日本鋳鉄管
【東証スタンダード:5612】「鉄鋼」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は上下水道、ガス、情報通信を中心とした地域インフラ整備に対して、鋳鉄管、鉄蓋、樹脂管及び関連資材の供給を中心とした事業展開を図ってまいりました。インフラに携わる企業として、その機能の維持継続が使命と考えております。しかしながら、管路老朽化が年々進展し更新の潜在需要が増大する一方、人口減少や節水等による事業体収入の減少や、高齢化等による工事の担い手不足といった課題が解消されない状態が継続しております。需要の回復見通しが不透明な中、管の供給だけにとどまっていては、使命を果たすことができないという危機意識から、管路更新サイクル全般に関与する事業スタイルへのシフトチェンジ、すなわち「管路分野の Innovative All in ワンストップ企業」としての地位を確立すべく、活動を続けております。そうした役割を担うことにより、社会的な使命を果たしつつ、継続的に発展していく企業を目指し、環境変化に俊敏かつ柔軟に対応できる企業体質の強化を推し進めてまいります。
今後も、継続的に株主様等のステークホルダーの皆様にお役立ちできるよう努めてまいります。
(2)対処すべき課題
① 鋳鉄管等コア事業の収益力強化
上記基本方針に沿って、以下の3点を課題として取り組んでまいります。
(1)販売力の強化に向けた新商品・新分野を含めた開発・拡販と需要喚起
(2)コスト競争力の一層の向上
(3)人材育成の強化と女性活躍の推進ならびにESG経営の推進
これらの課題に対する主な取り組みは以下の通りです。
1)製造合弁会社(当社の子会社)の設立の検討
当社と株式会社クボタ(以下クボタ)は、今後も社会インフラを支える企業として供給責任を果たしていくため、生産設備を再編し、クボタの京葉工場で生産している小口径(呼び径75mm~250mm)のダクタイル鉄管(直管)の完成品及び半完成品をOEM供給する製造合弁会社の設立に関する契約を締結するとともに、クボタからのOEM受託生産を実行するにあたり必要なダクタイル鉄管(直管)の生産能力の増強に係る設備投資(約27億円)について、2025年3月27日に決定、公表いたしました。OEM供給による生産数量増がもたらすコスト競争力の強化に努めてまいります。
2)サステナビリティへの取り組み
カーボンニュートラルの実現に向け、現在のキュポラ炉からの転換を図るべく、2025年度の電気炉稼働に向けて進めております。
3)環境インフラのデジタル情報基盤の整備
事業スタイル変革の第一歩として、2018年より、当社はパートナーシップ契約を締結しているFracta社のAIを活用した管路劣化診断技術の事業体様への展開を進めてまいりました。Fracta-AI管路診断技術は2025年1月にインフラメンテナンス大賞「内閣総理大臣賞」を受賞し、その有効性が高く評価されました。更なる採用拡大に寄与するものと考えております。
マンホールの点検業務におけるDX推進の一環として開発いたしました「だいさくくん」は、スマートフォンやタブレットで、データ収集・集計、自動編集できるDXソフトです。作業効率の改善を実現したもので、マンホール点検業務でご使用いただき、高評価を得ております。
4)水管橋ドローン点検
従来では点検困難とされていた水管橋上部工の目視不可部を、ドローンに搭載した高解像度カメラで撮影し
水管橋上部工の劣化状況(表層劣化・発錆・破断等)を近接目視と同等の点検が可能となりました。当社の水管橋ドローン点検では、動画撮影だけでなく、静止画撮影を行うことで、劣化状況をより詳細に把握することが可能です。最上川導水管須川水管橋調査業務委託に採用され、水管橋の劣化診断を実施いたしました。国土交通省が、2025年3月28日に公開した「上下水道DX 技術カタログ」に掲載されましたので、今後、拡販を図ってまいります。
5)「楽ちゃく」のサイズ拡大
楽に、早く、確実に一人で接合できるプリセット接合工具を開発し、販売してまいりました。誰でも、楽で正確な接合ができ、従来の半分の時間で接合が可能であり、作業は管上部からできるクリーン施工の三点をセールスポイントとしており、今回中口径サイズでも対応可能にバージョンアップいたしました。
