日本特殊陶業
【東証プライム:5334】「ガラス・土石製品」
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企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営基本方針
当社は、技術立脚の提案型企業として、時代が要請する新たな価値と優れた品質の提供により、顧客や社会から高い信頼を得られるリーディングカンパニーを目指すとともに、社員の個性と能力を十分発揮できる環境を整え、絶えず前進する積極的な姿勢とスピーディな行動で企業価値を高めることを基本としています。
(2) 中長期的な経営方針
①「2040年 ありたい姿」の再定義と「2030 長期経営計画」
当社グループは、2020年に「2040年 ありたい姿」からバックキャストし、そのマイルストーンと なる2030年をターゲットにした長期経営計画「2030 長期経営計画日特BX」を策定しました。しかしながら、前中期経営計画(2021~2024年度)以降、経営環境の変化は目まぐるしく、持続可能な成長を遂げるには、企業固有のアセットを経営課題に合わせ再構成し、自社の競争力を高めていく必要があります。当社グループが経営を通じて、過去から蓄積してきた技術・アセットを軸としながらも新たな価値創造を実現し、社会課題を解決する姿勢を明確にすべく、これまで「2040年 ありたい姿」としていた「“Beyond ceramics, eXceeding imagination”『セラミックスのその先へ、想像のその先へ』」を新たに「“特殊な”技術と発想で社会的課題を解決し、『地球を輝かせる企業』となる」へと改定しました。また、当社グループの使命として「『これまで培ってきたセラミックスを中心としたアセット』と『新たなアセット』を取り込み、異なる資源を繋ぎ、最小限の資源を徹底的に使い抜き、再生・循環ソリューションを社会に提供する」と定義し、そのスローガンを「“ceramics and Beyond, eXceeding imagination”『セラミックスとその先へ、想像のその先へ』」とし、グループ一丸となり社会課題を解決していくことを目指します。
「2030 長期経営計画」では、引き続き、事業ポートフォリオの最適化を図ってまいりますが、自動車関連事業で得た収益を源泉として、当社グループのコア・アセットやセラミックス素材技術と親和性のある隣接領域へリソースを集中し、新たな事業領域の拡大を目指します。具体的な注力領域は、「モビリティ」「半導体」「環境・エネルギー」とし、いずれもセラミックス技術を活用していく方針です。また、「2030 長期経営計画」の実現に向けた具体的な施策や経営目標を定めるため、2025年度から2029年度を対象期間とする新たな中期経営計画の策定を進めています。
②前中期経営計画(2021~2024年度)の振り返り
前中期経営計画は、「2030 長期経営計画 日特BX」における2021年度から2024年度までの4年間で「変えるために、壊す。」「変わるために、創る。」をスローガンに、組織を変革する期間との位置付けとしていました。以下の基本方針及び重点課題を掲げ、各種の取組を実行してまいりました。
<基本方針>
「既存事業」と「新規事業」が独立しながら、両輪で走る
<重点課題>
成長事業及び新規事業への投資・人材ポートフォリオ転換の促進
ROIC経営による稼ぐ力の更なる強化
前中期経営計画の総括は以下のとおりです。
(定量目標の達成状況)
初年度からの新型コロナウイルス感染の再拡大や半導体供給不足による自動車生産台数への影響、またロシア・ウクライナ情勢の長期化や原材料価格の高騰など、不透明な事業環境が続きました。しかしながら、自動車関連事業においては、補修用製品の販売が好調に推移したことやインフレに対応した価格転嫁を実行したことに加え、円安へ進行したことによる利益押上げもあり、継続して収益性を向上することができました。また、成長・新規事業領域と位置付けるセラミック事業においては、半導体関連の事業が市場での生産調整の影響を受けつつも、事業規模を拡大したことなどにより、売上収益、営業利益及び資本効率性指標について目標値を1年前倒しで達成することができました。
| 2020年度
中期経営計画 (2016~2020年度) 最終年度実績 | ・・・ | 2024年度
中期経営計画 (2021~2024年度) 最終年度実績 | 2024年度
中期経営計画 (2021~2024年度) 最終年度目標 |
売上収益 (億円) | 4,275 |
| 6,529 | 6,000 |
営業利益 (億円) | 473 |
| 1,296 | 1,000 |
営業利益率 | 11% |
| 20% | 17%以上 |
非内燃事業売上収益 (億円) | 889 |
| 1,140 | 1,500 |
ROIC | 6% |
| 11% | 10% |
ROE | 9% |
| 14% | 13% |
(重点課題の成果と課題)
■成長事業及び新規事業への投資・人材ポートフォリオ転換の促進
・成長事業及び新規事業については、売上収益の規模が2020年度より約28%向上しました。SPE事業においてはセラミック素材技術により高まる要求性能に応え、旺盛な半導体需要を着実に捉えています。また、2024年11月には、東芝マテリアル社の株式の取得(子会社化)を決定し、将来的に電気自動車向けに市場の拡大が見込まれる窒化ケイ素を利用したモーター用軸受けのセラミックボールやパワー半導体用の窒化ケイ素放熱基板等での事業成長を目指しています。一方で、不採算事業や不採算製品からの撤退も実行し、収益構造を改善しました。
・2021年4月には社内カンパニー制への移行と一部事業部門の分社化を実施しました。事業部門、事業サポート部門、コーポレート部門の各組織において権限と責任を明確にし、独立自営の体制のもと、機動的な意思決定の実現と収益性の可視化による更なる成長を推進します。
・事業ポートフォリオの転換に不可欠な人材ポートフォリオの転換を実現するため、成長事業・新規事業への人材の積極的な転換に取り組むとともに、「自律創造人材」の育成・創出を推進しました。
■ ROIC経営による稼ぐ力の更なる強化
・ROICを用いた事業別の目標管理・事業ポートフォリオマネジメントの仕組みの構築・運用に加え、グローバル戦略本部を中心に監理対象銘柄入りの決定や格付の基準を定める等、財務規律を明確化することで、経営資源の最適配分の実現に向けた取組を加速しました。
③優先的に取り組む経営課題
当社グループの理念体系であるNiterraウェイの重要な要素であるCSR・サステナビリティ憲章にも謳われているように、当社グループは持続可能な社会の実現に寄与することで、企業価値を向上していくことを目指しています。
そのために、社会的課題の解決により「地球を輝かせる」ことが最も重要な経営課題と考え、社会的課題解決・人的資本・経営基盤の3つの枠組みで具体的取組を推進します。
具体的には、Niterraグループならではの特殊な技術と発想を活かし、多様な技術の組み合わせを通じた社会的課題解決への貢献と再生可能・循環可能なソリューションの提供に取り組みます。また、それを支える人的資本への取組としては、Niterraウェイを体現する多様な人材が個を活かしていきいきと働くことができる仕組みの拡充を図ります。多様な人材は、主体的に動き未来を切り開く人材・より高度な課題に対し専門性を持って新たな価値を創造できる人材と定義し、その育成に取り組みます。
更にこれらを実現するため、迅速な意思決定を支え、外部環境の変化に対応した戦略的なリスクコントロールを可能にするグローバルな経営基盤を構築していきます。
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