東京機械製作所
【東証スタンダード:6335】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は創業以来、輪転機及び工作機械の製造会社として長い伝統のもとで真の物づくりに邁進してきたことで、内外の一流のお客様に恵まれ、今日の基礎を築き上げてまいりました。
しかし近年はインターネットの普及に伴う新聞発行部数の減少による市場縮小・需要減により、極めて厳しい経営環境を迎えております。
当社は、経営方針として以下を掲げ、株主の皆様をはじめ当社グループに信頼をお寄せ頂いている方々の期待にお応えしてまいります。
・新聞社との親密感ではなく、顧客満足を追求して対価を得る経営を行う
・主要な機関投資家と定期的に議論を行い、ガバナンス体制を強化する
・自社の強みを再定義し、足りない力は外部に求め、良い製品・サービスを創る
・組織を集約化し、各人が仕事の領域を広げ、グループ全体の利益を追求する
・グループ内各社が対等な関係に立ち、互いの良いところを融合させ、シナジーを創る
・痛みの伴う構造改革を断行し、収益体質を構築し、長期的に公共社会へ貢献する
(2) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社は、2022年1月14日に『TKSグループ中期経営計画』を策定し、「顧客の課題に向き合い、柔軟なカスタマイズ力により新たな価値を創造し、課題解決をサポートする」を目指す姿として掲げております。
また、中期経営計画において2027年3月期の売上高100億円、営業利益7億円~8億円、ROE6~8%を経営目標数値としております。
中期経営計画の達成に向けて、以下の項目を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、グループを挙げて取り組んでまいります。
1. 財務戦略
バランスシートの構造改革(運用勘定、調達勘定)を進め、効率的な財務戦略を進めてまいります。
(1)新規事業の投資資本の確保(運用勘定の改革)
当社の主力事業である輪転機事業は、新台の受注から納品までの期間が長く、売掛債権の回収までに時間がかかる場合があります。これにより、新規事業開発の投資資金が不足する課題が生じることがあります。そこで、支払い条件を重視した受注判断を行い、資金回収が早い保守・メンテナンスに人員リソースを注力することで、新規事業に向けた設備投資を実施し、投資資金の不足を解決してまいります。
(2)グループCMSの導入(調達勘定の改革)
当社は、グループ各社が金融機関から個別に資金調達を行っていた体制を見直し、窓口を当社に一元化し、グループ各社の資金調達をコントロールすることで効率的な資金融通を図ることを検討しております。現在、借り入れはなく、事業展開には自己資金を活用しています。これにより、金利や返済負担を抑え、経営の自律性や安定性を高めています。
2. 事業戦略
「輪転機事業」と「新規事業」、それを支える「ICTプラットフォーム事業」の3区分で事業を再構築し、事業構造を複線化します。
(1)輪転機事業
当社は2025年3月、COLOR TOP ECOWIDE Ⅲを完成させました。本機は、次世代輪転機の新たな標準機となることを目指し、構想・開発の初期段階から新聞社様にご参加いただき、基本仕様、機能、使用部品の見直しを含む全面的な改善を目指して開発を進めてまいりました。新聞社様との意見交換を重ねる中で、印刷速度の最適化や複雑なカラー印刷機能のパターン化を通じて、機器の簡素化と操作性の向上を追求し、印刷品質を維持しながらコストの抑制とメンテナンス性の向上を実現しました。また、新聞印刷の現場における労働力不足の課題にも対応できるよう自動化技術の強化も図っています。
当社は、COLOR TOP ECOWIDE Ⅲの全国の新聞社様への拡販を本格的に進めており、第1号機は読売新聞東京本社様の習志野工場への導入が決定しております。
(2)新規事業
当社は、これまで新聞輪転機製造で培ってきた技術力をベースに、新規事業としてFA事業や加工組立事業の展開にも積極的に取り組んでいます。
FA事業では、「人にもっと近く、人と機械が共存する未来を実現」をコンセプトに、工場や倉庫における多様な自動搬送ニーズに対応すべく、雨天などの厳しい屋外環境や段差のある路面でも安定した走行を実現するAGV(無人搬送車)の開発を進めてまいりました。特に、ロボットアームを搭載し人と連携して作業できる機種や、最大500kgの重量物を牽引できる高出力タイプなど、これまでに蓄積してきた技術的知見を活用し、現場のニーズに応えてきました。中でも、お客さまごとの運用条件や課題に応じて柔軟に仕様を調整できるカスタマイズ力は、当社ならではの強みです。一般的な標準品では対応が難しい現場でも、最適なカスタマイズを施した製品を提供することで、多くのユーザーから高い評価をいただいています。
今後もAGVやロボット技術の更なる高度化に取り組みながら、生産現場や物流領域における省人化・高効率化に貢献してまいります。
加工組立事業は、当社ウェブサイトの「加工組立事業 進捗状況」に記載のとおり、製鉄プラント向けの関連部品の加工が受注を伸ばしており、さらに電子顕微鏡の部品加工など、新たな分野にも積極的に対応しています。こうした新たな市場への進出により、当社の技術力と信頼性が一層強化されており、今後もお客さまの多様なニーズに応えるため、事業拡大に向けた取り組みを強化してまいります。
(3)ICTプラットフォーム事業
ICTプラットフォーム事業では、当社が長年培ってきた機械制御技術を核に、輪転機事業およびFA事業における課題解決に向けたICTの活用を推進しています。たとえば、新聞印刷における作業効率の向上を目指し、印刷プロセス全体を最適化する輪転機の開発・提供に取り組み、自動運転システム「APR-DX(エーピーアールディーエックス)」を完成しました。また、FA事業では、AGVの制御システム開発を通じて、安全性と高精度な動作の両立を実現するなど、現場のニーズに即したソリューションを提供しています。
3. 組織戦略(持続的成長に向けたガバナンス体制の強化、サステナビリティ経営の実践)
過去の経営の問題に対して真摯に向き合い、痛みの伴う構造改革を断行し、収益体質を構築し、長期的に公共社会へ貢献してまいります。その実現に向けて、ガバナンス体制の強化、サステナビリティ経営の実践に向けた各施策を実施してまいります。
(1)持続的成長に向けたガバナンス体制の強化
当社は、企業としての社会的使命と責任を果たすとともに、持続的な成長と健全な発展を実現するためには、ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。このたび当社は、構造改革の一環として、監査等委員会設置会社へ移行することを予定しております。これにより、複数の社外取締役を含む監査等委員である取締役に取締役会における議決権を付与し、経営の監査・監督機能の強化を図るとともに、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させ、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
(2)株主との継続的な対話
当社では、持続可能な成長と企業価値の向上を実現するため、機関投資家との建設的な対話を行っております。対話の場では、新聞輪転機事業の見通しや新規事業の展開に加え、資本政策、サステナビリティに関する取り組みなど、幅広いテーマについて意見交換を行っています。
(3)サステナビリティ経営の実践
当社は、サステナビリティ経営の実践を組織戦略の重要な柱と位置づけ、環境に配慮した製品・サービスの拡充にも取り組んでいます。その一環として、サステナビリティを意識して開発を進めていたCOLOR TOP ECOWIDE Ⅲを完成させました。COLOR TOP ECOWIDEⅢは、損紙削減、省人化、省エネ化といった課題に対応する次世代の標準機であります。
また、持続的な事業運営と成長を実現するため、従業員への支援体制の整備・拡充にも力を入れています。人材育成においては、OJTによる実務経験を中心に、外部セミナーの受講や資格取得支援などを通じて、一人ひとりがスキル向上を図ることを方針としています。
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