企業兼大株主新日本空調東証プライム:1952】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

1.サステナビリティ共通の事項

 当社グループは、サステナビリティに取り組む基本的な考え方として「サステナビリティ方針」を以下のとおり策定し、サステナビリティ活動を推進しております。

(1) サステナビリティ方針

 当社グループは、「社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。~Fill your tomorrow~」を企業理念に掲げています。この理念の下、本方針においてサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、この理念を支える「会社の方針」と「行動指針」に従いESG経営を推進し、社会と環境との調和、つながりを大切にしながら、空調を核とする事業を通して、お客様や社会からの期待に応える企業として成長し続けるとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(2) ガバナンス

 当社グループは、取締役会がサステナビリティを巡る課題に対応するために、中長期的な企業価値向上の観点から、「サステナビリティ委員会」を設置し、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでおります。

 具体的には、サステナビリティを巡る課題への対応を取締役会として検討し、方針を決定し、決定した方針に沿って目的が達成されているかをモニタリングしております。

「サステナビリティ委員会」で策定した方針に基づき、「サステナビリティ推進委員会」が、サステナビリティを巡る課題に対応する戦略を策定・推進する役割を担っております。

(3) 戦略(重要な経営課題:マテリアリティの特定と取組内容)

①経営課題に取り込むべきマテリアリティは、「社会からの注目度が非常に大きく、当社グループの取り組み度が非常に高い社会課題」を抽出し、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」に分類し、「サステナビリティ推進委員会」にて討議を繰り返し、「サステナビリティ委員会」に答申し、最終的に取締役会で承認された。

②マテリアリティは5つのカテゴリに分類しており、1~3のカテゴリは、社会課題の解決を図り、社会の持続性に貢献することができるマテリアリティであり、4~5のカテゴリは、事業活動の推進や、経営の持続性強化につながるマテリアリティである。

 これらのマテリアリティに対する取り組みは、長期ビジョン「SNK Vision 2030」、中期経営計画「 SNK Vision 2030 PhaseⅡ」の戦略と連動しており、中期経営計画の推進により、企業価値の向上と社会課題の解決を目指しております。

マテリアリティとSNK Vision 2030 PhaseⅡ



(4) リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティを巡る課題を含む事業運営上のあらゆるリスクを的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することが重要であるとの認識の下、リスクの防止および会社が被る損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項を「リスク管理規程」に定めています。

 リスク管理に関する会議体としては、代表取締役社長を委員長とし、社外有識者を含む委員による「リスク管理委員会」を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。

 当社グループはこれらのリスク管理を通じて、今後も継続的にサステナビリティや事業運営上のあらゆるリスクに対応してまいります。

(5) 指標および目標

 当社グループでは、経営会議で承認された経営に取り込むマテリアリティに応じた、活動目標と指針を定め、活動の結果を評価し、次年度以降の活動に反映させる体制を構築しております。各取り組みの進捗状況がモニタリングされ、課題と問題点がサステナビリティ体制に則って認識され、サステナビリティのガバンスが有効に機能しています。

サステナビリティ関連の指標および目標

マテリアリティ

指標

目標

1.カーボンゼロへ向けた積極的な地球環境への貢献(E:環境)

・GHG排出量削減による地球温暖化防止

温室効果ガス(GHG)漏洩量の低減

フロン回収量の把握100%
フロン漏洩量ゼロ

お客様設備からのGHG排出削減に貢献する設計提案の推進

設計提案件数 CO₂削減提案量の目標管理

オフィス・拠点・現場事務所でのCO₂排出削減

オフィス・現場事務所のCO₂発生量2021年比 4.0%以上削減

再生可能エネルギー導入

再生可能エネルギー率2023年度:65.0% 以降前年度比5㌽UP
※2022年:59.9%

目標達成に向けた活動の継続

2030年、2050年GHG排出量削減目標の達成
目標排出量
2030年度:3,791,055t-CO2
2050年度:0t-CO2

・自然環境(水・大気の汚染)保護と共生

現場産業廃棄物のリサイクルの推進

現場産廃のリサイクル率90.0%以上

現場産廃マニュフェスト電子化推進

現場産廃マニュフェスト電子化率100%

ヘルメットのリサイクル推進

リサイクル率100%
リサイクル量の把握

ユニフォームのリサイクル推進

リサイクル率100%
リサイクル量の把握

2.技術革新の推進(S:社会)

