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【東証グロース:5256】「情報・通信業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社は、「個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。」というVision(あるべき姿)を実現するべく、常に変化する経営環境、市場動向に的確に対処し、企業価値のさらなる向上に向けて事業展開を進めております。
当社の属するDX市場は、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及により社会的影響が拡大し、産業構造そのものの変革が進みつつあります。こうした技術の進展は、AI活用を前提としたビジネスの広がりを促進すると同時に、クラウドインフラ需要の拡大など当社事業領域における成長機会を生み出しています。一方で、変化のスピードは加速しており、こうした社会・産業の構造変化を見越した柔軟かつ先見的な事業戦略の立案・実行が不可欠であると考えております。
当社はこうした認識のもと、持続的成長を支える経営基盤の強化に加え、「OSEKKAI × TECHNOLOGY」というブランドスローガンのもとでテクノロジーによる価値を創出し続けることが重要と認識しております。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
現在、生成AIやAIエージェントの進化・普及は、社会や産業の構造変革を促し、企業における業務の在り方を変化させようとしています。当社が事業を展開するIT分野では、生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及により、技術のコモディティ化と民主化が加速し、企業は「新技術をいかにして業務や価値創出プロセスに組み込むか」という新たな経営課題に直面しています。また、システム開発分野においては、急速に進化する生成AIやAIエージェントへの対応が強く求められており、従来の「労働集約型システム開発」から「AI-Native(注1)なシステム開発」への抜本的な転換が急務となっております。
これらのAI分野における急速な発展に加え、企業のDX推進の拡大を背景として、パブリッククラウド(注2)サービス市場は引き続き成長を続けています。国内市場規模は、2024年の4兆1,423億円から、2029年には約2.1倍となる8兆8,164億円へ拡大すると予測されています。(出所:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2025年~2029年」)
また、当社が注力する宇宙産業は、国家主導から民間主導への転換期を迎え、新たな市場として急速に拡大しております。ロケットや人工衛星の開発・打ち上げといったハードウェア領域に加えて、それらを管理・制御する地上システムの構築や衛星データの利活用に伴うデータ基盤の構築等、ソフトウェアを中心とした産業領域が徐々に拡大しており、今後さらに拡大することが見込まれております。
また、当社が自社プロダクトである多面評価サービス「360(さんろくまる)」を展開するHRTech市場は、人的資本経営の重要性が高まる中で成長を続けております。さらに、連絡サービス「sigfy(シグフィー)」を展開する教育ICT市場は、教育現場における働き方改革の推進等を背景にDXの需要が高まっております。
このような環境の下、当社は、テクノロジーを軸に多角的に成長する企業グループへの転換を図ると共に、中長期的な高成長を実現する経営基盤を構築するため、次の4つのテーマに対して重点的に取り組んでまいります。
①AI-Nativeな開発プロセスへの全面移行と大幅な人員拡充
生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及に対応し、AI-Nativeな開発プロセスへの全面移行を進めるため、AIコーディングツール等への積極的な投資を実行してまいります。これにより、開発プロセス全体の生産性を大幅に向上させるとともに、採用ペースの引き上げによる人員体制の拡充を並行して進め、開発キャパシティの大幅な強化を図ってまいります。
②宇宙産業関連ソフトウェア市場でのプレゼンス向上
今後、グローバル市場・国内市場ともに成長が期待される宇宙産業関連ソフトウェア市場へのアプローチをいち早く実施し、マーケットリーダーとしての地位確立を目指してまいります。そのためにも、宇宙関連ビジネスを推進する専任の事業推進体制を構築し、宇宙関連企業とのパートナーシップ、マーケティング投資等の強化に取り組んでまいります。
③教育・人材関連プロダクトの再構築
多面評価サービスとして展開している「360(さんろくまる)」については、既存市場におけるシェア拡大を図ると共に、用途開発を行うことで今後はさらに規模の大きな市場へ拡大することを目指しております。また、連絡サービス「sigfy(シグフィー)」は、教育現場における働き方改革の推進を背景に需要が高まる中、既存市場におけるシェア拡大を目指し、積極的なマーケティング投資や営業体制の強化に取り組んでまいります。
④積極的なM&Aの実施
