企業兼大株主石油資源開発東証プライム:1662】「鉱業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本経営方針

 当社グループは、1955年の創業以来、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産・販売を中心事業とする企業として、埋蔵量の確保と生産の拡大を図ることを通じて我が国のエネルギーの供給に貢献することを使命に、石油・天然ガスの発見を重ねながら現在の経営基盤を確立してまいりました。

 供給規模の拡大に伴い、安定供給に対する当社グループの社会的責任は益々増加するとともに、世界的な脱炭素化の進展による不可逆的なエネルギー需給構造等の変化を踏まえた新たなビジネスモデルの構築が極めて重要となることから、当社は、経営環境の変化に対応しながら市場競争力を持った企業として発展することを目指し、次のとおり当社企業グループの経営理念を掲げております。

「私たちは、エネルギーの安定供給を通じた社会貢献を使命とするとともに、持続可能な開発目標の実現に向けた社会的課題の解決に取り組みます。」

・国内外において、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産・販売に取り組みます。

・当社国内インフラ基盤を活用したガスサプライチェーンを、電力供給を加えてさらに強化します。

・当社の技術と知見を活かした新技術開発とその事業化を通じて、エネルギーや気候変動に係る持続可能な社会への課題解決に貢献します。

・すべてのステークホルダーとの信頼を最優先とし、企業としての持続的な発展と企業価値の最大化を図ります。

(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

 当社は、世界的な脱炭素化の進展による不可逆的なエネルギー需要構造等の変化を踏まえ、2021年5月に、カーボンニュートラル社会実現に向けて当社が果たすべき責務と今後の事業展開の方向性を整理した「JAPEX2050」を策定・公表しました。

 また、収益力強化と2030年以降を見据えた事業基盤の構築を基本方針とする「JAPEX経営計画2022-2030」を2022年3月に策定・公表しました。

「JAPEX2050」及び「JAPEX経営計画2022-2030」の要旨は以下のとおりです。

[JAPEX2050]

1) GHG排出削減目標

①自社操業の排出量(Scope1+Scope2)の「2050年ネットゼロ」実現

 第1段階として、当社操業のCO2排出原単位を2030年度までに、2019年度比で40%削減します。

(注)Scope1:事業者又は家庭が所有又は管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出

Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

②自社サプライチェーン排出量(Scope3)の削減に寄与する事業領域の強化

CO2実質排出量削減を目指し、新たな技術の確立や環境負荷の低いエネルギー供給で貢献します。

(注)Scope3:Scope2を除くサプライチェーンの間接排出

2) カーボンニュートラル社会実現に向け注力する取り組み

①CO2圧入・貯留技術を核としたネットゼロ達成へ貢献する分野の事業化

 国内トップランナーとして、CCS/CCUSの早期の実用化と事業化を目指します。

・実施候補地点(深部塩水層)の調査・選定、圧入坑井の掘削、貯留したCO2のモニタリング等で、石油・天然ガスE&Pで培った当社の強みを最大限に活用

(注)深部塩水層:飲料に適さない古海水(塩水)を含んだ地下深部の砂岩層等のこと。石油・天然ガスの貯留層と比較し地理的分布が広く、CO2貯留の可能性が期待される

・分離・回収されたCO2の輸送に関しては、天然ガス・LNG(液化天然ガス)供給に関する経験や知見を活用し貢献

CCS/CCUSとの連携が期待できる、カーボンニュートラルに関する協業や参入を目指します。

・BECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage:CCS付きバイオマス発電)、CCS付き天然ガス火力発電所等を想定

・ブルー水素や、メタネーション等のカーボンリサイクル分野への参入を視野

②再生可能エネルギープロジェクトの参画拡大

 従来事業の知見や経験を活かしながら、当社が参画する再生可能エネルギープロジェクトの拡大を目指していきます。

・特に、天然ガス発電の経験を活用できるバイオマスや、E&Pの知見との親和性が高い洋上風力を中心に、候補案件の拡大を含む事業化検討を推進

③石油・天然ガスの安定供給

 石油・天然ガスは今後も世界の主要なエネルギーの一つであるという認識のもと、当社はその需要に引き続き応えていきます。

「石油・天然ガスからの完全な脱却」ではなく、CCS/CCUS等脱炭素技術の併用による「カーボンニュートラル社会」の実現を、総合エネルギー企業として目指していきます。

