企業兼大株主日本紙パルプ商事東証プライム:8032】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針について

 当社グループは紙流通業界のリーディングカンパニーとして、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことの出来ない紙・板紙の安定供給を通じ、循環型社会の構築に貢献していくことを基本方針としております。

 また、社会と地球環境のより良い未来を拓くことをグループの使命として、グループ役職員が、誠実、公正、調和を大切にすべき価値観とし、変革、挑戦、創造を積極的に実践することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指しております。

(2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境

 当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善とともに各種政策効果により、緩やかな景気の回復が続きました。一方、世界経済におきましても、持ち直しの動きがみられましたが、世界的な金融引き締め、東欧・中東における地政学的リスク、中国における景気の足踏み、米国の通商政策等による景気の下振れ懸念が高まりました。

 当社グループを取り巻く環境については、国内市場においては人口減少などの構造的要因やデジタル化の進展による紙需要の縮小傾向は今しばらく続く一方、配送の小口化により物流費などの販売コストはさらに上昇していくものと考えております。海外市場では、先進国においてはグラフィック用紙の需要減少は続くものの、パッケージング用紙は堅調に推移するとみており、新興国においては人口増加や経済発展による生活水準の向上、工業化による産業構造の変化がもたらす紙・板紙需要の増加を予想しています。

(3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題

 当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指しております。

(当社グループのあるべき姿)

「世界最強の紙流通企業グループ」

「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」

「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」

 長期ビジョン2030の実現に向け、2024年度からの3ヵ年(2025年3月期~2027年3月期)を対象とした中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定いたしました。当中期経営計画では、当該中計期間を2030年に当社グループがあるべき姿を実現するための経済価値と社会価値を創造する「具体的な仕組みづくり・仕掛けづくりの3年間」と位置づけ、以下の3つの基本方針に基づく施策を実行することにより、長期ビジョン2030の実現を目指すこととしております。

「グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高める」

「人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高める」

「M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を躍進的に拡大する」

OVOL中期経営計画2026の最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。

連結経常利益

220億円

ROE(自己資本利益率)

8.0%以上

ROA(総資産利益率)

5.0%以上

ROIC(投下資本利益率)

7.0%以上

ネットD/Eレシオ

1.0倍以下

 セグメント別には次の方針を掲げております。

(セグメント別方針)

「国内卸売セグメント」

 グループの総合力を駆使し収益の最大化を実現

「海外卸売セグメント」

 安定的な収益構造の構築と収益源のさらなる多様化

「製紙加工セグメント」

 地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築

「環境原材料セグメント」

 循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献

「不動産賃貸セグメント」

 保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化

(4) 財務上の対処すべき課題

 当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。また、経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROE、ROICの向上など、持続的な成長を目指してまいります。

 当社の配当政策につきましては、安定的かつ継続的な株主還元を基本として、連結業績の動向を勘案して決定しております。また、OVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元方針として「連結配当性向を30%以上とする累進配当」を掲げており、当期末の配当を、1株当たり12円50銭といたしました。なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を実施しております。すでに実施済みの中間配当と合わせ、株式分割後に換算いたしますと年間配当額は1株当たり25円となり、前期実績から実質的に12円の増配となっております。

 また、OVOL中期経営計画2026の2年目となる2025年度においては、前期から3円増配となる1株当たり28円(中間配当14円)を予定しており、自己株式の取得についても機動的かつ柔軟に実施を検討してまいります。

(5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題

① 国内卸売セグメント

 紙の需要は国内における人口の減少やデジタル化など構造的要因を背景に縮小しており、この流れは今しばらく継続するものと想定しております。板紙に関しては、賃上げによる個人消費マインドの改善や、インバウンド需要の継続が期待されております。

 そのような市場の中で取引先として選ばれるためには、物流改革やDX推進によるサプライチェーンにおける当社グループの機能や価値の提供に加え、製紙加工及び環境原材料セグメントなど、卸売事業以外に拡大しているグループの総合力が勝ち残りのための競合他社との差別化につながると考えており、これらを駆使して収益の最大化を実現してまいります。また、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の特性、魅力、環境優位性等を改めて社会に伝えることで、紙需要のすそ野拡大を図るとともに業界イメージの向上にも貢献してまいります。

