企業兼大株主日本トリム東証プライム:6788】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、“快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する”という企業理念のもと、健康・医療をメインテーマに事業を展開し、グローバルなメディカルカンパニーへと飛躍することを目指しております。

 当社グループは、「社会は何時の時代も我々の製品を必要としている。」をスローガンに、ESG、SDGsを意識した経営を推進し、人々のWell-beingの実現、サステナブルな社会の創造に貢献してまいります。

 当社グループの事業は、ウォーターヘルスケア事業と医療関連事業からなり、現在、ウォーターヘルスケア事業が連結売上高の87.1%を占めておりますが、今後、医療関連事業を新たな事業軸の一つとして構築していくことを目指しております。電解水透析事業や再生医療関連事業を展開する医療関連事業を拡充することにより、グループの収益基盤が強化されるだけでなく、当社グループをメディカルカンパニーとしてブランディングすることで、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業への大きな波及効果を得ることが出来ると考えております。

 ヘルスケア、医療に関連する当社グループ事業の成長には、科学的エビデンスによる裏付けが不可欠です。これまで30年以上に亘り産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌に論文として多数発表してまいりました。今後も、国内外の研究機関と連携し、既存ビジネスの拡大とともに新たな事業シーズの発掘を目的に、基礎研究から臨床研究まで幅広い研究開発を実施してまいります。

資本政策につきましては、「資本効率性」、「株主還元」、「財務健全性」をバランス良く実現し、株主価値の持続的向上を目指すことを基本方針としております。

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、効率的で筋肉質な経営を目指しております。資本効率性につきましてはROE10%以上を、収益効率性につきましては連結売上高経常利益率20%以上を中期的目標としております。業績向上、事業領域拡大の基礎となる人的投資・研究開発活動などにも積極的に投資することで、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 当期におけるわが国経済は、企業収益の改善や雇用・所得環境の改善、またインバウンド消費などにより緩やかな回復傾向となりました。一方、米国の関税・通商政策の影響や地政学リスクの高まりなどにより、世界経済の先行きには不透明な状況が続いております。

 このような環境のもと、当社グループにおきましては、2025年3月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新いたしました。世間の健康志向のさらなる高まりや、有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)による水質汚染問題からの水の安全性に対する意識の高まり、脱炭素・SDGsへの意識の高まりといった社会的趨勢は、当社グループにとって追い風となります。当社グループは、2021年3月期を底とした成長路線に入っており、引き続き過去最高収益を更新していけると考えております。

 製造におきましては、仕入コストの上昇リスクなど引き続き楽観視できない環境が続いておりますが、新たな部材調達先の確保など先行して対策を講じており、強いサプライチェーンの構築、より筋肉質な経営へと繋げてまいります。

 当社グループは、2027年3月期連結売上高320億円を目標としてまいりましたが、整水器販売及びグループ各社の現状を分析し、改めて今後の目指すべき目標とその実現に向けた施策を精査した結果、新たに2028年3月期連結売上高310億円を目標とする中期経営計画を策定しております。

①ウォーターヘルスケア事業

 当社の電解水素水整水器は、アルカリ性で抗酸化性のある水素を含有した電解水素水を生成し、「胃腸症状の改善」に効果が認められた、厚生労働省所管の管理医療機器です。また、電解水素水は胃腸症状の改善だけでなく、含有する水素の抗酸化性による健康保持、増進、疾病予防への効果も期待されており、当社では30年以上に亘りさまざまな大学、研究機関と産官学共同研究を実施し、その成果を国際学術誌で論文発表してまいりました。

 整水器の需要は、以下の理由から今後高まっていくと考えております。

・腸活ブーム

 腸内フローラを始め、腸の健康状態とさまざまな疾病との関連が科学的に解明されており、腸の健康への関心が高まっています。テレビや女性誌等のメディアで多くの特集が組まれています。

・水素の効果

 水素ガスを使用した治療法が厚生労働省で先進医療として認可された例や、水素を含有するゼリーが機能性表示食品として消費者庁に受理された例など、公的に水素の効果が認められる事例が出てきており、水素の効果に対する消費者の理解、期待も大きくなっていくことが見込まれます。