・天然ガス開発プロジェクトへの参画と、参画プロジェクトへのCCS/CCUS導入検討

・石炭や重油からの燃料転換需要に対応する、天然ガス・LNGの多様な供給方式の横展開

[JAPEX経営計画2022-2030]

1) 基本方針

 収益力の強化と、2030年以降を見据えた事業基盤の構築

 ・E&P分野、インフラ・ユーティリティ分野、カーボンニュートラル分野における重点項目の推進を通じて、資本コストに見合う利益水準の達成と株主還元の強化を実現

2) 経営目標

①定量目標

・事業利益:2026年度に300億円、2030年度に500億円

・ROE:2026年度に5%、2030年度に8%

・利益構成(E&P分野:E&P以外の分野):2026年度に6:4、2030年度に5:5

 (注)事業利益:各分野の営業利益および持分法投資利益等(投資事業有限責任組合契約や匿名組合契約にもとづき分配される利益を含む)の合計から、本社管理費等の約60億円を減じた値。原油価格想定はJCC50USD/bbl。

②カーボンニュートラル関連目標

・2030年度までに当社既存国内油ガス田等を活用したハブ&クラスター型CCS/CCUSモデル事業を立ち上げ

・2030年度までに自社操業におけるGHG排出原単位を2019年度比40%削減

3) 資金配分

・キャッシュイン5,000億円のうち、4,500億円を成長投資に、500億円を株主還元に配分

4)分野別事業利益目標と重点項目

①E&P分野

 早期の収益規模拡大へ貢献しつつ、低炭素化へも対応

・事業利益目標:2026年度に230億円、2030年度に270億円

・重点項目

 国内:既存油ガス田における石油・天然ガスの安定生産、既存油ガス田および周辺の追加開発、

 油ガス生産操業拠点のGHG排出量削減対応

 海外:既存プロジェクトの着実な遂行、新規権益取得

②インフラ・ユーティリティ分野

 油価変動等の外部環境の変化に耐えうる事業構造への移行

・事業利益目標:2026年度に120億円、2030年度に270億円

・重点項目

 国内:ガス供給量の維持・拡大、FGP発電所の安定運転継続、再生可能エネルギー開発中案件の

 着実な進捗と参入案件追加

 海外:LNG供給インフラ開発案件への参入、再生可能エネルギー参入検討

(注)FGP:福島天然ガス発電所を運営する、福島ガス発電株式会社(当社33%出資)の略

③カーボンニュートラル分野

2050年カーボンニュートラル社会への円滑な移行に貢献

・事業利益目標:2026年度に10億円、2030年度に20億円

・重点項目

 国内:既存油ガス田等を活用したハブ&クラスター型CCS/CCUSモデル事業立ち上げ等

 海外:CCS先進地域での案件参入、新興国におけるCCS/CCUS実現可能性調査への参加

5) 株主還元

2023年3月期中間・期末配当から、連結配当性向30%を目安に各期の業績に応じた配当を行うことを基本方針としつつ、事業環境の変化等により一時的に業績が悪化した場合でも、一株当たり年間50円配当の維持に努めます。(ただし、特別損益等の特殊要因により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業年度については、その影響を考慮し配当額を決定します。)

 上記を踏まえ、2023年度には、持続的な成長と中長期的な企業価値向上への取り組みを加速するために以下の整理を行いました。

・ROEは東証プライム平均値を上回る水準で推移していることから、PBR1倍未達の主たる要因は平均を下回るPERにあると分析

・低PERの原因として、脱炭素社会に向けた石油・天然ガス事業の持続可能性や、原油・天然ガス価格のボラティリティ等の構造的要因に加え、当社の企業価値向上に向けた取り組みに対する理解・信認が得られていないことも一因と認識

・企業価値向上に向けた今後の方針を「資本効率にこだわった投資」「株主還元の充実」「継続的なステークホルダーとの対話」の3点に整理

 当社は、「JAPEX2050」及び「JAPEX経営計画2022-2030」の着実な遂行により、2050年カーボンニュートラル社会実現への貢献と、総合エネルギー企業としての成長と企業価値のさらなる向上を引き続き目指してまいります。

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