企業兼大株主日本アジア投資東証スタンダード:8518】「証券業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

1 経営方針

 当社グループは、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」を経営理念として掲げ、全てのステークホルダーへの利益還元を果たして参ります。

2 経営環境と対処すべき課題

(1)外部環境の認識

 当社はこれまで、経営理念のもと、少子高齢化問題及び地球温暖化問題、特に原発問題を抱えた日本固有のエネルギー問題を重要なテーマとして位置付けて事業を行ってまいりました。これらの問題は、社会の在り方、個人生活、企業行動に変化を与え、技術革新をもたらしています。加えて、今般の新型コロナウィルス感染症の災禍により、これらの変化が加速しました。

 そこで当社は、従前の課題に加えて新型コロナウィルス感染症が今後引き起こすであろう変化も踏まえ、投資分野別の外部環境を次のように認識し、これに対応した事業活動を行う計画です。

①再生可能エネルギー

 脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーによる発電が加速し、全世界で域内のCO2排出実質ゼロに向けた取り組みが進むと認識しています。

②スマートアグリ(植物工場)

 温暖化による天候不順、自然災害の影響や農業人口の高齢化の影響から、露地野菜の供給の量・質・価格が不安定となり、工場野菜の市場規模は拡大していくと認識しています。

③ディストリビューションセンター(物流施設)

 東京圏は、物流拠点の集約とEC市場の拡大により空室率が過去最低水準であり、賃料相場は2009年以来の高水準となっています。コロナ禍による巣ごもり需要も加わり、物流施設に対する需要は非常に高いと認識しています。

④ヘルスケア(障がい者グループホーム)

 2013年に障碍者総合支援法が施行され、グループホームの利用者が増加しています。多様性を尊重し包摂的な社会を築く上で、今後さらに需要が高まると認識しています。

⑤ヘルスケア(高齢者施設)

 国内総人口が減少する一方で高齢者人口は増加し、65歳以上の比率は2025年には30%に達する見込みであり、今後も高い需要が続くと認識しています。

⑥M&A仲介

 後継者問題や企業の海外進出の活発化によりM&Aの件数は増加傾向にあり、特に中小の件数は大幅に増加しています。今後も高い需要が続くと認識しています。

(2)当社の投資事業の特徴

 当社のプライベートエクイティ投資の特徴は、長年の投資活動を通じて蓄積されたノウハウに基づく上場支援に加え、広いネットワークを活用した海外展開支援や営業支援を行う点です。そのために、中国の政府系機関やアジア諸国のパートナー企業と業務提携などを行い、アジアのネットワークを構築しています。加えて、プロジェクト投資のパートナーであるベンチャー企業への投資である「戦略投資」を行うことも特徴です。当社では「戦略投資」を行った企業には、株主としての支援だけではなく、パートナーとして共にプロジェクトを運営し、その成長を支援します。

 プロジェクト投資の特徴は、プロジェクト総額の多くを金融機関からの負債性資金で調達することでレバレッジを効かせ、少額の投資資金で高い採算性を追求している点です。加えて、多様な分野のプロジェクトに機動的に投資を行うことができるように、プロジェクトの企画や開発に精通したベンチャー企業とパートナーシップを組んでいる点も特徴です。

 プロジェクトの開発や運営には、業界知識、ノウハウ、技術力、交渉力など高度なスキルが求められます。当社単独ではカバーできないこれらの経営資源をパートナーのベンチャー企業が提供し、当社は、主に投資資金の提供や金融機関からの資金調達を含めたファイナンススキームの構築を担います。

 当社は、社内の経営資源のみならず外部の優れた経営資源も積極的に活用して、成長性が高く将来有望な投資分野を創出し投資を行うことで、社会に貢献して参ります。そのために、今後も継続的に外部とのネットワークを強化し、パートナー企業の発掘を行います。これにより、新たな投資分野の創出に常時取り組み、次の注力投資テーマとしていく方針です。

(3)当社の競争優位性

 当社は、当社の競争優位性を、アジアでの歴史、最先端の業界情報収集力、ベンチャー企業とのネットワーク、ファイナンススキーム構築力の4つだと認識しています。より具体的には、投資分野別に次のように考えています。

①再生可能エネルギー

 当社には「パートナー戦略による豊富なネットワークから得られる多様な案件へのアプローチ力」があります。その結果、メガソーラー、ソーラーシェアリング、風力、バイオマス、バイオガスへと投資対象を多様化しながら、電力の固定価格買取制度(FIT)の変容の中でも一定の収益性を確保できます。

②スマートアグリ(植物工場)

 当社のパートナーである株式会社モーベルファームには「品質に厳しい大手企業に評価される高品質野菜の生産を可能とする技術力」があります。具体的には、生菌数が極めて低く高品質かつ無農薬の野菜の量産を実現し、大手コンビニエンスストアのコンペティションで勝ち抜き、他社工場からの乗り換えにより取引を開始した実績があります。

