日本瓦斯
【東証プライム:8174】「小売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は経営理念として、①地域社会に対する貢献、②企業の持続的成長を目指す、③人的資源の尊重を掲げております。
(2)経営環境及び経営方針・戦略等
◆当社グループを取り巻く経営環境
米国では第2次トランプ政権に移行し、政策が大きく転換されました。足元では想定を上回る関税が示され、世界で経済の先行きに対する懸念が広がっています。エネルギー環境政策に関しては、化石資源の活用、パリ協定からの脱退といった、これまでのグリーン化を進める方向から大きな政策転換が打ち出されました。しかしながら、当社は、この政策の変更は一時的な揺り戻しであり、長期的には脱炭素社会を目指す取り組みを推進していくという世界の潮流は止められないと考えています。
エネルギー安全保障の観点では、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の混迷に加えて、欧米の関係にも変化が見られることで、サプライチェーンの確保はより一層重要な課題となりました。また、国内のエネルギー事業では、少子高齢化による人手不足が続く中で、地球温暖化による販売量の伸び悩み、定着し始めたインフレーションへの対応など、事業者は多くの課題に直面しています。これら多くの課題は、人口のボーナスステージでエネルギー消費量が拡大していくモデルが転換期を迎えていることを示していると考えています。
◆社会課題の解決と業界集約
当社は、これらの社会的趨勢を見据え、エネルギーに関わる設備や人員が、効率的運用を求められる環境に備えてきました。LPガスの充填や配送インフラを整え、システムには汎用性と拡張性を持たせ、ITの活用で業務効率を高めてまいりました。LPガス業界では、全国の事業者数は10年前と比較して四分の三程度にまで減少しています。当社は、関東圏最大手のLPガス事業者として、社会的要請でもある業界の集約を牽引していく考えです。
2025年3月、千葉県、茨城県を中心に百余年にわたり事業を展開する株式会社門倉商店が当社グループに参加しました。LPガス業界が直面している事業環境を踏まえ、門倉商店が当社グループの一員となり、 最適化されたオペレーションを活用しながら共に事業成長を追求していくことが、両社および地域社会に対し最も良い形であると合意したためです。今後は、充填、配送、検針、保安、システム等の事業基盤を統合していくことで、物流網を効率化し、設備稼働率を向上させていきます。また、営業拠点の集約に加え、LPガス原料や関連機材等の共同仕入、電気とガスのセット販売、ソリューションサービスの提案など、業界集約を通じてシナジーを創出していきます。
◆共創のスケールアップ
新たな分散型エネルギーシステムの構築に向けて、1社でできること、1業界でできること、従来の知識や知見でできることには限界があります。近未来のエネルギーサービスをお客さまにお届けするには、同業他社との共創のみならず、会社の規模や業界の垣根を超えた共創も不可欠です。ニチガスグループは、エネルギー小売事業の更なる成長、インフラのシェアリング拡大、高い資本効率と成長する企業価値を基盤として、業界の集約化・効率化を牽引するとともに、東京電力グループとの協業やITベンチャー企業との連携など、同じゴールを目指す事業者との共創もスケールアップさせ、地域社会に貢献し、更なる飛躍を目指してまいります。
◆3か年計画(連続の成長)
当社は、グループ再編を通じ、これからの事業体制が定まったことを踏まえ、2024年3月期から2026年3月期までの3ヶ年計画を発表しております。2025年3月期までの2年間は、2年連続で過去最高益を更新すると同時に、資本効率も向上させてきました。
3年目となる2026年3月期は、ガス販売量の想定を慎重に見積もり、従来の営業利益計画220億を200億円に、同純利益計画150億を140億円に見直しました。ガスと電気に加えて、都市ガスとエナジー宇宙事業の利益を成長させることで、目標を上回る利益の達成を目指します。
ROE22%の目標については変更ありません。資産規模を大きく増やさずに利益を拡大していきます。
1株あたり当期純利益についても、2023年3月期92.6円から、2026年3月期には130.6円と約1.4倍に引き上げます。
◆資本政策
当社では、資金調達、資金配分、そして株主還元を行う際には、ROEの向上と純利益の増大を重視して立案し、実行しています。その中でもROEは、お預かりする株主資本と利益の比較であり、株主の皆さまにとって特に重要な収益性の指標であると考えております。3ヶ年で、2023年3月期の14%から2026年3月期に22%へと引き上げる計画です。
この大きなROEの改善は、①ROICの向上と②レバレッジの最適化で実現します。
①ROICは2023年3月期の9%から2026年3月期に12%に向上させる計画です。
3か年計画では、ガスと電気の顧客基盤の拡大により売上総利益をのばす一方、顧客密度を高め、経費効率を向上をさせてまいります。これにより、販管費の増加は抑制され、営業利益151億から200億へ伸ばします。この成長に必要なLPガスのインフラは既に整備済みであり、資産規模を拡大する不要であることから、ROICの向上を実現できると考えています。
②また、3ヶ年計画の中で、調達資本の最適化を進め、レバレッジを活用してまいります。
不必要な株主資本を持たないポリシーのもと、2026年3月までに最適な自己資本比率40%にすることで、ROICの向上を、最大限ROEの向上に繋げてまいります。
キャッシュフローの配分では、高収益資産への成長投資と、株主さまに対して高いレベルで還元することの二つを両立させております。これは、積極的な投資を行う一方、不要な資産を売却、資産を圧縮することで資産全体の規模を抑えているため、株主資本を積み増す必要がないからです。
3ヶ年計画の中では、自己資本比率を40%に最適化する還元も計画しており、実質的な総還元は100%超を想定、25年3月期の総還元性向は141%とにする予定です。
26年3月期は、投資の進捗を踏まえ、想定総資産を見直しをしております。結果、所要株主自己資本は引き下がり、自社株買いの拡大も予定しております。1株当たりの配当額を92.5円から103円に引き上げ、総還元性向145%を計画しております。
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