企業兼大株主日清食品ホールディングス東証プライム:2897】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクの定義及び管理体制

 当社グループ(以下「当社」という。)では、リスクを組織の収益や損益に影響を与える不確実性と定義しています。リスクにはプラス影響とマイナス影響の両面があり、環境変化の中で組織が行う事業・投資により発生するプラス・マイナス影響は機会、インシデントが与えるマイナス影響はリスクと区分しております。機会については、投融資委員会、経営会議、取締役会で判断され、リスクについては「総合リスク対策委員会」で管理されます。

 当社では、代表取締役副社長・COOを委員長とする「総合リスク対策委員会」を設置し、「日清食品グループリスク管理規程」に基づき、日清食品グループに係る種々のリスクの予防・発見・管理及び対応を行っております。特に、商品事故、BCP(事業継続計画)、コンプライアンス、情報セキュリティをグループの重点リスクと位置付け、「委員会」を設置し対応を行っております。また、環境・安全リスクに対応する組織を、サステナビリティ委員会のもとに設置しており、環境面等における重大事故が発生したときは、マニュアルに従って直ちに対応し、事態の収拾、解決にあたっております。

 リスク管理体制においては、3ラインモデルを確立し管理・運用しております。第1ディフェンスラインは、各事業部門(国内外関連会社含む)で、各事業部門が所管するリスクオーナーとしてコントロールを行っております。第2ディフェンスラインは、総合リスク対策委員会をはじめとする間接部門で、第1ディフェンスラインのリスク管理状況をモニタリングし、必要な支援・助言・監督を行っております。そして、第3ディフェンスラインは、内部監査部で、組織上独立性を有し、客観的にリスク管理状況を監査し、助言を行っております。

(2) 総合リスク対策委員会の具体的な活動

 総合リスク対策委員会はリスクを一元的に俯瞰し、各主管部門のリスクを洗い出し、リスク事象を予防する仕組みの構築を指示しています。日清食品グループに甚大な影響を及ぼすリスク事象が発生した場合は「グループ重大事案対策本部」を設置し、速やかにリスク事象に対処し、再発防止の対策をたてます。また各年度に1度、事業会社社長および各チーフオフィサーによるリスク評価報告を基に、発生可能性と影響度の2軸で構成されるリスクマップにて各リスクを4段階のステージに分けて評価し、管理方針を定めて管理状況を取締役会に報告しています。

(3) 投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

① 製造物責任

 当社は、食品メーカーとして、お客様に安全・安心な食品を提供していくことを使命と考え、厳密な品質管理基

 準を設け生産を行っています。製造工場の取り組みとして、工場への異物混入を防ぐために、社員が生産エリアに入る前に、毛髪や体毛の落下を防止する専用ユニフォームを着用し、非接触による自動検温、粘着ローラー掛け、手洗い、エアドライ、アルコール消毒、シューズクリーン、エアシャワーという段階を踏むなどの衛生管理の徹底や、高性能X線検査機の導入により、アルミニウム片等の異物検査を強化しています。また、製品が品質基準を満たしているかを確認するため、微生物検査やフライ油の酸価および過酸化物価検査、外観検査、重量検査を実施しています。さらに、製品に使われる原材料の自動トレースができるよう、ロットナンバー、製造年月日、納入業者などの原材料情報を管理して、トレーサビリティ、品質管理カメラ、生体認証設備により、問題が発生した場合に原因を究明できる体制を整えています。また、万が一、製造物責任を問われるような事態が発生した場合に備え、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、製造物責任上の事故が発生し、損害賠償請求や製品回収を余儀なくされるような事態が発生した場合、すべての賠償額を保険でカバーできる保証はなく、社会的評価や企業イメージの低下は、当社製品に対する消費者の購買意欲を減退させ、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

