明治ホールディングス 【東証プライム:2269】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、グループ理念に掲げる使命・役割のもと、「食と健康」の企業グループとしてお客さまの生活充実に貢献することで持続的な成長・発展をすべく全力を尽くし、あらゆるステークホルダーとの信頼に基づき企業価値の向上を図ってまいります。
[グループ理念]
私たちの使命は、「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、
「健康・安心」への期待に応えてゆくこと。
私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、
日々の「生活充実」に貢献すること。
私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、
常に一歩先を行く価値を創り続けます。
[経営姿勢] グループ理念を実現させていくにあたり、経営の基本姿勢を表明したものです。
1.「お客さま起点」の発想と行動に徹する。
2.「高品質で、安全・安心な商品」を提供する。
3.「新たな価値創造」に挑戦し続ける。
4.「組織・個人の活力と能力」を高め、伸ばす。
5.「透明・健全で、社会から信頼される企業」になる。
(2) 中長期的な経営戦略と経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社グループは、移り変わる環境下にあってもグループ理念を体現し、成長し続ける企業グループであるために、2026年度(2027年3月期)までの長期ビジョンを策定し、その実現を目指しています。
実現に向けては3年ごとの中期経営計画を策定してより具体的な実行計画に落とし込み、取り組んでいます。
また、2021年6月1日にはグループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新しました。当社グループは100年以上にわたり「おいしさ・楽しさ・健康・安心」の世界を拡げることに努めてまいりました。これからはグループ内外の食と医薬の知見を融合させ、新しい価値を創造します。特に「健康」というフィールドで「meijiらしい健康価値」を提供し、これまで以上に大きな役割を果たしていくことを目指します。「meijiらしい健康価値」とは、CURE(なおす)、CARE(まもる)、SHARE(わかちあう)のサイクルでひとりの健康をみんなの笑顔につなげていき、健康であることの幸せを周囲に拡げ、社会、地球が健康である「より良い未来」に貢献していくことです。
① 長期ビジョン「明治グループ2026ビジョン」(2018年5月発表)
目指す企業グループ像
明治グループ100年で培った強みに、新たな技術や知見を取り入れて、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、日本、世界で成長し続ける。
目標水準
・営業利益成長率 1桁台半ば以上(年平均)
・海外売上高比率 20%を目指す
・ROE 10%以上を維持
重点方針
1.コア事業での圧倒的優位性の獲得
2.海外市場での成長基盤の確立
3.健康価値領域での新たな挑戦
4.社会課題への貢献
同ビジョンの実現に向けては、重点方針に沿って策定した「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」をもとに、活動を推進しています。
事業ビジョン
(食品セグメント)
国内ではコア事業であるヨーグルト、チョコレート、栄養食品に注力すると同時に、さらなる事業ポートフォリオの強化を目指します。海外では、各地域で明治らしい、差別化された商品を展開し、独自のポジションを確立します。そしてブランド認知を獲得し、成長を加速させます。
(医薬品セグメント)
感染症治療薬やジェネリック医薬品、バイオ医薬品などを国内のみならず、海外展開も含めてトータルで拡大します。特に感染症領域ではアジアのリーディングカンパニーとなるべく、生産能力、研究開発、普及活動をそれぞれ強化します。
(グループ全体)
食品、医薬品の各事業で培ったノウハウ・強みを生かすとともに、オープンイノベーションにより社外の知見を積極的に取り入れることで、健康・予防領域における独自価値の創出を目指します。
サステナビリティビジョン
人びとが健康で安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指して、事業を通じた社会課題の解決に貢献すべく、「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」を主要活動テーマに掲げ、推進します。
経営基盤ビジョン
機能的・戦略的なマネジメント体制の確立や、一人一人の力が発揮できる環境・仕組み・風土づくり、さらにはmeijiブランドの進化に向けた取り組みを推進します。
② 経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社グループを取り巻く市場環境は、競争の激化、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた市場構造や消費マインドの変化など、不透明な状況が続いています。また、原材料価格やエネルギーコストの高騰が企業収益を圧迫し、消費者物価にも大きな影響を与えています。加えて、気候変動や環境問題への対応、人権や多様性の尊重、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任も増大しています。企業価値評価の考え方も大きく変わっており、企業の持続可能性、リスクへの強靭性、社会への貢献度が重視されています。
このような環境下において、当社グループはグローバルで健康・栄養の社会課題の解決に貢献できる企業として持続的な成長を目指すべく、以下の課題に適切に取り組んでまいります。
・事業活動とサステナビリティ活動が相互に矛盾せず、同時に実現できるビジネスモデルの確立を目指します。社会課題解決への取組みは事業成長やイノベーションのためのシーズであり、新たな価値創造に果敢に挑戦します。
・経営効率や資本コストを意識した経営管理体制に転換し、最適な事業ポートフォリオを構築し、資本生産性のさらなる向上を目指します。
・赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の「こころとからだの健康」に貢献するユニークな企業グループとしての強みに磨きをかけ、グループシナジーの創出を実現します。
③ 2023中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)
当社グループは創業から続く「健康価値の提供」を再認識し、世界の人びとや社会と健康をシェアするサステナブルな企業グループとして成長することを目指します。
