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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1) 会社の経営方針

 当社グループは引き続き「Payment to the People, Power to the People.」のミッションのもと、個人及びスモールチーム、スタートアップ企業をエンパワーメントすることは変わらず、すべての人が活躍できる社会基盤を提供してまいります。

(2) 経営戦略等

 当社グループは、対象顧客の拡大及びグループ独自の付加価値を向上させることにより、グループの価値創造の最大化を図ってまいります。

 この価値創造を推進していくにあたり、中長期の経営方針として、既存プロダクトの成長戦略と、二つのグループ横断の拡大戦略を策定いたしました。

 既存プロダクトの成長戦略といたしましては、既存プロダクトの付加価値向上とそれに伴うプライシングの適正化に加え、マーケティング施策の改善等を通じ、既存プロダクト強化によるGMV成長と収益性向上を両立してまいります。

 グループ横断の拡大戦略の一つ目といたしましては、「BASE」のショップを対象に提供していた既存プロダクトの「PAY.JP」の加盟店への横展開等により、既存プロダクト間でのシナジーを創出し、成長を加速させていきます。二つ目といたしましては、対象顧客の拡大及び既存プロダクトの付加価値向上等を目的としたM&A及び提携等により、グループ全体の非連続な成長を目指してまいります。


<既存プロダクトの成長戦略>

① BASE事業が提供する「BASE」

 これまで通り、個人やスモールチームのエンパワーメントに注力する方針に変更はありません。

 その上で、既存プロダクトの成長戦略にのっとり、プロダクトの付加価値向上とそれに伴う料金体系の適正化に加え、マーケティング施策の改善に継続的に取組むことにより、引き続きGMV成長とテイクレート向上の両立に注力します。

A) プロダクトの付加価値向上

 販路拡大やマーケティング支援等、ショップの売上成長をより直接的にサポートする拡張機能を提供してまいります。具体的には、越境ECや、リスクなく広告出稿が可能な機能に加え、商品を「作る」ことが得意なショップと「売る」ことが得意なショップをマッチングさせる機能等を予定しています。

B) 料金体系の適正化

2024年1月には月額有料プラン(グロースプラン)の月額費用を値上げすることに加え、一部の拡張機能を有料にてご提供することや、国内のストアフロント事業者として唯一保有している購入者アセット「Pay ID」の収益化等にも取り組み、料金体系を適正化してまいります。

C) マーケティング施策の改善

 成長性と収益性を考慮した規律ある投資方針を維持し、幅広い売上規模のショップに対象を拡大することを目的としたリブランディング及びマーケティング施策を、引き続き実施してまいります。

② PAY.JP事業が提供する「PAY.JP」

 これまで通り、開発者が使いやすい競争力のあるプロダクトを追求し、プロダクトの付加価値向上を図ると同時に、料金体系の適正化や原価率の改善に加え、セールス&マーケティング等の強化により、引き続き力強いGMV成長と売上総利益率向上の両立に注力いたします。

A) プロダクトの付加価値向上

開発者が使いやすいプロダクトの追求の一環として、管理画面等の改善に取り組むほか、営業代理店制度である「PAY.JPパートナー」やマーケットプレイスを運営する事業者向けの「PAY.JP Platform」の拡充等、既存の決済領域の課題解決に取り組んでまいります。

B) 料金体系及び原価率の改善

プロダクト強化による付加価値の向上に伴い料金体系の最適化を図ると同時に、GMV成長に伴うプラットフォームの拡大を踏まえ、原価率の改善にも取り組んでまいります。

C) セールス&マーケティング等の強化

 これまでは自然流入及び「PAY.JP パートナー」の営業代理店制度による新規加盟店獲得により大きな成長を実現してきましたが、今後はその他の新規加盟店獲得経路の強化も目指します。また、現在も高い継続率を維持していますが、引き続き既存加盟店の継続利用を促すことを目的に、大型加盟店を中心に関係構築に努めます。

③ BASE事業が提供する「Pay ID」

「Pay ID」は、ID決済の提供により、購入者のショッピング体験をサポートするショッピングサービスで、登録者数は2023年12月現在、1,300万人を突破しております。今後は、BASEグループのショップ及び加盟店と、購入者双方に対するサービス及び機能の拡充により、「Pay ID」の収益化を目指してまいります。

A) ID決済機能の強化

ID決済機能には、2023年4月から提供を開始したBNPL「あと払い(Pay ID)」に加え、「BASE」で開設された全てのショップで利用可能なID決済機能等がございます。「あと払い(Pay ID)」でのお支払いをより柔軟にすることに加え、独自の自社決済ネットワークの構築に向け、将来的な収益性改善を見据えたスキームの検討を進めてまいります。

