東京インキ
【東証スタンダード:4635】「化学」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、1923年12月に印刷用インキの製造・販売からスタートし、各種プラスチック着色剤や機能性製品、特殊な成形加工技術を駆使した樹脂加工品へと事業範囲を拡大しながら、暮らしの中でなくてはならない製品を提供し続けております。パーパス(存在意義)として『「伝える」「彩る」「守る」ことで、豊かな未来を実現する』、ビジョン(企業理念)として「暮らしを彩る、暮らしに役立つものづくりで、社会に貢献する。」、ミッション(目指すべき企業像)として「色彩を軸に、市場が求める価値をお客様と共に創造、実現し続ける企業。」を掲げ、日々活動しております。また、従業員のバリュー(行動指針)として、「挑戦し続ける」、「イノベーションで価値を創造する」、「共に成長する」を掲げております。
当社グループのパーパス(存在意義)には、印刷物やプラスチック容器等を通して、人と人との間をつなぎ、「伝える」ことで暮らしに貢献する、多種多様な色材の提供により、身の回りを「彩る」ことで生活を豊かにする、バイオマス製品や様々な機能性製品および防災・減災用途に使用される土木資材等の提供により、地球や生活を「守る」ことで社会に貢献するという想いを込めております。
パーパス(存在意義)とバリュー(行動指針)の浸透を推し進めることで、新たな価値を創造できる人材を創出し、マインドの醸成を図り、高効率で安定した企業基盤構築を目指してまいります。また、製品・サービスを通じて持続可能な価値を提供し、環境・社会と共存共栄できる企業経営を推進してまいります。
(2)経営環境
2024年度のわが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が継続されました。一方で、原材料価格の高止まり、円安とエネルギーコスト上昇等による物価高は依然として続いており、米国の政権交代による政策動向の変化が各国の政治、経済に及ぼす影響は現時点では不透明であり、為替相場の変動や不安定な国際情勢の継続等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
また、近年のデジタル技術の急速な進化により行動様式に変化が見られることで、商業・出版印刷のデジタル化へのシフトが加速していることや、サステナビリティへの意識の高まりによる環境対応の流れが加速していることにより、当社グループ製品の需要動向全体に影響が及んでおり、環境規制等による原材料の供給面等にも影響が生じております。
現在の地球環境やライフスタイルの変化に対応し、これからも人々の生活の質の向上・充実のための「伝える」製品、「彩る」製品および地球環境保全や気候変動、食品ロスなどの社会課題を解決するための「守る」製品を提供し続けることで、2030年に目指す姿である「持続可能な価値を提供し続ける企業グループへ」の実現を目指してまいります。
(3)経営戦略および優先的に対処すべき課題
①長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」
当社グループは、2023年12月に創立100周年を迎えたタイミングに、2030年に目指す姿として「持続可能な価値を提供し続ける企業グループへ」を掲げた長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」を策定いたしました。その際、当社グループは、これからの持続可能な社会のために何ができるのかを問い直し、パーパス(存在意義)を明文化いたしました。
パーパス(存在意義)『「伝える」「彩る」「守る」ことで、豊かな未来を実現する』
長期ビジョンの実現に向け、当社グループは、優先的に対処すべき課題として、マテリアリティ(重要課題)を決定し、その達成のためのアプローチを下記のとおり設定しております。
詳細につきましては、当社ホームページもしくは下記URLよりご覧ください。
https://www.tokyoink.co.jp/about/long_term_vision/
具体的な施策や指標については、期間中の中期経営計画の中で決定し推進してまいります。
②営業利益とROE推移
中期経営計画「TOKYOink 2020」(2016年度から2021年度の6カ年計画)および中期経営計画「TOKYOink2024」(2022年度から2024年度の3カ年計画)の期間において、加工品事業における防災・減災用途は堅調に推移するも、インキ事業におけるオフセット印刷市場の縮小、化成品事業における着色用途の減少、新型コロナウイルス感染症の影響や原材料価格上昇の影響等により、2019年度から2022年度の間、営業利益は低調に推移いたしましたが、2023年度以降は製品販売価格改定の進捗と高付加価値製品の伸長により回復してきております。
