企業楽天銀行東証プライム:5838】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 以下の記載における将来に関する事項は、本書提出日現在において当行グループが判断したものです。

(1) 経営の基本方針

 当行グループは以下の経営方針のもと、「安心・安全で最も便利な銀行」を目指しています。

■ 当行は銀行業務の公共性に鑑み、信用を維持し、預金者保護を徹底するために、健全経営と効率経営を確保します。加えて金融の円滑化を進めるとともに、社会的インフラとしての決済機能の充実に努めます。

■ 当行は、楽天グループの一員として、グループの経営資源を最大限活用し企業価値の増大を図ると同時に当局の主要行等監督指針に則り、経営の独立性確保に充分留意します。

■ 当行は、お客さま第一の考え方を徹底し、お客さまの多様なニーズに応え、満足いただけるようなサービスを提供します。

■ 当行は、人材の育成強化を図るとともに、役職員がいきいきと仕事の出来る職場環境を整備し、働き甲斐のある職場作りを進めていきます。

 また、楽天グループの一員として、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを目指します。個人及び法人のお客さまに対して、満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。

(2) 目標とする経営指標

 当行は、店舗を持たないインターネット銀行という主要行や地方銀行等とは一線を画した新しい銀行ビジネスを実践しており、営業基盤の拡大途上であることから、口座数及び預金量を営業基盤の規模を示す重要な経営指標として位置付けています。また、経常収益及び経常利益を成長性や収益性を評価する指標として位置付けています。2023年3月期末の口座数は13.7百万口座(前期比+1.4百万口座)、預金量は9.1兆円(前期比+1.3兆円)となり、また、2023年3月期の連結経常収益は120,445百万円(前期比+14,419百万円)、連結経常利益は38,746百万円(前期比+10,837百万円)となっています。今後も営業基盤の拡大及びこれに伴う事業の成長を推進してまいります。

(3) 経営環境・経営戦略

1.経営環境

 新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が緩和される中で世界経済は回復基調にありますが、一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇、原材料価格の高騰、インフレ率の高止まり、欧米を中心とする金融引締め等の影響により、景気減速の懸念も生じました。また、2023年3月には米国の複数の銀行が破綻したことに伴い米欧の金融システムへの警戒感が高まりましたが、米欧金融当局等の迅速な対応により金融不安の拡大が短期的には回避されました。日本経済においては、日本銀行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策が継続されることにより、円安の状況が続くなど、引き続き注意が必要な状況にありますが、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種政策等の効果により、個人消費や設備投資が一部回復する等、持ち直しの動きが見られています。このほか、人口減少・地域過疎化等の経済構造問題への対応も引き続き重要であることに加えて、世界的な気候変動問題への取組についての対応も求められています。

 こうしたなか、昨今の銀行業界を取巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、個人の生活様式及び企業活動の変化が生じ、デジタルシフトが進展するなか、銀行取引においても、個人、企業ともにインターネットバンキングへ移行する動きが加速しており、メガバンクや有力地域金融機関は、自前のインターネットバンキングへの経営資源の投下や、フィンテック企業との提携も含めて、インターネットバンキングの強化を図る動きを加速しています。特に、為替業務等のインターネットとの親和性が高く、リアル店舗では採算性が低い業務は、インターネットバンキングへのシフトを推進しているほか、スマートフォンアプリの開発にも加速度的・積極的に経営資源を投下しています。また、インターネット銀行においては、グループ内にクレジットカード・証券・保険等の銀行以外の金融機能も取込む動きが見られ、金融機能を提供するグループ企業間のシナジーを追求する金融ホールディングス化の動きを加速させています。

 さらには、デジタル技術の進展に伴う金融と非金融の垣根を越えた決済手段の多様化・キャッシュレス化の進展や異業種からの金融事業への参入が見られる等、金融・非金融の垣根を越えた競争が激化しています。

