ENEOSホールディングス
【東証プライム:5020】「石油・石炭製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。
また、当社グループを取り巻く事業環境はかつてない転換期を迎えています。このような環境の下、「ENEOSグループ理念」の実現に向けて「『今日のあたり前』を支え、『明日のあたり前』をリードする。」を新たな決意として掲げました。ENEOSグループは、困難な課題に挑戦し、「明日のあたり前」を創りつづけるリーディングカンパニーとして、ステークホルダーの皆様からの一層の信頼に応えていきます。
(2)ENEOSグループが目指す方向性
<中長期 事業環境認識・当社事業戦略>
中長期での事業環境認識や当社の事業戦略については、以下のとおりです。
カーボンニュートラルに向けたトレンドは緩やかになっており、エネルギートランジションの本格分岐は従来の想定より遅れる可能性があるものと認識しています。
いずれ迎えるエネルギートランジションの本格分岐に備え、基盤・素材事業を効率化・強化し、キャッシュ創出力を高めるとともに、基盤・素材事業で得られたキャッシュを、柔軟なキャッシュ・アロケーションを通じ価値創造につなげます。
特に低炭素事業は、今後もカーボンニュートラルに向けた移行期におけるエネルギーとしての重要性が増大していくものと認識しており、当社も力を入れて取り組みます。
<ROIC・事業領域別収益規模>
現状では基盤事業の占める割合が大きいものの、基盤事業を効率化・強化するとともに低炭素・脱炭素事業を着実に成長させていくことで、2040年にはROIC7%、ROE15%を目指します。
(3)第3次中期経営計画(2023年度から2024年度まで)の振り返り
ROE、ROICといった資本効率については引き続き注力が必要であるものの、当期利益並びにフリー・キャッシュ・フローは2024年度時点で目標を達成することができました。
また、株主還元については、総額2,500億円の大規模な自社株買いと年間4円の増配を実施したことにより、同期間の総還元性向は77%となり、還元方針である総還元性向50%を大きく上回る水準の株主還元を実行しました。
第3次中期経営計画における事業面や経営基盤の成果の詳細は、以下のとおりです。
(4)対処すべき課題
<基本方針>
当社は、事業ポートフォリオ転換の一環として、2025年3月にJX金属株式会社(以下、JX金属)の上場を実施しました。
本件を通じて、エネルギートランジションの実現に向けた、事業ポートフォリオ転換のための戦略投資等の資金を確保するとともに、コングロマリットディスカウントの解消を通じた企業価値向上を図りました。
他方、エネルギーに関する社会情勢は、脱炭素の方向性に沿いつつも、石油を含めた安定かつ経済的なエネルギー供給がより重視される環境となっています。
この背景として、エネルギー安全保障意識の高まりやトランプ政権の政策リスク、脱炭素社会実現に向けたコスト負担の増加、インフレ等によるプロジェクト採算の予見性低下といった、「不確実性の高まり」に因るところが大きいものと認識しています。
こうした当社の状況及び社会情勢の大きな変化を踏まえ、2025年度から2027年度までの第4次中期経営計画(以下、第4次中計)を新たに編成しました。
第4次中計においては前述の「不確実性」に対してより機動的かつ柔軟に対応すべく、「筋肉質な経営体質への転換」と「ポートフォリオ再編」を2本柱として、企業価値最大化の実現に向けた取組を加速します。
前述の2本柱の内、まず重要なのが「筋肉質な経営体質への転換」です。当社グループの改善すべきポテンシャルについてゼロベースで見直し効率化していくことで、より収益力を高めます。具体的には、収益改善機会の追求のため「見える化」を聖域なく徹底的に進めていくとともに、業務全域でのAI活用を通じ、業務効率の向上を図るだけではなく、組織のスリム化まで踏み込んで進めます。
もう1つの柱である「ポートフォリオ再編」については、トレーディングを含む海外燃料油事業等を中心に早期収益化を狙える事業、LNG・バイオ燃料等の低炭素事業に優先的にリソースを投入します。
投資に際しては、M&A活用を含めた成長機会を追求していくとともに、投資管理の高度化を両立させ、投資案件の厳選とパフォーマンスの最大化を図ります。
また、これらの施策を実行・実現する人材育成のため、人的資本経営にも注力し、次世代のリーダーの早期選抜・育成と専門性の追求を軸としたジョブ型タレントマネジメントの徹底を図ります。
これらの取組を通じてROE10%以上を早期に実現させ、「今日のあたり前」を支え、「明日のあたり前」をリードしていきます。
<財務目標・事業計画>
第4次中計最終年度である2027年度の財務目標は、以下のとおりです。
ROEは10%以上、ROICは6%以上、利益の絶対額については、在庫影響除き当期利益は3,200億円、在庫影響除き営業利益は5,000億円を目標としています。
また、ネットD/Eレシオは他社開示事例等を踏まえ、第4次中計よりリース負債含み・非支配持分除きのベースで開示しています。
各セグメントの事業計画は、以下のとおりです。
<筋肉質な経営体質への転換>
「筋肉質な経営体質への転換」に向けた施策は、以下のとおりです。
まず徹底的な「見える化」を通じたROICの改善を進めます。FP&A組織を設立し、この組織が事業環境変化に対して素早く、質の高い情報を提供するとともに、改善に向けたアクション・PDCAにつなげることで、社内の「見える化」を強力に推進します。
