東京テアトル
【東証スタンダード:9633】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「Sound of Your Life ~あなたの人生に豊かな響きを~」を企業理念として掲げ、基幹事業である映像関連事業、飲食関連事業、不動産関連事業を通じて、社会に貢献していくことを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
① 中期経営方針
当社グループは、企業価値の向上を目指し、消費者ニーズに沿った商品やサービスを自社で開発、創造する事業構造への転換を図るため、中期経営方針「プロデュースカンパニーへの革新」に基づき、経営に取組んでおります。
~作られたもの、作ったものを売る会社から、 売れるもの(消費者が求めるもの)を創る会社へ~ 「プロデュースカンパニーへの革新」
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② 具体的政策
プロデュースカンパニーへの革新のため、当社グループでは、人的資本の充実により売上及び収益の伸長を見込む「ヒューマンリソース型ビジネス」を中核事業とし、以下の政策に取組んでまいります。
(映像関連事業)
映画を中心とした「コンテンツ」への積極投資による映画制作配給事業の収益拡大 |
・映画制作配給事業においては、良質な企画を自社で手掛けることで、作品の投資回収率を安定的に高めてまいります。
・映画館を所有していることを背景に、映画だけでなく様々なジャンルへの「コンテンツ」投資を行い、配信などの二次利用収入を拡大すべくライツビジネスを強化してまいります。
・映画の出資や配給に付随して、シネアド・デジタルサイネージといった屋外広告等の周辺ビジネスを強化してまいります。
(不動産関連事業)
中古マンション再生販売事業におけるエリア拡大 |
・中古マンション再生販売事業においては、従来の仲介会社を通じた仕入に加えて、ウェブや自社の映画館や飲食店等を活用した個人からの直接仕入れに取組み、仕入件数の増加につなげています。このノウハウを更に強固なものにしながら、仕入販売エリアを拡大し競争力を強化してまいります。
・個人向けのワンストップサービス「リノまま」ブランドによる品質にこだわった商品づくりを一層高めてまいります。
(飲食関連事業)
飲食事業における中食・卸売ビジネスの強化 |
・飲食事業においては、所有するセントラルキッチンを活かした、中食・卸売ビジネスの強化を図り、既存資源の有効活用による収益拡大を推進してまいります。
(セグメント共通)
ヒューマンリソース型ビジネス拡大のスピードアップ |
・それぞれの事業拡大をより迅速かつ着実なものにすることを目的として、他社とのアライアンスやM&A、資本提携などを積極的に進めてまいります。
③ 政策進捗状況
(映像関連事業)
映像関連事業では、映画を中心とした「コンテンツ」への積極投資による映画制作配給事業の収益拡大に取組んでおり、当年度は17作品を配給しました。
(飲食関連事業)
飲食関連事業では、中食・卸売ビジネスの育成に取組んでおり、当年度は「串鳥」のテイクアウト業態店舗2店を新規出店したほか、冷凍食品の卸売も開始しました。
(不動産関連事業)
不動産関連事業では、中古マンション再生販売事業のエリア拡大に取組んでおり、当年度は、引き続き関西支社での仕入れ件数及び販売件数を伸ばしております。
(3)経営環境
当年度は、内需主導による経済活動の緩やかな回復基調が続きました。一方で昨今の国際情勢に加え、昨年度に続き物価の上昇や人手不足の深刻化が見られるなど、先行き不透明な状況が続くと予想されます。
各セグメントの経営環境は以下のとおりであります。
(映像関連事業)
国内の映画市場において、2022年の興行収入は2,131億円、2023年の興行収入は2,214億円とこの2年間はほぼコロナ禍前の水準に回復して推移しておりましたが、2024年は2,069億円、対前年93.5%と2020年以来、4年ぶりに減少しました。邦画は対前年105.1%と興行収入を伸ばしている一方で、2023年に発生したハリウッドのストライキの影響を受けた洋画が対前年69.8%と大きく落ち込んだことが響き、邦高洋低の傾向に拍車がかかっています。中高年層を中心に動画配信サービスへのシフトが進む一方で、映画館での映画鑑賞は若年層のイベントとして根強い人気があり、アニメ作品や邦画の実写作品などの若年層に訴求した作品が興行収入の上位を占める傾向にあります。
ミニシアターにおいても2024年の前半はヒット作がほとんどなく苦戦が続きましたが、2024年後半以降に邦画洋画ともにヒット作が出始めており、回復の兆しが見られます。
