企業兼大株主日本証券金融東証プライム:8511】「その他金融業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)企業集団の主要な事業内容

 当社グループは、当社、連結子会社2社(日証金信託銀行株式会社、日本ビルディング株式会社)および持分法適用関連会社2社で構成され、証券・金融市場のインフラを支える公共的役割を強く意識しつつ、貸借取引業務を核とするセキュリティ・ファイナンス業務を中心に、証券界・金融界の多様なニーズに積極的な応え、様々な証券・金融関連サービスを提供しております。また、貸借取引業務が市況変動等の影響を大きく受けることを踏まえ、引続き収益源の多様化に向けて努力し、各事業においてこれまで以上に資本効率の向上を意識しつつ経営目標の達成に取組んでおります。このような考え方の下、当社グループは、貸借取引を核とするセキュリティ・ファイナンス業務、有価証券運用業務、信託銀行業務、不動産管理業務からなる事業ポートフォリオにより、目指す将来像の実現を図っています。

(2)2022年度(2023年3月期)の当社の取組み

①実績・成果

 当社は、2020年3月に策定した「第6次中期経営計画」の下で、免許業務である貸借取引業務の基盤強化と収益源の多様化への取組みを推進するとともに、効率的な業務運営体制の構築による競争力の基盤強化に努めてまいりました。また、指名委員会等設置会社としての高度なガバナンス体制を基礎とした持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた一段のコミットメントと透明性の確保を図る観点から、2021年11月に「中期的な経営方針」を策定し、第7次中期経営計画の期間(2023年度~2025年度)において、株主資本コスト(4%台半ば)を上回るROE5%の達成を経営目標とし、その達成に向けグループの総力を結集して経営改革の取組みを進めてきております。

 実際に、第6次以前の中期経営計画から地道に取組んできたセキュリティ・ファイナンス業務の収益寄与が大きくなったことなどを中心に、ROEの水準は当社が指名委員会等設置会社になった2019年度以降着実に上昇し、2019年度の2.66%から、2022年度は4.36%と「中期的な経営方針」で定めた中間目標であるROE4%を達成するなど着実に上昇しており、2025年度までの5%目標達成も視野に入る形で前進を続けております。

 また、当社は、株主還元のさらなる充実を図っていく観点から、2021年度以降2025年度(ROE5%目標達成)までの間、配当と自己株式取得の機動的な実施により累計で総還元性向100%を目指しております。この方針の下、2022年度は年間配当を1株当たり32円とし、あわせて約30億円の自己株式取得を実施しました。その結果、2022年度の総還元性向は97.6%となりました。収益力の向上に加え、こうした積極的な株主還元により、当社の株価・PBRは上昇基調で推移しており、株主総利回りもTOPIX平均を有意に上回る水準で上昇しております。なお、2023年度の株主還元は、配当予想を年間34円(前期比+2円)とし、あわせて自己株式取得枠を株数上限330万株(発行済株式総数に対する割合3.8%)、金額上限33億円と設定しました。これらをあわせた2023年度の総還元性向は101.4%となります。

②コーポレートガバナンスに関する取組み

 当社は、2019年に指名委員会等設置会社として監督と執行を分離する体制を導入し、コーポレートガバナンスの更なる充実・強化に取組んでおります。2022年度は、主に次の事項に取組みました。

・経営陣の指名プロセスの透明性の向上

 当社は2021年度に取締役会の構成等に関する考え方および執行役の選任に関する考え方を公表しました。これを踏まえて2022年度では、経営陣の指名プロセスの具体的な運用状況、特に指名委員会等における社外取締役の主体的・能動的関与、および経営陣の選任を展望した内部人材育成の考え方を指名委員会および取締役会において決定の上、2023年3月に公表いたしました。

・第7次中期経営計画に合わせた役員報酬制度の決定

 役員報酬については、企業理念および経営方針に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る観点から、取締役および執行役の役割、期待される機能にあわせた体系・水準としております。報酬委員会では、2023年度からの第7次中期経営計画のもと経営方針と整合的なインセンティブが働くよう、役員報酬の設計についてコーポレートガバナンスの考え方を踏まえながら累次の検討を重ね、2023年度からの執行役の役員報酬について決定いたしました。

〔新しい役員報酬制度の概要〕

・業績連動報酬については、短期と長期のインセンティブに分け、賞与を短期インセンティブ、株式報酬を長期インセンティブと位置付ける。

・賞与については、短期インセンティブとして毎期の経営責任を明確化する観点から、連結当期純利益を参照指標とする。

・株式報酬については、長期インセンティブとして第7次中期経営計画の経営目標であるROEと連結経常利益を参照指標とする。

③情報開示の充実

 当社は、株主をはじめとした様々なステークホルダーの皆様に当社についてより深くご理解いただくため、情報開示の充実に積極的に取り組んでおります。その一環として2022年度において、当社は、初めて統合報告書を作成いたしました。統合報告書では、当社のビジネスモデル、経営方針、証券金融会社としての当社の特性、取締役会および各委員会の活動状況等コーポレートガバナンスに関する情報、サステナビリティ課題への取組み状況などについて記載しております。

 また上記②に記載のとおり、2023年3月に当社ホームページにおいて当社経営陣の選任とこれを展望した内部人材育成の考え方について開示いたしました。

 今後とも情報開示の充実について、継続的に取組んでまいります。

(3)対処すべき課題

 当社は2023年2月6日に、2023年度からの第7次中期経営計画(2023年度~2025年度)を公表しました。これは、中期的な経営目標として株主資本コスト(4%台半ば)を上回るROE5%の達成に向けて、今後3年間の当社の経営方針とそれを具体化した戦略・施策を取りまとめたものです。新たな中期経営計画の下、当社がこれまで進めてきた経営改革の取組みの加速と深化を図るとともに、今後も経営環境の変化に機動的かつ柔軟に対応するため、効率的な業務運営体制を一層整備しつつ、人材育成や多様性の確保を通じて企業活力と組織変革力の向上に努めてまいります。

