東洋証券
【東証プライム:8614】「証券業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の概況
当連結会計年度における世界経済は緩やかな拡大局面が続きました。しかし、米国で新政権が発足して間もなく浮上した相互関税に係る警戒感が景気後退懸念につながったほか、世界主要各国・地域の分断が進むとの観測が重荷となりました。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初40,646.70円で始まりました。当初は、米利下げ期待の後退による米長期金利の上昇が嫌気された他、中東情勢の緊迫化もあり、東京株式市場でも幅広い銘柄に利益確定売りが広がり、日経平均株価は4月19日に36,733.06円まで下落する場面がありました。その後は、一時ボックスでのもみ合いとなりましたが、米利下げ期待等を背景に日経平均株価は7月11日には終値で42,224.02円を付け、史上最高値を更新しました。7月末の日銀の利上げや米景気の先行き不安等が発生したことで、パニック的な売りが広がり、日経平均株価は急落し、8月5日に安値31,156.12円まで下落する場面がありました。12月末にかけ、堅調な米景気や米ハイテク株高、日本の上場企業による自社株買い、円安・ドル高等を背景に、徐々に下値を切り上げる展開となりましたが、トランプ米大統領による関税の引き上げに対する警戒感の高まりから下落基調となり、3月末の日経平均株価は35,617.56円で取引を終了しました。
米国株式市場において、ダウ工業株30種平均は期初39,807.93米ドルで始まりました。米国経済が好調であることを示す経済指標の発表が相次ぎ、原油高も相まってインフレ鎮静化が遅れ米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のくとの見方が広がりました。その結果、米長期金利は上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、4月17日にダウ工業株30種平均は安値37,611.56米ドルを付けました。その後、好調な企業業績や労働市場の過熱感が薄れたことで、FRBが年後半に利下げを始めるとの観測を受けダウ工業株30種平均は戻りを試す動きになりました。9月17日~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりの利下げが決定され、米景気がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まりました。11月の米大統領選ではトランプ氏が返り咲きを決め、同氏が掲げる減税等の景気刺激策への期待から12月4日にダウ工業株30種平均は高値45,073.63米ドルを付けました。トランプ氏が米国大統領に就任後は、関税政策をめぐる不透明感等から米ハイテク株を中心に軟調に推移し、3月末は42,001.76米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場は、主要株価指数であるハンセン指数は期初16,811.74ポイントで始まり、政府が株式市場の健全化に向けた取り組みを発表したことに加え、1月~3月のGDPが予想を上回ったことから買いが入り、5月20日には19,706.12ポイントまで回復しました。その後は、景気減速懸念からじり安となり8月5日には16,441.44ポイントまで下落しました。しかし、9月24日に中国政府が景気の下押し主因である新築住宅の需要減少等に対し大規模刺激策を取ったこともあり、ハンセン指数は急反発し、9月24日から10月7日までの約2週間で23,241.74ポイントまで上昇し、2022年2月以来の高値をつけました。上昇ピッチが速かったことに加え、米国大統領がトランプ氏に決まり、同氏が中国製品に対し60%強の関税を課すと発言したことから、米中関係の悪化を懸念しハンセン指数は下落を続け、1月13日には18,874.14ポイントを付けました。その後は、新築住宅市場の改善や中国景気の安定、そしてトランプ米政権下での米中貿易問題が事前予想の範囲内にとどまったこともあり、再び上昇へ転じ、3月19日には24,874.39ポイントの年初来高値を付け、3月末は23,119.58ポイントで取引を終了しました。
(2)中期的経営ビジョン
当社グループは、2024年10月30日、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を踏まえ現状分析と評価を行い、株主・投資家並びにお客さまをはじめ、従業員を含むすべてのステークホルダーの皆さまの期待にお応えするため、更なる成長戦略等が必要と考え、改めて第六次中期経営計画の見直しを公表しております。PBR1倍以上の達成を目指した財務施策を打ち出すとともに、中長期的な企業価値向上を実現するために「経営理念」に立ち返り、お客さまはもちろんのこと、ステークホルダーの皆さまとの信頼関係をより深め、期待に応えてまいります。
(3)戦略骨子・施策概要
「お客さまの信頼獲得」に加え、「付加価値サービスの提供」、「得意分野の選択・集中」に軸足を置いた戦略展開を図ると同時に、コスト構造改革の実践を並行して継続させることにより、中期経営計画終了年度(2028年3月期)におけるROE8%以上の達成を目指してまいります。
<重点施策>
○お客さまとの信頼獲得 戦略
・対面サービスの「質」と「量」の強化
・きめ細やかなアフターフォロー
・お客さま満足度の追求
○付加価値サービスの提供 戦略
・コンサルティングサービスの強化
・中国株のパイオニアとしての東洋ブランドの再構築
・お客さまセミナーの開催強化
○得意分野の選択・集中 戦略
・アジア関連投資信託
・資本市場へのアプローチ強化
・IFAプラットフォームビジネス
○コスト構造改革 Project EST
トップダウン・ボトムアップ型のカイゼンによる適切なコスト削減により、今後増加する費用を抑え成長分野に資金を投じ、「経営資本の有効活用」を図ってまいります。
第六次中期経営計画~お客さまの信頼がすべて~の項目と数値目標および実績は以下のとおりです。
[中期経営計画]
| 項目 | 数値目標(2028年3月末) | 当期実績(2025年3月末現在) |
KGI | ROE | 8%以上 (2028年3月期) | 7.6% |
KPI | 預り資産残高 | 1兆5,000億円以上 | 1兆2,953億円 |
株式投信残高 | 5,000億円以上 | 3,239億円 | |
NISA口座残高 | 1,040億円以上 | 704億円 | |
CX指標 購入意向・継続意向・推奨意向 | (毎期)前期比 改善 | 6.28 (前期実績5.99) |
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