・優れた施工品質と空気品質の提供

品質管理強化活動の推進

苦情事故件数
前年比10.0%以上削減

・産学官、地域連携等による技術提供・共同開発の推進

オープンイノベーション推進

共同開発、共同研究、共同出願数の開示

3.現場力(安全品質確保、サプライチェーンとの関係、技術力)の強化(S:社会)

・労働災害の撲滅

労働災害撲滅に向けた重点管理項目の徹底

労災度数率、強度率 前年以下

車両事故の撲滅推進

車両事故 前年比10.0%減

・サプライチェーンの強化

CCUSの活動推進

EDI(電子購買システム)の普及

CCUSの運用状況の開示

EDI利用率100%

CSR調達方針の浸透、グリーン調達の推進

CSR調達方針の協力会社通達100%と浸透


























4.従業員エンゲージメントの向上と人権の尊重(S:社会)

・健康経営、WLBの推進

健康経営方針、情報の社内外公開

時間外労働の上限規制による月45時間・年360時間以内の労働時間とする

特定した健康課題に対する健康増進活動の推進

運動不足率(運動不足と感じている人)79.9%→75.0%以下

就寝前食事率53.0%→40.0%以下

メンタルヘルスフォロー

高ストレス率7.0%以下
(厚労省基準の一般平均)以下の維持

従業員の健康管理を経営戦略に取り組む

健康優良法人認定

・ダイバーシティとインクルージョン
(従業員の多様性(ダイバーシティ)を追求するだけではなく、理解し、認め、活かし合う環境創りやマネジメントを推進)

女性活躍・次世代育成に向け取組推進

えるぼし・くるみん認定取得

管理職登用の推進

女性管理職者比率2030年5.0%以上

男性の育児休暇取得の推進

男性の育児休暇取得率50.0%以上

障がい者の雇用推進

障がい者雇用率の法定雇用率以上

・人権の尊重

人権に関する取組みの推進

人権デューデリジェンスの実施

・ステークホルダーとの対話促進

企業理念、ESG活動の社内浸透

部門説明会参加率80.0%以上
環境データ(Scope-1および2)の月次公開

5.企業倫理の徹底(G:ガバナンス)

・コンプライアンス

知財に関する理解の推進
(コンプライアンス推進活動の一環)

コンプライアンス研修として

・従業員(含グループ会社)年1回以上実施 受講率100%

腐敗防止等に関する周知の推進
(コンプライアンス推進活動の一環)

コンプライアンス研修として

・従業員(含グループ会社)年1回以上実施 受講率100%

・協力会社 各事業部門 年1回以上実施

・情報セキュリティ

役職員対象教育の実施

全役職員対象 年4回以上、受講率100%

・公正な事業慣行

独占禁止法遵守の為の専門教育を継続実施

全社営業系職員を対象とした独占禁止法教育の継続実施(1回/年)受講率100%

2.気候変動への取り組み(TCFD提言に基づく気候関連の情報開示)

 当社グループは、2021年8月に、カーボンゼロ達成のために、企業が気候変動に関する情報開示を行い、投資家が適切な投資判断を行うことを目的としたTCFD「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」提言に賛同表明しました。賛同表明と並行して、TCFDが推奨する気候関連のリスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目の検討を行いました。

(1) ガバナンス

 当社グループは、気候変動対策など環境問題を始めとした社会課題の解決への取り組みを推進するため、取締役会の委員会として位置付けられる「サステナビリティ委員会」を設置しております。委員会は、代表取締役会長を委員長とし、[当社が取り組むべきマテリアリティ]の推進はもとより、気候変動対策を含む環境推進活動におけるサステナビリティ基本方針に基づく理念整理および方針策定、各部門における環境推進活動の目的・目標・計画の調整、進捗状況のモニタリング・評価の機能を担っています。取り組みの推進にあたっては、所管事業部門毎の年度活動目標とKPIを設定し、進捗管理等を行っています。また、気候変動リスクについては、サステナビリティ推進委員会が、国や地方公共団体をはじめとし、様々な業界団体から国内外の動向・要請等の情報の収集を行い、リスクの特定を行い、影響を評価しています。取締役会では、気候変動を始めとした環境問題について、経営会議に報告された目標および活動の進捗状況の評価はもとより、活動方針の実効性を監視しております。

