日本オーエー研究所
【名証ネクスト:5241】「情報・通信業」
へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「高度な信頼性を求められる国内外の社会基盤(パブリック&フィナンシャル)サービスの領域において、専門性の高いIT技能集団による最新テクノロジーがお客様に新たな価値を提供し、未来を創造していく」を経営理念として掲げております。また、この経営理念を実現するため、以下の3項目を経営ビジョンとしております。
①IT業界において商流を押さえた「公共システム開発」を拡充して参ります。
②IT業界における行政デジタル化促進に伴う開発受注側に立った「システム開発要員提案」を確立し、業界シェアを獲得して参ります。
③システム開発については、公共システム開発以外の事業分野を開拓し(テストマーケティング)、「一部分受託開発」から「全部分開発受託」としてメインフレーマー化を図り、特に国内最大手のシステムインテグレーター企業が推進している事業分野において業界シェアを獲得して参ります。
さらに、以下の経営方針のもと、社会に貢献して参ります。
①「公共システム開発事業」の展開
a.公共システム開発人材のグルーピング化を推進し、事業領域の拡大を行うことにより安定的経営を目指します。
b.国内最大手のシステムインテグレーター企業との連携を強化することにより新規開発領域の開拓を行います。
c.重点監視案件を選定のうえ、社全体で管理を行い、客観的な指標による分析を徹底し、適正な工数で契約し、進捗状況のモニタリングを通じて、利益の最適化を図ります。
②「金融・法人系システム開発事業」の拡大
a.メガバンクのインターネットバンキングや市場系やその周辺業務の開発領域の開拓を行います。
b.パートナー企業との連携を強化し、医療関連プロジェクトなどの大規模開発の拡大を図ります。
c.顧客満足度の向上を図り、継続的な取引先の拡大を目指します。
(2) 経営環境
当社の主たる事業は、創業以来、官公庁に向けシステム開発を行う「公共系事業」及び銀行、保険会社、証券会社に向けシステム開発を行う「金融・法人系事業」であります。業務形態としては、大手システムインテグレーターなどから発注される受託ソフトウェア開発業となります。そのため、「システムインテグレーション(SI)業」の市場動向と、「公共系システム」「金融系システム」「法人系システム」の投資動向に注視しながら、事業を展開しております。
経済産業省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」によれば、情報サービス業の2024年度の売上高は17兆9,969億円の前年度比5.9%増、システムインテグレーション(SI)業の売上高は7兆3,432億円の前年度比9.9%増となっております。いずれも直近においては、2018年度以降、情報サービス業、システムインテグレーション業のいずれにおいても、一段と市場規模が拡大し、維持しております。
一方、公共系のシステムのIT投資動向をみると、2017年以降、政府が世界最先端の「デジタル国家」の創造を推進し、2021年には、「デジタル社会形成基本法」が施行され、2023年には、「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律」も施行されたことを背景に、公共システムに関するシステム投資は、2024年度の国の予算編成では、総額1兆3,000億円規模となっており、過去最大規模の予算となった2023年の1兆2,200億円と比べ、800億円の増加となり、3年連続で1兆円を超える規模で推移しております。
次に、金融システムに関するシステム投資は、IT専門調査会社IDC Japan株式会社が2022年1月に発表した、国内金融IT市場の2022年~2025年の市場予測によると、2022年の国内金融IT市場規模は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は残るものの、大手金融機関を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を目的としたIT支出の拡大が見込まれるため、前年比成長率1.1%の2兆4,597億円と予測されております。
また、一般法人のIT投資においては、国の政策方針やIT業界の変革の流れを受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連での投資が顕著であります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「DX白書2024」において、2023年時点では、国内企業の73.7%が何かしらの形でDXに取り組んでいるという統計結果が示されており、もはや一過性のブームではなく、企業活動の根幹を担う存在になりつつあります。
