企業兼大株主東レ東証プライム:3402】「繊維製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループは「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念の下、技術センターにすべての研究・技術開発機能を集約し、当社グループの総合力を結集してイノベーション創出に取り組んでおります。

 将来にわたる持続的成長のために、研究・技術開発への継続的投資を行っており、コア技術である有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースに、重合、製糸、製膜など要素技術の深化と融合を進め、各事業セグメントで先端材料の創出、事業化を実現しております。近年では、素材に関するナノテクノロジーの極限を追求した「スーパーナノテクノロジー」ともいうべき独自技術の各種事業への実用化を加速させてきました。繊維分野での革新複合紡糸技術「NANODESIGN®」、樹脂分野での革新的微細構造制御技術「NANOALLOY®」、フィルム分野での革新的積層制御技術「ナノ積層/NANO-Multilayer」などです。これらの技術は従来になかった特性と特長を有する素材を創出し、社会に付加価値を生み出し続けております。

 当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は以下のとおりです。

(1) 繊維事業

 アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進しております。その成果として、『繊維断面の精密制御による高機能テキスタイルの開発』について、公益社団法人日本化学会より「第71回化学技術賞」を受賞しました。新発想の流動制御技術を用いることで、繊維断面形状の制御を飛躍的に高度化する、革新的な複合紡糸技術NANODESIGN®の創出と工業化が顕著な業績として評価されたものです。NANODESIGN®は、布帛や不織布などの繊維素材に求める機能を、断面形態やそれを構成するポリマーといった繊維の設計に落とし込むことが可能となり、新触感素材Camifu®など、従来素材とは一線を画す快適衣料用繊維の開発が可能となりました。今後、衣料分野での拡大に加え、産業資材用途からライフサイエンス製品まで各分野での応用展開も進めます。また、植物由来比率を世界最高水準に高めた銀面調人工皮革Ultrasuede® nu (ウルトラスエード ヌー)を開発しました。Ultrasuede®は、粗原料の一部に植物由来の再生資源を使用した品種について、2015年に世界で初めて商業生産を開始して以来、環境に配慮した製品開発に注力しており、今後も植物由来比率が向上した素材を使用し商品開発を進めます。

(2) 機能化成品事業

 樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の新製品開発、及び既存製品の高性能・高機能化を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、高耐熱アラミドポリマーの分子設計技術を駆使し、無孔でありながら電池作動を可能とする空気電池用イオン伝導ポリマー膜の創出に成功しました。リチウム空気電池のセパレータに適用することで、安全性の向上と電池の長寿命化が図れます。今後、電気自動車(EV)や産業用ドローン、UAM (Urban Air Mobility)などの航続距離拡大に向けた早期の技術確立を目指します。また、シンガポール科学技術研究庁A*STARの先端的半導体研究機関であるInstitute of Microelectronics (以下「IME」という。)と、SiC (炭化ケイ素)パワー半導体向け高放熱接着材料の実用化に向けた共同研究を開始しました。SiCパワー半導体は、省エネルギー・カーボンニュートラルの観点から、車載用途をはじめ、スマートグリッドやデータセンターなどへの拡大が期待されております。IMEの設計・試作・評価技術と、東レの材料・プロセス技術を融合することで、半導体の安全性や品質・信頼性の向上に取り組み、2025年の実用化を目指します。

(3) 炭素繊維複合材料事業

 炭素繊維の高性能化と品質信頼性の追求により世界ナンバーワンを堅持するとともに、地球温暖化問題に貢献する複合材料事業の拡大を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、航空機部材を熱溶着により高速で接合する技術を開発しました。本技術により、CFRP製機体の高レート生産と機体の軽量化が期待できます。2030年以降の機体実用化に向けて実証を進めるとともに、CFRPのさらなる適用拡大を推進してまいります。

(4) 環境・エンジニアリング事業

 水処理膜とエンジニアリングを軸に成長分野での事業拡大を目指し、研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、水処理需要の急速な拡大が見込まれるインド市場に新たな水処理研究拠点を開設しました。水処理分野においても豊富な研究実績を有するインド工科大学マドラス校(Indian Institute of Technology Madras)と、東レが保有する水処理膜を用いた下水再利用技術に関する共同研究を行い、同国への展開促進を目指します。

(5) ライフサイエンス事業

 ライフイノベーション事業拡大のため医薬品、医療機器、バイオツールの研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、医療機器分野で、公益社団法人 発明協会が主催する令和4年度の全国発明表彰において『抗血栓性透析モジュールの発明』が「特許庁長官賞」を受賞しました。また、同様の技術である『水の運動性に着目した抗血栓性ポリマーの設計と人工腎臓の工業化』が「2022年度高分子学会賞(技術部門)」を受賞しました。透析治療に使用される透析器等において、従来品に比べて膜の目詰まりが少なく、血液の流れが良い透析器等を実用化し、慢性腎不全及び急性腎不全患者様の生活の質(QOL)の向上や医療スタッフへの負荷軽減に貢献したことが評価されました。また、新規の体外診断用医薬品として、東レが独自に取得した抗体を用い、膵がんが疑われる患者様の血液中のアポリポ蛋白A2 (APOA2)アイソフォーム濃度を測定することで膵がんの診断を補助する検査キットを、厚生労働省へ製造販売承認申請しました。

 上記セグメントに属さない基礎研究、基盤技術開発として、カーボンニュートラルの実現に向けて、水素社会の実現に貢献する基幹素材の開発に取り組んでおり、電解質膜(Catalyst Coated Membrane)の事業化に向け新たな事業部門としてHS事業部門を設立しました。また、世界的に需要が拡大する環境・モビリティ領域での事業拡大に向け、技術開発力及び技術マーケティング機能の強化、並びにグローバル開発拠点の連携強化を図るため、同領域の開発を一元的に担う「環境・モビリティ開発センター」を発足したほか、社内外の幅広い要素技術を融合させた素材開発を推進し、グリーントランスフォーメーション(GX)や次世代モビリティに対応する新研究棟を名古屋事業場に設置することを決定しております。更に、高度な分析や物性解析で総合的な研究開発支援を行う、子会社の㈱東レリサーチセンターにおいては、新社屋を滋賀に設立し、社外連携の高度化を目的にオープンラボ「先端分析プラットフォーム」を設置しました。社内外のオープンイノベーションの強化を図り、長期的視点での革新的な先端材料・先端技術の創出を通じて、持続可能な未来社会の実現に貢献してまいります。

 当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、689億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は498億円)です。セグメント別には繊維事業に約10%、機能化成品事業に約27%、炭素繊維複合材料事業に約15%、環境・エンジニアリング事業に約7%、ライフサイエンス事業に約4%、本社研究・技術開発に約37%の研究開発費を投入しました。

 当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,514件、海外で3,232件、登録された件数は国内で604件、海外で1,480件です。

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