気候変動に関するガバナンス

機関

役 割

取締役会

・経営上の重要事項の審議・決定

・職務執行監督

・気候変動に関する重要事項の審議・決定

・気候変動課題の指示・監督

サステナビリティ委員会

・社会課題解決に向けた取り組み推進

・気候変動関連課題への対応方針の決定とモニタリング

・委員長は代表取締役会長

経営会議

・業務執行方針・業務案件の審議・決定

・サステナビリティ活動内容の検討

サステナビリティ推進委員会

・社会課題解決に向けた活動の遂行

・気候変動関連課題への具体的施策の実行

(2) 戦略

 当社グループは、持続可能な地球環境の実現のために、気候変動に対する緩和と適応の対策や環境への負の影響の最小化に向け、環境問題を経営の重要事項と位置づけ、全ての業務プロセスにおいて、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。

 そのような中、気候変動に対する対応を加速するために、気候関連リスク・機会に対応していくガバナンス体制を構築し、シナリオ分析を全社横断的に行う専門の作業部会であるTCFDワーキンググループを立ち上げ、目標や指標の特定・設定等を進めてきました。

TCFDワーキンググループにおいては、当社グループを取り巻く気候変動に関連するリスクと機会の洗い出しを行い、想定される時期や事業活動への影響度を分析したうえで重要なテーマを選定しました。影響度の分析にあたっては以下の二つのシナリオ(※1)を用いて、選定したテーマごとに事業活動に与える財務的影響を算出し、新日本空調グループの対応を検討しました。なお、事業活動に与える財務的影響については、「大」「中」「小」の3段階で表現しています。また、想定される時期は、「中期」を3年(2024年)、「長期」は10年程度(2030年前後)と想定しています。

2022年度は、影響度が「大」になるテーマとして、移行リスクでは「テクノロジー」、物理的リスクでは「慢性的」「急性的」、機会では「市場」を選定しました。取締役会では、これらに対する当社グループの対応を経営上の重要事項と捉え、審議・決定しました。

(※1)リスクと機会の検討にあたって用いたシナリオ

 移行シナリオ:国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS)

物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)

①想定される気候関連のリスク

リスクの分類

事業への影響

想定
される
時期

影響の
大きさ
1.5℃

影響の
大きさ
4℃

当社の対応

移行
リスク

政策・法規制

・建築物の省エネルギー基準が見直され、ZEBの推進や省エネルギー性能の高い建築物の要求が高まる。
・高効率機器やシステムの導入が必須となり、建設コストの上昇に繋がるため、顧客が満足するコストパフォーマンスを提供できない場合は受注機会が減少する。

長期

・省エネルギー関連の新技術開発の積極的な推進や、熱源最適制御システム「EnergyQuest」をはじめとした当社が保有するエネルギー関連技術の機能向上を図り、コストパフォーマンスを高める。

テクノロジー

・顧客の要求する技術水準が高まると同時に、競争条件が厳しくなり、受注機会が減少する。
・独自技術の開発費用が増加する。

長期

・省エネルギー、施工省力化技術やCO2回収技術開発のために、計画的な開発投資を行う。

市場

・多くの顧客が、より効果的なGHG削減や環境対策を求めるようになる。
・建設時のGHG削減技術や、建物運用時の省エネルギー等の環境対策技術の保有が発注先の選定要件として重視されるようになる。

長期

・社会ニーズと顧客動向の適時把握に努め、あらゆる機会を通じパートナーとの連携を図り、環境対策技術の開発を加速する。

評判

・気候関連情報の開示に消極的な上場企業に対して、株主からの開示要求が高まる。
・カーボンゼロに向けて、企業間での優秀な人材の獲得競争が加速する。

中期

・カーボンゼロに向けた設備投資を増加し、研究開発を活発化させると共に、積極的な開示を行う。
・研究開発に必要な専門領域において能力が高いスペシャリスト採用を強化する。

物理的
リスク

慢性的

・夏期の平均気温上昇により建設現場での労働環境が悪化し、労働者の熱中症発症リスクの増加や、集中力・注意力低下による不安全行動リスクの増加や作業効率の悪化につながる。

