激な変化が生じました。当社グループの事業を取り巻く環境においても、原材料価格の高騰や為替動向、インフレによるコスト高止まり、欧州や中東等の地政学リスクの増大等があり、経営環境も不透明な状況が続きました。このような変化の中で、当社グループは業務フローの見直しやビジネス構造の見直しによる売上原価や物流費の抑制、システム投資や人的投資の強化と合わせた生産性向上、財務規律に基づいたキャッシュ・フロー管理等の強化に取り組んでおります。今後も社会環境の様々な状況に応じた事業運営に取り組んでいきます。
⑥ 内部管理体制の強化
当社グループは、更なる事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値向上を図るため、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しております。内部監査、法務、ファイナンス、情報セキュリティ等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用、育成し、また社員に対する継続的な啓蒙活動及び研修活動を行うことで、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、プロダクトを通じて幸せの連鎖の最大化に取り組むことで企業価値の向上を目指しており、企業価値の極大化と経営理念の実現を両立させるための仕組みとして、コーポレート・ガバナンスの徹底を重要な経営課題として位置づけております。この実現に向け、経営環境の変化に対応する機動的な経営判断、業務執行、内部統制、及びそれらに対する監督機能の実現を意識した組織体制の構築に取り組んでまいります。指名報酬委員会を設置しており、取締役等の指名及び報酬等に関する手続の公正性、透明性、客観性を強化し、コーポレート・ガバナンスの更なる充実を図るための体制を構築いたします。
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