企業兼大株主東亜建設工業東証プライム:1885】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループにおきましては、4つのマテリアリティ(重要課題)を掲げて、研究開発を推進しております。

●4つのマテリアリティ(重要課題)

 Blue・Green(ブルー・グリーン)‐地球温暖化対策・低炭素社会の構築、自然環境保全・再生・創出

 Life-cycle(ライフサイクル) ‐維持・長寿命化、3Rの実践

 Digital・Smart(デシタル・スマート)‐品質・安全・生産性の向上、ウエルネスの向上

 Resilience(レジリエンス) ‐防災・減災、強靱化、安心・安全の提供

 当連結会計年度における研究開発費は1,209百万円であります。また、主な研究開発成果は次のとおりであります。

(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)

(1)桟橋調査用軽量ユニット足場「SPIDER WEB STAGE」を開発〈DigitalSmartLife-cycle

桟橋下で調査等の作業を行うには、海上に足場を設置する必要があります。作業足場には、上部工に設置した吊り治具等に支持をとる吊り足場と、鋼管杭の水中部に支持をとるブラケット足場があります。これらの足場の構築には、海上作業の経験者や潜水士といった熟練工が必要となるため、担い手不足が深刻化する今後は、熟練工の確保が難しくなることが予想されます。

そこで、調査等の短期間で完了する作業を主たる対象にして、同じ作業日に設置・撤去ができる桟橋調査用軽量ユニット足場「SPIDER WEB STAGE」を開発いたしました。本足場では、軽量かつユニット化された部材を用いるため、作業員2名で30分以内に設置(または撤去)を行うことができます。これにより、足場の設置・撤去作業の生産性向上及び急激な気象・海象変化による足場損壊リスクの低減を図ってまいります。

(2)ブルーカーボン生態系の拡大に向けた取組み〈Blue・Green〉

国土交通省港湾局では、脱炭素社会の実現に向け、物流や人流の拠点となる港湾においてカーボンニュートラルポートの形成に関する検討を進めており、港湾・沿岸域におけるブルーカーボン生態系を拡大させる取組みを推進しております。当社では、ブルーカーボンに関する技術のひとつとして、直立港湾構造物に海藻を繁茂させ、CO2吸収機能を持たせる技術を検討しております。そこで、関東地方整備局の実海域実験場提供システムを活用し、横浜港南本牧ふ頭の直立港湾構造物に海藻の着生及び生育を促す着生基盤を設置してその効果を検証しております。

当社の考案した海藻の着生及び生育を促す角部を有する突起形状の着生基盤を横浜港南本牧ふ頭の直立港湾構造物に設置し、設置約1年後に海藻の着生状況を確認いたしました。

その結果、突起形状の角部を起点として海藻であるアオサ属等の緑藻類の着生が認められ、海藻着生の有効性が確認されました。

今後は、海藻の生育状況と着生基盤への生物の着生状況のモニタリングを継続し、多様な海藻がより効果的・効率的に着生・生育しやすい形状や方策を検討するとともに、カーボンニュートラルポートの形成に資する技術として全国の港湾への展開も検討してまいります。

(3)浮遊ケーソンの動揺低減技術の研究開発を推進〈DigitalSmart

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所の革新的社会資本整備研究開発推進事業に採択された防波堤整備等における生産性向上に資する「浮遊ケーソンの動揺低減技術の研究開発」について、茨城港常陸那珂港区で実物のケーソンを使用した実海域実験を実施いたしました。当社が考案した浮遊ケーソンの動揺低減方法は、ケーソン上に減揺タンクと呼ぶ「内部に水を薄く張った長方形の容器」を上下2段で格子状に複数配置して、減揺タンク内の自由水が波浪によるケーソンの傾きによって移動することで、揺れを抑える力が発生しケーソンの動揺を低減させるものです。

実海域実験では、浮遊ケーソンの長手方向に傾斜するPitchと呼ばれる動揺が卓越するように、ケーソンの長手方向を波向に一致させ計測を行い、今回の条件ではおよそ30%の動揺低減効果を確認することができました。これにより、実海域において実物のケーソンでも減揺タンクを利用することによって動揺を低減することが可能であることが実証されました。

本実験結果を取りまとめ、減揺タンクの製作コスト削減や減揺タンク設置・撤去の工程の短縮等を行い現場に導入し得る技術へとブラッシュアップを続けてまいります。将来的にはケーソンの自動据付等のICTとの連携によるケーソン据付のDXを推進し、防波堤整備等における生産性向上を通じてインフラ整備に貢献できるよう鋭意努力してまいります。

(4)水中ドローンを利用した岸壁の3Dモデル化を検証〈DigitalSmart

港湾構造物の維持管理は潜水士による潜水調査が主流ではありますが、コストや時間を要する一方で劣化箇所の局所的な写真しか撮影できず全体の把握が難しいという課題があります。

近年、ドローンを用いた陸上の写真測量は大規模な造成現場などで用いられる例が見られますが、当社は本技術を応用して水中で撮影した写真から構造物の形状を3次元モデル化する試みを行っております。検証では、多少濁りのある海域でもオルソ画像を生成でき、対象物の寸法等が計測できることを確認いたしました。本技術を用いることで、広範囲の水中構造物等の調査を容易に、高精度かつ低コストで行うことができます。

本技術により、港湾構造物の破損・変形・亀裂の有無、水生生物の付着状況などをより正確に把握でき、更には定期的な調査に用いることで、構造物の経時変化を把握できることから、港湾構造物の維持管理に非常に有効な方法であると考えております。

(5)THJ耐震補強工法の建築技術性能証明を取得〈Resilience

稼働中の冷蔵倉庫内をマイナス温度に保ったまま(-25℃まで対応可能)で、常温での施工と同等の耐震性能を確保できる耐震補強工法として2021年に開発した「THJ耐震補強工法」について、建築技術性能証明をビューローベリタスジャパン株式会社より取得いたしました。

建築技術性能証明の取得により、「THJ耐震補強工法」の耐震性能に対する信頼性が更に高まると共に、今後、本工法を採用する施主にとっては耐震改修工事に関する自治体などからの補助金を得られやすくなるメリットが生じます。また、「THJ耐震補強工法」により、旧耐震基準の冷蔵倉庫の建物寿命を延命できることになるため、当社は「冷蔵倉庫の相談室」を窓口として、更に本工法の普及・促進を図ることで、スクラップアンドビルドによる環境負荷の低減によって、SDGsの実現に貢献してまいります。

(その他)

研究開発活動は特段行っておりません。

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