長期

・施工現場における日中労働時間の短縮、夜間工事への変更を実施するなど、労働環境改善に向けた対策の構築や安全対策の強化を行う。

急性的

・急激な気象変化(台風・豪雨等)により、サプライチェーン等の被災による工事遅延が発生する。また、納入した設備に不具合が発生し、その対応が求められる。

中期

・サプライチェーン全体で取り組む緊急時対応策を強化することで、事業継続性の向上を図る。
・気候変動を考慮した設計を顧客と共に検討し採用可能なビジネスモデルを整える。

生物的リスク

・気温上昇による熱帯性の細菌・ウイルスの増加により、日本の気候では発生し得ない感染症がまん延し、現場休業要請が多発化・長期化する。その結果、サプライチェーン全体にも影響が及ぶことで、調達遅延や工期延長が起こりやすくなる。

長期

・感染症に関する情報を把握する共に、発生が予測される段階で施工現場における予防対策を徹底し、サプライチェーン全体のBCPを拡充する。

②想定される気候関連の機会

機会の分類

事業への影響

想定
される
時期

影響の
大きさ
1.5℃

影響の
大きさ
4℃

当社の対応

資源効率

・社会における脱炭素化の動きの進展につれ、製品・サービスの調達・物流段階におけるCO2排出削減の必要性がより高まり、重要視されるようになる。

中期

・効率的な資機材管理となる物流システムの開発を強化し、資機材の集中調達や建設現場へのジャスイトインタイム配送を通じて輸送の効率化と物流段階でのCO2排出削減を図る。
・この新物流システムにより、現場生産性向上を図り、受注機会拡大を目指す。

エネルギー源

・再生可能エネルギー源として太陽光、風力はもちろんのこと、地中熱利用が脚光を浴びるようになる。

中期

・従来工法より低コストで採放熱効果の高い保有技術の地中熱利用技術「地熱トルネード工法」の積極的導入を通じた受注機会拡大を目指す。

製品とサービス

・建築物の省エネルギー基準の見直しにより、ZEBの推進や省エネルギー性能の高いシステム、高効率機器の導入が必須となる。
・建設コストの大幅な上昇に伴い、コストパフォーマンスを考慮した高い環境性能設備が求められるようになる。

長期

・機器メーカーや他業種とのアライアンスを通じた省エネルギー性能の高い新技術の開発強化、ならびに保有技術の熱源最適制御システム「EnergyQuest」の性能向上を図ることにより、受注機会の拡大を目指す。

・ゲリラ豪雨などの異常気象の増加を受け、BCPの観点から、建築物に対する水害対策設備の導入要望が高まる。
・強風や水没等による災害の早期復旧需要が高まる。

長期

洪水・ゲリラ豪雨などでの浸水被害を防止する保有技術の「ジャバッShut」(※2)、「水断羽」(※3)等の積極的な提案を通じて顧客のBCP対策への要求に応える。
水没などで被災した顧客に対するBCPルーチンを策定し、迅速に対応できる体制を整える。

市場

・気候変動に伴い新たな感染症がまん延する。
・自然災害(堤防決壊等)による土壌や水資源の汚染が発生する。

中期

・微粒子可視化技術等の技術革新・開発、ソリューションの提供を通じて、感染症対策に貢献し、受注機会を拡大する。
・他業種との協働によるCO2施肥制御技術やポリエステル培地を用いた営農支援等、新たな事業領域への拡大を図る。

・社会の電源構成における再生可能エネルギーの比率が高まることで、エネルギーの安定供給確保に向けた再生可能エネルギーとLNG等との併用が注目されるようになる。

長期

・国や自治体が進める脱炭素政策に基づき、省エネルギーやカーボンゼロ、レジリエンス技術を組み合わせ、新たな事業領域の拡大を目指す。
・再生可能エネルギー分野ではPPA事業への参入を目指す。

レジリエンス

・気候変動の激化に伴い、様々なレジリエンス技術に対する需要や要望が拡大する。

中期

・新たなレジリエンス技術の開発や、保有技術「ジャバッShut」、「OT-9」(※4)等の積極的な提案を通じて受注機会の拡大と新規事業への展開を目指す。

※2 ジャバッShut:津波や洪水によるダクトからの水の浸入防止。電源不要で確実に作動し、原子力施設への導入実績のあるBCP対策技術

※3 水断羽:浸水防止対策用ダンパでダクトからの水の浸入を防止。電源不要で確実に作動し、ジャバッShutの一般建物向け商品

※4 OT-9:吊り機器の落下防止工法で、機器吊りボルトに金具とワイヤを取付けるだけの新工法

(3) リスク管理

 当社グループでは、気候変動リスクを含む事業運営上のあらゆるリスクを的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することが重要であるとの認識の下、リスクの防止および会社が被る損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項を「リスク管理規程」に定めています。