2.経営戦略

 当行は、インターネットを活用し、個人、法人のお客さまに利便性の高いサービス、お得なサービスを、スピード感をもって提供し、「安心・安全で最も便利な銀行」を実現することを目指して事業を展開します。具体的には、個人ビジネスにおいては、①「生活口座として利用される銀行」、②テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」を目指します。法人ビジネスにおいては、テクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、①「取引先企業の規模に関わらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、②「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指しています。また、楽天エコシステムを活用して新規顧客を効率的に獲得し、当行の事業の成長を実現することを目指します。これらの楽天エコシステムを活用した事業展開を通じてお客さまの楽天グループのサービスに対する信頼を高め、結果としてお客さまの当行サービスに対する粘着性の向上に繋げたいと考えています。さらには、インターネットの有効活用や役職員の革新的なアイデアの活用により事業の低コスト運営を徹底し、低コスト運営により得られたコスト削減分の一部をお客さまにポイントやキャッシュバック等で還元することにより、お客さまにとってお得なサービスを実現することを目指します。

 一方、「安心・安全な銀行」としてお客さまに認知されるために、コンプライアンス、リスク管理を徹底し、最高レベルのセキュリティを実現することを目指します。但し、セキュリティの強化にあたっては、お客さまの利便性を犠牲にしないよう、セキュリティとお客さまの利便性の両立に努めます。

 以上の取組を通じて、社会に対して銀行としての新たなスタンダードを提示できるような存在になることを目指し、銀行業界の更なる発展に貢献していきます。

(中長期ビジョン)

 当行は、ゼロキャッシュ時代の到来を見据えたFinTechのリーディングカンパニーを目指し、更なる顧客基盤の拡充と収益基盤の強化、FinTech領域の成長取込みに向け、2022年4月28日に以下の内容の中長期ビジョンを策定し、公表しました。

(i) 中長期ビジョンの概要
① 経済・事業環境の認識

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により急速に進展したデジタルシフトは、消費・経済活動の正常化が進む中でも進展が続いています。

 当該環境下において、メガバンクや有力地域金融機関は、伝統的銀行業のDXを進めるデジタル・バンキング領域に経営資源の投下を図り、FinTech企業との提携も含めたサービス強化を図る動きが加速しています。また、インターネット銀行においては、グループ内にクレジットカード・証券・保険等の銀行以外の金融機能も取り込む動きが見られ、金融機能を提供する企業間のシナジーを追求する金融ホールディングス化の動きが加速しています。さらには、インターネット関連企業をはじめとする他業態からの金融業への参入の動きもあり、銀行取引においても今後到来することが想定されるゼロキャッシュ時代に向けて、リアルの店舗での取引からデジタル・バンキングでの取引に移行する動きが加速しています。

 当行は、2000年の創業以来20年以上にわたり、インターネット上における利便性の高い金融サービスをより多くのお客さまに提供することに努めており、2022年9月には1,300万口座を突破するなど、多くの個人及び法人のお客さまに利用されています。また、楽天グループの金融機能の中心となるグループ会社のひとつとして、様々な楽天グループ内金融サービスとの連携を深耕してまいりました。このように、“第一の成長ステージ”において、当行はデジタル・バンクの先駆者として金融サービスのデジタル化を推進してきたと自負しています。

② 事業拡大の方向性

 当行の基本方針としては、FinTechのリーディングカンパニーを目標として、楽天エコシステムとのシナジーを最大限に発揮することで顧客数と顧客当たりの取引機会を増やし、適切なリスクコントロールの下で業容拡大の更なる加速化を進めます。個人ビジネスにおいては、①「生活口座として利用される銀行」、②テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」として従前のリアル店舗における取引をデジタル化することを目指します。法人ビジネスにおいては、データ及びテクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、①「取引先企業の規模にかかわらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、②「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指し、本邦金融市場におけるシェア拡大を進めます。

