企業兼大株主日清食品ホールディングス東証プライム:2897】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)日清食品

「EARTH FOOD CREATOR」というグループ理念に基づき、即席めんを中心とした商品開発、健康と栄養に関する基礎・応用研究及び環境保全対策の研究を行っております。

 即席めんでは、「カップヌードルPRO高たんぱく&低糖質」シリーズにおいては、塩味を強める当社独自の特許技術と、塩味を強める際に出てくるエグみを感じにくくする技術を組み合わせた「ちゃんとしょっぱい! 塩分控えめ製法」を新たに採用することで、“高たんぱく”“低糖質”に加えて塩分25%オフ(レギュラー品に対して)を実現いたしました。

 また、日本人の食事摂取基準で設定されたビタミン・ミネラルなど33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」ブランドにおいて、カップヌードルシリーズでは初となる「完全メシ カップヌードル 汁なしシーフードヌードル」を2024年9月9日に発売し、さらにインスタントラーメンでNo.1の売上を誇る「カップヌードル」の味わいを、湯切りして作る“汁なし焼そば”で表現した「完全メシ 汁なしカップヌードル」を2025年3月24日に発売いたしました。

 環境関連では、石油化学由来のプラスチック削減のため、PSP(発泡ポリスチレンシート)カップの一部を対象に、容器を成型する過程で生じた端材を回収し、リサイクル材料として再利用したカップの生産の拡大を行っており、石油化学由来のバージン原料の削減を行っております。

 また、カップ製品の一部に使用されているシュリンクフィルムのプラスチック削減を実施しております。

 その他、謎肉などの「大豆たんぱく加工」で培った技術を駆使してリアルな食感、リアルな見た目を追求した、“プラントベースうなぎ”の開発、将来的な食糧危機や地球温暖化解決の一助と期待される代替肉の開発や「培養肉」の研究(東京大学と共同研究)、パーム油を代替する酵母生産油脂の研究にも取り組んでおります。

 グローバルイノベーション研究センターでは、この他にも菓子類の開発や、商品開発を支える取組として本格的な美味しさを低コストで実現するために調味料や天然香料の研究開発や味覚受容体などの基礎研究を行っております。今後も新しい技術開発を進め、顧客のニーズに迅速に応えるべく付加価値の高い商品開発を行ってまいります。

(2)明星食品

 明星食品は2024年度も顧客の多様なニーズに応えるため、「明星五重塔戦略」と題した5つの異なる価格帯の商品ラインナップ戦略を強化しております。

 まず、2024年7月に「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」のからしマヨネーズをリニューアルいたしました。卵の配合量を増やし、濃いソースとの相性が良いコクと濃厚感を演出しております。また、マヨネーズの包材も環境対策としてアルミレスに変更いたしました。

 次に、2024年9月には「明星 チャルメラ しょうゆラーメン」をはじめとするシリーズをリニューアル発売いたしました。チャルメラの特徴であるホタテのだし原料をすべて国産に切り替え、麺とスープの両方でホタテの旨みを楽しめる商品に仕上げております。

 また、2024年9月には「青春という名のラーメン」シリーズを発売いたしました。このシリーズでは、熱湯1分で湯戻りができる滑らかさと弾力のある麺を実現し、各商品に特徴的な具材を取り入れております。「明星 青春という名のラーメン 胸さわぎでかミート しょうゆ味」ではハンバーグ風の「でかミート」、「明星 青春という名のラーメン 誘惑でかタマゴ チャンポン味」ではふんわり食感の「でかタマゴ」、「明星 青春という名のラーメン 純情でかポテト しおバター味」ではホクホク食感の「でかポテト」を1分で復元させ、商品化いたしました。

CSV活動の一環として、減塩対策にも取り組んでおります。2024年10月には、スープを内側下線まで残すことで食塩摂取量をコントロールできるカップの特許を取得いたしました(特許出願番号:特願2020-175341)。

 これらの取組を通じて、明星食品は顧客満足度の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。

(3)低温・飲料事業

(チルド食品)

 当社独自の「おいしさ長持ち製法」により「行列のできる店のラーメン」、「有名店シリーズ」の生めん商品の賞味期限を延長することで食品ロス率を低減し、また、主要ブランドのプラスチックトレーのプラスチック削減を実施し、地球にやさしいエコ商品を目指しております。

