企業第一工業製薬東証プライム:4461】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した6つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

⑥健康食品及び食品/医薬品/化成品等の受託事業を中心とする『ライフサイエンス』

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

(2)経営戦略等

 中期経営計画「FELIZ 115」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでいます。

①地政学リスク等の外部環境、注力分野の各市況、主要顧客の販売状況等を鑑みて、最終年度2025年3月期は売上高700億円、営業利益45億円(営業利益率6.4%)に修正します。本計画策定時に想定した2030年3月期の目標売上高1,350億円、営業利益180億円(営業利益率13.3%)は見直し、売上高1,000億円、営業利益100億円(営業利益率10.0%)として総資産回転率1.0回をめざします。

②計画的設備投資の結果である総資産を最大活用し、アクチャルの質的充実、ネクストの拡大増強、ドリームの開発・育成を図ります。製品別管理と並行して、顧客別のマーケティングを強化します。

③営業、研究、生産、管理の本部制を敷き、経営資源の最適配分を行います。貢献に報いる業績評価体系により、社員幸福度経営を実践します。企業を取り巻く4つのステークホルダーの期待に応え、企業価値を高めます。

 当社は、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に4年連続で選定されました。従業員の健康を維持・増進することで会社の生産性向上を、ひいては企業価値の向上をめざします。この取り組みは、担当役員の出席する委員会、会議において結果の報告とそれに基づき策定された計画の承認を得ています。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020年4月からスタートした中期経営計画「FELIZ 115」は、計画2年でアクチャル(既存)事業の不採算事業の整理などを推し進め、事業ポートフォリオを再確認しました。計画3年目からは、四日市霞工場を主に展開するネクスト(既存から派生した周辺)事業の成長ならびにライフサイエンスを軸としたドリーム(新規)事業を育成し、企業の成長を加速する計画でした。

 ところが、新型コロナウイルスまん延による経済の停滞、ロシアのウクライナ侵攻を発端とした原材料、エネルギーコストの上昇等、想定を上回る事態が発生し、2023年3月期は、当社の収益構造に大きな打撃を与える結果となりました。

 収益悪化の大きな要因は以下の3点と考えています。①原材料価格上昇分の転嫁遅れ、②注力分野(電子・情報など)を中心とした市況悪化ならびに主要顧客の需要低迷による販売数量減少、③②に起因した工場稼働率低下による工費アップです。

 今期は、売上高680億円、営業利益25億円を業績目標値として既に情報開示しています。当初掲げていた本計画最終年度2025年3月期売上高850億円、営業利益100億円(営業利益率11.7%)から現状が大きく乖離するため、最終年度の修正が必要との判断に至りました。

①連結売上高    700億円

②連結営業利益    45億円

③連結営業利益率   6.4%

④総資産回転率    0.88回

⑤設備投資額    144億円(5年累計)

⑥ROE         7.3%

 なお資本コストや株価を意識した経営については以下のとおりです。

(現状認識)

 当社における純資産倍率PBRとの相関関係が強いと想定されるROEは、2023年3月期に△1.1%となりました。それが影響して、PBRは1倍を下回っております。

 前5年計画期は最高益を更新しROEは10%強を記録していました。現計画作成時では、足元再確認のため初年、二年度は慎重な計画値としていた中、コロナウイルス禍での実績ROEは2021年3月期で7.7%、2022年3月期で7.0%でした。想定外の軍事侵攻で計画の前提が大きく崩れたのが、2023年3月期です。前々経営計画からROIC≧WACCを方針にしており、PBRを念頭においた施策として新工場用地確保、成長分野投資を前5年計画に実施しておりました。

(対応方針と施策)

 この10年間に総資産回転率を意識し、固定資産の内容を転換、充実、拡大いたしました。結果、総資産は20年前の2倍以上となりました。コロナウイルスの第5分類移行に合わせ、経済循環は好転の気配です。

 業績回復と向上のために、7つの具体的施策を実行いたします。

①原料高を吸収する価格転嫁、②既存品販売数量を増加する営業展開、③固定費を吸収する工場稼働率6%アップ、④ライフサイエンス事業の2025年3月期までの黒字化、⑤研究開発スピードの加速、⑥ESG・サステナビリティ(存続)目標の具体化、⑦ステークホルダーとの対話

