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【東証プライム:6047】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「情報を世界中の人に最適に届ける」というミッションのもと、メディア事業を中心にサービスを展開し、成長と収益基盤の構築を進めてまいりました。
現在は、主力であるニュース配信アプリ「グノシー」や「auサービスToday」に加え、ゲーム攻略メディア「game8.jp」などを展開する株式会社ゲームエイト(以下、ゲームエイト)の運営を通じて、安定的な広告収益基盤を形成しております。また、Store and Commerce事業(以下、SC事業)や開示業務支援クラウド「IR Hub」など、新たな収益機会の拡大に向けた事業開発にも取り組んでおります。
中長期的には、グループ全体としての時価総額1,000億円の達成を一つの目標と定めており、その実現に向けて、2026年5月期より、事業構造の見直しとポートフォリオ経営の本格化を進めております。各事業の成長性や役割に応じた経営資源の配分に加え、資本効率を意識した経営管理を通じて、企業価値および株主価値の持続的な向上を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、これまで主にメディア事業を中心としたサービス提供を行っており、各メディアのアクティブユーザー数やPV数(注1)などの事業指標を重視してまいりました。
しかしながら、2026年5月期以降、事業ポートフォリオの再構成に伴い、各領域の役割や成果を横断的かつ定量的に把握し、経営資源の適切な配分や資本効率の観点から運営状況を評価する必要性が高まったことから、財務指標を中心としたモニタリング体制へと移行しております。
現在、当社グループでは、各事業における収益性及びキャッシュ創出力を示す主要指標として、営業利益/EBITDA(営業利益に減価償却費等を加えた金額)を重視しております。また、M&Aを含む投資活動の判断および効果検証においては、ROIC(投下資本利益率)(注2)を活用した資本効率の定量評価を行っております。さらに、slice Small Finance Bank Ltd.(以下、slice)を含むM&A以外の社外投資の評価にあたっては、IRR(内部収益率)を主要な指標として重視しております。
今後もこれらの財務指標を基軸とし、事業ごとの成長性・収益性・資本効率を総合的に評価しながら、持続的な企業価値の向上に向けた経営資源の最適配分を推進してまいります。
(注1)PV(Page View)とは、ユーザーがページを閲覧した数をいいます。
(注2)ROIC=(EBITDA×(1-法人税率)/投下資本)
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、中長期的な企業価値および株主価値の最大化を実現すべく、グループ全体としての時価総額1,000億円の達成を一つの目標と定め、事業ポートフォリオの再構成と経営体制の強化に取り組んでおります。
その実現に向け、2025年5月期においては、成長フェーズへの移行を見据え、ポートフォリオの多様化と基盤強化を進めてまいりました。メディア事業では、事業構造の転換による黒字運営体制の確立や、ゲームエイトの成長を通じた安定的なキャッシュ・フロー基盤の拡大を実現しております。また、戦略的M&Aの第一弾として株式会社Gホールディングス(以下、GH社)を取得し、安定的なキャッシュ・フローの獲得と、資本効率の向上を両立し得る事業基盤の強化を進めてまいりました。SC事業においても、複数タイトルを通じたアプリ外決済サービスを本格的に開始し、新たな収益機会の創出を推進しております。投資サイドでは、インドにおける出資先sliceの銀行化が完了し、AUMやDepositの着実な拡大、ならびに収益性の改善が進展しております。
こうした取り組みを経て、2026年5月期より、当社はコアキャッシュ領域、C/F積上げ型M&A領域、高成長オプション領域の三つを中核とする経営体制へと移行しております。
まず、コアキャッシュ領域では、「グノシー」や「auサービスToday」、ゲームエイトが展開する国内外のゲームメディアを通じて、安定的かつ予測可能なキャッシュ・フローを継続的に創出しており、グループ全体の安定したキャッシュ・フロー基盤としての役割を担っております。
次に、C/F積上げ型M&A領域では、当面は、安定的なキャッシュ・フロー基盤の強化を目的とし、保有する余剰現預金と、一定の財務レバレッジを活用することを前提に、M&A実施2年後の想定ROICがWACCを上回ることが見込まれる企業への投資を実行しております。
さらに、高成長オプション領域では、SC事業、IR Hub、sliceなど、将来的な事業拡大の起点となり得る領域に対して、選択的な投資を実行しております。
このように、事業ごとの役割と期待リターンを明確に定義したポートフォリオ経営のもと、安定的なキャッシュ創出と成長投資の循環を構築し、資源配分の最適化と財務健全性の確保を両立することで、企業価値の持続的な向上を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
インターネット市場は、技術進歩が非常に速く、また市場が拡大する中でサービスも多様化が求められます。その中でも、当社は、情報キュレーションサービスの可能性に早くから注目し、普及の一端を担ってまいりましたが、インターネットメディア市場は、依然として発展途上であり、そのマーケティング手法やサービス形態が日々進化している段階であります。
当社は、上記の環境を踏まえ、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
① 既存事業の資本効率の向上と利益成長
