企業兼大株主藤田観光東証プライム:9722】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 藤田観光グループでは、「私たちは、健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献したいと願っております。」を社是とし、これに基づいて具体的な指針となる経営指針および行動指針を定めております。

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 経営環境を踏まえた基本認識

2024年はコロナ禍の収束や円安の影響などによって訪日外国人数が大幅に増加し、観光業界にとって強い追い風となりました。当社グループにおいてはこの需要を確実に捉えるべく早期から商品造成・販売活動に取り組んでいたことに加え、コロナ禍以前から取り組んでいた商品力引き上げの効果も相まって、各セグメントにおいて客室などの販売単価が上昇いたしました。コスト面においてもコロナ禍において取り組んだ構造改革の効果が寄与し、営業利益は過去最高益の123億円となりました。

業績の回復により財務体質の改善が前倒しで進む一方、コロナ禍で必要性を強く認識した事業ポートフォリオの是正など、道半ばの課題も残っております。

再び同様の災害などが起こった際にも揺らぐことのない強固な経営基盤の構築を目指し、昨年策定した「中期経営計画2028~Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」を着実に推進しております。

(3)中期経営戦略

経営戦略

本中期経営計画では、当社グループが持続的な成長を遂げるために、以下の3つの重点課題を掲げております。

重点課題

骨子

Ⅰ. 環境に左右されない持続的成長基盤確立

(1) ポートフォリオの是正

(2) 新規事業の創出

Ⅱ. 人材の確保・育成

(1) 採用の強化

(2) 教育の強化

Ⅲ. 健全な財務基盤構築

(1) 売上高拡大による内部留保の蓄積

(2) 優先株式の早期償還

これらの課題を解決するため、以下の5つの戦略を策定し、全社一丸となって取り組んでおります。

<戦略>

Ⅰ.事業戦略

WHG事業

WHG事業においては、ⅰ.商品力強化による収益向上、ⅱ.ブランドの再整理と認知度向上、ⅲ.ファンの獲得、ⅳ.新規出店による拠点数拡大を重点課題に位置付けております。

まず、既存事業所の客室やレストランの機能強化などを目的とした改装・美装、ラウンジ機能の追加を進めることで、利便性および快適性を向上させるほか、朝食の品質向上にも取り組んでおります。また、従業員への研修などを通じてチェーン全体のサービス水準をさらに引き上げ、施設・設備の充実とサービス向上を両輪とした取り組みを推進することで、お客さまに選ばれるホテルブランドの確立を目指しております。

また、本中期経営計画期間中に8店舗の新規出店を計画しております。出店形態については、これまでの賃借主体から、中古資産の取得やフランチャイズ、マネジメントコントラクト(*1)など、多様な方法を取り入れることで、柔軟な事業展開を図ります。また、出店エリアについてはお客さまの多様なニーズにお応えすべく、ビジネスエリアのみならず、観光エリアへの出店計画も進めております。

(*1)ホテルの管理運営を受託する方式。

ラグジュアリー&バンケット事業

 ラグジュアリー&バンケット事業では、ⅰ.有形固定資産の活用、ⅱ.ブランド、ノウハウ・スキルの活用、ⅲ.専門技能強化に取り組んでおります。

 まず、「ホテル椿山荘東京」では、チャペルの一つを転用し、スイートルームご利用のお客さま専用のラウンジ「ル・シエル」として2024年7月にオープンいたしました。このラウンジではチェックイン・チェックアウトの利便性向上や軽食の提供、日本各地の工芸品を展示するギャラリースペースの設置など、伝統文化と季節を体感できる付加価値の高いサービスを提供しております。これにより、ブランド力の強化と利用単価の向上を図っております。

 また、広島の㈱Share Clappingでは、2024年に新たな外部提携会場での婚礼プロデュースを開始し、ノウハウを活かした事業領域の拡大を推進しております。

 さらに、婚礼をきっかけとした産後ケアサービスや七五三、卒・入学、成人式など、人生の節目におけるサービス提供を強化し、お客さまとの生涯にわたる関係構築を目指しております。
    

リゾート事業

 リゾート事業では、ⅰ.「箱根小涌園観光地化」の推進、ⅱ.商品力強化と遊休地活用、ⅲ.事業領域の拡大と新規出店に取り組んでおります。

 まず、箱根小涌園再開発により箱根小涌園エリアが「箱根の観光客の誰もが訪れる場所」となることを目指し、「箱根小涌園観光地化」を推進しております。2024年には、近隣の自然や名所を巡る散策ツアーや和文化体験のアクティビティを実施し、2年目となる本年は、地域との連携によるイベント開催を通じて、インバウンド需要の獲得、連泊促進、日帰り客の誘客を図ってまいります。

