星和電機
【東証スタンダード:6748】「電気機器」
へ投稿
企業概要
当社グループでは「省エネルギー」と「人と環境を考えたものづくり」を基本として、各分野にわたって「環境配慮」をキーワードにした研究開発に取り組んでおり、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。
研究スタッフはグループ全員で67名であり、これは従業員の10.8%にあたります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は585百万円であり、各セグメントに配分していない全社費用309百万円を含んでおります。
情報機器事業
情報機器事業では、道路における付帯設備の老朽化・延命化を主眼に、保守メンテナンスの高度化のための技術開発として道路情報板などのモニタリング技術の研究開発を推進しており、路上設備などの状態を遠隔から収集し、遠隔から対処できるシステム製品などを積極的に提案して参ります。
新製品として、遠隔から電子機器等の電源リセット操作が行えように配線用遮断器とレバー駆動機構がIPネットワークに直接接続できる一体化製品を開発し、販売を開始しました。
この製品は、近年の現場機器のIoT化に伴い、ネットワークに接続される電子機器は増え続けており、高度・高速化により現場で生じている電子機器のフリーズ発生時に遠隔から電源リセット操作ができ、現場に急行する煩わしさを減らし、屋外機器のメンテナンス性を向上させます。
本装置は、道路情報板、気象観測局、CCTVカメラなどの路上端末設備での導入を想定しており、トラブル時の迅速な運用復旧により、道路利用者のサービス向上とインフラメンテナンスの省力化・効率化に貢献します。
また、既存設備の維持管理の向上をテーマに、当社の主力事業である道路情報板などの構造物の維持管理の軽減を主眼とし、支柱の異常検知ができるシステムを株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング・東京理科大学と共同研究によりシステムが完成し、センサ端末と状態収集システムの販売を開始しました。
このシステムは、道路情報板の支柱の揺れ方を常時遠隔監視することにより、倒壊に直結する異常事象を早期に発見することができるモニタリングシステムです。遠隔監視による定量評価が可能なため、人口減少による労働者不足、維持管理業務の省力化および高度化、目視点検の属人化解消に貢献します。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は80百万円となりました。
照明機器事業
照明機器事業では、産業用・インフラ用照明製品を中心に技術力強化と製品拡充に努めております。
産業用照明関連では、防爆照明器具を中心とした製品ラインアップのモデルチェンジを拡充し、業界初となる安全増防爆形LED捕虫器をリリースしました。紫外線LEDを採用したことで、従来製品よりも省エネ・長寿命を実現し、社会課題であるCo2排出量の削減にもつながります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は60百万円となりました。
コンポーネント事業
コンポーネントシステム事業では電磁波環境対策部品を中心に、社会変化に伴うお客様での課題を解決できる技術、製品拡充に努めております。
製品としては、従来の製品より耐熱性を向上させた、耐熱ガスケット、耐熱シールドシート、耐熱電磁波制御材(熱伝導タイプ)を新製品としてリリースしました。対策市場の多様化が進んでおり、これまでの製品では対応が困難であった車載ECUやインバーター等新たな市場での採用が期待できます。今後も更なる性能向上に向け、技術開発と製品拡充に努めてまいります。
また、シミュレーションモデルの拡充、10m法電波暗室における「ISO/IEC17025:2017試験所」認定範囲の拡大を実施しており、お客様に提供するサービスの信頼性向上を図りました。今後も信頼性向上に向け、技術構築を図ると共に、サービス提供からお客様が抱える課題の抽出、解決できる仕組み強化に努めます。
上記の開発以外にも植物成分から独自開発した環境に配慮した技術で抽出した材料を用いた、カーボンナノチューブ向け分散剤の開発、リリースをしました。今後もサスティナブル社会に貢献する材料開発に努めます。
今後も予想されるリスクや社会の変化に対応し、ソリューションの提供とエンジニアリング力の強化、持続可能な開発に努めてまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は135百万円となりました。
その他
要素技術の研究開発
当社は各事業の新製品開発だけでなく要素技術にも研究開発を進めております。
空中ディスプレイ研究の一環として、空中像の浮遊感向上に取り組んでいます。人の奥行き知覚は距離が遠くな
るほど小さくなるため、空中像を長距離で浮いて見えるようにする工夫が必要でした。この課題に対し、空中像
の周りを囲む枠である空中ガイドを導入し、回転させることで観察者の浮遊感が向上することを発見しました。今
後は、空中ガイドの色による違いについて一対比較法を用いて検証を進めます。
本成果として当社社員と国立大学法人宇都宮大学 共同研究者で執筆した研究開発論文が学術雑誌に掲載されま
した。
タイトル
「Enhancement of Floating Sensation by Introducing Aerial Guide to Aerial Signage Formed with AIRR
Using Fresnel Lens」
フレネルレンズを用いたAIRRによって形成した空中サイネージへの空中ガイド導入による浮遊感向上
出版社:映像情報メディア学会
雑誌名:ITE Transactions on Media Technology and Applications
リンク:https://doi.org/10.3169/mta.13.14
今後も、要素技術の研究開発を推進してまいります。
新規事業創成
当事業年度、既存事業に加えて新たな事業の創成に向けて新規事業本部を創設しました。
「新しい事業を技術から創出することにより、持続可能な社会を実現する」をビジョンとし、豊かな社会、環境
に配慮した社会、安心社会の実現に向けて、技術開発と事業企画の両輪で新たな価値創造を目指します。次年度よ
り、新規事業創成本部に改称し、カーボンニュートラル、Society5.0、SDGsといった社会動向、社会問題の解決に
貢献する事業創出を目指します。
当連結会計年度における各セグメントに配分していない全社費用は309百万円となりました。
- 検索
- 業種別業績ランキング