 リスク管理に関する会議体としては、代表取締役社長を委員長とし、社外有識者を含む委員による「リスク管理委員会」を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。特に気候変動関連リスクについては、2021年度にTCFDワーキンググループを立ち上げ、本社部門・事業部門を含む幅広いメンバーで気候変動による当社グループ事業に将来的に与えるリスクと機会について全社横断的に検討を重ねています。ここで検討したリスクは、当社グループの事業運営上のリスクとして捉えられ、リスク管理委員会でリスクの回避、提言および管理の強化を図り、経営会議または取締役会へ報告されます。

 当社グループはこれらのリスク管理を通じて、今後も継続的に気候変動に関するリスクや機会に対応してまいります。

(4) 指標および目標

 当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(CO2)を指標とし、今後のSBT認定を見据え、SBTに基づいた削減目標を設定しました。

2030年そして2050年の目標を達成するよう、省エネ設計・施工提案および、積極的な再生可能エネルギー導入を実施し、今後も引き続き環境負荷低減に取り組んでまいります。

(※5) SBT(Science Based Targets)

世界の平均気温の上昇を「2℃(1.5℃)未満」に抑えるための、企業の科学的な知見と整合した温室効果ガスの排出削減目標

 温室効果ガス(CO2)削減目標と実績                         (単位:t-CO2)

対象Scope

区分

基準年排出量

排出量実績

(基準年比)

目標年排出量

(基準年比)

2021年度

2022年度

2026年度

2030年度

2050年度

Scope1

個別

1,120

関係会社

450

グループ全体

1,570

Scope2

個別

751

関係会社

232

グループ全体

983

Scope1+Scope2

個別

1,871

1,781

(▲30.2%)

1,354

(▲47.0%)

1,055

(▲58.7%)

0

(▲100%)

関係会社

682

グループ全体

2,553

Scope3

個別

4,171,295

5,188,915

(6.1%)

3,790,000

(▲22.5%)

0

(▲100%)

関係会社

719,272

グループ全体

4,890,567

※2021年度以降はグループ全体の排出量を算出し、それに対する目標を設定

3.人的資本に関する事項

(1) 戦略

 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は次のとおりです。

 当社グループは、「多才な能力の融合による人材価値の最大化」を人的資本戦略における基本姿勢としており、従業員の確保と育成、維持は当社グループの持続的成長のために最も重要であると認識しています。性別や新卒・中途にかかわらず積極的な採用を行い、入社後は一人ひとりの資質・能力を伸ばす研修プログラムを提供します。また、過去の経験や先輩から引き継いだ「ナレッジ」を整備更新し共有することで、お客様から信頼され、自信を持って仕事に取り組むことができる人材を育成しています。

 変化し続ける社会や多様化する需要、お客様に向けて新たな価値を提供し続け、強固な事業基盤を築き持続的な発展に繋げていくためには、多様性がもたらすイノベーションが不可欠であると考えています。当社グループでは従業員一人ひとりがその多様な個性や能力を十分に発揮し、生き生きと働ける環境を提供し全ての従業員の公正な処遇を実施していきます。働く組織・場所・時間や個人の年齢・国籍・性別などに縛られず、自律的かつ多彩な人材が精彩を放つエンジニア集団となることを目指してまいります。

 この方針の下、当社グループでは全ての従業員の活躍を推進するための各種制度を構築し社内環境を整備しています。2019年に一般職制度を廃止し、全ての女性従業員を総合職に転換し、適用される給与体系を一本化しました。教育・研修の機会も平等に設け、意欲と能力に応じた公平な管理職登用や活躍の支援、処遇を実施しています。2021年には人事制度改定を行い、管理職としての昇進だけでなく高度な専門領域でパフォーマンスを発揮して活躍する人材を高いポジションで処遇する職務型人事制度の運用を開始しました。

 また、従業員のワークライフバランス向上に向けた取り組みとして、テレワークや時差出勤、時間単位有給休暇制度の導入による時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の推進、失効有給休暇の積立制度、育児休業の早期申請化により職場全体で育児休業取得の準備を支援する意識の醸成など、諸制度の拡充を図っています。