 また、2023年7月に開業した「箱根ホテル小涌園」では、客室の増室をいたします。

 各事業所で、付加価値向上・顧客満足度向上の為に、料理・サービスの品質を引き上げる取り組みを行っており、新規出店に向けた用地・物件探索も進め、収益力向上を目指します。

Ⅱ.人材戦略

 人材戦略においては、2023年に導入した、エリアや事業所を限定して働く「エリア職」コースが採用競争力の強化に寄与し、2024年4月には200名超の新入社員を採用いたしました。これにより、サービス水準の維持・向上を図るとともに、組合員平均6%の賃上げを実施し、従業員エンゲージメントの向上に努めております。また、「トップマネジメントダイレクトミーティング」(*2)を通じて、従業員との直接的な対話を促進し、組織全体の一体感を醸成しております。

 本年は、「人材の確保」から「人材の育成」へと重点を移し、次世代人材の育成を目的とした外部研修の継続実施や、マネジメント力および専門性強化のための海外研修の検討を進めてまいります。さらに、タレントマネジメントシステム(*3)の活用を通じて、個々の能力を最大限に引き出し、組織全体の競争力を高めてまいります。

(*2)代表取締役など経営陣が全国の事業所を訪問し、従業員と対話を行うミーティング。

(*3)研修や評価、社員からのキャリア申請などの人材に関する情報を一元管理できるシステム。

Ⅲ.財務戦略

 財務戦略においては、2020年以降の構造改革の成果として財務体質の改善が進捗しており、A種優先株式の償還を計画よりも前倒しで進めております。また、改装など既存事業所の品質向上を目的とした投資を営業キャッシュ・フローの範囲内で実施し、有利子負債の削減を図ることで、財務基盤のさらなる強化に努めてまいります。

Ⅳ.サステナビリティ戦略

 サステナビリティ戦略の重点課題として、環境保全、お客さまの安心・安全、ダイバーシティ&インクルージョン(人権尊重)、地域社会への貢献と文化財・歴史的建造物の保全、企業倫理の遵守の5点を掲げており、各事業所においてSDGsの推進活動を展開しております。

Ⅴ.成長戦略

 成長戦略においては、a.会員プログラム b.新規事業の戦略を推進しております。

a. 会員プログラム

 2022年4月に立ち上げた会員プログラム「THE FUJITA MEMBERS」の会員数は60万人を超え、会員利用売上は順調に拡大しております。アプリ機能の拡充や会員データを活用したマーケティングを通じて、顧客との関係を強化し、利用促進を図ります。

b. 新規事業

 産官連携、産学連携、他事業者との協業など、多様な手法により事業領域の拡大に取り組んでおります。また、2024年秋には従業員を対象にした「事業化アイデア公募制度『BizNex(ビズネク)』」を導入し、従業員が主体的に新規事業の創造に挑戦する機会を提供しております。これにより、当社の経営理念である「潤いのある豊かな社会の実現」や「ライフスタイルに寄り添うユニークな事業」を具現化し、事業領域の拡大を目指してまいります。

<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標などの進捗>  

 2024年から2028年までの5ヵ年の「中期経営計画2028~Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」における数値計画と2024年の実績は以下のとおりです。

 

2024年実績

2028年目標

収益性

売上高

762億円

800億円

営業利益

123億円

80億円

営業利益率

16.2%

10%

ROE

(当期利益/自己資本)

35.6%

10%以上維持

投資

設備投資額

29億円

5年累計 350億円

財務

営業CF

159億円

5年累計 450億円

自己資本比率

(自己資本/総資産)

27.3%

※優先株式を除いた場合

25.2%

25%以上維持

 2024年の業績は、売上高762億円、営業利益123億円、ROE35.6%でした。営業利益、営業利益率、ROEについては2028年の目標を上回る水準となりました。計画初年度につき、設備投資額は29億円にとどまっておりますが、本年は箱根ホテル小涌園において温泉半露天風呂付客室40室の増室計画に着手するほか、WHG事業の複数施設において客室改装を実施するなど、競争力強化と顧客満足度向上を目的とし、収益基盤の強化に寄与する投資を積極的に行ってまいります。

 本中期経営計画の進捗管理については、毎年の予算策定において、各事業課題解決のための施策と達成までのロードマップを見直し、事業環境の変化に対応しております。これにより、計画の実効性を高め、持続的な成長を実現してまいります。

 また、本年11月には、藤田観光株式会社設立70周年を迎えます。長年にわたり事業を継続できましたのは、ひとえにお客さまや関係者の皆さまのご愛顧とご支援の賜物であり、心より感謝申しあげます。今後も、コーポレートガバナンス・コードの各原則の実施や、非財務情報の適切な開示に努め、すべてのステークホルダーの皆さまと良好な関係を築き、企業価値向上を目指してまいります。

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