 喫茶店で味わえるレトロなメニューがフライパンで炒めるだけで味わえると大変好評を頂いております「スパ王喫茶店シリーズ」から「たらこクリーム/ミートソース」、「行列のできる店のラーメン」からは「中華あんかけ/特濃ちゃんぽん」、人気ラーメン店監修の「天下一品 濃厚鶏白湯」、焼そばでは「日清焼そばU.F.O.」、「アウトドアスパイス ほりにし監修焼そば」、「湖池屋カラムーチョ焼そば」などを新発売いたしました。アレンジを楽しめる素材めんとスープパック商品「麺の達人」「スープの達人」の拡充や1人前商品「最強のラーメン/究極のつけ麺/至極の辛麺」を発売するなど、外食品質の本格的な商品や環境に配慮した商品の開発、多様化するお客様のニーズに応える新価値の創造など、新技術や新製品の研究・開発に努めてまいります。

(冷凍食品)

 冷凍食品の強みを活かした「簡単に調理できる本格的な美味しい料理」を、中華めん、パスタ、和物、米飯ジャンルからバラエティ豊かな商品の開発に取り組んでおります。

 中華めんでは、麺のおいしさを追求した「日清本麺」の麺に全粒粉を配合し、小麦の香り、旨みを感じられるよう改良し「ホタテだしうま塩/豚骨醤油」を新発売いたしました。汁なし麺の「まぜ麺亭 海老まぜそば」、パスタでは、懐かしい喫茶店の味わいの「スパ王喫茶店のナポリタン/ミートソース/たらこバター/カルボナーラ」、スパ王プレミアムからは「クアトロフォルマッジ/モッツァレラトマト」、もちっと生パスタからは新たな細めの平打ちタリオリーニを使用した「完熟トマト/和風バター醤油」、和物では「日清のどん兵衛 湯葉のあんかけうどん」、米飯では皿いらずで外装パックが器になる「パパパックごはん焼豚炒飯/ビビンバ/チキンライス」などの新メニューを開発いたしました。これからも、「本格的な美味しさ」と「調理の簡便化」の研究開発を続け、お客様のニーズにお応えしてまいります。

(飲料)

 日清ヨーク㈱においては、開発研究所が関東工場内にあるという立地を生かし、スピード感をもって新商品やリニューアル品の開発を行うと共に、乳酸発酵に関する研究を推進しております。開発商品群としては、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料があり、「みんなイキイキ!」のコーポレートスローガンのもと、主力である「ピルクル」や「十勝のむヨーグルト」ブランドのさらなる強化を図るとともに、当社のコア技術である発酵技術を活かした高付加価値製品の開発に注力し、美味しく健康に役立つ商品の創出に努めております。

 乳製品乳酸菌飲料では、2022年に発売し大ヒットした「ピルクル ミラクルケア」に続き、「歩行時のひざ関節の違和感を軽減する」、「腸内環境を改善する」といった機能が期待される機能性表示食品「ピルクル ひざアクティブ」を発売し、シニア世代の身体の悩みに寄り添う商品展開を図っております。さらに、休売していた65ml商品の「ピルクル400 鉄分」の販売を再開するとともに、「ピルクル400 カロリーハーフ」として刷新・新発売いたしました。「ピルクル400」シリーズに加え、「りんご乳酸菌」も復活し、乳児用規格適用食品として、小さなお子さまを含むご家族皆さまに安心してお飲みいただける商品を取り揃えております。また、コンビニエンスストア向けには「ピルクル400」のエクステンション商品として「ピルクル フルーツオ・レ」を、清涼飲料水カテゴリーでは「あの日飲みたかった もも缶シロップ」、「のむりんご飴」を発売するなど、細分化するお客様の嗜好や健康意識に対応した商品ラインナップの強化を図り、日清ヨーク商品群の活性化と価値向上に努めてまいりました。

 発酵乳では、「BMIが高めの方の日常活動時の脂肪の燃焼を高める」、「ウエスト周囲径を減らすのを助ける」機能を有する機能性表示食品「スリムケアのむヨーグルト」を発売し、生活習慣に寄り添った継続飲用につながる商品ラインの充実を進めております。

