企業兼大株主鉄建建設東証プライム:1815】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。

 本年度はICT技術の活用・建設DX推進によりヒューマンエラー防止に資するシステムの開発、遠隔施工システムの開発、鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。

 当連結会計年度の研究開発費は966百万円(土木工事854百万円・建築工事111百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。

 (1)土木分野

①建設DX推進への取り組み

~3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システムを開発~

 鉄道工事における線路内への人や車両の侵入を自動検知する「3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システム」を開発しました。鉄道工事において線路内へは所定の手続き(線路閉鎖手続き等)が完了した後に立ち入って作業を開始しますが、ヒューマンエラー等の要因により手続き完了前に人や工事用車両が列車運行エリアに誤って侵入するリスクがありました。本システムでは、日本電気通信システム株式会社の「NEC3次元物体検知ソフトウェア」を活用し、監視エリアに侵入した人や車両をリアルタイムに検知します。また、このソフトウェアと工事従事者に対して緊急ブザーやメールにてアラート発報する仕組みを組合せたシステムを構築しました。今後、本システムを東日本旅客鉄道株式会社の協力のもとで鉄道工事現場に試行導入し、実導入に向けた検証及び運用方法の検討を行います。

②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発

~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~

 駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、現場導入に向けて工法のブラッシュアップを図っていきます。

③サステナブル推進に関する技術開発

~小型木質バイオマスガス化発電システムの開発~

 当社とDOWAサーモテック株式会社は、間伐材や果樹剪定枝等、幅広い原料の活用をめざして半炭化技術に着目し、2018年度から東京工業大学との共同研究、様々な木質系・草木系バイオマス素材を半炭化しガス化する試験を行ってきました。そして実用化に向け、2021年度から半炭化装置および定格出力200kW規模のガス化発電装置の製作を進め、2022年度より実証実験を開始しました。本システムは、木材を直接燃焼させるのではなく、過熱蒸気発生装置で発生させた過熱蒸気(300-350℃)を使用して半炭化したうえで、ガス化して発電機を稼働させます。半炭化のプロセスを経ることで、一般的に木質バイオマス発電燃料として使用される木質チップの他にも、樹木・果樹の剪定枝や、河川・ダム流木を発電燃料として活用することができます。またガス化のプロセスを経ることで、小規模の発電を効率良く実施することが可能になり、比較的狭いエリア内で集められる木質系バイオマス素材で、地産地消により発電に必要な量をまかなうことが可能です。今後は、実証試験機を使用して連続運転試験等を実施し、発電事業への展開の準備や更なる効率化をめざして機器の改良を実施する予定です。

 (2)建築分野

①鉄建式変位制御型座屈拘束ブレースの開発

~地震から建物を守る新しい制振ブレース(ディレイブレース®)の実用化~

 地震に強い建物の構造形式として、耐震構造や免震構造の他、建物の揺れを制御して、耐震安全性を向上させる制振構造があります。この度、座屈拘束ブレースを制振部材として利用する鉄建式変位制御型座屈拘束ブレース(ディレイブレース®)を開発しました。柱・梁の主架構とブレースの接合部において、ガセットプレートのボルト孔を細長い形状のスロットホールとすることで、所定の層間変位量に達するとブレースに軸力が作用する独自の機構を有しています。このボルト孔のルーズ長を変更することで、地震時においてブレースに軸力が作用するタイミングを遅らせることが可能となり、上下階の剛性バランスを改善して、応力分散効果を得て建物の損傷を防止します。従来では部材の靭性能の確保が難しかった継続時間が長い地震動にも対応できます。本技術は、超高層・高層ビルおよび物流倉庫・工場などの鉄骨造の建物で地震被害の軽減を期待できることから、企業のBCP対策に向けた取り組みにもつながり、実プロジェクトへの適用を目指しています。

②帯状濡れセンサモニタリングシステムの実用化

~環境配慮型BFコンクリートCELBIC(セルビック)の適用拡大~

 当社の環境関連、特に、CO削減技術として、セメントの一部を、産業副産物を有効利用した高炉スラグ微粉末に置換することで、材料由来のCO排出量を削減した「環境配慮型BFコンクリート CELBIC(セルビック)」を開発し、現場への適用を進めています。CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。当社では、これまで、千葉県成田市にある建設技術総合センター内の実験棟建替え工事で、土間コンクリートにCELBICを適用し、当初予定のコンクリートと比べて57.2%減となる約35tのCO排出量削減に貢献しました。この度、事務所ビル新築工事の基礎梁・耐圧版への適用として、250m3を打設して60.3%のCO削減率となる42.7tのCO排出削減を実現しました。今後もCELBICのさらなる適用拡大に向けて技術開発に取り組んでいきます。

③建設DXの推進に向けた取り組み

~鉄道工事におけるXR技術の適用~

 建設DXの一環として、鉄道工事のうち、駅関連施設の工事において、BIMや点群データなどのICT技術を活用して、スマートプロジェクトマネジメント実現に向けて対応しています。駅関連施設の工事では、作業時間が終電から始発の数時間に限定される場合や駅利用のお客様対応など、施工時間と施工場所の制約があり、工事を進める上で、事前に発注者や協力業者と作業手順の確認などにBIMを活用したデジタルデータの利用を進めています。今回、駅構内の自由通路建設に於いて、自治体事業者、発注者と施工者の間で、XR技術を利用して施工手順の説明と確認作業を実施しました。事前に作成したBIMデータを、XRツールに組み込んで、タブレット端末を通して、3Dデータを現実空間に投影することで、現地において施工前と施工後の自由通路出来形の確認がタブレット端末上で可能となり、合意形成に要する時間が大幅に短縮され、その有効性が確認されました。今後ともICT技術の利用による生産性向上を目指して、建設DXの推進に取り組んでいきます。

※XR(クロスリアリティ):VR(仮想現実)やAR(適用現実)、MR(複合現実)といったあらゆる仮想空間技術と現実空間を融合し、現実にはない、新たな現実を知覚できる技術の総称

 (3)不動産事業、付帯事業及びその他

 研究開発活動は特段行われていません。

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