琉球銀行
【東証プライム:8399】「銀行業」
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企業概要
(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
当行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念に基づき、変わらぬ価値観である「職業倫理と高度の専門性を身につけるよう努めるとともに、真にお客様にとって必要とされる商品、サービスを提供し、お客様の最善の利益を追求する」という顧客本位の業務運営を目指します。
②経営環境
2024年度の国内経済は、2年連続での賃上げや堅調な夏季・冬季賞与の効果などにより、賃金・所得環境が改善し、個人消費を押し上げました。くわえて、製造業をはじめ、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大なども寄与し、企業部門も堅調に推移したことから、経済全体として回復基調が一段と明確になりました。日本銀行はこうした動きから、物価の安定化を図る目的で2024年度は2度にわたり追加の利上げを実施しています。引き続き追加利上げが実施されるとの見方はあるものの、米国の関税政策による世界経済全体の減速も懸念され、政策の不透明感も影響し、国内経済の成長ペースは鈍化するとされ、時期は後遅れする可能性もあります。米国の関税政策による影響等について今後の情勢に注視が必要です。
沖縄県経済は、底堅い消費マインドと堅調な観光需要に支えられ、緩やかな拡大が続きました。消費関連は、物価上昇が継続するなかでも県民の消費意欲が高く、インバウンド需要もあり、回復の動きが強まりました。建設関連では、防衛関連工事などの公共工事が底堅く推移し、ホテルなどの大型民間工事も見られるほか、手持ち工事額も高止まりで推移しており、回復の動きが強まっています。観光関連では、為替動向の影響もあり国内外から観光需要が高まり、入域観光客数は2018年度に次ぐ過去2番目の多さとなりました。日銀短観(3月調査)では、旺盛な観光需要を中心に県内全体で良好な業況が続くと判断している一方、人手不足やコスト上昇などの課題が指摘されています。また、米国の関税政策によって景気減速した場合、沖縄県内においては主に観光業への影響が生じるとみられています。
③対処すべき課題
当行を取り巻く経営環境は、日本銀行の金融政策の正常化に向けた動きにより「金利ある世界」が到来したことに加え、アメリカを中心に世界経済の不確実性が高まったことで、大きく変化しております。このような変化に対応するために、前中期経営計画「Value 2023」を1年前倒しで終了し、2025年度より新たな中期経営計画「Empower 2025」をスタートさせました。沖縄県の魅力ある環境を大きな成長ポテンシャルと捉え、さらに多様な取り組みで県経済の活性化に貢献することで、当行の長期ビジョン「地域経済の好循環サイクルを実現し、地域とともに成長する金融グループ」を実現してまいります。そのためにも、「人こそすべてである」をモットーに人的資本投資を継続し、高い専門性を持った個が強い組織を作ってまいります。
このような考えのもと、以下の重点戦略を推し進めてまいります。
(ア)預貸金・有価証券運用の強化
お客さまとの深度ある対話を通じた長期リレーションの構築に努めてまいります。今年度スタートする新営業支援システムCAFU(琉球銀行と琉球銀行のお客様の「幸せ(沖縄の方言で『かふう』)」に寄与するシステムの意味)をもとに、ライフイベントや事業イベントに適した提案力の向上と、りゅうぎんアプリなどのデジタルを活用した適時適切なアプローチを実践することで、当行をメイン口座とするりゅうぎんファンを増やしてまいります。結果、安定的な預金調達を可能とし、最適なアセットで運用を行うことで収益基盤の拡充を図ります。そのためにマーケット分析を行い、資金需要や成長が期待できる地域・業種には積極的に人材を投入してまいります。有価証券運用では、国債を中心としたベースポートフォリオと株式等を中心とした収益ポートフォリオを構築し、市場リスク管理の高度化を図りながら、中長期的に安定した収益の確保を目指してまいります。
(イ)地域課題解決の先導