B) ショッピングアプリ機能の強化

 ショッピングアプリ機能には、お気に入りのショップの新商品や入荷情報をプッシュ通知で受け取ることができるフォロー機能に加え、ショップの検索やレコメンド機能等がございます。購入者に対するレコメンド機能等を改善することで、新たなショップとの出会いを創出することに加え、「BASE」のショップがアプリを活用してマーケティングやCRM等を強化できるよう拡充し、アプリ経由のGMV成長及びアプリの収益化を目指してまいります。

④ その他事業が提供する「YELL BANK」

 資金調達サービス「YELL BANK」は、BASEがショップの売上実績をもとに将来の売上を予測し、将来の売上債権を買い取ることで資金提供するサービスです。ショップは、商品が売れたときに支払い率に応じた売上金額を自動的にBASEに支払います。

 このように、「BASE」のショップのキャッシュフローを早期化することにより、成長を支援してきた「YELL BANK」等の金融領域は、「YELL BANK」での資金調達金額や手数料の支払い方法等をより柔軟にすることで、更なる付加価値向上を図ってまいります。

<グループ横断の拡大戦略>

① 既存プロダクト間のシナジー創出による成長加速

 従来「BASE」のショップを対象に提供してきた既存プロダクトを、「PAY.JP」の加盟店に横展開すること等により、既存プロダクト間でのシナジー創出による成長加速を目指します。なお、「BASE」と「PAY.JP」では、売上規模や運営体制等の加盟店属性が大きく異なっているため、慎重な検証を経て本リリースをする予定です。

② M&A及び提携等によるグループ全体の非連続な成長

 個人やスモールチームのエンパワーメントに寄与する取組みであることを前提に、対象顧客の拡大及び新旧顧客双方を対象とした提供価値の拡大を目的としたM&A及び提携等により、グループ全体の非連続な成長を目指してまいります。

2023年12月期には、CEO直下の経営戦略室とCFOを中心に、機動的な実行体制を構築いたしました。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは、売上総利益(売上高から流通総額に応じて決済会社へ支払う決済手数料を控除した金額)の成長を重視した経営を行っております。

 当社グループの主な収益は、BASE事業においては、BASEショップの流通総額に対して発生する決済手数料及びサービス利用料であり、PAY.JP事業においては、PAY.JP加盟店の流通総額に対して発生する決済手数料であります。そのため収益の源泉である流通総額の最大化と、さらに提供するサービスの高付加価値化及び売上原価の低減により実現される売上総利益の最大化を目指しております。

(4) 経営環境

 国内の電子商取引(BtoC-EC)市場は、ネット上での販売商品の多様化、市場参加者の増加、物流事業者による配達時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増加等を背景に引き続き順調な市場拡大が見込まれております。経済産業省発表の「令和4年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、BtoC-ECの市場規模は2022年時点で約22.5兆円(物販系約13.9兆円、サービス系約6.1兆円、デジタル系約2.5兆円)となっております。当社設立の2012年の市場規模は約9.5兆円であり、2012年からの10年間で市場規模は2倍を超え大きく成長しております。

 また、昨今のSNSの普及により、購入者はネットショップで何らかの商品・サービスを購入する際に、その商品・サービスの販売者と直接交流をして商品・サービスの情報を取得したうえで、商品・サービスの「ユニークさ」や、ショップの世界観や販売者のパーソナリティに価値を見出して、購入するようになってきており、今後もSNSを活用した個人やスモールチームによる情報発信と個人同士のダイレクトな交流による商品販売の流れがさらに強まるものと考えております。

 当社の「BASE」におきましても、オリジナル商品を販売するネットショップやブランド独自の世界観を有するネットショップに多数ご利用していただいており、今後想定されうる購入者の志向の変化にもタイムリーに対応可能であると考えております。

 また、現在、電子決済普及拡大への取り組みは官民で非常に活発化しており、電子決済やキャッシュレス市場にとっては追い風が吹いている状況とも考えております。

2022年12月期においては、リオープニングに伴うオフライン消費の回復により、国内のオンライン消費が当社の想定以上に減速し、短期的には「BASE」にとって逆風の事業環境となっておりましたが、2023年12月期からは回復基調にあります。当社グループでは、こうした事業環境の変化にも機動的に対応し、現在の入手可能な情報に基づき最善の経営戦略を立案することで、企業価値の最大化に努めております。