(第7次中期経営計画)

[当社が目指す企業としての将来像]

 当社は、当社が掲げる企業理念の下で、証券・金融市場のインフラ機能を支える証券金融会社として、高い財務の健全性維持と、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現する機動性・柔軟性に富んだ特色あるユニークな企業を目指す。

[経営方針]

①証券金融会社としての社会的責任を常に認識し、堅固なガバナンス体制のもとでコンプライアンス、企業統治および経営リスクの管理を徹底することにより健全な業務運営を実践し、揺るぎない社会的信頼を確立する。

②証券・金融市場のインフラ機能を支える証券金融会社として求められる経営の安定性および財務の健全性を確保するため、強固な自己資本を維持しながら企業価値の向上を図るとともに、株主への利益還元を引き続き充実したものとしていく。

③証券金融会社の根幹である貸借取引業務をより強化し、あわせて当社・グループ会社が提供する金融・証券関連サービスの拡充・強化に務め、ビジネス基盤を一層拡大し堅固なものとする。

④経営環境の変化に機動的かつ柔軟に対応するため、迅速かつ効率的な業務運営体制を構築するとともに、人材力の基盤強化を図り、企業活力と組織変革力を向上させる。

[経営目標]

2025年度までに、連結経常利益100億円、ROE5%の達成を目指す。

[戦略]

①証券市場のインフラとしての貸借取引業務の強化

 株式市場を取り巻く環境変化に適切に対応し貸借取引業務の安定的な運営および利便性向上を図る。また、市場参加者の取引ニーズの的確な把握などにより、貸借取引の利用促進を図るための施策を検討するとともに、制度信用・貸借取引にかかる情報発信を強化し、貸借取引業務の基盤強化に努める。

②セキュリティ・ファイナンス業務の拡充・強化

 当社がこれまで培ってきた資金取引や有価証券取引のノウハウを有効に活用し、内外の金融商品取引業者等との多様な取引に積極的に対応するとともに、取引先や対象通貨・有価証券等の拡大により、セキュリティ・ファイナンス業務を強化・拡充し、収益機会の拡大を図る。

③グループ連結経営の強化

 グループ会社との間で、営業、リスク管理、業務管理などの各分野で、より連携を推進するなどグループ連結経営の強化を図る。

④有価証券運用による安定的な収益確保・資金調達手段の拡充

 外部環境の変化に対し、適切なリスクコントロールの下、機動的にポートフォリオの見直しを実施することで、有価証券運用による安定した収益を確保する。また、取引先の多様なニーズに応えるため、外貨を含め安定的な資金調達手段の拡充を図る。

⑤新規業務開発の推進

 証券金融会社としての特長を活かし、内外の関係先やグループ会社との連携の下で、長期的視野に立った新規業務開発に取組み、具体化を図っていく。

⑥業務管理体制の強化

 当社に求められている社会的要請に積極的に対応し、企業理念を実現していくため、コンプライアンスを経営の前提と位置付けていることをあらためて確認する。

 当社に対する揺るぎない社会的信頼を確立するため、内部監査の実効性を確保し、金融業務に付随するリスクの多様化・複雑化に対応してリスク管理の一層の充実を図る。

⑦効率的な業務運営による競争力の基盤強化

 取引量の増加や業務の複雑化が進む中、業務プロセスの見直しやデジタル技術の積極的な活用などにより、効率的な業務運営体制の構築に努め、競争力の基盤強化を図る。

⑧人材育成の強化とエンゲージメントの向上

 多様性の確保と専門性、主体性の強化を軸に、人材育成の強化と人材ポートフォリオの再構築に努めるとともに社員エンゲージメントの向上を図ることにより、企業活力と組織変革力を向上させる。

⑨サステナビリティの推進

 証券・金融市場のインフラとしての機能を安定的に果たせるよう、業務継続体制の更なる強化に努めるほか、気候変動・環境保全への対応など、サステナビリティに関する重要課題についても、着実に取組む。

(具体的な取組みの方向性)

「貸借取引業務の強化」として、株式市場の環境変化に適切に対応して貸借取引業務の安定的な運営を図るほか、市場参加者の取引ニーズを的確に把握して貸借取引の利用促進を図るための施策を検討します。

「セキュリティ・ファイナンス業務」については、これまで培ってきた資金取引や有価証券取引のノウハウを活用し、内外の取引先との多様な取引に積極的に対応するとともに、取引先や対象通貨・有価証券等を拡げることにより、収益機会の拡大を図ります。

 そのほか、経営戦略を達成するための戦略の1つとして「⑧人材育成の強化とエンゲージメントの向上」を掲げています。当社の目指す将来像に向け、人材育成をはじめとする「人的資本」形成に関する取り組みを推進していく上での基本的な方針(人的資本ポリシー)を定め、事業ポートフォリオに対応した、多様性の確保と専門性、主体性の強化を軸にした人材育成を推進し、企業価値創造の源である人材力の基盤強化を実現していきます。(後掲「2サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本に関する戦略等 ①人的資本に関する戦略」参照)

 当社は、当社が掲げる企業理念と今回策定した第7次中期経営計画の下、証券・金融市場のインフラ機能を支える証券金融会社として求められる高い財務の健全性維持と、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現する機動性・柔軟性に富んだ特色あるユニークな企業を目指して取り組む所存です。

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