・有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)問題

 永遠の化学物質といわれるPFOS・PFOAによる河川、地下水の汚染問題が連日のようにメディアで報道されており、消費者の水の安全性に対する意識が高まっています。当社整水器に内蔵されている浄水カートリッジは、PFOS・PFOAを除去可能です。

・拡大する水市場

 ボトルドウォーター、ウォーターサーバー市場が拡大しており、水にコストをかける層が広がっています。整水器は、ボトルドウォーター、ウォーターサーバーと比較して医療効果、コスト、環境面でメリットがあり、整水器事業にとっては潜在顧客層が拡大していると考えられます。

・脱炭素、SDGs

 機器を使用することでペットボトルの使用量を削減でき、脱炭素、SDGsに寄与することができます。

 当社は、健康寿命の延伸、医療費の削減には「予防」が最も重要との考えから、その一助として「ウォーターヘルスケアという、新習慣。」を提唱しております。これは「健康長寿社会の実現」を掲げ、厚生労働省、経済産業省が「健康経営®」を推奨するなど、健康保持・増進策に注力している国策にまさに合致するものです。現在、健康経営を切り口として、企業への一括導入に注力しております。また、導入企業の従業員への展開へと広げてまいります。その他、新しい販路としてスポーツ分野、美容分野にも注力しており、上記のような情勢を背景に、電解水素水整水器のユーザー数を現在の約85万件から300万件規模に拡大することを目指しております。これにより、消耗品である浄水カートリッジ販売がストックビジネスとして安定した収益基盤となります。仮に300万件のユーザー数を実現し、その70%が浄水カートリッジを購入した場合、売上高は年間約20,000百万円となります。その早期実現のため、価格帯も含めてより普及しやすい商品の開発、認知向上を目的とした広報施策など、中長期的視野に立った俯瞰的な対策を講じてまいります。

 海外事業では、インドネシアで、日本の技術で生成した、より安全で美味しいアルカリ性の水をコンセプトとした「Pristine(プリスティン)」をブランドに、ボトルドウォーター事業を展開しております。インドネシアは、世界4位の人口と経済成長による中間所得層の増加により、ボトルドウォーター市場が拡大路線にあります。その中で、まずは売上高を伸ばして同国内でのシェアを高めることを方針とし、2034年度に売上高1兆ルピア(90億円、1ルピア=0.0090円)の目標を現地パートナーのシナルマスグループと掲げております。従来からのSNS等を通じたデジタル・マーケティングに加え、より幅広い層への認知を拡大させるため2023年度よりインドネシア全土でのテレビCMを開始するなど、広告宣伝、マーケティングへの先行投資を実施しております。また、ジャワ島外への展開地域拡大も推進していきます。

 一方、販売増に伴う生産体制の強化、効率化、安定供給を目的に、新たな工場建設を計画しております。

②医療関連事業

 電解水透析は、これまで透析液原液の成分(溶質)ばかりに主眼が置かれていた透析治療に、溶媒である「水」そのものに世界で初めて着目した次世代新規治療法です。透析患者のQOL向上とともに病院経営にも収益面で寄与することが期待されております。

2018年7月に厚生労働省から提出された腎疾患対策検討会報告書において、CKD(慢性腎臓病)重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者及び腎移植患者を含む)のQOL(生活の質)の維持向上を図ることが大方針に掲げられました。電解水透析は、これまでの研究で多くの透析患者が最も苦しんでいる疲労感を抑制することが報告されております。疲労感の抑制は、透析患者の家庭復帰や社会復帰に繋がり、まさにQOL改善、Well-beingの実現に寄与するものであり、上記方針に叶うものです。

 一方、日本国内の透析患者数は、2022年度から減少傾向へと移行しました。今後、透析治療を実施している医療施設は、患者数の維持、確保のための競争力が問われる時代となることが見込まれます。そのような環境のもと、電解水透析は他施設との差別化を図る役割としても期待されております。

 現在、全国展開する大手病院グループの主病院や地域で主導的立場の病院への導入を進めており、それらを起点に更に普及を促進してまいります。

 また、電解水透析の普及促進には、システムの小型化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでおります。

