日宣
【東証スタンダード:6543】「サービス業」
へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「私たちは、“コミュニティ発想”をもとに、あらゆるステークホルダーの価値創造パートナーとなる」という経営理念の下で、既存の媒体に頼らない、ユニークな事業、サービス、マーケティングを通じて顧客の新市場を共に開拓することで、社会・地域の幸福や活性化に寄与するべく、課題に取り組んでまいります。引き続き、マスメディア等の既存の媒体に頼らない顧客満足度の高いサービスを継続的に提供するとともに、新規事業を含む新たな領域への挑戦を進め、社会に貢献する企業であり続けられるよう努めてまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、個人消費の一部に弱い動きが見られたものの、企業の全般的な業況感の改善が継続する中、雇用の改善等もあり、緩やかに回復しています。一方、各国の金融政策を背景とした物価情勢や国際金融資本市場の動向、地政学リスクが与える影響に注視が必要な状況が続いております。
当社グループが属する広告業界におきましては、2024年の総広告費が7兆6,730億円(前年比104.9%)と前年を上回る結果となり(電通「日本の広告費」2025年2月発表)、引き続き景気回復の兆候が見受けられました。
このような環境下で、ソーシャルメディアの普及が急速に拡大するとともに消費者の意識や行動が変化し、データ活用などテクノロジーの進化と相俟って、企業と消費者の関係が大きく変化しています。これに対し、当社は顧客のニーズに対応し、様々なマーケティング活動におけるソリューションの提供に注力してまいる所存です。
(3)経営戦略等
中期経営計画における成長戦略は、独自の“コミュニティ発想”に基づく成長の実現です。事業成長・創造とM&A・投資の2つを成長戦略の軸とし、それを支える3つ目の戦略として、人的資本の強化とESG経営への取り組みにも注力します。
1つ目の戦略、“コミュニティ発想”による事業成長・創造では既存のペイドメディア、すなわち有料の広告枠に依存せずとも企業がマーケティングを推進できる状態をつくりだすための支援に注力してまいります。2つ目の戦略、M&A・投資を活用した有望市場・領域の拡張では、“コミュニティ発想”が機能する戦略マーケットにおける有力クライアントの獲得、サービス、リソース、テクノロジーの獲得を目的としたM&Aおよび企業出資を実施してまいります。
“コミュニティ発想”が必要とされる背景には、2つの潮流による市場環境の変化があります。1つ目の潮流は広告の影響力の衰退です。マスメディアの影響力が落ち、デジタル広告への不信感が強まる一方、口コミの影響力が拡大し、生活者は信頼できる情報源や共感できるつながりを重視する傾向が強まっています。2つ目の潮流は人口減に伴う企業のマーケティング戦略の変化です。国内市場の縮小により、これまでの広告による新規顧客の獲得・刈り取りといったマーケティング手法は転換を迫られることとなりました。その結果として、広告やメディアによる顧客獲得に依存せず、「顧客とのつながり」や「コミュニティの評判」から継続的に利益やロイヤリティを生み出していくマーケティングが重視されるようになり、新たな市場が急速に成長しています。
当社グループは、そうした市場環境の変化を捉え、独立系広告会社というインディペンデントな立場から、独自の成長戦略とブランディングを推進しています。すなわち、広告やメディアに依存しない、独自のポジションと強みを持ち、ターゲットとなる市場をフォーカスし、その市場ごとにユニークな課題解決モデル、サービスモデルを構築していくことで、メディアではなく「コミュニティ」をベースに、ブランドや事業の成長に貢献するユニークなマーケティング支援会社として進化してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「連結売上高」及び「連結営業利益」を重要な経営指標と捉えております。
デジタルマーケティングやブランディング、映像制作等、サービス提供領域の拡大を図るとともに、次の10年に向けたビジョンを策定しております。業容の拡大とともにグループの生産性の向上を図り、連結営業利益率の改善も目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「(2)経営環境」で記載した環境の変化を踏まえ、以下の項目を対処すべき課題と認識し、解決するため次のとおり対処いたします。
①経営資源の最適化
当社グループは、顧客の課題をワンストップで解決する支援を強みとし、顧客の多種多様なニーズに柔軟に応えてきました。変化の激しい時代において、今後も顧客のニーズに合ったサービスを提供し続けていくためには、市場の変化に機動的に対応するとともに、需要が見込まれる事業領域へ戦略的に経営資源を投入していく必要があります。
当社グループでは、戦略に基づいたサービス提供体制を構築するとともに、管理会計を通じた各部門の稼働状況と創出する付加価値の計測・分析に取り組んでおり、PDCAサイクルを循環させることで、経営資源の最適化を目指してまいります。
②優秀な人材の確保と育成
当社グループは、今後の更なる成長のためには、優秀な人材の確保及び当社グループの成長フェーズに沿った組織体制の強化が不可欠であり、かつ課題であると認識しております。特に、デジタル領域を含めたプランニング及びクリエイティブ、テクノロジーを活用したソリューション開発、複雑化する広告プロモーションのプロデュース等を担う人材の重要性が増しております。
このため当社グループでは、即戦力の中途人材採用活動の強化とともに、新卒採用も行っております。また人材の定着化を図るべく、企業ビジョンの明確化や社員の能力が最大限発揮できる環境づくり等、働きがいのある制度づくりを行い、組織体制を強化してまいります。
③デジタル化への対応
当社グループは、従来の紙媒体を用いた印刷物は長期的に減少傾向が見込まれ、持続的な成長を実現するためには、新たに需要が見込まれるデジタル領域での事業拡大が必要であると認識しております。
当社グループでは、新たにデジタル戦略本部を設立し、デジタル技術の活用を推進するとともに、M&Aや投資等の手法も必要に応じて活用するなど、更なる経営資源の投入を通じ、デジタル領域での事業拡大に取り組んでまいります。
④内部統制及びリスク管理体制の強化
当社グループは、今後一層の成長を見込んでおり、企業規模拡大に応じた内部管理体制の構築を図るために、コーポレート・ガバナンスを重視し、リスクマネジメントの強化、並びに内部統制の継続的な改善及び強化を推進してまいります。
また、顧客企業の新商品等の各種機密情報や消費者の個人情報等を扱うに際しては、一般財団法人日本情報経済社会推進協会運営のプライバシーマーク制度の認証の取得、社内規程及び業務フローの厳格な運用、定期的な社内教育の実施、機密データへのアクセス制限やアクセスログ取得などのシステム整備を行ってまいりました。今後も更にセキュリティに関するシステムの整備や教育の徹底を行い、情報管理体制の強化を図ってまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング