ADEKA
【東証プライム:4401】「化学」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
1.会社経営の基本方針
当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。
2.目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的な目指すべき方向性を示した2030年のありたい姿『ADEKA VISION 2030~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献するInnovative Company~』を掲げ、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、幅広い事業を世界中で展開し、革新的な技術で世界をリードすることで、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する企業となることを目指しています。
『ADEKA VISION 2030』の実現に向けたセカンドステージとして、2024年度から2026年度の中期経営計画『ADX 2026』をスタートしました。
「ADX」は「ADEKAは変わります(ADEKA Transformation)」という決意を表しています。『ADX 2026』は、『ADEKA VISION 2030』の実現に向けて、変革を続ける3年間と位置付け、成長戦略としてサステナビリティを推進し、社会価値の創出を通じた稼ぐ力の強化を図ります。また、環境貢献製品の拡大やカーボンニュートラルの実現に向けたGHG排出量削減の推進に努め、より強靭な経営基盤のもと企業価値のさらなる向上を目指してまいります。
〔基本方針〕
〔基本戦略〕
社会価値と利益の共創による企業価値のさらなる向上を目指し、「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」「環境貢献製品の拡大、及び事業構造の変革によるGHG削減」「経営基盤の強靭化」を進めます。
◆稼ぐ力の強化、高収益構造への転換
収益の柱である半導体材料に積極的に経営資源を投下していく一方、将来を見据えた事業の再構築を進めます。各事業の成長戦略を遂行し収益性向上を図るとともに、将来の成長の柱となる新製品の拡大や新規事業を推進します。また資本効率性の向上に向けた施策を実行し、当社の稼ぐ力の向上を図ります。稼ぐ力の強化により、規模拡大から利益を重視した事業成長を図ります。
◆環境貢献製品の拡大、及び事業構造の変革によるGHG削減
環境貢献製品の拡大と創出を進め、社会課題解決の機会を取り込んだ成長戦略を遂行します。また、カーボンニュートラルの実現に向けて各事業でGHG排出量削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進し、多様な人財活躍の機会を創出するとともに、人権デュー・ディリジェンスの実行により、サプライチェーン全体で人権を尊重します。
◆経営基盤の強靭化
各事業における戦略製品群の安定生産に向けて、重要原料を把握・管理し、外部環境が激しく変化した際にも事業継続できる強靭なサプライチェーンを構築します。人的資本活用の基盤を整備し、各事業の成長ステージにあわせた人財の配置・育成を推進します。デジタル技術を取り入れ、継続的に業務改革を進めていきます。
3.2024年度の取り組み
中期経営計画『ADX 2026』の初年度となる当期は、基本戦略のひとつである「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」の下、各事業における成長市場への領域拡大を実現するための基盤構築を推し進めました。
◆4つの事業本部体制への移行、研究技術統括本部の設置
当社は、2024年7月1日付で、化学品営業本部と研究開発本部を「電子材料本部」と「環境材料本部」の2つの事業本部に再編し、食品本部、樹脂添加剤本部を含めて4つの事業本部体制へ移行しました。
さらに、2025年4月1日付で、電子材料本部を「半導体材料本部」と改称するとともに、半導体材料本部と環境材料本部の研究所、営業部、及び企画部の組織改定を行いました。
あわせて、2025年4月1日付で、無形資産(知的財産、許認可情報など)の管理・活用の強化、コーポレート研究の強化等を図るため、「研究技術統括本部」を設置いたしました。
≪各本部のミッション≫
◆半導体材料本部
今後成長が見込まれる半導体市場にフォーカスし、新製品開発や生産・品質管理の基盤強化など、半導体材料開発へ経営資源を集中し、半導体前工程の拡大と後工程への領域拡大を推進します。
◆環境材料本部
カーボンニュートラル対応や戦略製品・環境貢献製品の拡大に注力します。成長戦略として電池材料の早期事業化を図るとともに、ディスプレイ関連製品群を半導体材料本部から移管を受け、技術・ノウハウを結集することで新規市場を開拓し、持続的な成長を目指します。
◆研究技術統括本部
各事業本部の技術情報を統括管理します。DX・AI活用による研究開発の効率化を図り、「社内技術(コアコンピタンス)の活用」「社外技術の導入」「社外連携による新たなバリューチェーン構築」「DX技術の導入と人財育成」を強化していきます。新規事業・新規テーマの創出、無形資産の積極的な活用、効率的な管理等により、当社の研究技術力を維持・強化していきます。
また、既存の事業本部においても、「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」の取り組みを進めています。
◆樹脂添加剤本部:トップシェア製品の育成・強化
当社は、樹脂添加剤の新ブランドとして透明化剤「トランスパレックス」(以下、トランスパレックス 英名:「TRANSPAREX」、製品名:「アデカトランスパレックス CAシリーズ」)を立ち上げ、2024年11月から米国、アジア圏を中心に販売を開始しました。
トランスパレックスは、プラスチックの一種であるポリプロピレンに少量添加することで世界最高の透明性(2024年11月1日時点、当社調べ)を実現します。電子レンジ加熱に対応した透明性の高い食品容器、耐薬品性が求められる医療器具や化粧品ボトルなどをはじめ、様々な市場の要望に応えることができる、今までにない透明化剤です。
ADEKAグループは、トランスパレックスの市場投入により、2030年までに同製品を含む透明化剤全体の連結売上高を300億円超とし、透明化剤世界シェアNo.1を目指します。