(4)菓子事業

㈱湖池屋は「湖池屋プライドポテト」、「ピュアポテト」、「湖池屋ストロング」等の高付加価値ブランドを中心として、社会変化・生活変化・意識変化に対応した新市場創造型の商品開発に取り組んでおります。

 新商品として、世界中のじゃがいもの中から日本の風土にあうものとして選抜され日本のテロワールにて育成された湖池屋のブランド芋を使用する、究極に美味しいポテトチップスの実現のためのプロジェクト『究極のポテチ計画』より、「湖池屋ファーム 黄金の果肉 焼き塩」「湖池屋ファーム 旨味こぼれ すじ青のり」を発売いたしました。また、食の“分食化”に対応したスナック感覚で手軽に食べられる“新しい食の選択肢”として誕生したセイボリー(甘くない)パイブランド、「ランチパイ」をリニューアルし、新たに「ランチパイ ビーフカレー」をラインナップに加えております。更に、湖池屋の誇るロングセラーブランドの可能性を広げる新食感への取組として「カラムーチョクラッシュ」、「スコーンクラッシュ」を発売いたしました。

 また、企業における地域貢献活動の一環として地域とともにテーマに取り組み、商品を通じた社会貢献を目指す「湖池屋 JAPAN PRIDEプロジェクト」を2018年より推進してまいりましたが、世界に誇れる日本の食材を使用し、発信することで日本を盛り上げたいとの思いから、2024年より“日本産食材の魅力”を支える匠の技と情熱の結晶である“日本の神業”に着目いたしました。「湖池屋プライドポテト 日本の神業」シリーズとして新たに展開し、「小豆島(手摘みオリーブ)」、「神戸(神戸ビーフ)」、「熊本(くまもとあか牛)」、「宗像(九州焼のり醤油)」、「金沢(金沢の甘えび)」、「京都(京都柚子七味)」の他、地域を跨ぎ「縄文遺跡群(北海道・青森・秋田・岩手)」をテーマとした「縄文(縄文香る帆立だし)」を加えた7商品を発売し、各地域の貢献・振興に沿った企画を実施いたしました。

 今後も「食でくらしをゆたかに。」をテーマに、社会に貢献する食のイノベーションの実現に向けた商品・ブランド・コミュニケーションの開発を続けてまいります。

 日清シスコ㈱は、「もっと楽しく、健やかに」をスローガンに掲げ、品質と健康機能を両立させた商品開発に尽力しております。日清シスコ㈱のシリアル部門は開発研究所第一グループが、菓子部門は第二グループが担当し、付加価値及び健康価値を高めた新規シリアルや菓子の基礎開発研究は第四グループが手掛けております。包装は第三グループが環境負荷を減らす設計や物流効率改善に努めております。

2024年度は創業100周年を記念し、菓子部門から「ココナッツサブレミニ ココナッツフィーバー!」や「チョコフレークコーンフィーバー!ミルク、ホワイト」を期間限定で発売いたしました。これらの商品は、コンセプトに遊び心を取り入れ、ココナッツやスイートコーンの風味を活かした点が特徴であります。

 シリアル部門では、シスコーンシリーズからハートや星型の「シスコーン サクサクハートいちご味」と「シスコーン サクサクスターメープル味」を発売し、お子様の楽しい朝食の一助となっております。また、素材、製法、味わいにこだわり、コーンの甘みとうまみが感じられる「クラフトシスコーン」を新たに市場に投入いたしました。ごろグラシリーズからは、自社の菓子製造のノウハウを取り入れ、新具材さつまいもクッキーを配合した「ごろグラ さつまいもづくし」を発売し、顧客から大好評をいただいております。その他ごろグラシリーズでは具材を刷新し、果肉感を強化したマンゴーや新具材の自社製クランチを配合し、賞味期間を10ヶ月に延長して食品ロスの低減にも取り組んでおります。さらに、グラノーラの製造技術を活かして焼き上げた「おいしいオートミール じっくりロースト」を発売いたしました。

 日清シスコ㈱は、当社グループの研究機関the WAVEと協力し、オリジナリティあふれるシリアルと菓子の開発に励んでおります。顧客の期待を超える商品を創出するために、今後も真摯に取り組み続けてまいります。