② 海外卸売セグメント

 海外卸売セグメントにおいては、各市場に根差した卸商経営の拡充を基本としており、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ホンコン、シンガポール、マレーシアで自前の在庫・物流機能を有する各国屈指の紙商を経営し、世界最強の紙流通企業グループの実現に必要なプラットフォームを構築しております。当連結会計年度におきましては、ドイツ及びフランスにおいて国内全域をカバーする在庫・物流網を有する事業のM&Aを実施したことにより、欧州地域での当該機能の拡充を実現するとともに、高付加価値商材の欧州地域への販売拡大にも寄与するものと考えております。また、東南アジア地域においても在庫・加工・配送といった物流機能の充実化に取り組み、グローカル戦略を加速させ、アジアビジネスの規模拡大を目指します。

 各市場においてはデジタル化の進展により、グラフィック用紙の需要減少は継続しておりますが、当社グループはグローバルなサプライソースの活用、及び各拠点の在庫・物流機能を活かし取引先の需要を確実に取り込むとともに、サイン&ディスプレイ、パッケージ、軟包装、環境配慮型製品などの高付加価値製品の取り扱いをより一層拡大してまいります。また、補完的M&Aの継続的な実施により、各市場におけるシェアと事業領域を拡大し、安定的な収益構造の拡大と収益源のさらなる多様化を追求してまいります。

③ 製紙加工セグメント

 当社グループは、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、古紙を原料とした段ボール原紙、印刷用紙及び家庭紙の製紙事業を展開し、安全操業と環境対応の管理を徹底しつつ、環境に配慮した商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。

 段ボール事業では、段ボール原紙製造会社と、多様なニーズに対応する段ボール製品の製造加工会社による総合パッケージサプライヤーとしての体制を国内及びインドネシアにおいて構築しており、国内の原紙製造においては木質バイオマス発電や水力発電等の再生可能エネルギーも活用しCO2の削減に取り組んでおります。

 再生家庭紙事業においては、同分野のリーディングカンパニーであるコアレックスグループによる安定的な生産・供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。また高度なリサイクル技術により難再生古紙の再資源化を実現し、限られた資源の有効活用と紙ごみの削減にも貢献するとともに、製造工程の徹底した効率化の推進によりCO2削減にも取り組んでおります。

段ボール事業、再生家庭紙事業ともに原燃料価格や副資材、物流費等のコストの更なる上昇が想定されるものの、効率的生産への取り組みや徹底したコスト削減を継続するとともに、CO2排出量削減や省力化にむけた投資も積極的に行うことで、地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築を進めてまいります。また、物流面においても、段ボール事業ではグループ内での横断的な戦略の検討、再生家庭紙事業ではグループ外とのアライアンスを拡大させることで、日本全国をカバーする物流体制を構築し、販売力を高めてまいります。

④ 環境原材料セグメント

イ 古紙再資源化事業:

当社グループは、福田三商㈱を中心に日本全国をカバーする古紙事業のネットワークを構築しており、当社グループ内を含む国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先に古紙の発生減に対応した仕入・調達力の強化に取り組んでおります。国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行っております。また、米国及びインドにおいても事業拠点を有し、事業を展開しております。

ロ 総合リサイクル事業:

㈱エコポート九州が熊本県にてプラスチックや木質系廃棄物の総合リサイクル事業を行っております。2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」を受けて、増量が予想されるプラスチック廃棄物のリサイクルに対応するため、同県にて第2工場の建設を計画しております。

 ハ 再生可能エネルギー事業:

 当社グループが参画している発電事業会社は、環境原材料セグメントにおいては、岩手県、島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県、宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社であり、各事業会社で発電した電力はすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に供給しております。なお、製紙加工セグメントにおいても、岐阜県の木質バイオマス発電事業会社である川辺バイオマス発電㈱が、主に段ボール原紙製造会社の大豊製紙㈱へ電力を供給しております。

 また、マレーシアにて木質バイオマス燃料の一つであるPKSの集荷と輸出を行うOVOL New Energy Sdn. Bhd.では、今後の一層の供給力拡大に向け第3ヤードの設立を検討しております。

 以上の3つの事業によって、循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献を進めてまいります。

⑤ 不動産賃貸セグメント

 当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込んでおります。物価上昇に伴う維持管理費等の増加が見込まれますが、上昇している賃料相場に合わせた契約更新などに取り組んでおります。

 引き続き主要物件における適正な管理と価値最大化を進め、また築年数が経過した物件の再開発や売却計画を策定・実行することにより、保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化を推進してまいります。

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