③ディストリビューションセンター(物流施設)

 当社のパートナーであるKICホールディングス株式会社には「大手デベロッパーが敬遠する土地を安く買い、安く作って、安く貸す開発力」があります。道路付けの悪い土地、市街化調整区域など、そのままでは開発が困難な土地を安く仕入れ、手間を掛けて事業化することで大手との競争を回避しています。

④ヘルスケア(障がい者グループホーム)

 当社のパートナーであるソーシャルインクルー株式会社は「大手が未だ参入していないマーケットで先行する地位」にあります。市場が拡大している中でも競争環境は未だ平穏であり、既に国内最大級の運営棟数を有し、業界をリードする立ち位置を確立しています。

⑤ヘルスケア(高齢者施設)

 当社のパートナーであるAIPヘルスケアジャパン合同会社は、「日本初のヘルスケア特化型上場REITの運営に関与し、介護業界に広いネットワーク」を有しています。日本ヘルスケア投資法人の設立や運営アドバイザーを手掛け、業界の先駆者としての知名度があります。

⑥M&A仲介業務

 当社は「国内外での投資活動、ファンド運営を通じてニーズを発掘する機会」を有しています。取引候補先となる300社以上のIPO実績を有し、また、長くアジアで投資活動を行ってきた知名度があります。

(4)中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の進捗状況

①計画の概要

 当社は、経営理念に基づき収益力の向上に繋がるSDGs投資に注力しています。

 既存のプライベートエクイティ投資資産のうち、過去に投資を行った「フィナンシャル投資(注1)」の資産を流動化し、その資金で好採算かつ収益の安定性が高いプロジェクトに投資を行い、棄損したバランスシートの早期修復と資産の入れ替えを行います。メガソーラー発電に続くプロジェクトとして、ディストリビューションセンタープロジェクトなど、施設の完成後に短期間で売却する前提のプロジェクト投資に、特に注力します。また、その他にも投資対象となるプロジェクトを多様化し、投資機会を追求すると同時に投資資産のリスク分散を図ります。

 プロジェクト投資を行う際は、当社単独で投資をするのではなく、その分野で競争優位性の高いベンチャー企業をパートナーとする点が強みです。また、パートナーとなるベンチャー企業には、「戦略投資(注2)」を行います。戦略投資を行う際は、フィナンシャル投資に比べて、当社の持株比率を高め、さらに、プロジェクト投資での協業を通じて当社の様々なリソースを投入したハンズオンの支援を行います。

 このように、安定性が高く持続的な利益をもたらすプロジェクトへの投資と、そのプロジェクトのパートナーとなる企業へのハンズオン型ベンチャー投資を両輪として、投資資産の残高を増加させます。

 アジアでは、当社のベンチャー投資のスキル、アジアでのネットワーク、及び国内の地域金融機関との連携を活用して、投資とコンサルティングなどの投資関連ビジネスを展開することで新たな収益機会の開拓を目指します。

 収益面では、プロジェクト投資は、株式売却益に比べて安定したプロジェクトの売却益と、プロジェクトの運営による収益の獲得を目指します。また、プライベートエクイティ投資では、戦略投資を行うことで、フィナンシャル投資に比べて株式売却のより高い確度と収益性を目指します。また、投資事業に付随する事業の開拓を進めて、フィー収益の増加も目指します。その結果、より成長性が高くサステナブルな収益構造を構築して参ります。

 注1:フィナンシャル投資とは、戦略投資以外のプライベートエクイティ投資です。

 注2:戦略投資とは、プロジェクト投資のパートナーであるベンチャー企業へのプライベートエクイティ投資です。

②主要な業績評価指標(KPI)

 主要な業績評価指標(KPI)は、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益であり、2022年3月期は340百万円、2023年3月期は550百万円、2024年3月期は850百万円とする計画です。

 計画期間中は未だフィナンシャル投資の売却益が中心となるものの、計画期間最終年度となる2024年3月期には、フィー収益とプロジェクトの収益の営業総利益で管理コストを賄い、変動の大きなプライベートエクイティ投資の収益は、超過利益とするとともに戦略投資の売却益を増加させることを目指します。

③計画2年目までの達成状況

 数値計画の達成状況は、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益の実績が、1年目が49百万円(計画比△291百万円)、2年目が△269百万円(計画比△819百万円)となり未達が続いています。

