企業池上通信機東証スタンダード:6771】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,588百万円です。

(1) 放送システム事業関連

 放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。

 放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。

 昨年度開発した「UHK-X750」、「UHK-X700」、「CCU-X100」によるHFR(High Frame Rate)撮影機能に加え、オプション機能として、MoIP(Media over IP)インタフェースを実現しました。これにより、外部動画サーバーとカメラ間をIPシステムとして構築することが可能となり、海外を中心としたIPシステム要求への対応が可能となりました。

 また、ロボットアームを用いたリモートプロダクションシステムR2(Real Remote) SYSTEMにおけるバーチャルシステムとの融合を推進し、11月に幕張メッセで行われたInterBEE2022展示会において、インカメラVFXの実演を行いました。通常、VFXシステムはカメラ位置情報を得るためにVFXスタジオ内にセンサを配置する必要があります。しかし、VFXシステムにR2 SYSTEMを使用することで、カメラ位置情報はR2 SYSTEMから得られることができるため、センサの配置は不要となり、運用が容易になります。今後のバーチャルスタジオへの応用が期待されます。

 放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。

 この数年、地方放送ローカル局のスタジオ更新需要は継続しているものの、放送と共に進化している配信ビジネスによって、コンテンツづくりでは多種多様なフォーマットへ対応の高まりから、システム機器のマルチフォーマット化開発を推進しました。今年度、コンテンツづくりに欠かせない、ビデオスイッチャ「MuPS-5000シリーズ」、ルーティングスイッチャ「UHSMシリーズ」、システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」のシステム3要素すべてのマルチフォーマット化を実現しました。これにより配信は制作者の意図に応じた各種フレームレートを選択することで、放送フォーマットに限定されないコンテンツづくりを可能としました。

 フレームレートについては2K/4K何れも、59.94fps(Frame Per Second)、50fps、29.97fps、23.98fpsに対応しました。このうち、29.97fps、23.98fpsは映画、ドラマ、音楽制作に必要なフレームレートであるため、ドラマスタジオやイベント制作システムに対しても提案が可能になりました。また、これらのフォーマットは従来、2Kにおいてセグメントフレーム「SF」形式が主流でしたが、昨今はネイティブなプログレッシブ方式の要求も強いため、両方に対応すべく、実現範囲を拡大しました。これにより、キー局様のドラマスタジオや汎用目的のスタジオサブへの機器提供が可能になり納入実績に結びつけました。

 また、ビデオスイッチャ「MuPS-5000」シリーズの小型スイッチャでは、小型操作卓のブラッシュアップ開発をしました。多系統、多機能化した小型スイッチャの仕様に合わせるべく、小型操作卓の制作操作機能を高め、低コスト化、高訴求力を実現しました。新しいプロセッサと共に、操作系も新たに販売を強化しており、その成果が納入実績となって表れてきました。

 ビデオスイッチャと同じくシステムキーデバイスであるルーティングスイッチャ「UHSM」シリーズは、地方ローカル局、および中規模クラスのシステム向け製品を開発しました。マトリクスサイズは120×120と大型製品に対し半分近く小型化した製品ですが、池上の特長である映像変換機能、マルチビューワ、ダウンストリームキーヤなどのシステム機能内蔵を継承し、システム構築を効率化できる製品として、今秋からの販売に向け、提案を開始しております。

 さらに、ルーティングスイッチャをコントロールするGUIを開発し、各種機能操作、管理情報の保存再生機能操作を確立することができ、納入したキー局では利便性が上がり好評を博しています。

 システム周辺機器「OnePackⅡシリーズ」は、昨年度から継続しラインアップ増強機能としてタイムコードを重畳する機能と、2:1切替器として12G SDI信号をメカリレーで切り替えを実現した、12G SDIリレーモジュールを開発しました。特に12G SDIリレーモジュールは、今後、4K送出のEMG系統切替に展開し、システムのレジリエンス向上に寄与して参ります。

 その他、映像機器以外として、中継車、或いは小規模ニュース送出システム向けの音声ルータにミキシング機能を搭載した「DAF-040オーディオプロセッサ」を開発しました。新しいI/F規格「MADI」も取り込み、対応力を強化しています。