(ⅱ) 中長期ビジョンの達成に向けた“第二の成長ステージ”としての成長戦略
① 顧客基盤の拡充

 以下の事業環境と当行の強みを活かし、顧客獲得をさらに加速させることを目指しています。

・国内銀行業界におけるデジタルシフトの進展

・楽天エコシステムの活用(楽天ポイント、ブランドや知名度、楽天グループ各社との顧客相互送客等)によって既に実現している低い顧客獲得費用

・高度な自社システム開発・保守・運用体制に裏付けられた優れたUI/UXを持つサービスとアプリ

・効率的な低コストオペレーションを背景とした安価で顧客満足度の高いサービス

② 収益力の強化

・個人・法人顧客数の拡大による貸出利息収益、手数料収益の増加

・当行の信託機能を活用した証券化資産の運用上積み

・住宅ローン、カードローン、リバースモーゲージ等に続く、プロダクトラインナップの拡充

・適切な管理に基づくミドルリスク運用資産の拡充

③ FinTech領域の成長取込み

・楽天ペイメント株式会社との連携深化による個人口座のメイン化・生活口座化、法人口座獲得の推進による顧客基盤の更なるアクティブ化、高頻度なタッチポイントを活用したクロスセル、による成長機会の拡大

・当行と楽天グループが持つデータとAIを活用した審査・マーケティングの精度向上や銀行アプリのページビューを活用した広告ビジネス及び新規ビジネスの拡大

・BaaSプラットフォームのパートナーとの連携による新たな収益機会の創出

 この目指す事業拡大の実現に向けて、「顧客基盤の拡充」、「収益力の強化(貸出利息収益と手数料収益の両輪の拡充)」、「FinTech領域の成長取込み」を三位一体とした取組を推進します。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1.生活口座化の推進

 当行グループの収益力を向上し、成長を加速するためには、口座数を増やすことは重要ですが、それにとどまらず、個人顧客が生活の中で生じる様々な金融サービスへのニーズを満たすために当行口座を利用するように誘導し、決済資金を当行口座に滞留させ、顧客あたりの取引件数、収益額を向上させることが重要です。そのため、当行グループは、楽天グループの顧客基盤等を活用して新規口座を獲得した後、顧客の給与振込及び口座振替を獲得して預金・為替の拡大を図り、続いて顧客の嗜好に合わせた他のサービスをクロスセルすることにより、顧客口座の生活口座化を推進しています。生活口座化の推進にあたっては、店舗を持たないインターネット銀行のコスト競争力に加え、当行グループのシステムの柔軟性・コスト競争力を活かし、顧客に便利でお得なサービスを提供することが肝要です。当行グループは、便利でお得なサービスの開発により一層注力して、顧客口座の生活口座化を加速し、顧客基盤の拡充を図ってまいります。なお、「生活口座化」とは、「口座保有者に対して当行口座を『生活口座』としての利用を促す取組」と定義し、「生活口座化」の進展度合いを測るために「メイン口座率」というKPIを設定しています。「メイン口座率」というKPIにおける「メイン口座」とは、「給与・賞与振込口座、又は口座振替を利用されている口座」と定義しています。2023年3月末時点のメイン口座率(単体総口座数(法人口座含む)のうちメイン口座数の割合)は31.1%となっています。また、生活口座化の進展により、2019年3月末時点では2.8兆円であった単体預金残高は、2023年3月末時点では9.1兆円となっています。

(単位:千口座、%)

項目

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

メイン口座数

1,220

1,738

2,592

3,618

4,280

メイン口座率

16.6

20.0

24.6

29.3

31.1

2.資産運用の多様化による収益基盤の強化

 現在、日本においては日本銀行によるマイナス金利政策が実施されているため、既存の運用資産を漸進的に拡大することだけでは利息収益の大きな増加は期待できません。当行は、現在、住宅ローン、カードローン、教育ローン、オートローン、不動産担保ローン、リバースモーゲージ等のローンを個人顧客向けに提供していますが、マイナス金利政策が継続することを前提にすると、ローン商品をさらに多様化し、顧客の生活シーンで必要になる様々な資金需要に漏れなく応えることにより、マイナス金利政策下においても利息収益の拡大を図ることができると考えています。また、法人顧客に対する営業体制の質的・量的強化による法人融資の増加、企業の保有する金銭債権、不動産等の証券化をアレンジすることによる証券化資産への投資の増加等も、マイナス金利政策下における利息収益の上積みに寄与するものと考えています。当行グループは、上記の施策をスピード感をもって実行し、運用資産を多様化・増加することにより、マイナス金利政策下においても利息収益の拡大を実現していきたいと考えています。

