日本エマージェンシーアシスタンス
【東証スタンダード:6063】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
①会社の経営の基本方針
当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスです。グローバル化が進む今日、日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があると考えております。
社会経済活動が活性化する中で、お客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増えるとともに、慣れない場所での自然災害や、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まります。また、先般の新型コロナウイルス感染症のような新たなパンデミックが起こる可能性も十分に考えられます。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制を構築しつつ、アウトバウンドやインバウンドの医療アシスタンス体制や運用コストの見直しを行い、組織再編を進めるとともに、少数精鋭化の業務運営を目指します。
また、厚生労働省の受託事業から得た経験やノウハウを生かし、新規事業の立ち上げと拡大に注力してまいります。
遠隔診療やヘルスケア市場の拡大は続き、多くの企業が新規に参入してくるものと思われる中、当社におきましてもヘルスケア市場への取り組みをより一層強化し、収益の計上を目指します。データやデジタル技術を活用したDX化への取り組みについても、早急に進め、ビジネスモデルの変革を目指します。
②中長期的な会社の経営戦略
成長シナリオを進めていくために、環境の変化に影響を受けることなく安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題であると認識しており、以下の施策を実践してまいります。
(医療アシスタンス事業)
社会経済活動が活性化する中で、当社グループの主力事業である海外旅行保険及びクレジットカードに付帯する医療保険に係るアシスタンス事業の一層の拡充を目指します。顧客への世界最高品質のサービス提供を追求することで顧客満足度の一層の向上を図り、高い信頼を得ることが目標です。加えて、国内外の医療機関とのより一層の関係強化を図り、顧客に対して信頼性が高く、よりきめ細かい医療アシスタンスサービスを提供してまいります。
また、医療アシスタンスサービスだけでなく、昨今のテロやデモ・暴動など、世界各国において多様化、高度化、複雑化するセキュリティ・リスクへの対応が求められております。このニーズに対応し、当社グループは医療アシスタンスとセキュリティアシスタンスをセットとしたサービスによる「トータルリスク管理」を支援していきたいと考えております。
社会経済活動が活性化する中で、日本医療の国際展開を支援・促進する事業において、外国人患者の受入支援事業を中心に着実な売上増加を見込んでおります。当社は多くの医療機関が利用する「医療渡航支援企業」にも指定されていることで認知及び信頼を獲得しており、訪日医療患者の数も一層増加していくことが予想されます。
また、救急救命アシスタンス事業は、民間企業等が海外の僻地で取り組む大規模建設工事現場にサイトクリニックを設置し、医師・看護師・救急救命士が常駐して現地医療体制を構築し、病人や怪我人の対応を行うサービス(EAJプロジェクトアシスト)を展開しております。世界的な新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現場サイトでの感染予防・感染対策を行う日本人医療者派遣の需要が拡大し、2018年より受注しているバングラデシュ事業を順調に運営してまいりました。これらの事業でのノウハウを蓄積し、今後のプロジェクトアシスト事業の拡大、成長を目指します。
(ライフアシスタンス事業)
ライフアシスタンス事業については、これまでに培ったノウハウや既存顧客から獲得している高い信用を生かし、高品質のサービス提供を武器に事業拡大を進めます。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。経営指標としては利益の確保に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①経営環境