また、定額制動画配信サービス市場(SVOD)は2024年においては対前年106%の5,710億円とやや市場の伸びが緩やかになっており、市場が拡大期から成熟期に差し掛かりつつあることが伺えます。動画配信サービスが安定拡大を続ける中で、映画制作において興行収入以上に配信サービスからの収益確保の重要度が増しています。
2024年の国内の広告市場は前年比104.9%の7兆6,730億円であり、3年連続で過去最高を更新しています。中でもインターネット広告費は前年比109.6%と拡大を続け、広告市場全体の5割に迫る47.6%までシェアを獲得しています。また、コロナ禍以降の人流回復に伴い、交通広告やイベント・展示といったリアルな場面での成長が目立っています。
(飲食関連事業)
国内の外食市場は対前年108.4%と3年連続で前年の売上を上回りました。年間を通してインバウンドが増加したことに加え、原材料の高騰による価格改定が相次いだことによるものです。そのため、一部店舗では客単価は増加したものの客数が伸び悩むなど、売上は上がっても利益の確保に苦慮するような状況は続いています。
業種別にみると「ファーストフード」以外の店舗数は微減傾向ですが、コロナ禍で大きく店舗数を減らしていた「パブレストラン/居酒屋」の店舗数が2024年終盤以降ようやく下げ止まりをみせました。
中食市場も対前年102.8%と4年連続で拡大し、過去最高の11兆円超となりました。食料品スーパー、コンビニエンスストア、惣菜専門店などが売上を伸長する一方で、百貨店や総合スーパーは減少しています。
(不動産関連事業)
都内の賃貸オフィスの平均空室率は2024年初めの5%台から回復傾向で推移し、2025年に入ると3%台まで低下し、コロナ禍以降下落基調にあった平均賃料についても2024年においては年間を通してゆるやかな上昇基調が続いています。コロナ明けの企業のオフィス回帰が本格化したことによるものですが、一方でビルの付加価値やエリア優劣による二極化の傾向も鮮明にあらわれています。
2024年の首都圏の中古マンション市場は2年連続で前年を上回る37,222件の成約件数となり、対前年103.4%と好調な売れ行きでした。1㎡あたりの成約単価においても対前年106.9%と12年連続で単価が上昇しており、この12年で201.3%と実に2倍を超える価格上昇となっております。一方で2025年に入ると東京区部以外については1㎡あたりの成約単価の下落傾向が見えつつあり、物件ごと、エリアごとの二極化傾向はより鮮明になっています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(3)で記載した経営環境を踏まえ、次年度は以下の事項を優先的に取組んでまいります。
(映像関連事業)
当社グループの映画館は、映画館毎のコンセプトを明確にし、強力なコンテンツの確保に努めながら、新たな顧客の獲得を目指しております。映画制作配給事業は、良質な企画を自社で手掛けることで、投資回収率を安定的に高めてまいります。ソリューション事業は、シネアド売上を伸長させるとともに、映画との連携を活かした企画提案などを通して、各種イベントや広告の受注獲得に努めてまいります。
(飲食関連事業)
札幌地区を中心に展開する串焼き業態は、店舗売上の着実な拡大を優先課題とし新規出店を進めるとともに、卸売業態においてスーパー等への冷凍食品の提供やテイクアウト店舗の出店による中食・卸売を第二の柱として育成してまいります。都内を中心に展開する和・洋のバル業態は、立地毎にエリアの特性にあわせた特徴ある商品やサービスを提供しながら市場の変化に対応してまいります。
(不動産関連事業)
当社グループの所有する不動産物件におきましては、より快適なオフィス空間や質の高いサービスが求められるものと認識し、施設の保全に努めてまいります。中古マンション再生販売事業は、仕入れや販売価格の変動、建築資材の高騰・供給の遅れ、人手不足の問題といった市場の目まぐるしい変化に対応するために、仕入れから販売までの期間を適切に管理し在庫の回転を高めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループを取り巻く環境は変化が激しく、特に基幹事業である映像関連事業の不確実性が高いことから、業績が大きく変動する可能性が高いため、特定の指標を中期的な経営目標として設定しておりません。中期経営方針における政策の進捗を踏まえて設定する単年度目標を着実に達成するべく取組んでまいります。
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