滋賀銀行
【東証プライム:8366】「銀行業」
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企業概要
当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当行グループは、創立90周年に際し、100周年、その先の未来に向けて、役職員が心を一つに歩み続けるために、2024年4月1日に「『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』で地域を幸せにする」とのパーパス(存在意義)を制定するとともに、理念等を体系的に整理いたしました。
パーパス(存在意義)のもと、伝統ある近江商人の商人道徳である「三方よし」の精神を継承した行是「自分にきびしく 人には親切 社会につくす」を活動の原点とし、経営理念に掲げた「地域社会」「役職員」 「地球環境」との「共存共栄」の実現に努めることを通じて、企業価値の向上に取り組んでおります。
(当行グループの理念体系)
(2) 中期経営計画
(長期戦略)
地域や当行グループをとりまく環境が大きな転換期を迎える中、「実現したい地域社会の姿:自分らしく未来を描き、誰もが幸せに暮らせる社会」を目指し、バックキャスティングで策定した今後5年間の実行戦略が第8次中期経営計画(期間5年間:2024年4月~2029年3月)であります。
(第8次中期経営計画の基本戦略)
当行グループのパーパス「『三方よし』で地域を幸せにする」のもと、2024年4月よりスタートした第8次中期経営計画では、お客さま・地域の持続可能な成長をデザインする「インパクトデザイン」、成長のための経営基盤の強化に取り組む「ベースforグロース」、人的資本の最大化を進める「ヒューマンファースト」の3つの基本戦略を掲げ、お客さまや地域の課題を解決し、「地域を幸せにする好循環」を生み出すべく日々の営業活動に取り組んでおります。
第8次中期経営計画の基本戦略、目標とする経営指標及び実績は下表のとおりであります。
(第8次中期経営計画の達成指標及び実績)
達成指標 | 2029年3月期 計画 | 2025年3月期 実績 | ||
サステナビリティ 達成指標 | インパクト デザイン | 地域の成長を支える投融資額 | (期間累計) 1兆2,000億円 | 2,086億円 |
お客さまの夢や事業をサポートする件数 | (期間累計) 30,000件 | 7,424件 | ||
地域や社会の持続可能性を高めるサステナブルファイナンス実行額 | (期間累計) 7,000億円 | 1,278億円 | ||
ベースfor グロース | 稼ぐ力の向上に向けた新たなファイナンス手法による投融資残高 | 7,500億円 | 4,255億円 | |
お客さま価値の創造と当行グループの業務変革につなげるDXへの取り組み | 定性評価 | (※1) | ||
カーボンニュートラル社会の実現に向けたGHG排出量削減 (Scope1、2) | ネットゼロの達成 | (※2) GHG排出量 3,922t-CO2 2024年3月期対比削減率2.2% | ||
ヒューマン ファースト | 人的資本最大化のための従業員エンゲージメント向上(肯定的割合) | 持続的向上 | エンゲージメントサーベイ 「肯定的割合」 前年比+2.8%(86.9%) | |
価値創造の主役として、地域の未来へ挑戦できる人材を育成するための投資額 | 2023年度対比倍増 従業員一人当たり30万円/年 | 従業員一人当たり 17.6万円/年 | ||
スキルアップやキャリア形成に向けて自律的に挑戦した人数 | (期間累計) 2,000名 | 657名 | ||
財務指標 | ROE(連結) | (※3)6%以上 | 4.00% |
長期的挑戦指標 | ROE(連結) | 8%以上 | 4.00% |
(※1)以下に示す(これまでの取り組み)<「ベースforグロース」~ 経営基盤の強化>に詳細を記載しております。
(※2)2025年3月末実績については2025年5月時点の速報値を記載しております。確定値については、第三者による検証を受けた後、Scope3
排出量とあわせて当行ホームページで公表いたします。
(※3)2025年5月9日の適時開示において、財務指標である連結ROEの2029年3月期計画を「5%以上」から「6%以上」に上方修正いたしま
した。
(これまでの取り組み)
<「インパクトデザイン」~ お客さま・地域の持続可能な成長をデザイン>
サステナブルな地域の成長を目指し、従来の金融の枠にとらわれず、付加価値の高い金融取引・コンサルティングの提供によるお客さまの課題解決、社会的課題の解決を通じた地域の発展・活性化、新規事業へのチャレンジによる新たな価値創造に取り組んでおります。
法人・事業者のお客さまへは、経営課題の深掘りと伴走型ソリューションの強化を図るべく、本部内に営業店を支援する「法人サポートチーム」、「事業承継コンサルティングチーム」を設置し、付加価値の高いファイナンスや販路開拓、人材確保、生産性向上等の課題解決に向けたコンサルティングの提供を行っております。なかでも事業承継という喫緊の社会的課題に対するサポートのため、2024年10月に投資専門子会社「しがぎんキャピタルパートナーズ」を設立し、2025年1月には「しがぎん事業承継ファンド」を立ち上げいたしました。
個人のお客さまへは、多様化する価値観やライフスタイルに寄り添った高い利便性の実現に向け、ご来店いただくことなく資産運用のご相談をいただける「金融商品リモート相談サービス」の提供を開始し、住宅ローン・ダイレクト型消費者ローンにおいても非対面受付の拡大などを進めております。また地域の皆さまの安定的な資産形成に資するため、県内大学や事業者と連携した金融経済教育を積極的に行っております。
