新東工業
【東証プライム:6339】「機械」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、HEART(信頼される技術を通じて、人間としての豊かさと成果を)を経営理念として掲げ、モノづくりの新たな価値を創造し、世界のお客さまと共に成果と喜びを分かち合うことを新東の使命とし、「技術の差別化」と「信頼のサポート」により関係する全ての人との絆を深め、新しい提案、新しい解決策を提供し続けることで新東ブランドを高めることを目指します。
こうした基本方針のもと、世界の仲間たちと感動の共創を実現することを長期ビジョンにおき、グローバル市場において持続的な成長と発展を図り、連結企業価値の向上及び株主価値重視の姿勢を堅持してまいります。
(2)経営戦略等
少子高齢化による労働人口の減少、コロナ禍を経て加速する情報化社会、規制強化が進む地球環境問題など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しています。
このような時代の変化にしっかりと対応していくためにも、私たちが大切にしつづけている「モノづくりの心を大切にして、社会に貢献したい」という思いのもと、2024年4月から2027年3月までの3年間に渡る中期経営計画“Co-creation”《『「共創」~新しい価値を求めて~ 』地球とともに、仲間とともに》、を策定いたしました。
同計画では、お客さまを含む全ての仲間たちに“ありがとう”と言っていただける会社を目指し、「お客さまに選ばれ続ける」ための体制づくりを強化してまいります。「事業戦略の方向性」として、①「新しい時代に向けた提案」、②「競争力強化に向けたコスト削減と付加価値向上」、③「ITやAIの活用による業務効率の向上」の3点を掲げております。お客さまにおける設備投資のニーズが多様化する中、時代の変化に対応して成長する1社1社のお客さまにしっかりと寄り添い、最善策を一緒になって考えて、提供することを通じて、お客さまとの絆を強化していきます。また、お客さまニーズ(省人化・省エネ・作業環境改善など)を実現する付加価値を追求した提案、日本など先進国の少子高齢化による「人手不足」の課題が深刻化することが予測される中、デジタル技術を活用したプロセス最適化や自働化による効率化の提案を通じて、仕事の効率化を進めてまいります。また、新たな(既存技術)の市場への展開、新技術も今後成長が見込まれる市場に投入することで、新たな事業の確立を目指します。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2年後の2027年3月期において、1社1社のお客さまに寄り添い、お客さまのニーズを実現することを通して、部品カバー率を向上(+5pt)させ、新たに当社を選んでいただける、新規お客さま数3,900社の増加を目指します。また、競争力を高め、成長していくための指標として、売上総利益率+3pt、一人あたり付加価値額+10%にも取り組んでまいります。これらの取り組みにより、売上高EBITDA比率8%以上を達成することを目標としております。
(4)経営環境
世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や欧州経済の低迷などの悪材料に加え、中東情勢の悪化などもあり、脱コロナを原動力とする景気回復は道半ばとなりました。
加えて、米国の政策動向、米中の対立による輸出管理規制の強化には注視が必要な状況です。わが国においては、ロシアによるウクライナ侵攻や堅調な米国経済がもたらす大幅な円安の進行で、広範囲に物価が上昇。消費マインドが低下し、力強さに欠けた景気となりました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は企業価値向上へ向けた施策として、資本コスト低減と営業利益の拡大に注力していきます。
資本コスト低減のためレバレッジを効かせて有利子負債を調達しますが、一方事業活動から創出される営業CFと合わせて、減価償却費の範疇で継続的な設備投資や開発費用に資金を使い、それを超える資金は更なる成長投資や株主還元に使用していきます。
2024年に買収した大型投資はのれんの償却により足元の利益率は伸び悩む見通しですが、売上高および営業利益、営業CFは増加が見込まれます。買収によるシナジー効果や、「素材に形をいのちを」による事業領域拡大に軸を置きつつ、アフターサービス市場へのシフトといった事業ポートフォリオの転換による収益向上を図ります。のれんの償却完了後には、ROE8%を上回ることを目指していきます。
(6)成長投資を進めるための事業戦略
当社グループの事業環境につきましては、デジタル情報社会の進展や地球環境問題に対しての規制強化に加え、自動車業界ではEV化へのシフトが急速に進むなど大変革期を迎える中、お客さまの中から将来を見据えた取り組みが出てくると予想されます。こうした事業環境を踏まえ、既存のお客さまを大切にし、付加価値向上に取り組むことにより収益を高め、当期からの更なる飛躍を示せるよう努力してまいります。
事業領域を「素材に形をいのちを」の視点で、「素材づくり」から「形づくり」、そして「表面づくり」と再定義しました。「形づくり」は、当社の強みである鋳造技術が地域社会に貢献する視点で商品開発を加速させます。砂だけでなくアルミやセラミックスといった素材を用いた形づくりに向けて、3Dプリンタ関連に投資をします。この3Dプリンタ技術は、生産途中に発生する廃棄物の削減も見込めます。形づくりの原料となる「素材づくり」については、電子・半導体分野に用いるインダクタの材料となる機能性粉末や複合材といった次世代の素材の開発を促進してまいります。
「形づくり」の表面仕上げとなる「表面づくり」は、当社のブラスト工法に代表される従来の表面処理に加え、新たにレーザ技術へ投資をします。お客さまが求める魅力ある表面を実現するための表面機能を充実させてまいります。
加えて、「素材づくり」「形づくり」「表面づくり」を支える当社の強みである5つの技術の高度化により、付加価値をお客さまへ提案します。「環境技術」は、作業者の健康と安全の視点で、お客さまの工場で火災や爆発を未然に防ぐシステム提案に加え、工場で働く作業者にとって働きやすい環境であるかをセンサーを用いて指標管理することによって更なる作業改善につなげます。「IoT技術」は、人手不足を解消する提案として、デジタルを駆使した工場の異常を可視化して知らせるシステムや、設備故障を未然に防ぐ予防保全に力点を置いた提案を強化します。「エネルギー技術」は、カーボンニュートラルの実現にむけて、油圧から電動への置き替えによる機械構造の簡素化により動力を減らすことで電力不足の解決を目指します。「ハンドリング技術」は、ロボットの先端に当社のセンサーをセットすることで、ロボットに人の感覚を持たせることが可能となります。作業者に代わって緻密な作業が可能となりますし、作業者の負荷が高いといわれる物流業界においてその技術を応用して業務の省人化、効率化に貢献できます。「検査・評価技術」は、長さと寸法に加えて表面を評価・検査する高精度な技術により、高品質な製品の安定的な提供を支えています。
当社がこれまで培ってきた上記5つの技術を社会ニーズとマッチさせて更に進化させ、「素材づくり」「形づくり」「表面づくり」へ応用させてまいります。そのために適切な投資を行ない、事業規模を伸ばしていきたいと考えています。
これらにより、ステークホルダーへの価値を最大限に高め、持続的な成長を目指してまいります。
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