企業兼大株主関東電化工業東証プライム:4047】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 弊社では、第12次中期経営計画において、2030年度末のあるべき姿、「安定した経営基盤の下、安全で働き甲斐を実感できる環境を提供し、独自性、優位性ある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する『創造的開発型企業』へ成長する」を目標に掲げています。中でもコア事業である半導体材料事業およびリチウムイオン二次電池材料事業は、人々の豊かな生活の実現に大いに貢献しており、持続的かつ広範な発展が期待されています。このような背景の下、新製品開発本部では、既存事業の強化と新事業の創出を目指して、研究開発活動を進めております。

 なお、この第12次中期経営計画実行期間にあたる当連結会計年度の研究開発投資額は、1,819百万円でした。

 次に、今後の研究開発活動の方向性について説明します。  

 半導体・液晶製造用特殊ガスと電池材料の2分野での新製品の早期事業化を推進します。半導体・液晶製造用特殊ガス分野では、事業本部内に半導体材料開発営業部を新設し、既存の半導体材料開発部と連携して業務効率と開発スピードの向上を目指すとともに、開発・製造・営業の一貫体制で顧客ニーズに迅速に対応し、市場展開の促進を図ります。電池材料分野については新事業開発推進部を中心に市場情報を幅広く収集し、車載・定置用電池を見据えた次世代材料の開発や、リチウムリサイクル事業に適した技術開発を多角化します。

 並行して、周辺領域の製品・技術開発や、新規事業に係るテーマにも取り組みます。具体的には、電子・情報・光学材料、エネルギー関係、医療分野および環境対応分野において、当社の優位性と独自性を活かした製品・技術開発を進めます。

 さらに、環境対応を念頭においたリサイクル技術の構築(ライフサイクルアセスメント(LCA)の整備)や環境に配慮した3R(Reduce、Reuse、Recycle)の加速、PFAS規制に適合させた製品開発も推進します。

 これらの取り組みの一環として、国内における研究開発拠点の整備を進めており、2024年4月に水島地区に新研究棟を竣工しました。今後は、渋川地区にも新研究棟設置を計画しております。

(1) 半導体・液晶製造用の特殊ガス

 現在、半導体・液晶市場ではNF3(三フッ化窒素)、CF4(四フッ化炭素)、C4F6(ヘキサフルオロブタジエン)およびWF6(六フッ化タングステン)等の各種フッ素系特殊ガスが、シリコン基板表面に回路パターンを刻むエッチング用途、および製造装置内面のクリーニング用途に広く使用されています。当社は、世界有数の製造能力と品質を誇る半導体・液晶用特殊ガスメーカーであり、当社独自技術を活かしてこれらの特殊ガス製品の開発を行っています。

 今後は、市場のニーズが高いエッチング・クリーニング用の高性能ガスや環境対応製品の開発を推進します。特に、年々微細化が進む半導体分野において、C4F6(ヘキサフルオロブタジエン)、COS(硫化カルボニル)やCH3F(モノフルオロメタン)等の供給に加え、高性能化や環境対応型新規ガス、各種金属材料用ガス、およびAI半導体用途の新たな材料開発に注力していきます。また、順次半導体評価設備の導入を進めており、評価体制の強化も図ります。

 海外展開としては、2017年に韓国に拠点として設置した関東電化ファインプロダクツでCOS(硫化カルボニル)等の生産を開始し、2023年11月から研究開発も開始しており、現地顧客に密着した迅速な開発を進めていきます。

(2) 電池材料

 リチウムイオン二次電池(LiB)業界では、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに、更なる高容量化、長寿命化、難燃化等の研究が盛んに行われています。当社は、LiB用電解質LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)の開発に成功し、1997年の販売開始を実現し、その後もLiPF6に続く新製品として、2017年4月にLiBF4(ホウフッ化リチウム)、2022年4月にLiPO2F2(ジフルオロリン酸リチウム)の市場投入を行いました。現在は、車載用電池添加剤や全固体電池などの次世代電池材料の早期事業化を推進中です。

 さらに、社外パートナーと連携し、使用済みリチウムイオン二次電池から、電池材料に再利用可能なリチウムについて高純度での再資源化技術を開発し、事業化を決しました(2025年2月14日プレスリリース)。現在、パイロット設備を用いた検証を進めており、本事業を軸にしたさらなる展開も検討中です。これらを着実に手掛けることで、電池材料事業の拡大を目指していきます。

(3) 鉄系材料

 当社では、鉄、フェライト、マグネタイトなどのコア材表面に樹脂をコーティングした現像剤用キャリヤーを複写機、プリンター等画像形成装置市場に提供しています。これまでに培ってきた技術を活かし、新規材料の開発や適用範囲の拡大を図ることで、鉄系事業の更なる拡大を目指します。

(4) 基礎化学品

 基礎化学品事業の収益力を強化するために、新規製品の開発に着手しています。環境規制対象となっている既存製品の代替品を意識した検討を進めており、規制対応を重視した製品ラインナップの拡充を目指します。

(5) 有機機能性材料

 高付加価値製品による収益拡大を推進しています。高機能用途に対応した展開の結果、新規用途への採用が拡大し、前年実績を超えた大幅な増収を実現しました。また、ライフサイエンス分野向けの新製品や、PFAS規制に配慮した材料・素材の開発を自社の原材料・技術を活用しながら進めており、更なる成果獲得を狙っていきます。

(6) 次世代事業

 将来の柱となり得る挑戦テーマとして、競合他社に対して優位性の高い新規材料の創出と、当社基盤技術から派生する新たな技術開発を長期的に推進しています。

 具体的には、新規コア事業の創出を目的に、電子・情報・光学材料、エネルギー関係、環境対応製品および医療分野において、独自技術を活用した製品の創出に取り組んでいます。

 また、サステナブル技術の開発も進めており、内外部との連携を強化しています。

(7) 研究開発の効率化

 研究開発の迅速化と効率向上を目的として、国内および海外における研究開発拠点の整備を進めています。

 さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、AIやMIを活用した材料設計やデータ駆動型研究の導入により、研究開発効率の精度と向上を図ります。

 加えて、コロナ渦を背景に、顧客との対面・オンラインの交流を適切に組み合わせ、コミュニケーションと連携の強化に努めています。

 同様に、最新の業界の動向を把握する目的で、学会・セミナー参加や、外部研究機関との共同開発も積極的に推進しています。

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