 健康経営宣言を社内外に行い、従業員が心身ともに健康で安全に仕事ができる環境の整備も進めています。保健師の社内常駐化と施工現場への衛生パトロール、受動喫煙防止に向けた取り組みなど、健康増進への取り組み状況が評価され2022年度から2年連続で健康経営優良法人の認定を受けています。

 このように、多種多様な全ての従業員が生き生きと安心して働くことができる職場環境を基盤として、個々の能力を発揮し役割を果たす人材を育成してまいります。従業員の成長を支え当社グループがお客様や求職者から選ばれる会社への成長へとつながっていくことで、当社グループの企業価値向上とステークホルダーへの還元の最大化を目指してまいります。

[女性活躍支援]

 女性従業員がそれぞれの強みを活かして活躍できる職環環境づくりやそれを支援する制度づくりを推進するため、女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しています。目標達成に向けた各種施策の展開と同時に、小グループによる意見交換会(みんなでバタフライ)を実施しアンコンシャスバイアスを自覚することから始めて当社グループに適した環境整備につなげる取り組みを開始しています。多様性がもたらすイノベーションには女性従業員の活躍をさらに推進していくことが必要であると考えております。

 一方、多様性の確保に向けて、管理職の総数に占める女性従業員の比率を2021年4月の1.82%から2026年4月には3.63%に倍増させることを女性活躍推進法に基づく行動計画として定めていましたが、2022年4月に計画を前倒しに達成しております。引き続き、女性従業員の採用強化やキャリアプラン支援策を実施し、継続的に管理職への登用と活躍が可能な環境を整えていきます。

 女性活躍推進法に基づく行動計画

目  的

女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため

計画期間

2021年4月1日~2026年3月31

目標(1)

管理職に占める女性従業員数を6名(管理職者全数の3.63%)に増やす。

目標(2)

従業員の時間外労働を45時間/月、360時間/年以内とする。

 実施策

男女格差の解消

・男性育児休業制度の充実化と取得の推進

働き方改革の推進

・現場支援組織の活用推進による現場業務のシェア

 

・連続5日休暇制度の取得推進

 

・テレワーク、時差出勤、時間有休の導入と推進

人事制度整備

・性別や年齢に関わらず役割や仕事内容で処遇する制度の運用

その他

・社長と女性従業員の意見交換会、技術系女子会の開催

[多様な人材の活躍支援]

 当社グループでは、一人ひとりの従業員が生き生きと安心して働くことで意欲や能力を最大限発揮できるよう様々な取り組みを実施しています。退職した従業員を再雇用する「ジョブリターン制度」や障がい者雇用の推進など、多種多様な人材の活躍と柔軟な働き方を実現する各種制度を運用し働きやすい職場環境づくりを推進しています。

(2) 指標および目標

 当社グループは、上記(1) 戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境の整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する当社(単体)の実績および目標は、次のとおりです。

①女性管理職者数・比率の推移および目標

指 標

2021年4月1日

2022年4月1日

2023年4月1日

目標(2030年度)

女性管理職者数(名)

3

6

7

管理職比率(%)

1.8

3.3

4.1

5.0 以上

②男性の育児休業取得者数・取得率の推移および目標

指 標

2021年度

2022年度

標(2025年度)

男性の育児休業取得者数(名)

6

15

取得率(%)

20.7

46.9

50.0 以上

③障がい者雇用率の推移および目標

指 標

2020年度

2021年度

2022年度

目標

障がい者雇用率(%)

1.67

1.99

1.97

法定雇用率以上

(注)雇用率は、障害者雇用状況報告書に記載の各年6月1日現在の数値であります。なお、2022年8月1日付3名の障がい者を雇用し、雇用率は2.39%となっております。また、2022年度の法定雇用率は2.30%であります。

④従業員の時間外労働の推移および目標

指 標

全従業員の平均時間外労働

目標(2025年度)

各従業員の法定時間外労働

2021年度

2022年度

従業員の時間外労働

33時間26分/月

32時間30分/月

45時間/月、360時間/年以内

(注)平均時間外労働は、法定時間外労働に休日労働および所定時間外労働を含んでおります。

⑤その他

指 標

目標

健康増進

2022年度認定

健康優良法人認定の維持

 サステナビリティ・気候変動に関するガバナンスおよびリスク管理の体制図は次のとおりであります。


PR
検索