企業兼大株主扶桑薬品工業東証プライム:4538】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 当社は、社是の一つとして「社会寄与につながる経営方針」を、経営理念の一つとして「会社の存立も個人の生活も、社会の恩恵なしには維持できない。とくに人の健康と生命に密接に関与する医薬をつくる企業には、それにふさわしい倫理が求められ、これを踏みはずさないものだけが繁栄を持続し得るのである。」と掲げております。

 日本に透析療法が導入された1950年代後半、当社はいち早く透析液の開発に着手し、1964年、日本初の透析液である「人工腎臓灌流原液“フソー”」を発売、透析治療に従事されている医療関係者の方々のご尽力により透析療法は驚異的な発展普及を遂げ、今や全国35万人もの患者さんが透析療法によって命と日常をつないでおられます。当社は、透析治療のパイオニアとして透析関連医薬品・医療機器をラインナップとして充実させ、透析治療を受ける患者さんに寄り添いながら歩んでまいりました。これら透析剤をはじめ、輸液や注射剤など、医療に欠かすことができない基礎的な医薬品を多く製造販売している当社は、その安定供給が社会的使命であり、岡山、大阪、茨城に量産工場、全国12拠点の配送センターを配することで全国における安定供給体制に万全を期しております。

 加えて、2000年に体外受精用組織培養液を上市し、生殖補助医療(ART)分野に進出、2017年にはブランドを「HiGROW」に統一し、不妊に悩むカップル、ひいては日本が直面している重要な問題である少子化対策への貢献を期待しております。当社は長らく、安定供給体制に主眼を置いた「いのち、支えて」を旗印にその事業を営んでまいりましたが、ART分野への本格的な進出を機に、新たに「いのち、育む」を加え、サステナブルな社会の実現に向けての取組みも鋭意進めております。

 また、環境面においては、1970年に大阪市清掃局森之宮工場と蒸気導入協定を結び、都市型工場である城東工場の無煙化を達成、近年では、環境負荷低減のため、茨城工場のボイラーの燃料転換を行い、茨城工場におけるCO2排出量を計画値として、年間30%削減する見込みとなっております。その他、毎年度実施している大阪府及び大阪市の社会福祉事業への寄附や大規模災害等に際してのマッチング形式での寄附、災害時の帰宅困難者用として備蓄している食料品を更新時にフードバンクへ寄附するなどしております。このように当社は、その事業特性上、様々な形で早くから社会との共生を目指して取り組んでまいりましたが、昨今のサステナビリティを巡る議論を踏まえ、様々な課題に対して事業活動を通じて貢献すべく、その取組みをさらに加速させていくこととしております。

(1) ガバナンス

 当社は、このサステナビリティ推進体制をより強化していくため、取締役会の監督の下、任意の機関として、2023年4月に取締役経営企画部長 戸田幹洋を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。

 サステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針・戦略・計画を策定、決定した上で、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権や労働環境などの社会問題、ダイバーシティ推進を図るなど人的資本に関する事項など、特定した当社のマテリアリティに対応した専門部会を設置し、各種活動の進捗状況を管理し、推進してまいります。

 サステナビリティ委員会は年2回開催し、取締役会はサステナビリティ委員会から少なくとも年1回の報告を受け、サステナビリティ基本方針に沿ってサステナビリティ委員会が活動しているかどうか、及び戦略・計画の策定・進捗状況を監督し、計画の見直しや投資判断、リスクと機会の分析等についてそれぞれの専門の立場から助言を行うこととしております。


(2) 戦略

 当社は、取締役会や経営会議での議論を経て「気候変動」と「人的資本」が当社にとって重要なサステナビリティ項目であると認識しており、それぞれの項目における戦略は以下の通りです。

【気候変動関連】

 当社は、かねてより取り組んでいる気候変動に関するリスクや機会について、経営企画室主導のもと、各事業本部が出席する検討会を当事業年度は14回実施いたしました。その結果、今後起こりうる気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす可能性があると評価し、具体的な影響分析とその対策についての検討を行いました。

①想定されるリスク・機会の抽出と評価

 各事業本部で各々の管掌下で想定しうるリスクと機会を洗い出し、集約した上でそのリスク・機会の発現頻度、影響額、回避・リスク移転可能性等の観点からその重要性を評価いたしました。なお、気候変動シナリオは、低炭素社会の実現に向けカーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が積極的に採られ、気候変動によるリスク・機会は現状のまま推移すると想定した1.5℃シナリオ※1と、気候変動対策が進まず地球温暖化がさらに進むことを想定した4℃シナリオ※2を用いました。

※1: 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA)など

※2: 「Stated Policies Scenario(STEPS)」(IEA)