(単位:百万円)
棒グラフ:営業利益 折線グラフ:自己資本利益率(ROE)
③中期経営計画「TOKYOink 2027」策定
前中期経営計画「TOKYOink 2024」の結果を踏まえ、長期ビジョン「TOKYOink Vision 2030」実現に向け、「変革の実践」と位置付けた、2025年度を初年度とする3カ年計画である中期経営計画「TOKYOink 2027」を策定いたしました。高付加価値品への製品ポートフォリオのシフト、高効率化による収益性の向上により、目標達成を目指してまいります。
経営目標 | 単位 | 2024年度実績 | 2027年度目標 | 2030年度目標 |
売上高 | 百万円 | 46,806 | 48,000 | 50,000 |
営業利益 | 百万円 | 1,309 | 2,000 | 2,800 |
当期純利益 | 百万円 | 1,180 | 1,500 | 2,000 |
自己資本利益率(ROE) | % | 4.0 | 5.5 | 8.0 |
総資産 | 百万円 | 50,832 | 50,000 | 50,000 |
自己資本 | 百万円 | 29,630 | 27,000 | 25,000 |
自己資本比率 | % | 58.3 | 54.0 | 50.0 |
インキ事業 化成品事業 加工品事業(単位:百万円)
収益計画 | ・製品絞り込み(収益の見込めない製品の見直し) ⇒各事業内製品の収益性を見極めながら整理を実施 ・市場ニーズに合わせた付加価値の高い製品開発(サステナブル対応製品など) ・既存事業内の成長分野への投資拡大 ⇒成長の見込める加工品事業への積極投資の実施 ・原材料、エネルギー等のコスト上昇分の価格転嫁の推進 ・省力化、自動化による業務効率化促進 |
資本政策 財務戦略 | ・株主資本の活用を最大化 資産効率を重視したキャッシュの創出 政策保有株式の縮減 債権流動化、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善 ・強固な財務基盤の確保 成長戦略に基づく投資資金計画立案(創出したキャッシュ及び有利子負債の活用) ⇒R&D・M&A等の大型投資に対する機動的な資金調達 ・株主還元の充実 配当性向40%以上またはDOE1.0%以上 株主還元総額30億円(2025年3月期から2028年3月期までの期間において、 配当25億円、自己株式取得5億円) ※2025年3月期実績 配当4.9億円(予定)、自己株式取得2.1億円 株式分割の検討(流動性向上) |
イ.事業ポートフォリオ変革
既存事業内での高付加価値製品、サステナブル対応製品の構成比アップ、周辺領域探索による事業領域拡大、生産体制の再構築、効率化・自動化の推進による高収益化、新規事業探索から新たな事業の創出等の取り組みを進めてまいります。
ロ.主要3事業の戦略と目標
インキ事業
オフセットインキでの選択と集中による利益の最大化、グラビアインキ、インクジェットインクでの機能性製品の伸長により事業内のポートフォリオを変革し、利益拡大を目指してまいります。
オフセットインキ オフセット輪転インキ その他 | 選択と集中による利益の最大化 |
グラビアインキ 機能性製品・汎用製品・ 医薬包装製品 | 機能性製品を軸とした事業規模の拡大 |
インクジェットインク 受託製品・自社製品 | 受託・自社製品両輪での利益拡大 |
(単位:百万円)
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2027年度 イメージ |
売上高 | 13,197 | 14,026 | 14,529 | 16,341 | 16,600 |
セグメント利益又は損失(△) | △186 | △673 | 288 | 563 | 870 |
化成品事業
機能性包材用途を中心とした自社製品の販売強化とASEAN地域での販売促進により収益力改善を目指してまいります。
自社製品 マスターバッチ コンパウンド | 自社製品比率の拡大と注力分野への取り組み強化 (モビリティ、情報通信、デジタルデバイス他) |
受託製品 マスターバッチ コンパウンド | 製品構成の見直しと生産効率化 |
海外(タイ) | ASEAN地域における販売推進 |
(単位:百万円)
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2027年度 イメージ |
