日本動物高度医療センター
【東証グロース:6039】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「かかりつけの動物病院と連携し、より高度な医療・寄り添う心で、どうぶつを愛する家族の希望となる。」を企業ミッションとして掲げております。「動物にも人間と同じような高度な医療を受けさせてあげたい。」という飼い主様のニーズに応えるべく、人と変わらぬ最先端の医療設備や治療技術を追及するとともに、スタッフ一人ひとりが誠心誠意、心まで尽くすことを忘れず、飼い主さまの不安や期待に寄り添いながら動物医療に向き合っております。
(2) 経営戦略等
当社は、拡大する二次診療ニーズに対し、高度な動物医療を提供する体制を整備してまいりました。しかしながら、多くのご紹介をいただく中で、診療ご希望が当社病院の受け入れ能力を恒常的に上回ってしまっており、全てのニーズにお応えできていない状況にあります。この課題に対応し、更なる動物医療の発展と一次診療施設様への支援を強化するとともに、事業の持続的成長、企業価値の向上を図るため、以下の施策を通じて診療能力を大幅に拡大するとともに、新たな事業機会の創出を行い、企業価値の向上を図ってまいります。
① 地理的拡大
既存の病院機能の強化に加え、新たな地域への展開を進めます。具体的には、名古屋病院のリニューアルによる診療能力の増強(2027年春予定、現行比約2.5倍)および、九州・福岡エリアへの新規展開(2027年末以降予定)を計画しております。
② 既存病院の診療受け入れ能力の強化
質の高い医療サービスの提供力を拡大するため、診療体制の強化を図ります。具体的には、獣医師・動物看護師等の専門人材に対する人的資本投資を拡大し、計画的な採用・育成策を推進します。また、AI技術等を活用した次世代型の新電子カルテシステムを開発・導入することにより診療フローの最適化を進め、より効率的で質の高い医療提供体制を構築し、獣医師が診療と飼い主様とのコミュニケーションに集中できる体制を構築します。これにより、診療受け入れ能力の拡大とともに、飼い主様・一次診療施設様の満足度向上を図ってまいります。
③ グループ能力の結集
グループ全体の専門性を最大限に活かし、一次診療施設様への包括的な支援体制を強化します。具体的には、画像診断サービスを提供する株式会社キャミック、二次診療を担う当社、そして在宅ケア(酸素ハウス提供等)を提供する株式会社テルコムは、それぞれの分野におけるトップランナーであり、一次診療施設様からのご紹介を基盤としており、有機的に連携することで高い効果が見込まれます。これらグループ各社の専門能力を結集し、紹介元の一次診療施設様との連携を一層深め、より強固な関係性を構築してまいります。
④ DX・データ活用
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、データの戦略的活用を通じて新たな価値を創出します。当社グループは、画像診断データおよび診療データの保有においても業界をリードする立場にあり、日々最新のデータが蓄積されております。これらの貴重なデータを最大限に活用し、具体的には、AI等を実装した次世代型電子カルテシステムの開発・導入を進めるとともに、「動物医療インテリジェンスプラットフォーム」構想の実現を目指します。このプラットフォーム構想においては、当社が有する豊富な画像診断データや診療データを匿名加工の上で活用できるデータ基盤を構築し、AIによる診療支援や電子カルテへの入力自動化といったサービスの開発・提供を検討します。将来的には、全国約4,650の連携病院様、大学、製薬会社等へのデータ提供や共同研究といった協業も視野に入れております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の成長、各利益率の向上を伴った各段階利益の業績予想値を経営上の目標としております。その達成状況の検証のため、二次診療及び画像診断については初診数、総診療件数、連携病院数、獣医師数等を、在宅ヘルスケアサービスにおいては、契約数、代理店数などを定期的にモニタリングしております。
(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループを取り巻く事業環境は、ペットの家族化や長寿化、医療技術の高度化を背景に、より専門的かつ高度な二次診療に対するニーズが一層高まっております。この旺盛な需要に応え、持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、先に掲げた経営戦略を着実に実行していくことが不可欠です。そのために以下の課題に優先的かつ戦略的に取り組んでまいります。
① 一次診療施設様等との関係強化
当社グループは、一次診療施設様からのご紹介を基盤として成り立っております。継続的な事業成長のためには、紹介元の一次診療施設様との信頼関係をより一層深化させ、緊密な連携体制を構築・維持することが極めて重要です。診療情報のスムーズな共有、迅速かつ丁寧なフィードバック、症例や最新の治療方法の情報共有、治療実績等の提供などを通じて、相互理解を深め、一次診療施設様への診療支援と円滑な動物医療連携の実現を目指してまいります。また、大学との関係においても、共同研究や学術交流を推進することで、新たな治療法の開発に貢献し、動物医療全体の発展に寄与してまいります。
② 専門人材の拡充と育成
高度な二次診療を提供し続けるためには、専門的な知識・技術を有する獣医師、動物看護師等の確保と育成が不可欠です。知名度の向上により獣医師の新卒採用は順調に進んでおりますが、しかしながら、専門性の高い人材の採用競争は激化しており、計画的な人材獲得と定着、そして継続的なスキルアップ支援が喫緊の課題となっております。魅力ある職場環境の整備、教育研修制度の充実、キャリアパスの明確化、データ活用等の先進的取り組み等を通じて、優秀な人材の確保・育成に努めてまいります。
③ 従業員満足度への対応
質の高い医療サービスは、従業員一人ひとりの意欲と能力が最大限に発揮されてこそ提供できるものです。従業員が心身ともに健康で、やりがいを持って業務に取り組める環境を整備し、従業員満足度(ES)を向上させることが、医療の質の維持・向上、ひいては顧客満足度(CS)の向上にも繋がると認識しております。トップランナーとしての人事制度の抜本改正、労働環境の向上、コミュニケーションの活性化等を図り、従業員エンゲージメントの強化に努めてまいります。
④ グループ一体でのマーケティング
当社グループは、画像診断(キャミック)、二次診療(当社)、在宅ケア(テルコム)の各分野においてトップシェアを有する専門性の高いサービスを提供しております。これらの強みを活かし、グループ一体となったマーケティング戦略を展開することで、一次診療施設様及び飼い主様に対し、当社グループならではの包括的なサービスの認知度向上と利用促進を図り、グループ全体のブランド価値向上と顧客基盤の拡大を目指してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
事業規模の拡大及び事業領域の多様化に伴い、グループ全体のガバナンス体制及び内部統制システムの重要性が一層増しております。法令遵守はもとより、企業倫理の浸透、リスク管理体制の高度化、業務プロセスの標準化・効率化を進め、経営の透明性と健全性を確保するとともに、内部監査機能の強化や規程類の整備、従業員教育の徹底等を通じて、グループ全体の内部管理体制を強化してまいります。
⑥ 情報セキュリティ強化
DX推進及びデータ活用を積極的に進める上で、患者様の大切な診療情報や当社グループの機密情報を保護するための情報セキュリティ体制の強化は最重要課題の一つです。サイバー攻撃の脅威が増大する中、情報資産の適切な管理と保護、情報漏洩リスクの低減が求められます。セキュリティポリシーの徹底、従業員への教育・啓発、最新のセキュリティ技術の導入、インシデント対応体制の整備等を進め、情報セキュリティレベルの向上に努めてまいります。
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