企業兼大株主東亜建設工業東証プライム:1885】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループにおきましては、4つのマテリアリティ(重要課題)を掲げて、研究開発を推進しております。

●4つのマテリアリティ(重要課題)

 Blue・Green(ブルー・グリーン)‐地球温暖化対策・低炭素社会の構築、自然環境保全・再生・創出

 Life-cycle(ライフサイクル) ‐維持・長寿命化、3Rの実践

 Digital・Smart(デジタル・スマート)‐品質・安全・生産性の向上、ウエルネスの向上

 Resilience(レジリエンス) ‐防災・減災、強靱化、安心・安全の提供

 当連結会計年度における研究開発費は1,414百万円であります。また、主な研究開発成果は次のとおりであります。

(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)

(1)減揺タンク工法を開発〈Digital・Smart〉

港湾の防波堤や岸壁の構築には、「ケーソン」と呼ばれる大型のコンクリート製躯体が多く用いられます。ケーソンは、陸上や船舶のドックで製作された後、大型の起重機船で吊り下げる形や海上に浮かべる形で設置場所まで運搬されます。このうち、海上に浮かべた状態のケーソンは「浮遊ケーソン」と呼ばれ、タグボート(曳船)で曳航されます。曳航中は波浪の影響を強く受け、特に外洋では波の周期によっては、ケーソン動揺と波浪の共振が起こり、「ロール(Roll)」および「ピッチ(Pitch)」の回転運動が増大します。その結果、施工時に人の身長を超えるほどの端部動揺が発生することもあります。これにより、作業員の転落リスクやワイヤーの破断による事故、さらにはケーソン下端の接触による捨石基礎や構造物自体の損傷リスクが生じます。これらの問題は、据付精度や施工可否(稼働率)にも影響を与えるため、効果的な動揺低減策の導入が求められていました。そこで、ケーソンの動揺を低減することを目的に「減揺タンク工法」を開発しました。

「減揺タンク工法」は、ケーソン上に直方体のタンク(減揺タンク)を設置し、タンク内の水の動きを利用して浮遊ケーソンのロールおよびピッチを抑制する技術です。ケーソンの動揺と減揺タンク内の水の動きの位相差により、動揺を減衰させるモーメントを発生させます。特に波浪の周期とケーソンの動揺が共振する際に大きな効果を持ち、動揺の半減が見込まれます。減揺タンクの設計に必要な数値解析技術を開発し、効果の定量予測も可能となりました。本工法の導入により、施工の安全性向上、生産性の向上が期待されます。

(2)船舶航行監視システム「COS-NAVI」を開発〈DigitalSmart

多くの一般船舶が行き交う海上で工事を行う際には、工事用船舶の運航状況や周辺を航行する一般船舶の動静を注視し、安全航行に努めることが重要です。当社は、GNSS、船舶自動識別装置(AIS)、船舶レーダー等を使用し、周辺海域に存在する船舶の位置および動静情報を自動入手し、工事関係者に展開することで、海上工事の安全確保に寄与してきました。しかしながら、船舶情報を入手する上で、船舶レーダーは航行安全上、特に必要な500m以内の近距離における船舶の検知には不向きであることが課題でした。そこで、AI画像認識技術を用いて船舶を自動検知する機能を取り入れた船舶運航監視システム「COS-NAVIConstruction On the Sea NAVIgation system」を開発しました。

「COS-NAVI」は、AI画像認識技術を利用し、カメラで撮影した映像内の船舶をAIで検知するとともに、検知した船舶の位置情報を取得します。また、検知した船舶を自動追尾し、継続的に位置情報を取得することで、画面上に船舶の位置を表示するシステムです。本技術の活用により、操船者による船舶の見落としを予防し、海上作業時の運航管理の安全性と生産性の向上を図ることが可能となります。

 なお、本技術は、国土交通省が提供する新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました。

(3)広域通信型 落水者救援支援システムを開発〈DigitalSmart

港湾工事においては、作業員が水中に転落する事故が起こることがあります。水中転落(落水)は、その瞬間を目撃する以外は、現場を巡回する職員の目視や作業員の不在によって発生を把握していました。港湾工事に従事する作業員は、万が一の水中転落に備えてライフジャケットを着用していますが、事故の発生から救助までに要する時間により、生存確率は大きく変化するため、救命のためには早期の発見と救助が必要不可欠です。そのため、誰がいつ、どこで水中転落したのかを早期に把握し、迅速な救助活動に繋げることを目的に「広域通信型 落水者救援支援システム」を開発しました。

「広域通信型 落水者救援支援システム」は、水上(港湾、河川等)作業において、作業員の落水を検知し、関係者へ通知するとともに、落水者の位置を追跡する安全管理システムです。落水を検知すると信号を発信するセンサーと、位置情報を取得するGNSS端末を作業員に携帯させることで、落水事故の発生を瞬時に検知するとともに、作業員の位置がシステム画面上に常時表示されるため、早期発見と迅速な救助活動を支援することができます。また、LPWALow-Power Wide Area Network:省電力広域ネットワーク)規格のGNSSを採用することにより、携帯電話が圏外となる場所でも作業員の位置を把握することが可能です。

なお、本技術は、国土交通省が提供する新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました。

(4)人工排水材を用いたボイリング被害抑止(SBDS)工法の開発〈Resilience

南海トラフ地震や首都圏直下型地震の発生リスクが逼迫する中、優先事業の継続自体を目的とした防災対策(=BCP防災)の必要性が提唱されておりますが、対策コストや施設の利用制限等の課題から民間企業を中心に対策の遅れが目立っております。実際に、臨海部の港湾施設・工場・商業施設など広大な用地を有する施設全域に液状化対策を実施することは、上記課題に照らして現実的ではなく、BCP防災対策を推進する観点からも、安価でコンパクトな資機材を用いて短期間に施工可能な対策工法が選択肢として望まれています。そこで当社を含めたDEPP工法研究会の会員6社と(国研)海上・港湾・航空技術研究所と共同で、人工排水材を用いて表層地盤のボイリング(噴砂)現象を抑制し、地震被害を最小限に防ぐ新たな耐震対策工法である「ボイリング被害抑止工法(SBDS工法:Sand Boil Damage Suppression Method)」を開発しました。

SBDS工法は、対象地盤に有効打設長35mの短尺の人工排水材を打設することにより表層地盤部の排水性を高め、中・深層の液状化を許容しつつも、表層に伝播する過剰間隙水圧を速やかに吸収し、地盤の不均質性などで局所的に強まる上向き浸透流を防ぐことでボイリングの発生を抑止します。対策範囲以深では液状化を許容するため、一定の地表面沈下は生じますが、交通荷重や上載荷重に対する地盤支持力を確保し、施設機能の健全性を維持することができます。従来の液状化対策とは異なる発想による地震時のボイリング発生を抑止できる低コストの地震対策工法として、BCP防災の推進を後押していきます。

(その他)

研究開発活動は特段行っておりません。

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