 まずは、国内約4,500施設の約7%、300施設への設置を目指します。また、国内にとどまらずグローバルスタンダードへの発展を目指します。

 再生医療関連事業では、ステムセル研究所が、再生医療・細胞治療を目的とした、「さい帯血」や「さい帯」等の周産期組織由来の細胞バンク事業及び、それらの細胞を利用した、新たな治療法、再生医療等製品の開発、そしてこれらの事業基盤をベースにした再生医療・不妊治療・出産・子育て等の領域での事業開発及び投資等の事業展開を行っております。同社は、国内のさい帯血保管総数の約99%のシェアを占める国内最大手の民間さい帯血バンクです。従来の「さい帯血」に加え、2021年4月より日本初の「さい帯保管サービス」を開始し、また、細胞の保管意義の更なる向上を目的に「さい帯」を保管されるご家族向けに、組織の再生を促す成長因子や細胞間の情報伝達物質(エクソソーム)等を含む培養上清液を作成するサービスも実施しております。

 再生医療分野での研究開発では、さい帯血については、大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教室との自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する臨床研究や同教室を中心としたグループとの低酸素性虚血性脳症(HIE)児に対する臨床研究、そして高知大学医学部附属病院小児科での脳性麻痺児に対する臨床研究が引き続き進められております。さい帯については、大阪大学大学院医学系研究科スポーツ医学教室と設立した「運動器スポーツバイオメカニクス学講座」において新たな半月板治療法の開発を推進、また、東京大学医科学研究所セルプロセッシング・輸血部及び東京大学医学部附属病院ティッシュ・エンジニアリング部との小児形態異常等の先天性疾患に対する治療法開発を進めております。これらの成果を始め、国内外での再生医療に関する研究の進展、実用化が進むとともに、国内のさい帯血、さい帯の保管に対する需要の拡大も見込まれます。デジタル・マーケティングおよびリアル・マーケティングそれぞれに注力し、双方のシナジーにより認知向上、保管検体数増加が大きく加速していくものと考えております。

 現在、さい帯血の国内年間保管率は約1%ですが、米国で約3%、シンガポールでは約20%と言われております。まずは、国内年間保管率3%(2万件)の達成を目指します。

一方、国内の年間出生数は年々漸減傾向にあり、中長期の持続的成長の為には海外での事業構築が必要と考えております。その第一歩として、経済成長が見込まれる東南アジア(SEA)市場への進出を目指し、2024年11月にシンガポールへ現地法人「STEMCELL INNOVATIONS PTE. LTD.」を設立いたしました。現在、同地域において、2026年3月期中の事業開始を目指し、準備を進めております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下のテーマを課題とし、その対策に取り組んでおります。また、SDGsの取組みとも連携し、持続的成長、企業価値向上を実現してまいります。

①ウォーターヘルスケア事業

 整水器関連事業につきましては、現在の約85万件の整水器アクティブユーザー数を300万件とすることを目指しております。ユーザー数拡大の早期実現のためには販売力を強化し、整水器市場を拡大させることが最も重要であると考えております。

 職域販売におきましては、「セミナー数×1セミナーあたりの販売台数」が実績の基本的な要素となり、セミナー数の増加及び1セミナーあたりの販売台数の向上が業績拡大のための課題となります。セミナーにつきましては、これまで代理店である企業からの紹介をもとに展開してまいりましたが、現在、スポーツ、美容関連等の団体を起点とした展開にも注力しており、成果が出てまいりました。1セミナーあたりの販売台数につきましては、営業トークを随時ブラッシュアップするとともに、営業ツールの見直し等、営業力の底上げに取り組んでおります。また、今後の業容拡大に備え、営業人員の増員にも取り組んでおります。

 卸・OEM部門では、成長余地が特に大きな海外取引の新規開拓に注力しておりますが、展開を更に大きく進めるためには、製品の海外での安全認証取得が不可欠なことから、その対応を進めております。

WEBマーケティングにも引き続き注力してまいります。適正な顧客獲得単価(CPA)を維持しながら業績を伸長させるため、自社メディアの強化及び資料請求からの購買率の向上を課題として取り組んでおります。また、電解水素水、整水器の認知や理解向上にも寄与するものであり、既存の販売チャネルとのシナジーを念頭に、全体最適化を追求しております。

