企業兼大株主横浜ゴム東証プライム:5101】「ゴム製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、17,972百万円であります。

当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。

  研究先行開発本部の研究開発費の金額は、929百万円であります。

・信州大学と劣化なくリサイクル可能な高分子微粒子から亀裂が進みにくいゴム材料を開発

 信州大学学術研究院(繊維学系)の鈴木大介准教授らの研究グループと共同で、高分子微粒子※1を活用し有機溶剤や補強剤などの添加剤を使わずに、亀裂(クラック)に対して高い耐久性を有するゴム材料を開発しました。本研究で得た知見をもとにさらに研究を進めることで、人や環境にやさしく、より安全で耐久性の高いタイヤやゴム製品の開発に繋げることが期待できます。また、開発したゴム材料は簡単に劣化なくリサイクルすることが可能であり、サーキュラーエコノミーへの貢献も期待できます。

 この微粒子フィルムは超分子化合物※2として知られるロタキサン分子※3を微粒子の内部に架橋剤として導入することで、補強剤などその他の添加剤を一切使用せずに、切れ目から亀裂が広がりにくい性質を持たせることに成功しました。また、この微粒子フィルムはゴム材料としての高い伸縮性も維持しています。

 さらに、微粒子フィルムは環境負荷の小さい水とエタノールの混合溶媒に浸すだけで微粒子個々に分解することができます。その後、揮発性の高いエタノールのみを蒸発させて元の微粒子と水から成る分散水溶液に戻すことができるため、同じ微粒子フィルムを簡単に劣化なく再生することが可能です。

 なお、本成果は米国化学会のLangmuir誌に掲載されました。

※1:高分子微粒子とはマイクロスケール(1マイクロメートル=100万分の1メートル)より小さい高分子の粒子。

※2:複数の分子が比較的弱い相互作用によって秩序高く会合して形成される分子集合体。分子を集合させることで、分子の機能を制御したり、新機能を発現することができる。

※3:ロタキサン分子は環状分子に軸分子が貫通し、その環状分子が軸分子から抜けないようにした構造を有する分子集合体。

先端計測と計算科学を組み合せた化学反応可視化技術によりゴムとスチールコードの接着老化メカニズムを解明

“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指すAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づき、先端計測と計算科学を組み合わせた化学反応可視化技術を開発し、タイヤ内のゴムとスチールコードの接着老化反応のメカニズムを解明しました。接着老化を抑制する研究に応用することで、耐久性を大幅に高めたタイヤなどの開発が期待できます。本研究は名古屋大学唯研究室、国立研究開発法人理化学研究所、北陸先端科学技術大学院大学ダム研究室、高輝度光科学研究センターとの共同研究により実施しました。本研究の論文はオープンアクセスの科学誌「Communications Materials」に掲載されています。

 当社は2020年に「HAICoLab」を策定し、人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集とAIによる予測・分析・探索を繰り返すことで未踏領域での知見の発見を目指しています。これまでにも同構想に基づきゴムの配合物性値予測や配合設計、タイヤの特性値予測システムなどを開発しており、今後も全社的にAI利活用を推進していきます。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)タイヤ

既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、15,127百万円であります。

1)キャンピングカー専用タイヤ「BluEarth-Camper」を新発売、CP規格適合サイズをラインアップ

2023年3月に、高荷重に対応し、高い耐久性と操縦安定性を両立した当社初のキャンピングカー専用タイヤ「BluEarth-Camper(ブルーアース・キャンパー)」を日本国内で発売しました。

 キャンピングカーは高荷重、高重心の車両特性による運転時のふらつきなどが発生しやすく、それに対応するタイヤ商品がキャンピングカーユーザーより求められており、「BluEarth-Camper」はその要望に応えるためキャンピングカー専用タイヤとして開発し、高い耐久性と操縦安定性を両立しています。さらに雨の日の運転にも配慮し、優れたウェット性能を実現しています。構造には専用設計を採用し、トレッド全体にベルトカバーを配置したフルカバー構造とし、ベルト部の耐久性を向上させています。ビードフィラーには低発熱のコンパウンドを採用し、負荷時の発熱を低減することにより高荷重への耐久性を高めました。トレッドパターンには実績のある、雨に強い「BluEarth-Van RY55」の技術・デザインを採用し、高硬度のキャップコンパウンドを組み合わせることで、運転時のふらつきの抑制と優れた操縦安定性を実現します。また、タイヤサイドにはキャンピングカーにふさわしく雄大な山岳をモチーフにしたデザインを施し、キャンプやアウトドアをイメージさせる外観に仕上げました。

2)商用ピックアップトラック向けオールテレーンタイヤ「GEOLANDAR A/T XD」を北米と豪州で発売

2023年3月に、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」の新商品として、フルサイズピックアップトラックなど商用車両向けのオールテレーンタイヤ「GEOLANDAR A/T XD(ジオランダー・エーティー・エックスディー)」を北米とオーストラリアで発売いたしました。