ESG経営の実践を通して、沖縄県の自然環境の保護をはじめとした持続的な地域社会の実現に貢献してまいります。産官学金の連携による省エネ・再エネの普及など沖縄県のカーボンニュートラルをけん引する取り組みや、J-クレジット制度をさらに活用した環境活動および事業活動を強化してまいります。また、事業者との脱炭素化に向けた対話を行いながら、温室効果ガス排出量の算定ツールの無償提供や省エネ診断サービスの紹介など、事業者ごとに効果的な対策やサステナブルファイナンス等の提案を行ってまいります。
さらに当行の強みとする個人・法人コンサルティング業務では、引き続き専門的な知見を用いて「お客さま視点」で最適・最善な提案を積み重ねてまいります。アプリなどの非対面取引チャネルを活用することで「お客さまとの多様な接点」を生み出し、取引されたデータの蓄積とこれまで培ってきたコンサルティングスキルを用いて、質の高い金融サービスの提供に努めてまいります。また、キャッシュレス事業では、県内公共交通機関やリゾートホテル、大型観光施設など、決済システムの提供先をさらに拡大していくことで沖縄県の観光産業発展に側面から寄与してまいります。
新たな取り組みとして、県内発スタートアップ企業の創出やグローバル企業の呼び込みをサポートするためにインキュベーション施設を開設いたします。そのほか、台湾を中心とした海外進出支援や、りゅうぎん総合研究所による行政コンサルティングを通したまちづくり支援など、沖縄県の価値創造に向けた取り組みに積極的に挑戦してまいります。
(ウ)グループ連携とアライアンスの強化
2026年には当行の新本店ビルがオープンする予定です。同ビルに当行グループ会社が集約されることで、物理的な距離が縮まり、グループ内での人材交流がさらに活発化し、情報の共有化と適材適所の人員配置が実現されます。これにより、各社の持つ強みを活かしながらグループ全体の収益向上を図ってまいります。また、同ビルの上層には、所有不動産の有効活用と地域の活性化を目的にホテルが入居します。さらに、県外地方銀行との連携(アライアンス)を活かし、人材交流を図りながら専門的な知見や先進的な事例を取り込むことで当行の事業基盤を拡大してまいります。
(エ)人的資本投資の増強と最適化
沖縄県の成長に貢献するためには、役職員一人ひとりの専門性が必要です。そのために当行は人材への積極的な投資を継続し、自律的な学びと越境学習を支援する制度を充実させてまいります。複線型人事制度や希望分野へのチャレンジ制度の導入、研修・出向等の外部派遣の継続等により、視野が広く主体的に考動する人材を輩出してまいります。あわせて行内全体でデジタル分野の知見を高め、業務に活用することで人的余力を創出し、その余力で新規事業領域へ挑戦してまいります。
今後も経営戦略に沿った人材ポートフォリオの構築に努め、組織全体の最適化を図ってまいります。
先行き不確実性が高まる経済環境の中で、当行は「すべては沖縄のために」という考えのもと、地域・お客さまから頼りにされる存在であり続け、地域に寄り添い地域経済の成長や課題解決に向け貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画「Empower 2025」最終年度(2027年度)の目標
| 項目 | 2027年度 |
財務指標 | ① 親会社株主に帰属する当期純利益 | 90億円 |
② 単体コア業務純益 | 120億円 | |
③ 単体コアOHR | 70.0%以下 | |
④ 連結ROE | 5.5%以上 | |
⑤ 連結自己資本比率 | 10.0%程度 |
| 項目 | 2027年度 |
基本戦略指標 | ① サステナブルファイナンス実行額 | 3,000億円 |
② 沖縄県民のライフサポート件数 ※個人向けソリューション提案先数 (資産形成(NISA、住宅ローンなど)、資産承継のサポート) | 35,000件 | |
③ 県内スタートアップ企業創出数の伸長率 | 2023年比 1.5倍 | |
④ 入域観光客数 | 1,200万人 |
(注)目標とする経営指標に関する記述は、当行が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当行として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性がございます。
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