当行がこれまで先駆的に取り組んできた環境分野においては、地域の脱炭素に向けた取り組みを加速させるべく、2024年4月にエネルギー事業会社「しがぎんエナジー」を設立し、エネルギーの地産地消に取り組んでおります。また、再生可能エネルギー分野向けファイナンスに充当する「グリーン預金」や、お客さまのESGの取り組みをサポートする「ESGローン~未来よしステップ~」など、裾野を広げる商品の取り扱いを開始いたしました。
引き続き地域課題の解決に注力し、インパクト(提供価値)の増大を目指してまいります。
<「ベースforグロース」~ 経営基盤の強化>
経営基盤の強化のためには安定収益の確保が必要であり、資本を有効に活用した収益の多様化に加え、データドリブン経営の実践、AI活用やDX化、店舗・チャネルの最適化等の経営インフラの強化に取り組んでおります。
ファイナンス戦略として、2021年6月に設置した「ファイナンス室」における投融資を拡大させ、新たなファイナンス手法への挑戦による収益の多様化と、ファイナンス業務の高度化に取り組んでおります。戦略領域としてオルタナティブ投資、海外市場型ローン、国内ストラクチャードファイナンスを中心として、分散投資による安定した収益確保を目指します。
データを用いた迅速な意思決定や戦略立案を目指し、2024年4月より「データドリブンプロジェクトチーム」を立ち上げ、データ利活用の深化を進めております。また、全職員が利用できる生成AIを導入し、AI活用の基盤づくりや業務効率化に取り組んでおります。
前中期経営計画期間中においては、店舗内店舗方式(ブランチ・イン・ブランチ)による店舗統合を進め、最適な店舗ネットワークを再構築いたしました。現在は、お客さまの付加価値と利便性を向上すべく、営業店窓口と本部専門スタッフをつなぐ「リモート窓口」の導入拡大など、多彩なチャネルの提供を進めております。
また、当行は各地域トップ地銀による広域連携である「TSUBASAアライアンス」に参加しており、今後も連携を強化し、ノウハウや知見を共有することで、当行単独では成しえない新たな価値を創出してまいります。
外部環境の変化に対応できる柔軟性や競争力を高めるべく、引き続き確固たる経営基盤の構築に取り組んでまいります。
<「ヒューマンファースト」~ 人的資本の最大化>
価値創造のドライバーである「人」にフォーカスをあて、人材育成と成長支援、「挑戦」と「称賛」の企業文化の醸成に取り組んでおります。
お客さま、地域の課題解決と自らのキャリアに挑戦する「Design人材」の育成に向け、若年層からマネジメント層まで幅広い年代を対象に、グロービス・マネジメント・スクール等の外部研修への派遣を拡大いたしました。加えて、多様な人材に活躍の場を提供するため、アルムナイネットワークの創設や、社内公募制度の拡充、中途採用の強化などにも取り組んでおり、引き続き人材育成投資を積極的に進める方針であります。
2024年度より「しがぎんヒューマンアワード」を創設いたしました。価値創造を支えるさまざまな「役割」、「行動」、「人材」に光をあて、互いの仕事や役割に関心をもち、尊重・称賛・認め合う意識づくりを行うことで、個性が輝く組織づくりと「挑戦」と「称賛」の企業文化の醸成を目指しております。
当行グループはパーパスのもと、職員一人ひとりが価値創造を実現し続ける組織を目指し、人的資本の最大化に挑戦してまいります。
(3) 経営環境
当年度における我が国の経済は、賃上げをはじめとした雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調となりました。
一方、企業における設備投資や個人消費は引き続き底堅く推移しているものの、海外景気の下振れや米国の政策動向など、先行きは依然として不透明な状況となっているほか、日本銀行による17年ぶりとなる政策金利の引き上げが実施されるなど、金融市場の動向にも注視が必要となっております。
当行グループのマザーマーケットである滋賀県の経済においては、持ち直しの動きが継続しております。半導体や自動車関連をはじめとした製造業の生産活動が回復し、雇用や設備投資の増加基調とともに、個人消費についても緩やかに持ち直しつつある状況となっております。
(4) 対処すべき課題
日本銀行による政策金利の引き上げにより、銀行業にとっては預貸金利ざやの改善などが期待される一方で、人口減少や少子高齢化、物価上昇、人手不足等の影響により、企業収益の悪化や個人消費の落ち込み、それに伴う地域経済の停滞が懸念されます。
技術革新や産業構造変化により、金融業界においても異業種参入による競合激化やDXへの対応など、大きな変革が求められており、プライム市場に上場する企業として株主資本コストを意識した取り組みも重要になっております。
当行グループは、こうした状況を踏まえて、グループ内外のさまざまな資本を活用し、お客さま、地域の課題解決や成長に資する投資を行い、経済活動を活性化し、ビジネス機会が拡大するよう取り組んでおります。第8次中期経営計画への取り組みをエンジンとして、地域と当行の稼ぐ力を向上させ、さらなる課題解決や投資につなげる「地域を幸せにする好循環」を生み出すとともに、資本効率、ROEの向上を通じて、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
また、2021年6月より取り組んでまいりました次世代基幹系システムの構築については、2024年12月に中止を決定いたしました。なお、現行の基幹系システムは安定稼動を確保しており、2027年1月に更改を予定しております。地域経済を担う金融機関として、引き続き安心安全な銀行取引の提供に向け、安定稼動を第一としてシステム構築に取り組んでまいります。
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