日本甜菜製糖
【東証プライム:2108】「食品業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「開拓者精神を貫き 社会に貢献しよう」の社是のもと、北海道寒地農業の振興と国内甘味資源自給率確保の社会的使命を企業理念として掲げ、安全で高品質の砂糖の安定的供給を主たる目標に事業を遂行しております。
当社グループでは、2022年に当社グループが目指す道標として「日甜アグリーン戦略」を掲げ、「てん菜糖業」から「てん菜産業」への飛躍を図り、農業を基盤とした成長事業への展開を図ることといたしました。
(「アグリーン」は「アグリカルチャー」と「グリーン」を掛け合わせた造語)
「日甜アグリーン戦略」
調達作物・各種作物栽培方針並びに新たな製品開発方針
・栽培作物中CO2吸収能力の極めて高い“てん菜”を、引き続き当社事業の核とし、『持続可能なてん菜産業』実現のため、従来からの砂糖製造に加えて、てん菜を原料とした新たな製品・用途開発(健康食材・食品以外の素材開発など)を目指す。
・原料てん菜及び他作物の栽培方法において、減農薬・減肥料・省人省力化(スマート農業)を目指し、生産者の生産費の低減に資する。
・有機農業を視野に入れた製品群・栽培方法を開発・製造し、国内外に普及させる。
・大量の炭素を長期間貯蔵する林業事業に当社技術(紙筒移植ほか)を活用し国内外に普及させる。
・牛の健康に良い飼料を開発・製造し、牛の長命連産を目指す。
・メタン発生量を減少する家畜用飼料の開発を目指す。
生産から流通までの全工程における取り組み方針
・原料輸送・貯蔵・製造・製品保管・製品輸送・販売において、効率化を目指し、省エネ・省人省力・省資材化を図り、製造費・販売費を低減する。
カーボンニュートラル・環境負荷低減の取り組み方針
・各工場・各事業所・不動産事業等で使用する電力・燃料の脱炭素化を目指す。
・各工場・各事業所から排出される産業副産物の有価物利用を促進(資源の循環利用)。
・社用車、社用農業機械などの使用燃料の脱炭素化を目指す。
・当社製品に使用される化石燃料由来のプラスチック・ビニールなどの包装・容器資材類について、削減並びに代替資材類の使用を促進する。
「日甜アグリーン戦略」で諸課題にチャレンジし、持続可能な食料システム構築と新たな価値の創造を目指し、多くの方に支持され続ける企業グループに成長してまいります。
(2) 対処すべき課題及び中長期的な経営戦略
砂糖業界におきましては、インバウンド消費の拡大等による需要の持ち直しが見られたものの、消費者の低甘味嗜好や、異性化糖、輸入加糖調製品等の代替甘味料の増加等により砂糖消費量は減少傾向にあり、依然として厳しい状況が続いております。
2022年12月、政府は2026年10月までに、てん菜・てん菜糖に係る政策支援数量を砂糖量にして64万トンから55万トンへ漸減させることを決定しました。砂糖事業を主な事業とする当社グループにとりましては、非常に厳しい決定となっております。
てん菜の作付面積減少は、当社の主業であるビート糖事業の根幹であるてん菜生産力の減少につながることから、作付面積減少に歯止めをかけるべく、気候変動や病害虫に耐えうる新たなてん菜品種の導入や、農作業の省人・省力化に資する栽培技術の開発など、生産者所得の向上によりてん菜栽培を選択してもらうための取り組みを進めております。
当社グループは、このような著しい外部環境の変化に適応する経営戦略の再構築が急務と捉えており、今まで以上のコスト削減への努力に加え、適正価格での販売を含めた事業基盤の強化に取り組んでまいります。
「第2次日甜グループ中期経営計画」(2024年3月期~2028年3月期)
砂糖消費の減少や燃料価格の高止まりは続いておりますが、この状況下での業績の回復、そして成長を図っていくことを目指し、2024年3月期から5年間の「第2次日甜グループ中期経営計画」を策定しております。
中期経営計画の2年度目となる2025年3月期は、猛暑等の影響を大きく受けた2023年産原料てん菜の記録的な低糖分により前期での砂糖生産量が大幅に減少したことから、2025年3月期における砂糖事業での販売数量が減少し、減収となりました。また製造原価が高止まりしていることに加え、製品在庫に対する棚卸資産評価損が増加し、営業利益を圧迫しました。固定資産売却益により当期純利益は増加したものの、営業利益は前期比41.2%減の535百万円(経常利益は前期比37.6%減の1,124百万円、売上高経常利益率1.74%)にとどまり、非常に厳しい結果となりました。
政府によるてん菜・てん菜糖に係る政策支援数量の漸減、および気候変動の影響を大きく受けた2023年産てん菜の記録的な低糖分や肥料価格の高止まり等による収益性の悪化に不安を抱く生産者のてん菜栽培離れが進み、作付面積はさらに減少しております。
てん菜の作付面積の急減や燃料価格およびその他製糖需要品価格の上昇による製造コストの高止まり等、てん菜を取り巻く環境の変化を適切に織り込む必要性が増していること、成長分野への投資を加速し収益体質の改善が一層求められることから、この度「第2次日甜グループ中期経営計画」を見直し、第2次中期経営計画3~5年度目標の再設定を行いました。
基本方針 「持続可能なてん菜産業の創造にチャレンジし、安全・安心で幸せな社会の実現に貢献していく」
事業戦略 | 「成長事業の拡大加速」 ① 飼料事業 ・独自素材DFAⅢの海外展開 ・ビートパルプの多用途展開 ② 農業資材事業 ・有機農業用資材の新商品開発・海外展開 ・てん菜由来の有用物質を活用した商品の拡販 ③ 食品事業 ・BtoC市場での販売強化 ・国産ドライイーストの市場開拓 ・新たな機能を有する製品の開発 |
「基盤事業の収益構造改善」 ④ 砂糖事業 ・省エネ・省人・省力化、販売強化 ⑤ 不動産事業 ・安定的な収益確保 | |
資本・財務戦略 | ① 政策保有株式の縮減 ② キャッシュアロケーションの策定 ③ 株主還元の拡充 ④ 適切なバランスシートコントロール |
非財務戦略 | ① 持続可能な農業への貢献 ② 気候変動への対応 ③ 資源の有効活用 ④ 食の安全・安心 ⑤ 働きやすい環境の実現 ⑥ 地域社会への貢献 |
(3) 目標とする経営指標
当社グループでは「(2) 対処すべき課題及び中長期的な経営戦略」に記載のとおり、昨今の外部環境の変化を受け、2025年5月に第2次中期経営計画の見直しを行いました。見直し後の中期経営計画3年度~5年度では、株主資本コストを上回るROEの確保のため、資本効率向上に取り組むとともに、株主・投資家との対話を推進し、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
<第2次中期経営計画3年度~5年度目標の再設定>
・てん菜を取り巻く現状を適切に織り込み、成長分野への投資を加速し、収益体質の改善を図る
・資本収益性を意識したキャッシュアロケーション方針を設定し、財務戦略に基づく各施策を実行する
(第2次中期経営計画の目標値 計画最終年の2027年度の営業利益30億円・ROE5%以上)
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