 今後、映像システムと共に、音声も複合的に備わった提案も強化して参ります。

 放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。

MoIPシステム構築のキーデバイスであるIP Media GW(Gateway)を開発しました。IP Media GWは従来の信号方式であるSDI(Serial Digital Interface)信号とIPメディア伝送規格であるSMPTE ST.2110方式の相互変換を行う装置で、MoIPシステム構築に必須のものです。InterBEE2022展示会において自社製ブロードキャストコントローラを用いてスイッチャとIP Media GWを連携させたミニスタジオサブシステムを展示し好評を博しました。また、放送システム機器全ての制御通信方式としてEthernet化(IP化)を進めており、リモートプロダクションと呼ばれる遠隔地からの運用操作にも容易に対応可能になります。これによりMoIPシステムの真価を発揮させ、近い将来にクラウド環境へのシステム構築を見据えた取り組みを進めています。

 無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。

 放送局向け4K対応FPU装置「PF-900」のFPU受信基地局更新需要への対応に向け、さらなる受信性能向上の開発をしました。受信性能の向上により、アンテナの小型化や送信出力を抑えること(低消費電力化)が可能となり、環境にかかる負担軽減にも貢献して参ります。

(2) 産業システム事業関連

 セキュリティ機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューション提供のための開発を進めています。

 流通監視市場のIP監視システムでは全世界のIP機器との接続を実現するためONVIF対応の製品を提供しています。今年度、従来のONVIFプロトコルProfile-Sを、最新プロトコルのProfile-T対応の開発を行いました。これにより全世界のONVIF対応製品と更に柔軟な接続が行えるようになり、機種、機能の選択肢の幅が増え、様々なニーズに対応したシステム提案が可能となりました。

 更にIP監視システムで必要不可欠の伝送装置ではH.265コーデック対応を進めており、従来より高画質、ネットワーク負荷を低減した高品質のソリューションを提供して参ります。

 鉄道市場では、車掌用ホーム監視システムにおいて、定期保守の効率性、安全性を確保した独自の昇降式ハウジングを開発し好評を博しております。今年度、更なる小型、軽量、省メンテナンス化を目指し開発を進めて参りました。今後はこれを製品化し鉄道の安全運転、定時運行に寄与して参ります。

 メディカル機器関連では、医療現場に求められる映像装置の研究開発を進めています。

 今年度、忠実な色再現性や高感度かつ高画質を追求した小型 HD カメラ「MKC-X300」、および高輝度で忠実な色再現が可能な 27 型液晶モニタ 「MLW-2760C」を開発しました。

「MKC-X300」は、小型光学プリズムと1/2.8型CMOSで構成された小型カメラヘッドを実現、手術顕微鏡など限られたスペースに取り付けても操作性が損なわれません。また、汎用モデルでありながらS/N比63dBの高画質を実現しており、16軸方向で独立した色相・彩度の調整が可能なカラーコレクト機能を搭載し忠実に色を再現することができます。

「MLW-2760C」は、PIP(Picture In Picture)やPOP(Picture Out Picture)などの2画面表示を可能とし、表示している映像をそのまま出力するMonitor Out機能を実現しました。また、保護パネルと筐体を一体型の構造とすることで防塵防滴性に優れ清掃がしやすい清潔なデザインとし、病院内の感染リスクなどを回避することが期待できます。

 今後も差異化技術を追求し機能性能の改善を図り、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。

 検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。

 医薬市場では、近年の超高齢化社会を背景に、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加や昨今の安定供給問題等により、高速で高精度な医薬品検査を行い、規格・品質を担保する検査装置へのニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。

 この状況において、今年度は2020年11月に新製品として市場投入した錠剤外観検査装置「TIE-10000」の機能強化および利便性向上の開発を行いました。特に利便性向上では、品質基準シミュレーション機能の強化、オペレータにやさしいユーザーインターフェイス(操作画面の一新)など、さまざまな機能を開発し好評を博しております。さらに、これらの機能を搭載した「TIE-10000」は、医薬以外の市場にも採用いただきました。今後は、AI/IoT技術を活用し、さらなる製品価値向上の開発を推進して参ります。

 産業市場では、自動検査の要求が一段と増える中、枚葉査装置「PIE-650M」とロボットとの連携による軟性フィルムなどの搬送システムを開発しました。このシステムは連続生産ソリューションニーズを捉えたことで引合いが増えており、今後、他企業との技術アライアンス等も含め、更なる連続生産ソリューションを提供して参ります。

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