インドネシアでのボトルドウォーター事業につきましては、ミネラルウォーター市場に占めるアルカリ水の市場割合を拡大させることが重要であると考えております。将来の飛躍的成長に向けて、2023年度よりインドネシア全土でのテレビCMを開始するなど、マーケティングへの先行投資を実施しております。ペットボトルの販売では、ジャワ島外へ展開地域を拡大し、ガロンの宅配では、ジャカルタ市内を中心に専属のディストリビューターを増やし、より地域に密着した体制構築に取り組んでおります。また、販売増に伴う生産体制強化のため設備投資も行ってまいります。

②医療関連事業

電解水透析事業につきましては、メイン商材である多人数用電解水透析システムの導入は、施設にとって設備投資となります。通常、透析用水作成装置は10年以上使用されることが多く、電解水透析システムの導入タイミングは、施設の新設時か経年劣化による装置の入替え時となり、時機を逸すると次の営業機会までのスパンが長くなります。より多くの商機を確保するため、透析学会以外にも腎臓関連の学会、各地の臨床工学技士会でのセミナー展開など活動域を拡大するとともに、代理店との連携強化により新規案件の開拓に注力しております。

 また、電解水透析システムをより多くの施設に導入いただくには、水の質、安定性はもちろん、システムの小型化やメンテナンス性の向上、コストも重要な要素です。今後、より普及を促進することを目指し、医療機器化も視野にさらなる改良、開発に取り組んでおります。

 細胞バンク事業における、さい帯血の保管につきましては、厚生労働省健康局より「臍帯血取扱事業の届出」の提出を要請されており、ステムセル研究所は今後も同省と協議しながら適切に事業運営を行ってまいります。

 また、近年さい帯血の保管の需要が急激に高まっており、「さい帯(へその緒)保管サービス」を含めた、出産に由来する組織由来の細胞(周産期組織由来細胞)等の採取、保管事業の拡大に備え、細胞処理能力、細胞保管能力の増強を行ってまいります。

 国内ではさい帯血、さい帯の保管率は約1%程度と、まだまだ業績拡大の余地は大きくあります。一方で出生数が漸減している中、中長期的な成長のためには海外進出が必要と考えております。その第一歩としてシンガポールにステムセル研究所の子会社を設立しました。当該子会社を起点に、東南アジア地域での事業展開に向けて準備を進めております。

③新規事業

 当社グループが持続的に成長していくためには、現在の主軸事業である整水器関連事業の他に、新たな事業軸を構築することが必要であると考えております。その一つとして最も注力しております医療関連事業の他、農業分野や工業分野でも電解水素水による新規事業の創出を目的とした研究開発に取り組んでおります。いずれも非常に大きな将来性がある分野です。今後も、グループ全体のシナジーを念頭に、将来性の見込める新規事業に対して先行投資を実施してまいります。

④サステナビリティ

 当社グループでは、5つの重要領域(健康・医療、環境、ひと、社会、サプライチェーン)における9つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。企業活動を通じて、社会課題を解決していくべく鋭意取り組んでまいります。

・健康寿命の延伸への貢献

・新しい医療(治療法・サービス)の開発

・地球温暖化対策への対応

・環境対策(循環型社会の構築)への貢献

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・働き方改革の実施

・地域社会との共存

・農業分野への貢献

・持続可能な調達の実施

⑤人財

当社グループが持続的な成長を実現するためには、多様な人財の登用、育成が必要です。中でも、女性の活躍は不可欠であると考えており、マテリアリティでもありますダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでまいります。また、社員の生産性の向上や健全な労働環境づくりを目的に、代表取締役を責任者とした体制で「健康経営」を推進するなど、働き方改革にも取り組んでまいります。

⑥ガバナンス

 当社グループが持続的な企業価値向上を実現するためには、経営の健全性、公正性及び透明性を高くすることが重要であると考えており、コーポレート・ガバナンスが適切に機能するための体制強化を図ってまいります。

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