当社グループの主要事業であるメディア事業においては、営業黒字を維持した上での安定的な事業運営が課題であると認識しており、引き続きメディア価値の向上、質の高いマーケティング活動、積極的な営業活動に取り組んでまいります。また、ゲームエイトが運営するゲーム攻略メディアにおいては、海外を中心に更なる売上高成長を目指し、継続的な利益成長を実現することで、既存事業の資本効率を現状より改善してまいります。
② 新たな収益の柱を創出するための新規事業への投資
既存事業以外の収益の柱を創出するため、連結営業利益成長を維持できる範囲で新規事業への投資を行ってまいります。具体的には、ゲームエイトにおけるSC事業など既存のバリューチェーンを拡張し強化する新規事業の開発、当社の強みであるIT分野における技術力と知見を活かしたLLM/DX領域への事業進出に積極的に取り組んでまいります。
③ M&Aの推進による中長期でのキャッシュ創出力の強化
M&Aの推進による中長期でのキャッシュ創出力の強化が、当社グループの成長のための重要な課題であると認識しております。当事業年度においては資本効率の向上と株主還元力の強化というIR方針に沿った初のM&A案件である株式会社Gホールディングスの株式取得を実行しております。
あわせて、案件のソーシング、デューデリジェンスからPMIまでを一気通貫で担える専門組織をさらに拡充し、M&Aを継続的に推進できる体制・ガバナンスを強化することが今後の重要課題となっているため、M&A専門人材の採用強化と機動的なチーム編成によりM&A実行力・統合力を高めることにより、今後も投資可能な現預金を活用し、有望な投資機会に対して積極的に投資することで資本効率を高めてまいります。
④ 適切なアセットマネジメントの実施による投資先の価値向上
当社グループは成長分野の発掘を通じた社外の高成長分野の取り込みのため、複数のベンチャー企業等に対して投資を実施してまいりました。当社グループの総資産に占める投資有価証券の割合は大きく、投資先の価値向上は重要な課題であると認識しております。今後も投資先の状況に応じた適切なモニタリング・支援を実行することにより、投資先の価値向上支援及びポートフォリオの健全性担保を推進してまいります。
⑤ 広告商品の拡充、顧客基盤の強化
インターネット広告市場は今後も更なる発展が見込まれ、広告商品の多様化が進んでおります。このような中、他社との競合優位性の確立のためには広告商品の拡充と顧客基盤の強化が不可欠であります。また、ユーザー保護及び広告掲載面の品質向上のため、関係法令を遵守した適正な広告掲載基準を継続的に整備し、基準に則った適切な広告審査を行う必要があります。このような認識の下、当社グループでは、広告掲載基準の継続的な見直し、広告審査体制の強化とともに、既存事業における新たな広告商品の開発・販売拡充及び新規事業における顧客基盤の強化を推進することにより、競合優位性の向上を図ってまいります。
⑥ 開発体制の構築
インターネット業界における技術革新のスピードは非常に速く、当社グループの属する情報キュレーションサービス及びインターネットメディア業界においても、新たなサービスや競合他社が続々と現れております。このような中、他社とのサービスの差別化、競合優位性の確立のためには迅速な開発体制の構築が不可欠であります。
このような認識の下、当社グループでは、最先端の技術動向の把握と技術力の向上のための勉強会等を開催し、また、定期的に社外のエンジニアも参加する勉強会を開催し、引き続き優秀なエンジニアの採用を図ってまいります。
⑦ 営業力の強化
当社グループの営業部門は、蓄積されたノウハウを活かした提案及び企画により、営業活動を推進しておりますが、事業規模拡大や新規サービスの拡充に伴い、受注の獲得機会が増加することが予想されることから、営業力の強化、営業人員の早期育成に注力する方針であります。具体的には、教育研修制度の充実、営業ツールやマニュアル等の整備、外部ノウハウの活用、また、既存営業人員の育成と同時に、即戦力となる営業人員の採用を行い、営業力の強化を図ってまいります。
⑧ 内部統制及びコンプライアンス体制を重視した組織体制の強化
当社グループは、既存事業の継続的な成長と新規事業の展開及び新規サービスの拡充にあたっては、顧客及びユーザーからの信頼を得ることが不可欠であると考えております。このような認識の下、従業員に対する継続的な研修活動によって、全社でコンプライアンスに対する共通の認識を持つとともに、新規事業に潜在する各種リスク群を踏まえた、専門性や豊富な経験を有する優秀な人材の採用・育成に取り組むことで、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化に努めてまいります。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが提供する情報キュレーションサービス及びゲーム攻略メディアは、ユーザーからの信頼性と利便性を広く認知していただくことが事業上の重要な基盤であり、したがいまして、運営母体である当社及び当社子会社の信頼性の維持向上は当社の最も重要な経営課題のひとつであります。また、当社グループの中長期的な企業価値最大化を達成するためには、メディア・広告事業にとどまらない新規事業の創出や社外投資を健全性・透明性高く推進していくことが重要であり、当社グループのコーポレート・ガバナンスの強化の重要性が高まっております。
このような認識の下、当社取締役会において、取締役会の運用状況及び実効性を定期的に分析・評価するとともに、独立性が高く多様な専門性を有する取締役による、職務執行に対する監督及び助言機能の一層の充実を図っており、また取締役会の任意の諮問機関として指名報酬委員会を設置することにより、取締役の指名や報酬などに関する評価・決定プロセスにおける公平性、客観性、透明性を強化するなど、引き続き、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
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