 計画未達の主な要因は、株式売却益の下振れです。国内投資先企業のうち新規上場(IPO)を見込んでいた銘柄の一部は、事業計画の進捗の遅れ等により2年目までにIPOが実現していません。また、戦略投資先企業を含めて累計5社が2年目までにIPOを果たしましたが、一部の銘柄はIPO後の株価がロックアップ解除の条件を下回り売却時期が計画から遅れました。また、ロックアップ解除後の株価も計画を下回り、株式の売却益が計画未達となりました。IPO以外の回収を計画していた銘柄では、売却交渉が想定よりも長期化し2年目までに合意に至らない銘柄がありました。また、売却を実現した銘柄のうち一部では、売却価格が計画を下回る銘柄がありました。

 プロジェクト投資では、プロジェクトの売却で計画を上回る利益を計上しましたが、スマートアグリプロジェクトや、再生可能エネルギープロジェクトのうちバイオガス発電プロジェクト、及びその他プロジェクトのうち投資の初期段階のもので、売上が計画を下回り黒字化が遅れています。これらの結果、プロジェクト投資の売却益で他の下振れの全てを補うことはできませんでした。

 他方で、行動計画は着実に進捗しました。戦略投資では、既存投資先の売却を推進し同時に新規事業のパートナー企業に投資実行する計画に対し、2社の売却による利益獲得と2件の投資実行を実現しました。ディストリビューションセンタープロジェクトでは、重点分野として積極的に投資を行い投資残高を増やす計画に対し、2年目までに約7億円残高を増加させました。スマートアグリプロジェクトでは、大手コンビニエンスストアを軸に販売先を開拓し3年間で4号工場まで事業規模を拡大する計画に対し、当社の投資する丹波篠山工場では、2021年9月に第2棟目となる1号工場の増設部分が竣工しました。また、2023年2月には、戦略投資先である㈱モーベルファームが、兵庫県養父市の植物工場を運営する企業から経営を承継しました。これにより、合計3棟の工場を稼働させることができました。ヘルスケアプロジェクトのうち障がい者グループホームでは、銀行やリース会社とのファンド組成を含め3年間で50棟に投資をする計画に対し、地域金融機関との連携により開発が進捗し2年目までに10棟が竣工しています。さらに、2021年8月には障がい者グループホームを投資対象とするファンドに出資し、当該ファンドから5棟への投資が行われました。また、将来の収益の柱となる新規事業を開発する計画に対しては、エンタテイメントコンテンツ、電動アシスト自転車のシェアリングサービス、樹木葬、創作活動向けシェア施設など多様なプロジェクトに投資を行いました。

④2024年3月期の事業方針

 2024年3月期は、引き続き中期経営計画を遂行していきます。フィナンシャル投資では、満期の到来したファンドを早期に清算することで流動化を図ります。フィナンシャル投資の新規投資実行は、原則として、パートナーと連携してファンドを組成しファンドから投資を行う方針です。戦略投資では、企業価値向上に向けたハンズオン支援に取り組みます。また、新たなプロジェクト投資分野を開拓し、その分野のパートナー企業に戦略投資を行います。株式の売却益の下振れが数値計画未達の主因となっていることへの対策として、戦略投資先を中心にハンズオン支援を強化することで投資先企業の成長を促進して、株式の売却益を増加させ、引当金の発生を防ぎます。

 プロジェクト投資では、障がい者グループホームの新規案件や他のプロジェクトの既存案件への投資を継続します。他方で、既存のディストリビューションセンターと、障がい者グループホームの売却を実現します。また、植物工場やバイオガス発電を始めとする黒字化が遅れているプロジェクトでは、売上を増加して早期の収益改善を目指します。

 M&A仲介業務では、2023年2月に子会社化した㈱アジアンマーケット企画のリソースを活用して、投資案件の開拓の過程以外にも案件開発の間口を拡大し、収益を増加させます。

 数値計画については、従来連結基準(注)による親会社株主に帰属する当期純利益を120百万円と見込みます。中期経営計画の利益目標と比較して、730百万円の未達となります。計画未達の主因は、株式売却益の下振れです。計画2年目までの実績と同様に、IPOの遅れ、IPO後の株価の低迷、未上場株式の売却交渉の長期化により、株式売却益が下振れする見込みです。戦略投資先を中心にハンズオン支援を強化することで対策を講じますが、その効果で黒字は回復するものの、全ての株式売却益の下振れを補うことはできない見込みです。

(注)従来連結基準

 当社グループでは、2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 2006年9月8日 実務対応報告第20号)を適用し、当社グループで運営している投資事業組合等の一部を連結の範囲に加えて連結財務諸表等を作成しております。しかしながら、投資家及び株主の皆さまに、当社グループの経営成績及び財務状況を正しくご認識いただくためには、従来からの会計基準による財務諸表等の開示も必要と考えております。

 以上のことから、従来の会計基準に従って、投資事業組合については、資産、負債及び収益、費用を外部出資者の持分を含まない当社及び関係会社の出資持分に応じて計上し、また、会社型ファンドについては連結の範囲から除いた連結財務諸表等を「従来連結基準」として、決算短信等において継続的に開示しております。

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