 また、日本銀行がマイナス金利政策を直ちに転換する可能性は低いと考えていますが、米国、欧州等の各国中央銀行は利上げ政策に転換しており、日本にも原油、食料等に起因する物価上昇が波及していることを踏まえると、日本銀行がいずれかのタイミングでマイナス金利政策を転換する可能性があると考えています。マイナス金利政策が転換された場合、当行の運用資産の多くは短期の市場金利の上昇にスライドして利回りが上昇するため、預金金利の上昇を適切にコントロールすることにより、運用利鞘を拡大することが可能であると考えています。

 なお、日本銀行は、2022年12月20日に長期金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用を見直し、10年の長期金利の変動許容幅を±0.25%から±0.5%に拡大しました。これにより、中長期の市場金利が上昇したほか、長期固定金利の住宅ローン金利が上昇する等が生じています。日本銀行の長期金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用見直しにより、当行が保有する運用資産のうち中長期金利に連動する資産の利回りの漸進的な上昇により当行の利益が増加する一方、当行の保有する固定金利の有価証券に含み損が生じる、又は含み損が拡大する可能性があります。

3.システムのキャパシティ及びセキュリティの確保

 当行グループは、2023年3月末現在、インターネット銀行で最大の口座数、最大の預金量を有しており、現時点において、全ての顧客にサービスを提供するために十分なシステムのキャパシティを確保しています。また、犯罪、不正取引の手口分析等により将来の犯罪、不正取引の傾向を予測し、先手を打った対策により業界最高レベルのセキュリティを顧客に提供していると自負しています。しかし、顧客数は今後も増加することが見込まれるため、システムのキャパシティは、顧客の取引動向も踏まえて計画的に拡充していくことが必要です。また、セキュリティについても、犯罪、不正取引の手口が時間の経過とともに変化するため、当行グループが適時に適切にセキュリティを改善し続けなければ、顧客をリスクに晒す結果になることも否定できません。当行としては、システムのキャパシティの拡充、セキュリティの確保に十分な経営資源を継続的に投下し、全行的な推進体制を構築することにより、常に十分なシステムのキャパシティを確保し、業界最高レベルのセキュリティを提供し続けることを目指します。

4.コーポレート・ガバナンスの一層の充実

 いかなる企業においても、コーポレート・ガバナンスの強化は、最重要経営課題の1つであり、当行グループにおいても、常にコーポレート・ガバナンスの充実に取り組む必要があります。特に、当行グループは、銀行業を営んでいるため、高いコーポレート・ガバナンスが求められます。当行グループは、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる業務運営体制、経営執行の公正性及び透明性を確保する経営監視機能の強化に努め、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ってまいります。また、当行グループは、今後も業容を拡大する見込みであるため、業容に応じたリスク管理態勢、コンプライアンス態勢の構築が不可欠です。リスク管理態勢、コンプライアンス態勢の継続的な向上を当行の最優先経営課題として位置づけ、全役職員が自らのこととして取り組むことにより、役職員ひとりひとりが銀行としての公共的使命を自覚し、行動する企業風土の更なるレベルアップを図ってまいります。

5.自己資本の一層の充実

 当行は、中長期ビジョンを達成するための“第二の成長ステージ”としての成長戦略の1つとして、個人・法人顧客数の拡大による貸出利息収益の増加や運用資産の拡充を掲げています。今後とも顧客基盤を拡充して事業拡大を図り、当行の優位性をより確固たるものにするためには、運用資産の更なる多様化、運用資産の積み上げの加速が不可欠であり、そのためには自己資本の継続的な充実が必要であると考えています。当行の2023年3月末時点における「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に定められた算式に基づき算出された連結自己資本比率は11.21%となっており、短期的に自己資本の充実に取り組まなければならない状況にはなく、自己資本の充実は現時点で優先的に対処すべき課題ではありませんが、今後の中長期的な運用資産の積み上げを展望すると、今次の公募増資により自己資本を充実させるとともに、毎期、確実に利益を蓄積して自己資本の一層の充実を図ることが必要であると考えています。

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