企業精工技研東証スタンダード:6834】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、「精密加工」「精密成形」「光学技術」を技術的な基盤とし、「情報通信」「自動車」「医療・バイオ」といった成長市場に向けて、社会の維持継続・進歩発展に貢献する商品を供給しております。これらの市場は総じて変化のスピードが速く、世界の競合企業との競争環境は年々厳しさを増しております。併せて、米中間を中心とする貿易摩擦、東欧や中東地域の紛争、資源価格や材料価格の高騰、各国の金利政策やこれに伴う為替の変動等、当社グループを取り巻く事業環境は日々刻々と変化しています。

 そうした中で当社グループは、環境の変化を自らの成長の機会に転換し、いかなる事業環境下でも企業価値を向上させることのできる強固な経営基盤を確立するべく、中期経営計画『マスタープラン2022』を遂行中です。『マスタープラン2022』は2022年度を初年度とする5ヶ年の経営計画です。長期的に当社グループが目指す企業像を次のとおり定め、社会課題解決への貢献を通して存在感のある企業グループとなるべく努めてまいります。

■目指す企業像

「社会に必要とされる企業」 ~社会の維持継続/進歩発展に貢献する~

 中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループが目指す企業像を実現するために対処すべき課題として次の4点を認識しております。

(1)顧客接点の活性化

 当社グループが事業を営む情報通信、エレクトロニクス関連市場は5Gの商用化やAI、IoTの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、今後も中長期的に市場の成長が続くと見込まれております。また、自動車関連市場も、 CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎え、成熟しながらも進化が続く見通しであります。こうした市場の変化は当社グループにとって成長の機会である一方、変化のスピードに遅れを取れば、世界の競合企業にシェアを奪われることとなります。

 市場環境の変化を迅速に読み取り、他社に先駆けて的確な対応策を実行していくためには、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを通して、市場に求められるニーズと当社グループが有する技術や製品との接点を把握することが重要です。顧客との接点を担う営業員には、社内の営業会議や社員研修等により最新の情報とスキルをインプットし、個の能力と顧客に提供するサービスの質を高めてまいります。

 当社グループの連結売上高のうち、取引金額の上位10社で約60%を占めています(2024年度実績)。こうした重要顧客との取引シェアをさらに拡大していくためには、顧客の経営課題や技術課題を共有し、その解決に向けてともに取り組んでいくことが必要です。当社グループがビジョンに掲げる「ベストパートナー」となるべく、既存顧客との関係性を深めてまいります。

 また、新しい顧客と出会う機会を数多く作り出すため、展示会への出展や新聞、雑誌等へのプレスリリース、ホームページ等のメディア等を通して当社グループの技術や製品を積極的に広報すると共に、商社や販売代理店とも連携を強化し、市場での認知度を高めてまいります。並行して新製品、新技術の開発からリリースまでの時間を短縮し、技術、品質、性能の各面で顧客の期待を超えるサービスを提供してまいります。

(2)新製品・新技術開発の加速

 当社グループは、創業以来培ってきた精密加工、精密成形、光学技術のコアテクノロジーを活用して、情報通信、自動車、医療・バイオ等の成長市場に向けて商品やサービスを提供しています。中期経営計画『マスタープラン2022』の中では、2026年度末の連結売上高に占める新製品比率を30%以上とする計画を定め、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。

 当社グループは、提供する商品やサービスは、顧客の成長を支援し、社会の維持継続や進歩発展に貢献するものでなければならないと考えています。過去には光ディスク成形用金型や光コネクタ研磨機といった、まだ世の中に存在していない新しい技術や製品を開発し、CDやDVD等の光ディスクの普及や、光通信によるインターネット環境の構築に貢献してまいりました。当社が株式会社東海理化様と共同で開発した「型内塗装技術」は、塗装工程を金型内で行うことにより成形品の生産効率を向上し、生産過程で排出する温室効果ガスを約60%削減することができる画期的な技術です。2025年4月、この「型内塗装技術」により成形したステアリングスイッチ構成部品が、トヨタ自動車株式会社様のハイエースに初めて採用されました。新製品・新技術開発を担う技術員は、社会の維持継続や進歩発展に寄与する製品開発を行うために、常に技術力を研鑽するとともに、顧客とのコミュニケーションを通して市場の情報を捉え、その製品開発が社会に役立つ姿を検証しています。

 市場にリリースする商品やサービスが社会に大きく貢献するためには、タイミングが極めて重要です。ニーズが成熟し、市場に他社の類似製品が出た後でリリースすることになれば、社会への貢献は限定的な範囲に留まることとなってしまいます。そのため当社グループは、新製品や新技術の各開発案件のターゲットとなる市場や顧客、想定される業績インパクト等、各開発案件の目的とその進捗状況をグループ内で共有しております。開発担当者の意識向上を促しながら、社会に必要とされる最適なタイミングで市場にリリースできるよう、新製品や新技術の開発マネジメントの強化に取り組んでおります。

 また当社は、2024年度末時点で国内外に169件の特許を保有しています。特許は他社との差別化を図り、技術的な優位性を担保するうえで重要なツールです。一方、技術内容によっては特許として公開せず、社内にノウハウとして留めておく方が効果的な場合もあります。当社は、2026年度末時点の特許登録件数を2021年度末から30%以上増加させることを目指し、ノウハウとして秘匿する技術情報を戦略的に判断しながら、競合する企業に対して技術的な優位性を確立していく考えです。