4.サステナビリティを意識した企業経営
当社グループは、中長期的な視点に立ち「サステナビリティ」における課題に取り組むことで、グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献していきます。
ADEKAグループ サステナビリティ基本方針「ADEKAグループは、公正・透明な企業活動を通じて、技術と信頼でステークホルダーの期待に応え、持続可能な社会に貢献します。」は、当社グループが社会の一員としての基本的責務を果たしつつ、本業を通じて持続可能な社会に貢献すること、ひいては自らの持続的成長を目指す基本姿勢を表現したものです。
同基本方針に基づいた企業活動を具体的に推進するため、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)では、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3分野にわたるサステナビリティ優先課題と、SDGs達成の目標年度である2030年を念頭に置いた目標(2030年KPI)を定め、全社横断的な取り組みを行っています。
2024年度は、中期経営計画『ADX 2026』において、「環境貢献製品売上高」、「GHG排出量」、「女性管理職比率」の3項目をサステナビリティ指標として新たに導入しました。環境(E)においては「オールADEKAでアイデアを結集し2050年にカーボンニュートラルを目指す」ため、生産工場におけるエネルギーロスの削減や再エネ導入を進めるとともに、引き続き適正な情報開示を行うための国内外グループ会社との目線合わせ及び浸透活動を実施しました。社会(S)では、人権に関する取り組みの高度化に向け、人権デュー・ディリジェンスの推進/苦情処理メカニズムの運用継続/人権教育・啓発活動の推進を図り、さらに、第二期DE&Iプロジェクトチームを編成し、女性活躍推進も加速させました。ガバナンス(G)では、グループリスクマネジメント体制の強化、取締役会実効性向上等、コーポレートガバナンスの強化など、下掲の取り組みを実行しました。
〔2024年度の主な活動〕
環境(E) | ・「カーボンニュートラル推進戦略」の実行及び浸透活動 ・非生産拠点を中心に国内13拠点において再生可能エネルギー由来電力を導入(その内、使用電力の実質再生可能エネルギー100%は9拠点) ・中期経営計画『ADX 2026』において、GHG削減量をサステナビリティ指標として新たに加え、カーボンニュートラルへの取り組みを推進 ・「環境貢献製品」2024年度売上高は、2019年度比1.9倍へ拡大。 |
社会(S) | ・人権に関する取り組みの高度化に向け、人権デュー・ディリジェンスの推進/苦情処理メカニズムの運用継続/人権教育・啓発活動を推進 ・第二期DE&Iプロジェクトチームを編成し、女性活躍推進を加速 ・2024年度(単体)実績では女性管理職比率5.8%となり、一般事業主行動計画2025年度目標(5%以上)を前倒しで達成 ・エンゲージメントサーベイを活用し、従業員エンゲージメント向上策を推進 ・「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)ホワイト500」初認定 |
ガバナンス(G) | ・グローバルで「ADEKAグループ行動憲章」の理解・浸透を図る ・グループ全体での平時及び有事リスクマネジメント体制の強化(ERM(統合型リスク管理)の運用強化) ・地政学リスク対応の強化(台湾有事対応) ・取締役会実効性の向上(社外取締役の現場を知る・感じる機会の拡充等) ・取締役のスキルマトリックスの見直し ・後継者計画の運用 ・情報セキュリティ強化(インシデント対応見直し、グループ会社情報セキュリティ体制強化、情報管理教育の拡充) |
5.グループ戦略課題
2025年度の世界経済は、低成長ながらも底堅く推移する見込みですが、米国の関税政策によるサプライチェーンの分断、インフレの再燃などが懸念され、先行きには多くの不確実性を伴っています。相互関税や金融資本市場の変動が世界経済や当社事業に影響を及ぼす可能性を孕んでいますが、その動向は不透明な状況です。
当社グループの主要ターゲットである自動車、半導体、食品、農業等の各分野は、個人消費の持ち直しやデジタル技術の進展と普及、おいしく、安心・安全な食料の安定供給のニーズといった背景から、緩やかな需要回復が続くと予想しています。
このような状況のなか、中期経営計画『ADX 2026』の2年目としては、引き続き、基本戦略に掲げる稼ぐ力の強化、サステナビリティの取り組み推進、外部環境の変化に対応できる強靭なサプライチェーン構築などの施策を実行し、社会価値と利益の共創を実現してまいります。
報告セグメント別の2025年度の見通し
事 業 | 売上高・営業利益 | 要 因 | |
化 学 品 | 樹脂添加剤 | 増収・増益 | 新規透明化剤の販売本格化。家電向け難燃剤、自動車向け核剤、 光安定剤の販売拡大。コストダウンによる競争力強化。 |
半導体材料 | 増収・減益 | フォトレジスト向け材料や高誘電材料の販売拡大。メモリ向け一部材料で販売価格下落影響が続く。積極投資に伴う固定費増。 | |
環境材料 | 増収・増益 | 自動車向け堅調。建築塗料向け反応性乳化剤、光学フィルム向け 光硬化樹脂の販売拡大。化粧品原料の販売復調。 | |
食品 | 増収・微増益 | 練り込み油脂等の高機能製品、プラントベースフードの国内・海外での販売拡大。中国での販売復調。販売価格の適正化。 | |
ライフサイエンス | 増収・減益 | 農薬は国内の果樹・野菜等市場への展開加速。インドでの販売復調、欧州での販売拡大。研究開発強化に伴う固定費増。 |
(注)1. 2025年4月1日付の組織改定に伴い、化学品事業のサブセグメント「電子材料」を「半導体材料」に改称しました。報告セグメント別の2025年度の見通しにある半導体材料の売上高・営業利益項目につきましては、半導体材料に係る製品区分に組み替えた後の数値で対前年度比較を行っています。
2. 将来の予測などに関する記述は、現時点における将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測が含まれています。
当社グループの事業を取り巻く経済情勢、市場の動向、為替の変動などに関わるリスクや不確定要因により、実際の業績が、記載と異なる可能性がありますことをご承知おき下さい。
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