当社が、テクノロジーを軸に多角的に成長する企業グループへの転換を図るためには、M&Aや戦略的提携による競争力の強化や新たな技術の獲得、事業ポートフォリオの多様化等に取り組むことが重要であると考えております。同業企業に対するロールアップ型M&Aによる事業規模拡大を軸に、九州エリアの非テクノロジー企業に対するM&Aを通じた新市場への拡大や異業種への進出を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社は、更なる事業の拡大及び収益性の向上を特に表す指標として、売上高成長率並びに営業利益成長率を重視しております。また、これらの売上高成長率並びに営業利益成長率を高めるための指標として、①エンジニア一人当たり売上高、②顧客平均単価、③取引顧客数の3つの指標も重視しており、中長期的な事業拡大と収益性向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1.新技術への対応
生成AIやAIエージェントの急速な進化・普及は、産業構造の変革を促し、当社が属するIT業界でもシステム開発工程の効率化や自動化を加速させています。このような事業環境の下で当社が継続的に事業を拡大していくためには、これらの技術を基盤としたAI-Nativeなシステム開発プロセスへ全面的に移行することが重要であると認識しており、今後も最新技術への適時対応と新サービスの開発に継続的に取り組んでまいります。
2.優秀人材の確保と育成
IT人材が不足していることに加え、技術が急速に進化する中、新しい技術への高い関心と常に学び続ける姿勢を有する人材の確保が、当社の成長に欠かせない重要課題であると認識しております。当社では、通常の採用活動に加え社員紹介制度のリファラル採用の強化や、新卒・中途入社者向けのOJT教育や勉強会などを積極的に実施しています。また、クライアントのDX事業と自社運営のプロダクトを両輪で展開し、特定技術に偏らないことは、好奇心旺盛なエンジニア人材を獲得する上で当社の独自性を形成しております。
人材の確保と同時に、社員の能力開発・向上のための研修参加、資格取得費用の会社負担、認定資格取得時の報奨金制度など、人事評価制度の継続的改善運用を通じて、社員の能力を最大限に発揮させる仕組みと、能力向上を促進するカルチャーを確立してまいります。また、奨学金返済を支援する制度を設け、経済的・心理的な不安を軽減することで、社員が安心して働ける環境づくりを進めております。
また、働き方の多様性に対応するため、リモートワーク、コアタイムなしのフルフレックス、時短勤務制度などを積極的に推進するとともに、一定の出社を推奨し、対面で効率的なコミュニケーションや仕事の垣根を越えた人材の交流も重視しております。さらに、女性活躍推進の取り組みが評価され、厚生労働大臣より「えるぼし認定」の3つ星を取得するなど、誰もが働きやすい職場環境を整えることで、次世代を担う優秀な人材の育成、定着に繋げてまいります。
3.サービスの高付加価値化、利益率の向上
当社は、成長戦略を着実に実行し、売上高の安定的な高成長を実現するとともに、営業利益率の向上を図ることが重要な課題だと認識しております。そのため、エンジニア人材の採用力を強化し増員を進めるとともに、多様なお客さまの課題に最適なソリューションを提供できる体制を整備し、セールス・マーケティング人材の拡充を通じて受注機会の拡大と単価向上を図ってまいります。また、開発プロセスの継続的な改善、社内における技術の共有や教育訓練等を推進し、より強固な開発体制の構築に努め、IT技術を通じた社会課題の解決を実現してまいります。
4.競争優位性の確保
当社が今後も成長を持続していくためには、他社との差別化を実現し、サービスの優位性を高めるための機能強化・拡充が必要不可欠であると認識しております。当社は、特定の分野や技術に固執することなく、AI、IoT、クラウド、量子コンピュータといった最先端技術から、Web、モバイル、ビッグデータ解析、UI/UX設計など幅広い技術を組み合わせ、最適なソリューションを提供することを重視しています。また、アジャイル開発やマイクロサービス等の開発手法を活用することで、顧客ニーズの多様化や変化に柔軟に対応できることが当社の強みと認識しております。今後も当社ならではの付加価値を高めるサービスの展開に取り組んでまいります。
5.コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化
当社は、今後も事業のさらなる拡大と持続的成長を見込んでおり、それに対応した内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、適切な内部統制システムの整備・運用を推進してまいります。
6.健全な財務基盤の構築
財務基盤の健全性を維持しながら、優秀な人材の採用及び育成、事業開発及び研究開発活動、さらにはM&Aなど将来の事業拡大に向けた投資資金需要に対応するため、事業資金を安定的に確保することが必要不可欠であると考えております。今後の資金調達手段としては、主に金融機関からの借入、エクイティファイナンスを検討し、持続的な成長を支える健全な財務運営を図ってまいります。
(注1)AI-Native
既存の業務プロセスに「AIを後から導入する」のではなく、「最初からAI活用を前提に事業や組織を設計・運営する」状態を指します。これにより、業務効率性や新サービスの開発スピードで大きな優位性を持つ可能性が生まれます。
(注2)パブリッククラウド
広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスのことをいいます。
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