(3)ものづくり力の強化

 当社グループは、これまで、自動車向けの部品や金型、光コネクタ研磨機等は主に日本で生産し、光コネクタは主に中国で生産しておりました。近年、資源価格や材料価格、人件費の高騰が続いており、製造原価の低減が重要な経営課題となっています。

 当社グループでは、十分な収益を確保しながら競争力のある売価を設定できるよう、生産工程の機械化による生産効率の向上に取り組んでいます。当社は、国内子会社の不二電子工業株式会社との共同プロジェクトを2018年に立ち上げ、車載用成形品のバリ取り工程や検査工程の自動機を当社が開発し、不二電子工業に供給してまいりました。今後はAIの活用やIoTの導入も視野に、さらなる生産効率の向上を図っていく計画です。さらに、データセンター向けの光コネクタ「Intelli-Cross Pro」の組立から検査、梱包までを一貫して行う自動組立装置も社内で開発しました。この自動組立装置を用いて日本での量産を開始しており、生産効率の向上と供給体制の多様化を進めています。現在は、一昨年にタイ王国に新設した子会社SEIKOH GIKEN (THAILAND) Co., Ltd.においても光コネクタの量産試作を開始しています。BCPの観点からも、コスト競争力のある高品質な製品を、複数の生産拠点から供給できる体制の構築に取り組んでおります。

 また当社は、2024年10月に、宮城県に本社を置く株式会社エムジーを連結子会社化いたしました。同社は1970 年の創業以来、射出成形に関わる高度で多様な技術を獲得し、自動車や文具、医療等の市場に向けてプラスチック成形品やプラスチックマグネット成形品を供給しております。同社の秀でた射出成形技術と自動成形技術を当社グループ内に取り込むことで、より幅広い産業領域に向けて高品質で多様な成形品を供給していくことが可能になると考えております。

 当連結会計年度には、当社グループの一部の製品に対する需要が急増し、受注から出荷までのリードタイムが通常の2倍から3倍程度に延びる事態が生じました。当社では、複数の事業部門間の需給状況の変化に応じて柔軟な人員体制を組めるよう、従来から製造部門を事業部門から切り離し、独立した組織としております。当連結会計年度においても、社内人員を当該製品の生産ラインに振り向けたほか、部材の調達先を新たに開拓して生産キャパシティを拡大し、リードタイムの短縮に努めました。今後も「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の最適なバランスを実現することで顧客から最も頼られる存在となれるよう、引き続き取り組んでまいります。

(4)経営基盤の強化

 永続的な企業価値の成長を実現し、真に社会に必要とされる企業となるためには、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各側面のサステナビリティ活動を通して経営基盤を強化することが重要と考えています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループ全体のサステナビリティ活動を統括する組織として、社長直轄の「サステナビリティ推進室」を設置しております。

 環境面においては、『マスタープラン2022』の最終年度となる2026年度に、自社排出量を2020年度比17%削減することを目指し、温室効果ガスの排出削減に取り組んでおります。当連結会計年度においては、社用車の一部を電気自動車に切り替えたほか、引き続き社内の空調設備やLED照明の更新を行いました。当社が本社を構える千葉県松戸市からは、脱炭素に向けた取り組みを率先して行っている事業者として、2022年12月に「まつど脱炭素社会推進事業所登録制度」の登録を受けています。さらに2023年12月には、松戸市独自のSDGs宣言制度「まつどSDGsキャラバンメンバーシップ制度」に認定・登録されております。

 社会面においては、多様な人材が健康に活き活きと働ける環境づくりを目指して、2022年10月に「健康企業宣言」を行いました。当連結会計年度は、ウォーキングイベントを実施したほか、新たに当社オリジナルの「ポイント制度」を導入しました。この「ポイント制度」は、社員自身の健康的なアクションに対する「健康ポイント」と、社員同士が日々の些細な感謝の気持ちを相手に贈る「サンクスポイント」で構成されており、健康増進と社内コミュニケーションの活性化を目的としています。2024年9月には、厚生労働省より子育てサポート企業として認定を受け、「くるみん認定」を取得しました。本年3月には、前年に引き続き、経済産業省と日本健康会議が顕彰する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定されております。

 企業統治面においては、2016年に監査等委員会設置会社へと移行しました。当連結会計年度末現在、10名の取締役のうち4名の独立社外役員を選任しており、取締役会の監視機能の強化を図っております。また、当社グループの中長期的な業績や株式価値と、取締役報酬との連動性を明確にする目的で、2016年に取締役に対して業績連動型株式報酬制度を導入しております。昨年6月に開催された第52回定時株主総会では23期ぶりに代表取締役が改選となったほか、3名の取締役が新たに選任され、経営体制の刷新を図りました。

 当社グループは、中期経営計画『マスタープラン2022』で明確化した方針と施策を遂行することにより、成長の土台となる経営基盤を一層強化し、より幅広い産業領域において永続的に社会の発展に貢献する企業グループとなるべく、引き続き努力してまいります。

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