また、この「見える化」の具体的な取組として、当社グループ会社のROIC改善・ガバナンス強化の取組があります。JX金属が上場し当社グループ連結対象会社は100社程度減少しましたが、それでもまだ直近で651社あります。ここには間違いなく効率化のポテンシャルが多く残されているものと確信しており、組織・体制の再構築を含め、しっかり見える化のメスを入れていくことで改善を図ります。
リスクマネジメントについてもCROを置くとともにリスクマネジメント部を新設し、グループ横断的に重要リスクを選定するとともに迅速かつ的確にミティゲーションプランを立案することで、リスク低減を図ります。
AI活用の推進については、以下のとおりです。
当社グループでは、これまで供給・製造領域におけるサプライチェーンの最適化や、R&D領域での新素材の探索において、深層学習を導入しました。第4次中計では、これらにとどまらず、業務全域でAIの活用可能性を追求します。
販売においてはより高度な提案営業、経営においては経営指標やリスクのAIによる予測、また管理部門を中心に徹底した業務効率化をし、組織のスリム化を進めます。
また、AI活用の専任組織である「AIイノベーション部」を6月に発足させ、グループ全体におけるAI活用を強力に推し進め、業務効率化やイノベーションの具現化を図ります。
<ポートフォリオ再編>
ポートフォリオ再編に向けた、投資の厳選とリターンの最大化のための仕組み強化については、以下のとおりです。
投資審査システムの再整備について、これまでも投資実行にあたっては一定の投資審査を実施しましたが、今後は投資審査の専任組織を置くとともにシステマティックかつ多面的な投資審査を実行し、投資審査を通じて当初計画から5%の投資額削減を目指します。
投資リアプレイザルの実施については、投資案件の実行から一定期間後に当初計画と現状のギャップ分析を行うとともに、戦略の見直しや資源の再配分等の必要な対策を講じることで、パフォーマンスを最大化します。
PMIについては、ポートフォリオ再編に向けてM&Aは即効性のある手段ですが、M&Aの成功に向けてはPMIが非常に重要なファクターであることから、「PMIガイドライン」を整備するとともに、PMI体制の強化を図ることで、M&Aにおけるリターン最大化を図ります。
<キャッシュ・アロケーション>
第4次中計3か年累計の設備投融資は1兆5,600億円を計画しています。このうち、事業維持投資は8,200億円・戦略投資は7,400億円です。
事業維持投資は、基盤・素材事業にしっかりとリソースを配分し競争力の維持・向上を図るとともに、戦略投資においては、その4割以上をLNG開発・SAF等の低炭素事業に振り向ける計画です。
また、不確実な事業環境下において、柔軟にM&Aを含む戦略投資及び追加還元への資金配分を行うべく、設備投融資と株主還元の間の項目として、マネジメント・アロケーション枠を設定しました。
ネットD/Eレシオについては、これまで財務健全性の観点から、ネットD/Eレシオの上限のみを示していましたが、ここから一歩踏み込み、0.7倍~0.9倍というレンジとしています。なお、この水準は現状の格付維持と資本コスト低減のバランスを総合的に勘案して決定したものです。
<株主還元>
2025年度の配当については、第4次中計達成に向けた強い決意を込めて、1株当たり4円増配の30円としました。
さらに、第4次中計期間中は、年間30円の配当を起点とする、業績に応じた累進配当を導入することを決定しました。
安定的な配当の継続から一歩踏み出し、収益の拡大とともにさらなる増配を目指します。
<企業価値向上に向けた取組>
2024年度はJX金属上場を通じたポートフォリオ再編や自社株式取得による最適資本構成の追求、製油所トラブル削減等の収益力強化に取り組みました。これらの取組を通じて実質的なROEは着実に改善していますが、安定的かつ継続的に株主資本コストを上回る状態とは言えず、結果としてPBRが1倍を下回る状況が継続しています。
PBR1倍超えに向けた取組については、徹底的な効率化による既存事業の収益最大化、厳選した投資の実行による事業ポートフォリオ再編等の第4次中計に包含される取組を通じて、ROIC改善を推進します。 また、役員報酬制度を見直し、株式報酬の算定指標にTSRを導入しました。今後も、株主の皆様との価値共有を図るとともに、当社グループの中長期的な企業価値向上に努めます。
<次期の連結業績予想について(2025年5月公表)>
2024年度に計上したのれん減損損失の反転、海運事業売却に伴う利益、五井火力発電所の通期での利益貢献等を織り込む一方で、円高・油ガス価下落による石油・天然ガス開発の減益、JX金属株式売却に伴う利益剥落等を織り込んでいます。前提条件に基づく次期の業績予想は下記のとおりです。
●前提条件(2025年4月以降)
為替:140円/ドル、原油(ドバイスポット):75ドル/バーレル
売上高:11兆7,000億円 営業利益:3,600億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,850億円
在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、4,100億円と見込んでいます。
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