 「GEOLANDAR A/T XD」は鉱業や農作業などの現場で用いられる商用車両向けに、過酷な使用環境に耐える性能を備えたオールテレーンタイヤです。開発にあたっては耐久性に主眼を置きつつ、オフロードや雪上などでの悪路走破性、ロングライフ性能を追求しました。冬用タイヤとして認められた証「スノーフレークマーク」を取得しており、冬季の使用にも対応します。

3)EVバスでタイヤソリューションサービスの実証実験を開始

2023年3月より、当社が開発したタイヤ内面貼り付け型空気圧センサーとタイヤ空気圧遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)のEVバスでの実証実験を神奈川中央交通㈱の協力の下、開始しました。同実験は神奈川中央交通㈱が神奈川県平塚市で運行しているEVバスを使用しています。

 当社は輸送事業者向けのタイヤソリューションサービスとして、タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES(ハイテス)」とタイヤ運用を総合的にサポートするタイヤマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」を展開しています。今回、すでに乗用車向けとしてカーシェアリング事業者やタクシー事業者と行っている実証実験を初めてEVバスで行い、EV車両に求められるエネルギー消費の効率化と「TPRS」の精度向上の効果を検証します。

 車両のEVシフトが世界的に本格化する中、高レベルな燃費(電費)性能、耐久性、静粛性がタイヤに求められるEVバスで実施することにより、EVバスにおいても経済性や安全性の向上、効率的なタイヤ運用に貢献できるソリューションサービスの確立を目指します。併せてEVバスに対応するタイヤ開発にも活かします。

4)EV 専用ウルトラハイパフォーマンスサマータイヤ「ADVAN Sport EV」を発売

2023 年秋頃より、EV 専用ウルトラハイパフォーマンスサマータイヤ「ADVAN Sport EV(アドバン・スポーツ・イーブイ)」を、欧州などで順次発売します。

 「ADVAN Sport EV」は、当社のハイパフォーマンスカー向けタイヤである「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」をベースに、EV をはじめとした電動車の代表的なニーズである「低電費」「静粛性」に応えるべく開発した、プレミアムEV 向けウルトラハイパフォーマンスサマータイヤです。当社はすでにBMW やメルセデス AMG などのプレミアムEV を含む様々な電動車向けに新車装着(OE)用タイヤを納入しており、「ADVAN Sport EV」にはそれらの開発で培った技術を惜しみなく投入しています。

 「低電費」については、OE タイヤ開発で実績のある低転がり抵抗のコンパウンドを採用することで航続距離の拡大に貢献します。また、ウェット性能も高い次元で両立しており、濡れた路面での安全性を提供します。「静粛性」については、専用設計のポリウレタンフォーム「SILENTFOAM(サイレントフォーム)」をタイヤの内面に貼り付けることで、走行時に路面の凹凸により発生する空洞共鳴音を低減し、不快なノイズを減らすことで快適な車内空間を作り出します。タイヤサイドには「SILENTFOAM」の刻印を施しています。

<YOHT>

革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく活動をしております。

1)各種展示会への出展

2023年1月から3月にかけては、世界最大規模の建設機械展示イベントであるCONEXPO-CON/AGG(コネクスポ-コン/アグ)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品及びサービスを理解していただく場を設けました。2023年4月から6月にかけては、スウェーデンで行われる林業博覧会SWEDISH FORESTRY EXPO2023(スウェーディッシュフォレスト―リーエクスポ2023)への出展、その他各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。2023年7月から10月にかけては、北米最大級の屋外農機展FARM PROGRESS SHOW 2023(ファームプログレスショー2023)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。2023年10月から12月にかけては、ドイツで行われる世界有数の農業機械見本AGRITECHNICA 2023(アグリテクニカ 2023)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。

2)新商品の発売

多くの商品を市場に投入し販売拡大に努めており、商品のサイズラインナップ拡充を行いました。

(2)MB

「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,593百万円であります。

1)耐熱性コンベヤベルトとして好評を博している「HAMAHEAT」シリーズから高温耐熱性コンベヤベルト「HAMAHEAT Super 80(ハマヒート・スーパーハチジュウ)」を発売

高温耐熱性ベルトの主要業種は鉄鋼やセメントであり、焼結鉱※1やコークス※2、焼結成品※3、クリンカー※4など高温または中温の物質を運搬する用途で使用されます。搬送物の温度や環境温度などの使用条件によりベルト表面の温度は上昇し、ベルトが劣化することで寿命が短くなるため、以前より熱によるベルトの劣化を防ぐ商品が求められていました。

