日鉄鉱業
【東証プライム:1515】「鉱業」
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企業概要
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。
機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。
(2) 第3次中期経営計画の概要と実現に向けた取り組み
当社グループは、2024年度から2026年度の3ヶ年を対象とする第3次中期経営計画を策定し、2024年5月に公表しております。当該計画の概要は、以下のとおりであります。
① 長期ビジョン(2033年度のありたい姿)
資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。
≪2033年度の経営管理目標≫
ROIC(投下資本利益率) 7%以上
当該計画期間では、第1次中期経営計画より掲げてきた長期ビジョン『資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。』を2033年度のありたい姿として明示し、2033年度の経営管理目標をROIC7%以上に設定しております。
ありたい姿とは、当社事業の基軸である資源事業では、資源の安定供給に努めるとともに、長年培った技術力を最大限に活かして、新規資源の確保・開発並びに鉱物資源の価値向上を図っていくこと、さらに地質コンサルティングなど鉱山周辺技術の開発に取り組み、「総合資源会社」としての事業基盤の更なる強化を目指しつつ、機械・環境事業、不動産事業、再生可能エネルギー事業など当社グループの総合力を発揮して、企業の持続的成長を実現するというものです。
その実現に向けた定量目標として、今回新たに定めたものがROIC7%以上の達成であり、これは当社が想定する資本コストであるWACC6%を上回る水準となります。
当該計画期間においては、2033年度のありたい姿からバックキャストすることで策定した成長戦略のもと、具体的な取り組みを実行してまいります。
② 基本方針
・ROIC経営を導入し管理にあたるとともに、全社から各セグメント、各セグメントから各事業所単位への浸透・定着と資本効率の向上を図る
・アルケロス鉱山の開発を着実に進め、操業開始を実現する
・鳥形山を中心とする石灰石供給体制の最適化に取り組む
・新市場開拓(石灰石・ポリテツ)に向けた取り組みを推進する
・権益(Major/Minor)やアプローチ(Green Field/Brown Field)にこだわらず、新規資源の確保と開発に取り組む
③ 各セグメントの戦略
イ.資源事業(鉱石部門)の取り組み
鉱物資源の価値向上に継続して取り組むだけでなく、高品位の石灰石を生産し、かつ生産量は国内最大規模を誇る鳥形山鉱山の強みをさらに活用し、国内石灰石鉱山の生産・販売体制の最適化に取り組み、鳥形山における生産量及び販売量13,500千トン/年の確保、生産効率の向上、さらにはBCPの強化を図ってまいります。
また、太平洋に面し、6万トンクラスの大型船舶への対応が可能な船積施設を有している鳥形山の強みを活かし、石灰石の海外市場開拓にも注力するなど、国内の供給体制はより堅固にしつつ、海外向け販売の拡大と新市場の開拓に柔軟に対応してまいります。
ロ.資源事業(金属部門)の取り組み
引き続きアタカマ鉱山周辺地域の探鉱を進めることで新規鉱量の獲得と収益向上を図るとともに、アルケロス鉱山の開発を着実に進め、当該計画期間の最終年度となる2026年度の操業開始と収益貢献の実現を目指してまいります。
また、今後は従来のGreen Field案件だけでなく、有望な案件にマイナーで参入することで初期段階の探鉱リスクを軽減し、かつ開発までのリードタイムが比較的短いBrown Field案件もターゲットに加え、銅をはじめとする新規鉱物資源の確保と開発に取り組んでまいります。
ハ.機械・環境事業の取り組み
環境部門の主力製品であるポリテツは、新規顧客の獲得に加え、原料の多様化に注力し、安定供給体制の構築を図ってまいります。また、台湾及びベトナムをターゲットにして現地に工場を建設し、東アジア、東南アジアから海外市場の開拓を図ってまいります。
機械部門においては、シンターラメラーフィルタの競争力強化による国内バグフィルタ市場への参入及び輸出拡大、プラズマ脱臭機の販路拡大、1人用BOX型喫煙ブース「COCOPA」の拡販に注力してまいります。
④ 財務指標と中長期経営目標
当該計画期間では営業利益の水準が低下する一方で、投下資本となる有利子負債と自己資本が増加する計画であることから、ROICは3~4%とWACCを下回る計画となっております。2026年度は、アルケロス鉱山の操業開始に伴う収益貢献によりROICに改善が見られ、第4次中期経営計画にはなりますが、操業2年目以降は更なる改善が図られる計画となります。
当該計画においては、長期ビジョンである2033年度ROIC7%以上の達成に向けて、現状と目標とのギャップを解消するための各施策の着実な実行と達成を目標としております。
(3) 第3次中期経営計画の進捗について
主な進捗状況は以下のとおりであります。
① 財務指標と利益計画
2024年度のROICは4.3%となり、計画に対して1.3%の上昇となりました。主な要因は、営業利益の増加に加え、有利子負債が計画を下回ったことによるものであります。
2024年度の売上高は1,967億円となり、計画に対しては153億円の増収となりました。主な要因は、金属部門の製錬における販売価格が想定を上回って推移したことによるものであります。営業利益は102億円となり、計画に対しては28億円の増益となりました。主な要因は、鉱石部門における販売価格の上昇、金属部門における想定以上の銅価格の上昇や円安の進行、機械・環境事業における環境商品の販売価格の上昇と仕入れコスト増の発現が後ずれしたことなどによるものであります。
② ROIC経営の導入及び推進
第3次中期経営計画の初年度となる2024年度は、ROIC経営の導入と浸透を重点施策として取り組んでおります。
ROICは、各セグメントだけでなく、各事業所並びに関係会社別に算出し、各責任者に現状把握を促すとともに、課題の洗い出しと対応策の検討・実行を進めております。短期間で一定の効果が見込まれるものには機動的に対応するとともに、中長期的な取り組みを要するものは、経営会議や関係会社中期経営計画審議会などの社内の重要な会議で、長期ビジョンの経営管理目標であるROIC7%以上の達成を意識した計画を審議・策定するなど、実効性及び影響度を判断しながら取り組みを進めております。
資本コストや株価を意識した経営への取り組みでは、2024年7月に広報・IR課を新設し、専任の担当者を置くなど、IR・SR面談などに積極的に取り組んでおります。また、資本市場の動向や株主・投資家との対話を踏まえ、自己株式の取得や、新しい株主還元方針と政策保有株式の縮減方針を策定し公表しております。
③ アルケロス鉱山の開発
2023年4月に開発工事の着手を決議したアルケロス鉱山では、主に鉱山・プラントエリアなどを造成する大規模土木工事をはじめ、坑道掘進などの鉱山建設工事や事務所・工場などの建屋建設工事を実施しており、2026年度中の操業開始を目指して開発工事を進めております。
④ 新市場開拓に向けた取り組み
機械・環境事業における成長戦略の施策の一つとして、台湾でのポリテツ拡販を目的とした合弁会社の設立手続きを進めております。ポテンシャルがあると判断した台湾市場において、当社及び合弁パートナーが持つ原料調達網などの強みを活かした競争力のあるポリテツの製造・販売を目指しており、2026年度中の事業開始を予定しております。
⑤ 権益やアプローチにこだわらない新規資源の確保と開発の取り組み
ペルー共和国における銅探鉱プロジェクト「Los Chapitosプロジェクト」は、2023年6月にCamino Minerals Corporationと参入契約を締結しており、ボーリング等の調査を実施しております。
チリ共和国における銅鉱山開発プロジェクト「Puquiosプロジェクト」は、2024年10月にCamino Minerals Corporationと、本プロジェクトの権益を50:50の割合で取得する契約を締結しております。
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