 上記施策を講じることでPBRを向上させてまいります。

(4)経営環境

 当連結会計年度である第159期は、新型コロナウイルス感染症流行の長期化、原材料価格の高騰、半導体ショックの継続に加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による市況悪化に伴い、価格転嫁、高付加価値製品拡販、経費削減に注力しましたが、大幅な収益低下を招きました。中でも、主要新5工場の稼働率が計画の半分に落ち込んでいます。

 このような状況を打破するため、5カ年経営計画「FELIZ 115」の第四年度である第160期は、喫緊の経営課題である「原材料及びエネルギーコスト上昇分の価格転嫁」、「セグメント管理の強化」、「不採算事業の見直し」、「経営資源の再配分」、「業績評価・報酬体系の再構築」などに取り組み、経営基盤の強化を図ります。さらには、業績回復に資する開発テーマの早期実現とライフサイエンス事業の実績化を図り、グループ一丸となって収益改善に努めます。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。

 第一に、高騰が続く原材料価格への対応です。不安定な状況下でも事業運営に不可欠な原料を確実に確保できるように原料調達プロセスならびにサプライチェーンを見直します。原材料、エネルギーコストの値上がりは販売価格に反映させ、利益を確保します。地政学リスクを慎重に見極めながら、企業としてできることを確実に実行してまいります。

 第二に、経営資源最適化の加速です。2023年4月には、経営と執行の分離を掲げ、最高責任者の経営執行についての答申及び補佐、調査・企画・立案・推進を担う戦略統括部を新設しました。ここで、中長期経営計画の策定管理、事業ポートフォリオの検証と見直し、事業戦略の企画・立案・進捗管理、M&A、協業、事業提携、マーケティング及び情報収集により、素早く事業の方向性を決定し、既存事業の拡大と新規事業の拡充を加速させます。

 第三に、先行投資した事業収益の早期刈り取りと次期投資の絞り込みです。三重県四日市市に投資したプラントは、フル稼働の状態になれば5カ年経営計画「FELIZ 115」の目標値を実現する可能性が高まります。パートナー企業との連携を強化し、早期の投資回収を実現します。

 2023年4月、ライフサイエンス事業の機動力を強化するため、「ライフサイエンス本部」を設置しました。今年2月には、カイコハナサナギタケ冬虫夏草に含まれる「ナトリード」を機能性関与成分とする機能性表示食品「快脳冬虫夏草」の届出が完了しました。今夏発売を予定しています。「ナトリード」には、中高年の方の認知機能の一部である視覚的な記憶力、認知機能速度を維持するのに役立つ機能が報告されています。本計画最終年度には、①「快脳冬虫夏草」の販売を中心とするBtoC、②カイコ冬虫夏草粉末やスダチ果皮エキスなど素材販売を狙ったBtoB、③グループ会社である池田薬草の受託事業拡大などにより、ライフサイエンス事業の黒字化に目途を立てる予定です。

 5カ年経営計画「FELIZ 115」で掲げた最終年度の目標を、連結売上高700億円、営業利益45億円へ修正しました。当初、①原料高、②金利上昇、③経済悪化の発生は、ある程度想定した上で計画を組んでいました。最初の2年間は足元を見つめ、3年目から事業拡大するシナリオです。ロシアによるウクライナ軍事侵攻が想定外であり、計画3年目で定量目標完遂の前提条件が崩れました。これに起因する原材料高騰、マーケットの沈滞で未曽有の業績悪化となりました。一方では、取り組んだ成長投資の課題が判明し、腰を据え未来を考える良い契機と受け止めています。

 まずは、営業力強化と共に価格転嫁を集中的に進めます。電子・情報分野、環境・エネルギー分野を中心とした研究開発のテーマを優先性と収益性で絞り込み、経営資源を集中し収益確保に努めます。

 株主の皆様にはご理解と変わらぬご支援ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

 に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

 的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

 見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

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