② 食品の安全・安心

 当社は、「人々の健康と安全を優先した製品およびサービスの創造開発に努める」「製品およびサービスは消費者の身体・財産を傷つけるものであってはならず、その品質に起因する問題には、誠実・迅速に対応して解決を図る」ことを行動規範に掲げています。これを実現するため、グローバル食品安全研究所を中心とした独自の品質保証体制を築き上げ、原材料の安全性及び各工場での品質管理体制の強化を図っております。研究所では、原材料に対して、農薬や動物用医薬品、重金属などの危害物質や放射性物質を分析するほか、遺伝子組み換え農産物やアレルギー物質のコンタミネーションの有無、最終製品の栄養成分などを確認しています。また、各工場の製造管理状態を「食品安全管理」「有害生物対策」「製造規範」「メンテナンス (機器の定期検査)」「清掃活動」の5カテゴリーで評価する日清食品 食品安全監査基準 (NISFOS) に基づいて監査し、そこで抽出された課題に対する改善策を提案しています。しかしながら、将来において当社の想定を超える食品の安全性に関する問題が発生した場合、又は当社製品に直接関係がない場合であっても、風評等により当社製品のイメージが低下するなどの事態が発生した場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。特に、情報がグローバルに拡散される時代において、海外で発生した食品安全問題も国内に大きな影響を及ぼすおそれがあり、中国の日清 (上海) 食品安全研究開発有限公司では、2006年から日本のグローバル食品安全研究所と同様の分析を実施し、中国および日本向けの原材料に対する品質保証に取り組んでいます。

③ 災害・事故

 当社は、国内外に多数の事業所や工場を有しており、当該地域における大規模な地震や台風などによる風水害、その他の自然災害の発生に対して、事業継続計画(BCP)を策定の上、BCP委員会を設置し、定期的な見直しをしております。また新型コロナウイルス感染症についても、当社は従業員の安全確保と製品の安定供給を社会的責務と考え、オンライン会議の活用などによる在宅勤務環境を整備し、柔軟な勤務体制(ハイブリッドワーク)を構築するとともに工場では高度な衛生基準に基づく生産体制のもと迅速かつ適切な対策を講じております。しかしながら、大規模な地震や洪水などの自然災害や、重篤な感染症(新型コロナウイルス感染症等)のまん延等により、当社の営業拠点や工場が被災もしくは罹患者の増加などの商品供給体制に支障をきたす事象が生じた場合には、当社の財政状態、業績等に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを可能な限り回避するため、当社は、BCPに従い、被害状況に応じて災害対策本部を速やかに立ち上げ、社員の生命を守りながら、食品企業の使命として商品供給を第一に考えて、生産・供給体制を維持できる体制をとっております。

④ コンプライアンス

 当社は、世界の各拠点で事業を展開しており、その中で各国の法令や企業倫理等の社会的規範に抵触することで、刑事罰、行政処分、損害賠償責任等の法的責任の追及や、社会的制裁を受ける懸念があります。こうした事象が発生した場合、当社に対する信頼やブランド価値を低下させる可能性があります。これらのリスクに対して、取締役・CSO 兼 常務執行役員を委員長とする「コンプライアンス委員会」を原則四半期に一度開催し、内部通報窓口への相談・通報の傾向や発生事例の共有、予防策ならびに再発防止策の検討等を実施しています。また、法務部コンプライアンスグループを中心に組成するコンプライアンス委員会事務局および各社・各部署に配置する「コンプライアンス推進責任者」が、実務者として諸課題・諸事案への対応にあたっております。

⑤ 情報セキュリティ

 当社は、生産、販売、管理等の情報をコンピュータを利用した情報システムにより管理しています。これらの情報システムの運用は、構成する機器の故障・不具合や、社外からの電子的攻撃に対して、システム停止や外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、当社の想定を超えた全世界的な大規模障害や、未知の技術による不正アクセスなどにより、システム障害や外部への社内情報の流出が発生した場合、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを可能な限り回避するため、全社的なセキュリティ戦略の策定、有事におけるインシデント対応、平時における教育・啓発等を主導する体制として、2023年3月にグループITガバナンス部を新設し、その下部組織に「サイバーセキュリティ戦略室」、「ITガバナンス室」を設置し、当社グループのITガバナンスを強化し、リスクの低減を図っております。

