企業生化学工業東証プライム:4548】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)経営の基本方針

 当社は、「独創 公正 夢と情熱」を経営綱領のモットーとして掲げ、糖質科学の知見を活かした、独創的な医薬品等を継続して創製し、患者の方々に提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献することを基本方針としています。これにより、医療を含む社会の持続的な発展に寄与するとともに、当社の持続的成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。また、製薬企業としての社会的使命及び責任を深く自覚し、高い倫理観のもと法令等の遵守を徹底するほか、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、株主をはじめとするステークホルダーの皆さまとの信頼関係の強化に努めてまいります。

(2)目標とする経営指標

 中期経営計画(2023年3月期~2026年3月期)の最終年度である2026年3月期の数値目標は、以下のとおりです。

 

2022年3月期実績

2026年3月期目標

売上高

348億円

400億円

営業利益

44億円

70億円

<前提条件>

① 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国上市

② 国内関節機能改善剤の収益拡大

③ 海外医薬品及びLAL事業の拡大

④ 研究開発費は対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途

⑤ 為替レート:対米ドル135円

(3)経営環境及び中長期的な経営戦略と対処すべき課題

≪経営環境≫

 医薬品産業を取り巻く経営環境は、国内薬価制度の抜本改革をはじめとした医療費抑制策の進展や、治療選択肢の多様化等に伴う企業間競争の激化に加え、新薬開発の難易度が高まるなか研究開発コストが増大するなど、極めて厳しい状況が継続しています。当社が持続的に成長軌道を描くためには、このように環境変化が激しい時代への柔軟な対応が必要となります。また、社会の持続的発展と企業価値向上に向け、サステナビリティ推進をはじめとした社会的責任を果たすことの重要性が高まり、それらへの対応が急務となっています。

≪直近の市場環境≫

 当社の主力製品である関節機能改善剤の国内市場は、高齢者人口の増加があるものの、外用薬や内服薬の処方拡大に加え、薬価引き下げの影響等により、金額ベースでの市場が縮小しています。一方で、競合品の販売終了や限定出荷により、当社製品の需要が高まる傾向が見られています。米国市場においては、2022年7月に行われた保険償還制度変更の影響により、不透明な状況が継続しています。

≪本中期経営計画(2023年3月期~2026年3月期)の概要≫

Ⅰ. 本中期経営計画策定の背景

 当社は、2023年3月期からの4ヵ年を「成長を実現する期間」として定め、本中期経営計画を策定いたしました。前中期経営計画期間に強化した基盤のもと各重点施策を推し進めることで、持続的に成長軌道を描くための実力を養い、最終年度には過去最高の業績達成を目指します。

Ⅱ. 重点施策

 当社が持続的に成長軌道を描くための実力を養うべく、次の5つの重点施策に取り組みます。

① 独自の創薬技術を活かした研究開発の加速

 当社が保有するGAGに関する基盤技術を応用展開することで、既存領域における新規開発テーマや新規疾患領域を含む革新的な研究テーマの創出に注力し、アンメットメディカルニーズを中心とした患者の方々が真に必要とする新薬の創製を目指します。また、これらの成功確度を高め、早期進捗を図るために各種アライアンスを推進します。同時に既存パイプラインを着実に進展させ、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市、ドライアイ治療剤SI-614の米国第Ⅲ相臨床試験の終了、癒着防止材SI-449の国内承認取得及び米国での臨床試験開始を目指します。

 *GAG:グリコサミノグリカン。複合糖質の構成成分のひとつ(ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等)。

② 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の製品価値最大化

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国における承認取得及び上市を実現するために、カナダに設立したセイカガク ノース アメリカ コーポレーションを最大限に活用し迅速かつ確実な承認申請、審査対応を行います。また、販売提携先との密な連携のもと販売準備を進め、医療現場への早期浸透による製品価値の最大化を図ります。

③ 関節機能改善剤の事業価値維持・向上

 主力である国内関節機能改善剤市場において当社製品のプレゼンスを強化し、経営を支える基盤製品としての事業性の維持・向上に努めます。国内医薬品は薬価引き下げの影響を大きく受けることから、原価構造の改善が不可欠であり、安定供給継続のためにも製品資材の仕様変更や製造工程の効率化等をさらに進めてまいります。また、関節機能改善剤ジョイクルの安全性情報等の収集及び提供を継続するとともに、臨床研究の結果をもとに適切な処方への貢献を目指してまいります。