当連結会計年度は、コロナ特需の影響が完全に払拭され、本業回帰による2019年度と同水準の売上の獲得と増加する固定コストを吸収しつつ利益を確保することができた1年でしたが、2025年度は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請に応え、次の対処すべき課題に取り組み、中長期的な企業価値向上を実現する初年度といたします。
②優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの事業環境については、これらの社会経済活動の活性化や健康志向・危機管理志向の高まりを受けてアシスタンス事業全般にコロナ禍以前以上に需要が高まり、当社グループにとって大きなチャンスの到来が想定されます。これらの需要をしっかりと捉えるとともに、高収益を確保できる事業構造への転換が急務であり、運用プロセス等の見直しの継続と抜本的な組織の統廃合等による効率的な組織運営が必要不可欠であると考えております。
また、当社グループの強みを活かした「医療アシスタンス」、「ライフアシスタンス」に続く新しい事業の柱の構築が急務であると考えております。
経営方針・経営戦略の基本方針に基づき、成長シナリオを進めるための経営戦略上の施策に関連して上述の喫緊の課題への対応の具体的な施策として、2025年度は主として以下の優先的に対処すべき課題、経営方針の実行方策を掲げ、優先的な事業推進に取り組んでまいります。
<優先的に対処すべき課題>
A.中長期的な企業価値向上と持続的成長の実現
売上や利益水準を意識するにとどまらず、バランスシートを基礎とする資本収益性を意識し、企業価値向上に
資する経営資源の適切な配分が求められる
B.事業ポートフォリオの見直し
既存事業の収支改善を図り、採算性改善の可能性の低い事業の縮小、撤退を含めた抜本的な見直しを進め、会
社全体の収益性の改善を図る必要がある
C.業務プロセスの抜本的改革~業務品質の向上による事業拡大
会社全体で業務プロセスを見直し、業務効率の向上と採算性および働きやすさを大幅に改善するとともに、品
質を向上させ事業拡大を図ることが急務
D.新規ビジネス分野のさらなる展開
中長期的な収益確保に資する事業を取り込み、環境変化にも強い事業ポートフォリオを構築して持続的な成長
を可能にしなければならない
<経営方針の実行方策>
A.中長期的な企業価値向上と持続的成長の実現
~収益性、成長性、企業価値、バランスシートなど資本コストや株価を意識した経営を推進し、資本コストを上
回るROE8%を目指す
・2025年-2027年中期経営計画の策定
・事業の採算性、効率性を計測しやすくするとともにKPI(重要業績評価指数)を設定して経営管理の高度化
を図る
・KPIに基づくキャピタルアロケーションを実現する
・適切なコンプライアンス・リスク管理、品質管理、情報セキュリティ対応および個人情報保護に取組む
B.事業ポートフォリオの見直し、多様化
・既存分野の収益性改善を進めつつ状況を把握、収益性の改善余地が見込まれない部門・事業・プロダクト・契
約先の取捨選択を進める
・成長分野・高収益分野への積極的な投資
C.業務プロセスの抜本的改革、事業の効率性引き上げ
~業務品質の向上による事業拡大
・オペレーション部門での生成AIツール導入ほか各部門での業務DX化の積極推進により、業務の効率化・均
質化・高度化と働きやすさの向上を図り、業務品質のレベルアップを図る
・基本ナレッジと定型業務は生成AIに任せ、担当者は顧客対応に専念できる体制を構築、顧客の期待値・ニー
ズに沿ったサービス提供で顧客満足度を高める
・効率的かつ働きやすい組織体制を構築、業務効率化に合わせた組織改編、海外拠点の役割・機能の高度化を進
める
・人材の多様化、高度人材の育成・確保を図る
D.新規ビジネス分野のさらなる展開
~EAJの強みを最大限に活かしてプレゼンスを高め、持続的成長を図る
・高度な専門性を備えたセキュリティ・リスク管理/災害対応等の新機軸創設
・ACS関連事業では厚生労働省から受託したEMIS事業の拡張と横展開推進
・予防、ウェルエイジング、健康などの社会的ニーズを捕捉する新事業の開拓
また、外部環境の変化に迅速、柔軟に対応するために健全性を重視した財務基盤の強化を図ってまいります。
なお、財務基盤の強化に係る基本的な考え方及び施策等の状況につきましては、「4 経営者による財政状態、 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載のとおりであります。
なお、今後の当社グループの経営・事業環境及び業績動向をしっかりと見極めつつ、適宜計画の見直しと必要な施策を実施してまいります。
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