(5) 対処すべき課題

 上記の経営環境の下、当社グループが対処すべき主な課題として考える事項は以下のとおりであります。

① サステナブルな社会の実現

 当社グループは「Payment to the People, Power to the People.」をミッションとして掲げ、インターネットテクノロジーによって、多くの方が必要としながらもまだ享受できずにいる決済や金融領域へのアクセシビリティを高め、これにより個人やスモールチームをエンパワーメントすることで、すべての人が活躍できる社会の実現を目指して企業活動を行っております。当社グループは、1日も早いミッションの実現を目指して、社会に開かれた決済・金融を提供するプラットフォーマーとしての責任と役割に向き合い、サステナブルな社会を実現するためにグループ全体を通じてESGに関する取組みを推進することが重要な課題であると考えております。

 そのために、サステナビリティ委員会を設置し、当該委員会においてサステナビリティに関する事項の審議、推進施策の遂行状況のモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告することで、ESGに関する取組みを推進する体制を確保しており、当連結会計年度はPRIDE指標2023におけるゴールド認定取得やTCFD提言に基づく情報開示等、D&Iや気候変動関連の取組みを実施いたしました。
 今後も、2022年に特定した重点課題であるマテリアリティに関する取組みを中心に、ESGに関する取組みを推進してまいります。なお、特定したマテリアリティは以下の通りです。


② 開発力・技術力の強化

 当社グループの事業はインターネット業界と深くかかわっており、競争力のあるプロダクトをEC市場へ提供していくためには、その情報技術やサービスをタイムリーに採用し、常に新しいプロダクトを創造し続けていくことが重要な課題であると考えております。
 そのために、EC環境の変化や当社グループのサービス利用者の要望を効率よく吸収し、質の高いプロダクトを提供してまいります。

③ 人材の育成

 当社グループは、持続的な成長や事業価値の向上を実現していく上で、人材は最も重要な経営資源であると考えております。

 従業員が自身の仕事やキャリアに主体性を持ち、挑戦し続けることを支援することが従業員の育成のために重要であると考え、教育体制や人事制度の整備を行っております。具体的には、社内公募制度の設置、各種研修の実施、D&I推進による多様性と公平性のある環境の整備等、人材育成や自律的なキャリア構築支援のための取組みを実施しております。

④ 内部管理体制の強化

当社グループは今後もより一層の事業拡大を目指しており、社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値の向上を図るために、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。

そのため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会を設置の上、業務運営上のリスクの把握及び管理の実施、役職員に対する定期的な研修等による啓蒙活動の実施、定期的な内部監査の実施等によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を図っております。

⑤ サービスの安全性・健全性の確保

当社グループは、取引の場や決済サービスを提供する事業者として、あらゆるステークホルダーが安心して取引を行うことができるよう、サービスの安全性・健全性を確保することが重要な課題であると考えております。
 そのため、BASE事業においては、365日対応の専門部署を設置することはもちろん、当社が保有する取引データの機械学習の活用等による分析やクレジットカード会社の不正配送先データベースの活用、3Dセキュアの導入等による不正決済や不適切な商品の販売を検知・防止、ネットショップ運営者に対するログイン認証方法の強化等を実施しており、また、PAY.JP事業においては、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSSに完全準拠した運用でクレジットカード情報を管理することで、サービスの安全性・健全性の確保を図っております。

⑥ 2025年12月期通期黒字化に向けた財務体質の改善

当連結会計年度においては、サステナブルな事業運営を可能にするため、収益性の改善に注力した経営を行ってまいりました。
 今後につきましても、規律ある投資方針のもと売上総利益を更に増加させ、2025年12月期通期黒字化を達成し、グループ全体の価値創造の最大化を目指してまいります。

⑦ 情報管理体制の強化

 当社グループが提供するサービスにおいては、サービス利用者の個人情報をはじめとした様々な情報を預かっており、これらの情報を適切に管理するための体制強化が重要な課題であると考えております。
 そのため、情報セキュリティ基本規程等の社内規程を制定し、これらに基づいて情報の適切な管理を徹底しております。
 また、情報セキュリティ専門部署の設置や、全社員向けの情報セキュリティ研修実施による情報セキュリティ対策の強化を図ることはもちろん、情報セキュリティ委員会を定期開催して情報セキュリティ上のリスクの洗い出し及び議論を実施しております。
 今後も、グループ全体の教育・研修の実施やシステムの強化・整備を推進し、情報管理体制を強化してまいります。

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