「HAMAHEAT Super 80」は、高温耐熱性が非常に高く評価されている「HAMAHEAT」シリーズのハイグレード商品「HAMAHEAT Super 100」をベースに、より使用条件に合わせて性能を最適化し、コストパフォーマンスに優れた商品の提供を目指して開発したミドルグレード商品です。耐熱老化特性及び耐摩耗性能に優れ、許容ベルト表面温度180℃までの高温搬送物、特にセメントのクリンカー搬送用途に最適なコンベヤベルトです。

※1:粉状にした鉄鉱石に粉コークスと石灰石を混ぜ一定の大きさに焼き固めた物

※2:石炭を高温で蒸し焼きにして抽出した物

※3:金属やセラミックスの粉末を成形し融点より低い温度で焼き固めた物

※4:石灰石などをキルンで焼成して作るセメント原料であり、鉱物などが焼き固まった物

2)中温耐熱性と難燃性を兼ね備えた難燃中温耐熱性コンベヤベルト「FLAME GUARD #2110(フレイムガード・ニセンヒャクトオバン)」を発

耐熱性と難燃性を両立した難燃耐熱性ベルトとしては、2021年に発売した難燃高温耐熱性ベルト「FLAME GUARD Super 100(フレイムガード・スーパーヒャク)」に続き、第2弾商品となります。近年、焼結鉱※1やコークス※2、焼結成品※3など高温または中温の物質を運搬するコンベヤベルトは、熱によるベルトの劣化を防ぐ耐熱性に加えて、安全性をより高めるため、ベルトの燃焼を防ぐ難燃性(自己消火性)を有する商品のニーズが高まっています。横浜ゴムはこうしたニーズに応えるため、様々な耐熱性ベルトや難燃性ベルトを生み出してきたゴム配合技術を駆使し、中温域において両性能を併せ持つ「FLAME GUARD #2110」を開発しました。「FLAME GUARD #2110」は、国内外で中温耐熱性が高く評価されている耐熱性コンベヤベルト「HAMAHEAT #2110」をベースに開発した商品です。耐熱性能は「HAMAHEAT #2110」と同様の運搬物温度70~200℃(塊状:70~200℃、粉状:70~150℃)、許容ベルト表面温度60~100℃を確保しながら、日本産業規格(JIS)のJIS K6324:2013 難燃性コンベヤゴムベルト3級の難燃性を実現しています。

※1:粉上にした鉄鉱石に粉コークスと石灰石を混ぜ一定の大きさに焼き固めた物

※2:石炭を高温で蒸し焼きにして抽出した物

※3:金属やセラミックスの粉末を成形し融点より低い温度で焼き固めた物

3)難燃超耐摩耗性コンベヤベルト 「FLAME GUARD SWR SWR‐70 」を発売

「FLAME GUARD SWR-70」は、製鉄所での焼結鉱やコークス搬送ライン、石炭火力発電所での石炭搬送ラインでの使用を想定し開発しました。同商品は近年、安全性の面からニーズが高まっている難燃性(自己消火性)に加え、耐摩耗性の向上でベルトの交換周期を伸ばしランニングコストを削減できるほか、安定的な操業に寄与します。

特殊配合ゴムにより自己消火性を持つ「FLAME GUARD 」シリーズとして、難燃性、難燃超耐摩耗性、難燃重耐油性、難燃中温耐熱性、難燃高温耐熱性のコンベヤベルトを品揃えしています。今回、横浜ゴムの独自商品である世界トップレベルの耐摩耗性を実現したコンベヤベルト「Tuftex α」の開発で培われた技術を使用し、ゴム配合の最適化を図ることで、従来の難燃超耐摩耗性コンベヤベルト(FLAME GURAD SWR)の耐摩耗性を30% 向上させた「FLAME GUARD SWR SWR-70」を開発しました。

4)護衛艦向け複合アンテナの共同開発で防衛基盤整備協会賞を受賞

日本電気㈱および三波工業㈱と取り組んだ護衛艦向け複合通信空中線「NORA-50(通称:UNICORN)」の開発で、公益財団法人防衛基盤整備協会より「令和5年度防衛基盤整備協会賞」を受賞しました。同賞は防衛装備庁後援のもと、防衛装備品の開発や生産において特に優れた業績をあげた個人やグループに贈られるものです。

※UNIfied COmplex Radio aNtennaの略で、ステルス性向上を目的に、従来甲板上の柱(マスト)の複数箇所に取り付けられていた様々な空中線(アンテナ)を1本の支柱に集約したもの。優れたステルス性だけでなく、アンテナの最適配置により外部から発信された電波の最大探査距離を向上したほか、整備および取り付け工程の簡略化を実現しました。現在、海上自衛隊の「もがみ」型護衛艦に装備されています。横浜ゴムが開発を担当したのは「UNICORN」全体を覆うアンテナ用カバー(レドーム)で、これまで航空機用のレドーム開発で培ってきた技術を活かし、電波透過性を最大限高めながら、基本性能である耐候性はもちろん、落雷からアンテナを保護する耐雷性も兼ね備えています。

上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品に係る研究開発費が 322百万円あります。

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