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【東証プライム:7600】「精密機器」
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企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、患者様のQOL向上に資する経営を行うべく、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて医療に貢献する」という経営理念のもと、日米共同開発を基軸に、整形外科分野の医療機器の開発・製造・輸入・販売を通じて日本だけでなく世界の医療マーケットに真に価値ある医療機器を提供していくことで、医療に貢献することを経営方針としております。
(2) 目標とする経営指標
連結業績目標
| 2026年3月期 | 2027年3月期 | 2028年3月期 | ||||
予想 | 百分比 | 目標 | 百分比 | 目標 | 百分比 | ||
売上高 | (百万円) | 26,400 | 100.0% | 28,700 | 100.0% | 31,200 | 100.0% |
営業利益 | (百万円) | 1,850 | 7.0% | 2,550 | 8.9% | 3,300 | 10.6% |
当期純利益(注)1 | (百万円) | 1,450 | 5.5% | 1,750 | 6.1% | 2,350 | 7.5% |
(注)1 親会社株主に帰属する当期純利益
2 対ドル為替レート:1ドル145円
(3) 経営環境及び対処すべき課題
1.パーパス、経営方針
当社グループは、「患者さんのQOL向上に貢献する」をパーパスと定め、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて、医療に貢献する」という経営理念のもと、日米共同開発を基軸に、医療機器の開発・製造・販売を通して、日本だけでなく世界の医療マーケットに真に価値ある医療機器を提供していくことで、当社グループの持続的な発展と企業価値の向上に努めます。
2.日本における課題
・高齢化社会に対応した新製品の継続的導入
日本では高齢化の進行に伴い、骨折や骨疾患を抱える患者が今後も増加すると予想されます。当社は、こうした医療ニーズの拡大を成長機会と捉え、より高い治療成績が期待できる新製品を継続的に市場へ投入し、獲得症例数の拡大を目指します。
・為替レート変動(円安)による仕入原価の高騰
当社が取り扱う整形外科インプラント製品は、主に米国子会社Ortho Development Corporation(以下、ODEV社)から米ドル建てで仕入れており、為替レートの変動、特に円安により仕入原価が上昇するリスクを抱えています。医療機器は償還価格が定められていることにより価格転嫁ができない環境下において仕入原価の上昇に対応すべく、為替変動の影響を受けにくいアジア地域等での調達体制の構築を進めています。
・償還価格の改定への対応
社会保障関係費の抑制を背景に、診療報酬改定により医療機器の償還価格が引き下げられる傾向が続いています。当社は、こうした厳しい価格環境下においても利益率を維持するため、製造原価の低減や業務効率化を通じたコスト構造の強化に取り組んでいます。
・三井化学株式会社との業務提携による持続的成長体制の構築
2022年1月に資本業務提携契約を締結した三井化学株式会社との連携を通じ、同社の開発機能や事業運営ノウハウと当社グループの薬事・開発・販売・マーケティング機能を相互に有効活用し、新製品の開発や事業拡大に向けた協業を推進することで、持続的な成長基盤の構築を目指しています。
3.米国における課題
・製品の安定供給体制
当社は、サプライチェーン問題に起因する製品供給リスクを回避するため、主要サプライヤーとの関係強化や、地域分散型の調達体制への移行を計画し、供給リスクの低減とレジリエンスの向上を図っています。
・医療環境の変化とデジタル技術への対応
整形外科領域では、術前のシミュレーションソフト、術中のナビゲーションシステムやロボット支援技術、術後のリハビリテーションプログラムなど、治療の各プロセスでデジタル技術の活用が加速しています。一方で、医療機関側にはこれら技術について経済合理性を伴った導入をすることが求められており、コスト効率の観点も重要な課題となっています。当社はこうした環境変化に対応すべく、関連商品の拡充を進め、医療現場における付加価値の提供を強化しております。
・症例単価(ASP:Average Sales Price)の下落傾向