グローバル生産体制の構築

 海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インク(カナダ、トロント)と当社高萩工場(日本、茨城県)の2拠点化を図ることで、適切かつ効率的な製造体制のもと安定供給のさらなる強化を図ります。

遺伝子組換え技術によるLAL事業の拡大

 海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクとの連携のもと、遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンを活用し信頼できる科学的データの蓄積や遺伝子組換え技術を活かした新たな診断薬の開発促進に取り組むとともに、関連企業との協働による測定機器やソフトウエアの開発・改良などを行うことで、新たな価値の創造を目指します。

 また、上記の5つの重点施策を実行するうえで、社員エンゲージメントの向上や組織強化・人材育成は経営の基盤となる重要な要素となります。事業の中核である人材の育成や、成長を促進する環境を醸成するための投資を積極化させ、持続的な成長を実現するための基盤強化・改善を図っていきます。

Ⅲ.サステナビリティ

 当社は、社会の持続的発展と企業価値向上に向けて、優先的に取り組むべき重要課題として6つのマテリアリティを特定しています。新中期経営計画の重点施策のベースとなるこれらのマテリアリティに引き続き注力し、医療関連事業の発展に加え、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化するとともに、サプライチェーンやステークホルダーの皆さまとの十分なコミュニケーションによる、社会的課題の解決を目指します。

≪中期経営計画の進捗状況(2023年3月期)≫

2023年3月期における中期経営計画の進捗状況は以下のとおりです。

1つ目の重点施策である「独自の創薬技術を活かした研究開発の加速」については、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の米国第Ⅲ相臨床試験の追加試験において2023年3月に経過観察が終了し、同年5月に主要評価項目において統計学的に有意な改善結果を示すトップライン結果を取得しました。また、2022年9月に癒着防止材SI-449の国内ピボタル試験において、2023年2月にはドライアイ治療剤SI-614の米国第Ⅲ相臨床試験における被験者組み入れがそれぞれ完了し、着実にパイプラインが進展しました。引き続き、各パイプラインにおいて掲げた目標の達成を目指してまいります。

2つ目の「腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の製品価値最大化」では、前述の臨床試験の実施と並行し、カナダのセイカガク ノース アメリカ コーポレーションを活用しつつFDA(米国食品医薬品局)との円滑なコミュニケーションを図ることで、承認取得の加速を目指します。

3つ目に掲げた「関節機能改善剤の事業価値維持・向上」の取り組みとして、関節機能改善剤アルツの安定供給維持に向けた増産体制の構築や、原価構造改善を目的とした製品資材の仕様変更を早期に実現するべく対応を進めています。なお、関節機能改善剤ジョイクルについては、安全性情報等の収集及び提供を継続するとともに、早期の原因究明に向けた臨床研究を実施しています。

4つ目の「グローバル生産体制の構築」においては、カナダの海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクでの製造体制構築に向けた検討を進めており、高萩工場との2拠点化を目指し整備を行っています。

5つ目にあげた「遺伝子組換え技術によるLAL事業の拡大」では、遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンに関する科学データの蓄積を継続するとともに、海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクと共著で論文化を行うなど市場浸透に向けた取り組みを実施しています。また、グルカン測定体外診断用医薬品については販売国の拡大及び病院市場へのさらなる新規展開の加速を目指してまいります。

2023年3月期は、各重点施策において概ね計画通りに進捗しました。引き続き、中期経営計画最終年度に掲げた目標の達成に向け、当社が持続的に成長軌道を描くための実力を養うべく、それぞれの重点施策に鋭意取り組んでまいります。

 また、サステナビリティに関する取り組みについても重要な課題として認識しており、2021年に策定したサステナビリティ基本方針及び6つのマテリアリティを基軸とした実効的な施策の立案・実施や、子会社への適用範囲拡大等を行ってまいりました。2023年1月にはサプライヤーと協働して持続可能な原材料調達及び商品の安定供給を実践することで社会課題の解決を目指すべく、サプライチェーンマネジメント部を新設しました。環境問題については、CO2排出削減目標を上方修正し、その達成に向けた施策を進めています。これらに加え、人権の尊重、従業員の労働環境への配慮、取引先との公正・適正な取引、コーポレート・ガバナンスの強化などサステナビリティに関する課題への取り組みを促進するとともに、ステークホルダーの皆さまとの十分なコミュニケーションのために、積極的な情報開示を図ってまいります。

PR
検索