6)「オセール」の拡販
鉄道、交差点、河川横断等、開削工事が困難な箇所で行う非開削工法における、耐震性能を維持するための治具として、当社は、地上で組み立てが極めて容易で、画期的に工数の削減が可能な「オセール」を開発し、2019年6月より販売開始、毎年拡販を進めてきております。今般、大口径サイズでも対応可能といたしました。この商品の有用性をさらに広くアピールしていき、認知度を一層向上させ、さらなる拡販を図ってまいります。
7)㈱水研との業務提携
㈱水研と当社で知的財産を共同保有しておりますポリエチレン管用不断水バルブ「KATANAバルブ」は、当社が製造を担い、㈱水研が販売を開始いたしました。切粉を一切混入させることなく短時間で簡単に管路にバルブを設置できるようにすることで、水質確保や施工時間の短縮といった社会課題解決に寄与しております。ポリエチレン管の需要が高い海外での展開をも視野に入れております。
8)新商品開発とイノベーション
「オセール」・「楽ちゃく」・「だいさくくん」に続く、イノベーティブな新商品開発を推進し、コア事業とのシナジー効果の創出を図ってまいります。
9)一層の合理化の追求と品質の向上
操業の効率化や歩留の向上、エネルギー効率改善など競争力の更なる強化のための継続的な製造コストの低減、およびお客様の満足度を高めるための品質向上活動を推進してまいります。
10)新規及び老朽更新の効率的な設備投資
カーボンニュートラル実現に向け、電気炉の2025年稼働に向け設備投資を進めており、老朽更新計画を着実に実行すると同時に新規案件の優先順を明確にして、適時適切な設備投資を計画的に行ってまいります。
11) 業務効率化と働き方改革の推進
DX化を進め、業務の効率化を図ってまいります。
働き方改革の推進として、小学校6年生までの育児短時間勤務を認める制度があり、また男性の育児休業の積極的な取得推進を促し、100%という高い取得率となっております。加えて、多様な働き方の一環として在宅勤務の制度化を図っております。
12) 将来を担う若手社員の確保とその育成
30歳代以下の社員が少ないことから、新卒採用や若手を中心とした中途採用を進めてきております。若手・中堅社員への育成を充実させてまいります。
13) 女性活躍の推進
女性社員の活躍を増やすため、育成と登用に取り組んでおり、部長級社員が誕生しただけでなく、課長級の管理職社員も複数活躍しております。昨年度より、取締役の女性起用を実現し、今後とも広く女性活躍の推進に注力してまいります。
14) ESG経営の推進
ESG経営としての取り組みとして、既述の電気炉導入による脱炭素に加え、世界34か国で活動する水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドに対し、ダクタイル鉄管の販売本数に応じた寄付を2021年度より行っております。鋳鉄管を購入いただいた顧客の皆様にも、間接的に参画していただくことでSDGsへの貢献の輪を広げております。また、地元や市民の皆様に自然と親しみ笑顔を届けられる当社の活動として、久喜工場近隣の久喜菖蒲公園において、“Nature Play Carnival in Kuki”と称する地域貢献のイベントを2021年11月より毎月開催しております。
15) PR・IRの強化
2020年に開設しました情報発信サービスnoteや2021年5月にリニューアルいたしましたコーポレートサイトなどを最大限活用したPR活動などを通じ、さまざまなステークホルダーの皆様との双方向のコミュニケーションを行うことで、一層の企業活動の充実に努めてまいります。
以上の課題にスピード感をもって取り組み、ステークホルダーの皆様の期待に沿うよう、引き続き、収益力の強化を図ってまいります。
② 経営環境の変化に耐え得る財務体力の強化
引き続き必要な収益改善施策を迅速に実行し、着実な業績の向上、財務体質強化を図ってまいります。
今後とも株主の皆様の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
- 検索
- 業種別業績ランキング