(5)食品安全や環境経営、栄養改善への取組

 グローバル食品安全研究所では、食品安全に関する先進研究として新規危害物質の探索・合成・分析法や、健康影響を評価する細胞試験法などを確立してまいりました。2021年12月に開催された東京栄養サミットにおいて、食物アレルゲン推奨表示項目の一斉分析法の開発とその運用をコミットメントの一つとして発表し、分析法の開発を行っております。2023年度から製品検査への運用を開始しております。また、2023年3月の食品表示基準改正により新たに特定原材料に指定されたくるみのPCR検出技術を開発し、くるみを含む食品の検査方法として通知法に採用されております。消費者庁が加工食品などでの原材料表示を義務づける方針を示した「カシューナッツ」についても、PCR及び質量分析計を用いた検出技術を開発する消費者庁の事業に2023年度から参画しております。

 さらに、当社グループの事業分野拡大やグローバル化に対応し、国内事業を対象に実施していた各工場と研究所による製品検査の二重管理体制、及び分析技術の精度管理試験を通じた集中管理体制について、新規事業や海外事業へも拡大しております。今後も、海外・新規事業での品質保証体制への支援強化を継続し、新規分析法や迅速検査法の確立によりグループ事業全体の食品安全向上に貢献してまいります。

 製品や原料の生産現場における調査・監査体制につきましては、独自に定めた日清食品 食品安全監査基準NISFOS(Nissin’s Inspection Standards for Food Safety)による製造環境の調査を通じて改善を図っております。2022年にはIRCA(International Register of Certificated Auditors)より、NISFOSがISO22000規格と同等以上の監査規格であると認定されております。これを用いた監査により、今後も各工場における品質・食品安全管理を強化してまいります。

 さらに、持続性のある地球環境を維持するためのCSV経営推進のための取組として、当社独自の環境活動検査基準RISEA(Food Safety Research Institute's Inspection Standards for Environmental Activities)による調査を通じて、グループ工場における環境関連法規への遵守状況や、省エネルギーによる温室効果ガス削減及び資源3R(抑制:Reduce、再利用:Reuse、再資源化:Recycle)などに関連する環境活動を評価しながら改善を図っております。

 当社グループの環境戦略である「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の目標達成に向け設置されたサステナビリティ委員会及び環境ワーキンググループの事務局としての活動は、その重要性を増しております。加えて、2022年11月には、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ (Nature Positive)」に向けた活動を推進し、2050年までにCO2の排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。2023年5月にはCO2削減目標を上方修正し、インターナルカーボンプライシング制度を導入することで、目標達成に向けた取組を加速しております。また、2023年度からは、国際的な環境情報開示プラットフォームであるCDPサプライチェーンプログラムに参画し、サプライチェーン全体の環境影響の管理と測定を開始しております。特に、温室効果ガス排出量の削減においては、サプライヤーが排出するSCOPE3の管理が重要であり、CDPサプライチェーンプログラムを通じて得られるデータを活用し、サプライヤーと協力して、SCOPE3の削減に向けた取組を推進してまいります。

CO2削減、プラスチック、水資源保全、食品廃棄物、資源循環など様々な環境課題に対し、データ解析など研究所としての視点と、工場や製品開発部門などの現場とも連携し、目標達成のロードマップ策定と施策を立案・実行することにより、当社グループのCSV経営の推進に寄与できるよう取り組んでまいります。

2023年9月には環境推進部をサステナビリティ推進部に発展させ、従来の環境問題対応に加え、栄養改善と食品安全に戦略的に取り組む体制を構築いたしました。2024年2月には栄養戦略の基本的な方針である栄養ポリシーを作成し、栄養改善のツールとして製品の栄養価をスコア化する独自の栄養プロファイリングシステム:NISSIN-NPSを開発、運用開始しております。また、オランダの非政府組織Access to Nutrition Foundation (ATNF) が発表している栄養課題に対する企業の取組を評価するATNi Global Index 2024の評価対象となり、当社は、世界の大手食品企業30社中16位となっております。今後、外部組織との対話を通じた栄養改善にも取り組んでまいります。

 グローバル食品安全研究所での上記の様々な活動により、食物アレルゲン検査法開発、リスク評価手法開発及び栄養プロファイルモデルについて大学や公的機関と共同研究を推進し、2024年度には学会発表7件、学術論文2報の学術的成果も創出しております。

 当連結会計年度の研究開発費は11,972百万円であります。

 なお、当社グループの研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため総額で記載しております。

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