近年、外来型の人工関節手術施設(ASC:Ambulatory Surgical Center)の増加に伴い、症例あたりの販売単価(ASP:Average Sales Price)が下落傾向にあります。当社はこうした単価下落の影響に対応するため、市場ニーズに即した製品の継続的な開発と製造原価の低減を推進し、収益性の確保と向上を目指してまいります。
・製造原価上昇、及び為替変動(円安)による収益性低下
人件費などの上昇により、ODEV社の製造原価が上昇しています。加えて、対ドル為替レートが150円台と円安傾向が続いていることから、製品輸入時の原価率が悪化するなど、収益性に対する下押し圧力が継続しています。これらの課題に対し、当社は「SAICOプロジェクト」(Strategic Actionable Initiatives for Cost Optimization)を推進し、以下の施策を通じて収益性の改善を図ってまいります。
① 内製化比率の拡大による原価低減
② 米国におけるサプライヤー(製造委託先)の複社購買化によるサプライチェーンのレジリエンス向上
③ アジア・欧州地域のサプライヤーへの製造委託拡大による原価低減
④ 自社製品の販売比率の拡大による収益性改善
4.その他の課題
・PBR1倍割れへの課題
当社は、米国における製造原価の上昇、及び急激な円安の進行に伴う日本国内での売上原価率の悪化により収益性が低下し、株価はPBR(株価純資産倍率)1倍を下回る水準で推移しております。
これらの課題に対し、当社は日米市場における新製品の投入を通じた売上高の拡大に取り組むとともに、SAICOプロジェクト等を通じて、円安による原価悪化の影響緩和や米国製造コストの低減を図ります。
また、製品ポートフォリオの定期的な見直しと選択と集中を進め、成長性の高い分野への投資を実施することで、持続的な収益性の向上を目指します。経営にあたっては、株主資本コストを強く意識した資本効率の高い運営を推進し、企業価値の最大化に努めてまいります。なお、株主還元については安定的な配当を基本方針とし、配当性向30%以上の実現を目標としています。
・当社連結子会社における和解による損害賠償請求訴訟の解決に関する課題への対処
米国子会社での損害賠償請求訴訟(以下、本件訴訟)を重く受け止め、本件訴訟に至る経緯について根本的な原因分析を行うとともに、本件訴訟の被告となった当社米国子会社であるODEV社において、再発防止に向けて真摯に取り組んで参ります。
ODEV社では、コンプライアンス・プログラムが十分機能しなかったことが、本件の根本的な原因と考えられます。そのため、再発防止策として、以下のような対策を進めて参ります。
(1) チーフ・コンプライアンス・オフィサーの機能強化
独立した専任のチーフ・コンプライアンス・オフィサーを設置し、契約交渉などの諸手続や各種事業活動においてコンプライアンスリスクを孕む取組の内容や状況を監視・牽制し、必要に応じて軌道修正を進める機能の強化を推進して参ります。
(2) コンプライアンス・プログラムの見直し
司法省より公示されている最新のガイダンスを参照の上、ODEV社のコンプライアンス・プログラムの内容の見直しを実施致します。
(3) 従業員に対する教育訓練
従業員に対し、競合他社の従業員や医療関係者と接触する際においては、不正競争や雇用契約上の義務違反といったコンプライアンス上の問題が生じないように適正に行動することの重要性について、教育内容を刷新の上、教育訓練を強化し、再発防止を図って参ります。また定期的な従業員サーベイを通して研修の実効性の検証も継続的に実施していきます。
5.サステナビリティを巡る取組み
当社は、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて、医療に貢献する」という経営理念のもと、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しております。その一環として、当社グループにおけるマテリアリティ(重要課題)を特定し、ESG(環境・社会・ガバナンス)活動を通じて企業の社会的責任(CSR)を果たすとともに、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を目指しています。
「マテリアリティ(重要課題)」
・患者QOLの向上
・環境負荷の低減
・人権尊重への取組み
・多様な人材の活躍推進
・医療ニーズへの高品質対応
・コーポレート・ガバナンスの推進
文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
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