こうした市場動向を背景に情報サービス業は、引き続き増加基調で推移しており、今後も拡大する見通しであります。しかしながら、需要拡大のための資源となるIT人材の確保・供給が追いつかず、市場拡大の障害となる可能性があります。また、それに伴い人材獲得競争の激化や人件費の増加により、収益環境が悪化する懸念もありますが、顧客の課題をヒアリングしながら市場を戦略的に深耕し、当社が公共系事業を通じて培ってきたコンサルティング型のシステム開発により、顧客と一体感を醸成しながら課題解決を目指して参ります。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社は経営上の目標を達成するために、変動比率、システム開発業務に従事する人員数及び売上高経常利益率を重要な指標として認識しております。そのため、質の高い人材の確保を目的とした積極的な採用活動、社内研修の充実、安定的な受注の継続と新規受注の確保に努め、企業価値の向上と株主価値の向上を図って参ります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国内IT市場は、テクノロジーの進化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の投資案件が引き続き増加しており、より生産性の高い新たな事業モデルへシフトしていくことが急務となっております。しかしながら、既存システムの問題を解決し、時に業務自体の見直しも求められる中、いかにこれを実行するかが課題となって参ります。既存システムの維持・保守業務から、最先端のデジタル技術分野に資金をシフトさせ、デジタル技術を担う人材の確保をしていく、ユーザーにおける開発サポートにおいては、プロフィットシェアできるパートナーの関係に安定的な事業収益を確保し、真に情報サービス産業の一翼を担うことができる企業規模及び収益性を具備する体制を構築することが最優先課題であると認識しており、以下の課題に対処して参ります。
① 営業力の強化
受託型での受注と共に、AI、アジャイル、マイクロサービス等の最先端技術を駆使したクラウドベースのアプリケーション提供型ビジネスにも適応することにより、事業規模の拡大を可能とするハイブリッドな受注体制を構築して参ります。営業機能を戦略的、人材的に充実させ、「知見を生かしたコンサルティング」と「クラウド環境とソリューション製品、Web-APIなどのインフラ構築」を通じてワンストップサービスの提供により「既存顧客の深耕」と「エンドユーザーの新規提案営業」を実施し、安定的な受注規模を確保しつつ業容の拡大と生産性の向上を図って参ります。
② 優秀人材の確保と育成
ビジネス・エコシステムの変化に対し、スピード感を持ち、かつ、柔軟に対応するためには、過去の価値基準に理解を示しながら、急速な環境変化を受容することのできる人材を社内に多数擁していかなければなりません。残業減少、有給休暇取得率向上について、IT業界が向いているとされるテレワークなど、多様な働き方に合わせて従業員満足度の向上を実施して参ります。採用力の強化については、デジタルネイティブ世代の活用促進を実施する上で、教育施策を充実させて参ります。また、プロフィットシェアできるパートナーとの関係維持に注力して参ります。
③ プロジェクト管理と品質・生産性向上
主契約者ごと、システム要求事項で異なり、また、プロジェクトマネージャーごとに方向性が変化してしまうプロジェクトマネジメントに対して、知識体系を理解しているだけでは到底無事に顧客要望を満たすことはできません。当社ではこのリスクを事前に評価し、リスクを軽減する仕組みが機能しています。当社のナレッジベースに蓄積された豊富なデータをもとに単なるエンジニアのキャリアと経験だけに依存するだけではなく、どのようなチーム体制、役割、作業品質、許容される事項などが整理され、マネジメントリスクをコントロールしながら開発作業に着手することになります。このようなプロセスを更に強固なものとするため、同業他社に対するコスト競争力を高め、継続的に不採算案件ゼロを維持していくことにより、売上総利益率を向上することが課題であります。
④ 技術革新への対応
経済界全体において情報革命が叫ばれる中、当業界における技術革新のスピードは速く、かつ、その変化は著しい状況にあります。デジタルトランスフォーメーション(DX)の到来に合わせ、高度なITリテラシーを保有するエンジニアが公共・金融インフラ市場においてもデジタル化ビジネスへの対応を適時に行うことが重要な課題と認識しております。これらの変化に対応するため、最新の技術動向や環境変化を常に把握し、新規技術の導入を迅速に実行に移せる意思決定の仕組みなどの体制構築に努めて参ります。
⑤ 財務基盤の安定
当社は本書提出日現在において、銀行借入により十分な手元現預金を有していることから、優先的に対処すべき課題はないと考えております。今後も財務上の課題が発生する可能性は低いと考えておりますが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上で、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係の構築に努めて参ります。
⑥ 内部管理体制の強化
内部統制の整備、見える化、仕組化を更に推進し、継続的な企業成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、常に内部管理体制の強化に努めることが重要であると認識しております。形式的な要件ではなく、本質的にコンプライアンス体制、リスク管理体制並びに情報管理体制が機能することにより、株主価値、資本生産性を向上できる経営を目指しコーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んで参ります。
- 検索
- 業種別業績ランキング