売上高 | 20,243 | 21,283 | 21,350 | 22,549 | 22,800 |
セグメント利益 | 712 | 419 | 190 | 605 | 650 |
加工品事業
市場成長が期待される土木資材の事業規模の拡大を軸に、ネトロン®、一軸延伸フィルム、農業資材における高機能製品開発・拡販により収益拡大を目指してまいります。
ネトロン®工材・包材 | 既存製品の収益向上と新規市場開拓 |
一軸延伸フィルム | 食品包装および産業用途展開による収益拡大 |
土木資材 | ジオセル販売の加速 |
農業資材 | エナジーシリーズ販売拡大(エナジーキーパー®、エナジークロス®) |
(注)ネトロン®は三井化学株式会社の登録商標です。
(単位:百万円)
| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2027年度 イメージ |
売上高 | 7,871 | 8,014 | 7,953 | 7,825 | 8,500 |
セグメント利益 | 352 | 524 | 516 | 335 | 670 |
サステナブル対応製品
環境負荷低減、社会課題解決に寄与できる高付加価値製品であるサステナブル対応製品の伸長により収益拡大を目指してまいります。
| 2024年度実績 | 2027年度イメージ | 2030年度目標 |
サステナブル対応製品売上高比率 | 23.8% | 30~40% | 50% |
※対象組織:当社
サステナブル対応製品定義
・バイオマス素材の積極的な採用や、生分解、リサイクルに対応した設計を盛り込んだ、環境に配慮した製品
・従来型の工法ではなく、環境に配慮した工法に向けた製品
・人々の生活や財産を守り、社会課題の積極的な解決に貢献する製品
ハ.資本政策・財務戦略
ニ.サステナビリティへの取り組み
E(環境)
気候変動対応を重要な社会的責任と捉え、温室効果ガス排出量の削減を実施いたします。
| 2024年度実績 | 2027年度イメージ | 2030年度目標 |
温室効果ガス排出量削減率 (対2013年度 Scope1、2)※ | △24.1% | △40.0% | △50.0% |
※対象組織:当社国内グループ
S(社会)
人権と人的資本
パーパスの浸透と多様性の確保により、人的資本を高めるよう努めてまいります。
| 2024年度実績 | 2027年度目標 | 2030年度目標 |
パーパス理解度 | 46.1% | 70% | 80% |
バリュー評価達成率 | 65.6% | 80% | 90% |
エンゲージメントスコア(満足度) | 5.9(10点中) | 7.0(同) | 8.0(同) |
女性管理職比率 | 2.1% | 10% | 20% |
中途採用管理職比率 | 18.6% | 25% | 30% |
教育研修費(年/人) | 31,920円 | 40,000円 | 40,000円以上 |
※対象組織:当社
健康経営
活気ある職場作りに向け、従業員の健康への取り組みを実施いたします。
| 2024年度実績 | 目標 |
定期健康診断受診率 | 100.0% | 100% |
喫煙率 | 27.8% | 20% |
適正体重者比率 | 63.0% | 70% |
高ストレス者比率 | 16.7% | 12% |
平均年次有給休暇取得率 | 71.2% | 80% |
※対象組織:当社
労働安全衛生
従業員を守るための安全・安心な職場の実現を目指してまいります。
| 2024年度実績 | 目標 |
強度率 | 0.02 | 0 |
度数率 | 0.67 | 0 |
※対象組織:連結
強度率:延べ実労働時間1,000時間当たりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す指標。
度数率:延べ実労働時間100万時間当たりの労働災害による死傷者数で災害発生の頻度を表す指標。
社会貢献活動
社会貢献活動を通じて、地域社会との関係構築や従業員育成を図ってまいります。
| 2024年度実績 | 目標(年) |
活動参加延べ人数 | 2,210人 | 2,500人 |
※対象組織:連結
G(ガバナンス)
ガバナンス体制の強化
企業価値の向上、競争力の強化に向けて、ガバナンス体制を強化してまいります。
ホ.モニタリング体制とKPIマネジメント
詳細につきましては、当社ホームページもしくは下記URLよりご覧ください。
中期経営計画「TOKYOink 2027」掲載URL
https://www.tokyoink.co.jp/ir/management/mid-termplan/
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