⑥ 環境

 当社は、気候変動やそれに起因する自然災害により、原材料価格の高騰、製造工場の被災、カーボンプライシング制度の導入や人々の行動様式の変容など、さまざまな影響を受ける可能性があります。そのため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に則ったシナリオ分析を進め、リスクおよび機会となる要因について科学的根拠をもとに業績に及ぼす影響を引き続き分析・評価しており、将来の不確実性に応じた戦略立案を進めております。そのような中で、当社は2020年4月に2030年までの環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」を策定し、気候変動に対する取り組みや資源の有効活用に関する目標を定めております。なかでも、CO2排出量の削減を重要課題と位置付けており、世界で議論されている「今後の平均気温の上昇を1.5℃に抑える」といった水準を意識した目標(スコープ1と2の合計排出量を2020年総量比42%削減、スコープ3では同25%削減。)を掲げております。さらに2021年2月、事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー100%調達を目指す国際イニシアチブRE100(Renewable Energy 100%)に参画し、「2030年度までに国内外の事業活動で利用する電力の60%を再生可能エネルギーで調達する」「2050年度までに国内外の事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーで調達する」ことを掲げ、国内外の製造工場を中心に電力の再生可能エネルギーへの切替えを進めており、規制対応リスクの軽減を図っております。

⑦ ブランド価値毀損

 「チキンラーメン」、「カップヌードル」をはじめとする日本国内における当社の主力製品は、その技術力と商品力により永年に渡りお客様に親しまれてまいりました。しかしながら、即席めん市場では毎年多くの新製品が投入されており、また、今後他社による画期的な技術革新や若年層を中心に価値観の変化が起きることで当社製品のブランド価値を低下させるおそれがあります。そのようなリスクを考慮し、当社の主力製品は、現状維持ではなく常に進化と革新を続け、ニーズの変化への対応や新しい顧客層の取り込みを行い、持続的なブランド価値の向上に努めております。また、海外においてもカップヌードルのグローバルブランディング戦略を中心に、主要地域ごとの市場環境や生活者の価値観の違いを捉えたブランド価値を高めるマーケティング活動をしております。

⑧ 有価証券の公正価値下落

 当社は、配当・キャピタルゲインの獲得以外に、経営戦略上、取引先との良好な関係を構築し、効率的・安定的な取引や業務提携等により事業の円滑な推進を図ることで中長期的な企業価値の向上を実現する観点から、必要と判断する株式などの有価証券を保有することがあります。当社が保有する有価証券は、将来の市況の悪化による公正価値下落や投資先の業績不振等により減損処理が必要となる場合があり、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

⑨ 固定資産の減損

 当社は、事業の用に供するさまざまな固定資産を有しております。それらの固定資産から生み出される将来の収益性によっては減損処理が必要となる可能性があり、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを低減するために、投融資委員会において社内基準に基づき経済合理性を十分に吟味し、投資判断を行っている他、実行後も投資効果について継続的にモニタリングを実施しております。

⑩ 為替変動

 当社は、グローバルに事業を展開しております。当社の主要な為替リスクとして為替相場の変動による外貨建て仕入値の高騰がありますが、為替予約をおこなうなど為替リスクを低減するための措置をとっております。また各海外地域において所在地国の通貨で作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために機能通貨である円に換算されており、為替相場の変動により当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪ 人材

 国内においては生産年齢人口の減少や、コロナ禍後の働き方の変容により、優秀な人材とりわけグローバルな事業領域拡大に応じた人材を適切に確保・育成することが課題となっており、企業経営や主要事業に影響を及ぼすおそれがあります。当社では、多様な人材を受け入れ、個々の能力を存分に発揮できる職場環境の実現に向け、「ダイバーシティ委員会」を設置し、継続的な取り組みを行っているほか、障がい者の雇用を促進するために2013年に「日清食品ビジネスサポートプラス」を設立するなど、人材の確保に努めております。また、働き方改革の一環としてスマートワークプロジェクトに取り組み、より柔軟で生産性の高い働き方が実現できるよう、コアタイムのないフレックスタイム制の導入やテレワークの拡充など制度の整備とIT環境の整備を進め、残業時間の低減や有給取得率の向上にもつなげております。さらに、日清食品㈱では、2023年5月にマルチステークホルダー方針を策定し、Job型人事制度の導入、適切な方法による賃金の引上げ、福利厚生や働き方の選択肢の充実等を含めた総合的な労働条件の向上、従業員エンゲージメントの向上や人材育成の拡充等を通して、人材への取り組みを強化しております。