「2023中期経営計画」では従来の売上高や営業利益などの成長性・収益性の目標指標に加えて、新たに明治ROESG®※を掲げます。明治ROESG®はROEとESG指標に、明治らしいサステナビリティ目標(明治らしさ目標)を加えた独自の指標です。これを役員報酬と連動させることにより、その実効性を担保します。また、ROICも資本生産性や効率性の目標指標として新たに設定します。事業別にROICを活用して効率性や収益性を管理することで資本コストを意識した事業運営を徹底し、事業ポートフォリオ戦略の権限や責任体制を明確化します。設備投資や研究開発投資の評価としても活用し、グループ全体の経営管理体制を強化します。
※ROESGは一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
<明治ROESG®>
目標指標
| 指標 | 2023年度 目標 (2024年3月期) |
統合目標 | 明治ROESG® | 13ポイント |
成長性・収益性 | 連結売上高 | 1兆800億円 |
・食品セグメント | 8,745億円 | |
・医薬品セグメント | 2,090億円 | |
連結営業利益(率) | 1,200億円 (11.1%) | |
・食品セグメント | 1,020億円 | |
・医薬品セグメント | 185億円 | |
海外売上高 | 1,345億円 | |
効率性・安全性 | ROIC | 10%以上 |
・食品セグメント | 12%以上 | |
・医薬品セグメント | 6%以上 | |
株主還元 | ROE | 11%以上 |
2023年3月期における2023中期経営計画の進捗状況は、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況に記載のとおりであります。
具体的な戦略のポイントは以下のとおりです。
事業戦略
(食品セグメント)
・コア事業の成長力の回復
ヨーグルトやプロバイオティクスは、既存商品の機能やエビデンスを強化するとともに、新たな健康価値を持った新製品の開発にも取り組みます。
ニュートリションでは、引き続きスポーツプロテイン「ザバス」の売上拡大に取り組むとともに、乳幼児ミルクや流動食は提供価値の拡充によるシェア拡大を目指します。
チョコレートは、カカオの価値を生かした新たな商品開発にチャレンジします。サステナブルカカオ調達を推進し、商品の付加価値化をさらに進めます。また、生産体制の最適化に取り組みます。
・海外展開の強化
特に注力する中国エリアでは、牛乳・ヨーグルト、菓子、アイスクリームの各事業において生産能力を大幅に拡大し、売上成長を加速します。また、プロバイオティクスや「ザバス」の売上拡大にも取り組み、次の成長の柱として育成します。
(医薬品セグメント)
毎年実施される国内の薬価改定や受診行動の変化による影響に左右されない、強固な事業ポートフォリオを構築します。
・ワクチン事業の強化
製販一体となったサプライチェーンマネジメントをさらに強化します。また、研究開発における社内外の連携を強化するとともに、新たな創薬技術の構築にも取り組みます。
・受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化
海外市場に向けては、既存顧客との取引拡大や新規取引の獲得に取り組み、生産能力も増強します。また、研究開発力を強化して競争優位性を確保するとともに、医薬品アクセス向上に対応します。
日本市場に向けては、日本水準の高い品質と低コストでの製造が可能なインド子会社の大規模生産能力を活用し、取引拡大を目指します。
(グループ全体)
・免疫領域での貢献
抗老化素材の事業化や免疫増強物質の創出など、健康寿命延伸に向けた新たな価値提供に取り組みます。
・オープンイノベーションの推進
外部との連携を強化し新規事業の創出を目指します。「明治アクセラレータープログラム」をはじめとする複数の創発プログラムを新設・実行するとともに、新しい技術を持つスタートアップ企業やベンチャー企業を探索します。
財務戦略
・ROICの活用により経営管理体制を強化し、資本生産性の向上に取り組みます。
・資本配分については、営業キャッシュ・フローの範囲内で成長投資を実施するとともに、継続的な増配を目指します。また最適資本構成の観点から自己株式の取得も検討します。政策保有株式は30%削減(簿価ベース)します。
サステナビリティ戦略
各活動テーマの中で以下の取り組みを重点的に進めます。
(こころとからだの健康)
・事業を通じた健康な食生活への貢献
健康志向商品や付加価値型栄養商品を創出し、健康な食生活や食文化の普及・啓発に取り組みます。
・新興・再興感染症への対応
新型コロナウイルスワクチンの開発・供給に取り組むとともに、デング熱などのワクチン開発を進めます。
(環境との調和)
・気候変動への対応
再生可能エネルギーの活用を強化します。また、SBT※1認定の取得やインターナルカーボンプライシング※2の導入、特定フロン全廃に向けた取り組みを進めます。
※1: Science Based Targetsの略。科学と整合した目標設定
※2: 企業内での炭素の価格付け
・プラスチック資源循環の推進
引き続き、容器包装の軽量化や紙製への変更などの「リデュース」の取り組みを進めるとともに、バイオマスプラスチックや再生プラスチックの使用を拡大します。
・水資源の確保
水使用量を削減するとともに水源保全活動を進め、水リスクに対応します。
(豊かな社会づくり)
・多様性の尊重
ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めます。
・人権の尊重
人権デュー・ディリジェンスを実施し、適切に情報を開示します。
・働きやすい職場づくり
会社と健康保険組合で構成する「グループ人財委員会(健康経営分科会)」にて、健康経営の重点目標を設定し、積極的に推進します。
(持続可能な調達活動)
人権・環境に配慮して原材料を調達します。責任あるサプライチェーンを構築するとともに、サステナブルカカオ豆、認証パーム油、環境配慮紙の計画的な調達を進めます。
また、ESG投資枠を設定し、CO₂排出量の削減や脱フロン対策、プラスチック使用量の削減、水資源の確保、医薬品の安定供給に関連した取り組みを円滑に遂行します。
項目 | 主な投資内容 |
CO₂排出量の削減 | ・省エネ機器の導入 ・太陽光発電設備の導入 など |
脱フロン対策 | ・ノンフロン冷蔵・冷凍設備の導入 |
プラスチック使用量の削減 | ・容器包装軽量化のための設備投資 ・環境に配慮型した容器包装の設備導入 |
水資源の確保 | ・水の効率的な使用に資する設備の導入 ・水質改善設備の導入 |
その他 | ・医薬品安定供給に資する設備導入 など |
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