②特定されたリスク・機会と対策


1.5℃シナリオにおいては、カーボンプライシング導入に伴う原資材調達コスト及び課税負担の増加が見込まれており、サプライヤーとの協働や生産効率の向上・再生可能エネルギーの活用等によって中長期的にその影響を軽減させる取組みを推進いたします。

4℃シナリオにおいては、当社が最も重要視する医薬品の安定供給に支障を及ぼす物理的な影響が想定されるため、事業継続計画(BCP)と歩調を合わせて対策を推進し、中期的な視点でリスクの軽減に取り組んでまいります。

【人的資本関連】

 当社は、様々な技術の革新が著しいこの製薬業界において、人的資本への投資は重要なテーマであると認識しており、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下の通り検討しております。

①人材育成方針

 当社は、業務に必要なスキル習得の研修はもとより、自己研鑽のための研修にも力を入れており、また、入社4年目研修や次世代リーダー研修など、各部門・年次・職位・職能で求められる能力の習得を目的とした研修も実施しております。

 当社の競争優位の源泉である透析剤については5号シリーズまで開発が終了しておりますが、新たな価値を付加した透析剤の開発を見据え、また、透析関連製品のラインナップをより拡充するためにも、この分野におけるパイオニアとして、医学専門家を招いて技術指導をしていただくことで、より付加価値の高い製品の開発に向け尽力するなど、各領域の専門知識の習得にも力を入れております。

 今後はこれらの研修を従業員個々のキャリアプランに計画的・体系的に組み込み、リスキリングの機会提供も含め、従業員のキャリアビジョン実現と企業価値向上を両輪で回し、継続的に人材の育成に取り組んでまいります。

②社内環境整備方針

 当社は、2023年4月より新人事制度を導入し、従業員が自身でキャリアプランを描けるようジョブローテーションも取り入れたキャリアパスを設定し、経営人材へのステップアップもイメージに入れることでモチベーションの維持・向上を図るとともに、明確な評価項目・評価基準を設定し、報酬との連動に透明性を持たせることで自己実現とやりがいにつなげ、当社の経営理念の達成に向けた方向性を一つにすることが、企業価値向上の礎になるものと考えております。また、多様な人材、優秀な人材を確保するため、近年は積極的にキャリア採用を行っております。

 そのうえで、従業員のエンゲージメントを高めるため、社内コミュニケーション活性化のための新たな社内報やアプリ、働きやすい職場づくりのための福利厚生の充実など検討しております。

 また、当社はサステナブルな社会の実現に向けて生殖補助医療(ART)分野にも注力していることから、子を望む社員や子を育てる社員への手厚いサポートは、当社が率先して行うべきことであると認識しております。

 加えて、健康経営への投資やダイバーシティマネジメントの推進なども検討しており、今後、サステナビリティ委員会の主導でこれらの取組みを強力に推進してくこととしております。

(3) リスク管理

 当社は、代表取締役社長が委員長であるリスク管理委員会や経営会議において、当社を取り巻く全社的なリスクについて特定・評価し、対応方針を策定しております。気候変動問題については当社もその重要性を認識し、それらからもたらされるリスクは当社事業に大きな支障をきたす可能性があると評価しております。気候変動に関するリスクや機会については、サステナビリティ委員会が管掌することとなり、重要性評価プロセスは従来の全社リスク管理の手法と同様に、外部環境や内部環境の把握、リスクや機会の洗い出し、発生頻度・影響額を勘案して重要性を評価いたします。

(4) 指標と目標

【気候変動関連】

 当社では2013年度の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)を基準として、中期的には2030年度までに25%削減、長期的には2050年度までにネットゼロを達成目標とし、また、それぞれの目標年度に向けたマイルストーンを設定することで目標達成に向け取組みを進めていくことといたします。

Scope3については2025年度をめどにその把握に努め、目標を設定した上でその削減に取り組むことといたします。

Scope1・Scope2排出量(t-CO2)

Scope

2021年度
(前期)

2030年度
(中期)

2050年度
(長期)

Scope1

14,021

25%削減

ネットゼロ

Scope2

10,023

※2022年度(当期)の排出量については、集計中となります。

Scope3排出量(t-CO2)

2025年度をめどに排出量を把握し、削減目標を設定いたします。

【人的資本関連】

 当社では、上記の戦略において記載した内容について、以下の項目を指標としてその推進に取り組んでまいります。各指標の目標については、サステナビリティ委員会において検討し策定してまいります。

 人的資本関連指標

・ 管理職に占める女性労働者の割合 ※

・ キャリア採用比率

・ 従業員エンゲージメントスコア

・ 男性労働者の育児休業取得率 ※

※管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

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