⑫ 原材料価格の変動

 当社製品の主要原材料は、小麦粉・パーム油などの農産物及び包材に使用する石油製品であり、その価格は市場の状況により変動いたします。これらの原産国で政情不安や国際紛争の発生、地球温暖化に伴う天候不順による農作物の不作など、原材料価格の高騰要因が、従来より増加しており、原材料価格が高騰した場合、当社の業績に影響を及ぼすおそれがあります。これらの課題に対するため、市況情報を常に把握し適切なタイミングで購入することや、原材料の産地や購買先を分散化することで価格高騰リスクを低減するなど、安定供給体制の強化に努めております。さらに各国で生産している戦略商品であるカップヌードルの原材料について、日清食品ホールディングス主導で共同調達を行い、安定供給とコストダウンを実現しております。しかしながら、気候変動や環境規制強化による供給の減少、国際的な需要拡大に伴う調達競争の激化、想定を超える原油価格の高騰、地政学的リスクなどの事象が長期化した場合には、原材料価格の高騰や、輸入先・輸入ルートの変更等による調達価格の上昇が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。当社では、国際情勢・市況情報など原材料調達に係る情報を常に把握し、変化に素早く対応できる体制を構築し、安定的に調達できるよう供給体制の強化に努めてまいります。

⑬ 物流

 物流業界におけるドライバー人材不足、倉庫内作業者不足の問題など、今後は市場供給力が停滞するおそれがあります。これに対して、「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、自主行動宣言を行い、得意先のご協力のもとでのリードタイムの延長、パレットなどの活用、トラック予約受付システムの導入、荷主側の施設面の改善、物流の改善提案と協力などを行っております。また、複数企業との共同輸送や共同保管の取り組み、モーダルシフトの推進など、引き続き持続可能な物流体制にむけ活動してまいります。

⑭ 特定の取引先への依存

 当社は、製品の販売及び一部原材料の仕入において、特定の取引先に大きく依存しております。販売において、一部の会社につきましては特定の取引先に依存しておりますが、信用力の極めて高い大手取引先に取引を集中させることで、与信管理の省力化及び信用リスクの低減を図ることが可能なためであります。また、一部原材料の仕入についても特定の取引先に依存しているのは、これらの原材料を効率的に、かつ安定的に調達することが可能であるためであります。取引先に対する与信管理は適切に実施しているものの、これらの取引先の経営状態が悪化した場合は、当社は売掛金の回収が困難となったり、また、原材料の供給が断たれた場合には生産活動が停止することにより、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

⑮ 海外カントリーリスク

 当社は、海外においても、現地生産・現地販売を基本スタンスに即席めんをはじめとする食品を製造しています。これらの進出国において政情不安や国際紛争が発生した場合には従業員の安全を最優先に対応する方針ですが、このほかにも食品の安全性を脅かす事態や各国での法的規制により生産が困難になる場合、それらの子会社又は当社の財政状態及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。これらの課題に対応するため、日清食品ホールディングスに専門性を有するプラットフォームを設置し、各海外現地法人のサポートに努める体制を構築しております。

⑯ 人口動態

 日本国内では、現在、少子高齢化が急速に進んでおり、当社の主たる購買層である若年ユーザー層の減少が続いており、即席めん市場は、近年の新型コロナウイルス感染症による需要増を除くと、長期的には横ばい傾向にあります。このような状況の中、当社では、シニア層・若年層・女性層など各ターゲット層に対応したきめ細かな製品開発により、新たな喫食機会や価値の創出を図り、顧客層の維持・拡大に努めております。一方で海外においては、若年層は増加しボリュームゾーンとなっているため積極的に若者へのアプローチを強化する製品開発・コミュニケーション活動を展開しております。このように国内と海外主要地域における様々な人口動態の変化に柔軟に対応しながら、グローバルでの顧客の継続的な拡大に取り組んでおります。

⑰ 顧客ニーズの多様化

 食における顧客ニーズの多様化が進む中、オーバーカロリーによる肥満や生活習慣病などの健康の問題が世界中で拡大しています。さらには、間違ったダイエット方法などによる隠れ栄養失調、シニアの食欲低下に伴う栄養摂取不足などによるフレイルなどの新たな社会課題にも直面しております。

 当社は、即席めん事業で培った独自のフードテクノロジーを駆使することで「見た目やおいしさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質などがコントロールされ、必要な栄養素のバランスを整えた食」を開発し、事業展開しております。この新規事業を中長期成長戦略の3つの成長戦略テーマの一つに掲げ、新たなビジネスモデルの創造を推進していくことで、社会課題の解決に努めてまいります。

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