企業戸田工業東証スタンダード:4100】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、マテリアリティで定めた第98期(2031年3月期)のありたい姿の達成を目指し、第92期(2025年3月期)から第94期(2027年3月期)までの3か年を実行期間とする中期経営計画「Vision2026」を策定いたしました。「Vision2026」にて掲げたKPIの達成に向けて、事業ポートフォリオマネジメントの強化に取り組んでおります。

「Vision2026」における事業セグメント及び材料区分

「電子素材」セグメントの材料

 

「機能性顔料」 セグメントの材料

・磁石材料

 

・顔料(着色顔料、トナー、触媒等)

・誘電体材料

 

・環境関連材料

・軟磁性材料

 

 

・リチウムイオン電池(LIB)用材料

 

 

・ハイドロタルサイト

 

 

 事業ポートフォリオマネジメントの強化

<「Vision2026」の概要>

 事業ポートフォリオマネジメントを強化するにあたり、各事業について収益性・成長性の位置付けを整理しております。選択と集中を加速し、事業成長を図ってまいります。

「成長事業」   : 磁石材料、誘電体材料、LIB用材料(持分法適用関連会社)

「次世代事業」  : 軟磁性材料、環境関連材料

「収益基盤事業」 : 触媒等

「再生・転換事業」: LIB用前駆体、ハイドロタルサイト、着色顔料、トナー用材料

 また、事業ポートフォリオマネジメントの強化を最大のミッションとし、事業戦略、財務戦略、人財戦略の3つの戦略を実行してまいります。

<「Vision2026」の振り返り>

 「Vision2026」の初年度である当期においては、以下の事業が堅調に推移いたしました。

「成長事業」  :磁石材料、誘電体材料

「次世代事業」 :軟磁性材料

「収益基盤事業」:触媒

 これらは、事業拡大に向けてかねてより経営資源を投入してきたことや、韓国の「戸田マテリアルズ株式会社」の連結子会社化に加え、好調な需要を着実に取り込んだことにより、堅調に推移いたしました。

 一方で、以下の事業では課題が顕在化いたしました。

 「再生・転換事業」に位置付けたLIB用前駆体材料は、EV市場の成長鈍化により受注が急減し、大幅な利益減少となりました。「成長事業」に含まれるLIB用材料(持分法適用関連会社)においても同様に利益が減少いたしました。

 「再生・転換事業」に位置付けた着色顔料、トナー用材料及びハイドロタルサイトは、想定以上に需要が減少し、またエネルギーコスト上昇等により、黒字化には至りませんでした。

 これらの結果、「再生・転換事業」の低迷が大きく影響し、当期におけるKPIは未達となりました。

<今後の取組み>

事業戦略

 「Vision2026」の中間期となる次期は、物価上昇の継続と金利上昇による企業の経済活動や個人消費への影響、加えて米国の通商政策による世界経済への影響等を背景に、不透明な事業環境が続くものと予想されます。特に各国で相互関税が実施されることは、世界的な貿易活動の減少やサプライチェーンの混乱が生じるとともに、各国における輸入コストの増加によって不確実性を高めることになります。

 このような経営環境の中で、当社グループは、第98期(2031年3月期)のありたい姿や中期経営計画「Vision2026」で掲げたKPIの達成に向けて、引き続き選択と集中を加速させ、事業ポートフォリオマネジメントの強化による事業成長を推し進めてまいります。

 今後、以下の重点施策を推進し、次期における業績のV字回復を実現してまいります。

(成長・次世代事業のさらなる成長)

 「成長事業」である磁石材料、誘電体材料の事業拡大を図ってまいります。また、「次世代事業」である軟磁性材料は、グループ会社との連携強化による事業成長を進め、環境関連材料については経営資源を重点的に投入し、早期の事業化を目指してまいります。

(再生・転換事業の合理化と収益力の改善)

 LIB用前駆体材料については、業績が悪化した子会社「戸田アドバンストマテリアルズInc.」の解散・清算を進めることで、損失の減少を見込んでおります。また、着色顔料・トナー用材料においては、製品の価格是正活動、原価低減及び諸経費削減等の合理化活動を通じて、収益性の向上を図ってまいります。

 各材料の取組みは次のとおりであります。

 磁石材料では、磁性粉と樹脂を複合化したボンド磁石及びその材料を製造・販売しております。ボンド磁石は、射出成形や押出成形等により製造されます。特徴として樹脂を含んでいるため磁性粉を焼き固めた焼結磁石と比較して軽量である他、高い寸法精度や形状自由度等のメリットを有しております。

 主な用途は自動車のモーターやセンサーで、自動車部品の小型化・軽量化ニーズに伴い、需要が拡大しております。特にEV化の進展に伴い、リチウムイオン電池の温度管理に用いられる冷却ポンプモーター向けの需要が増加しております。

 こうした市場ニーズに対応するため、当社グループはアジアを中心にグローバルな生産体制を構築し、安定供給を実現しております。また2021年に連結子会社化した射出成形磁石メーカー「江門協立磁業高科技有限公司」を中核とし、川下領域の強化を進めております。さらに、高磁力・高耐食・高耐熱性を備えた希土類(レアアース)系のボンド磁石材料の展開を強化してまいります。特に腐食が課題となる希土類系の磁石においては、当社の表面処理技術により高耐食性を実現し、お客様より高い評価を得ております。今後、高輝度放射光施設「ナノテラス」を活用し、温度変化が物質に与えるメカニズムを解明・分析することで、新製品開発の加速を図ってまいります。

 誘電体材料「チタン酸バリウム」は、自動車やICT機器等に搭載される積層セラミックコンデンサー(MLCC)の主要材料として使用されております。MLCC市場では、高周波化に伴い小型化、高容量化ニーズが高まっており、使用される材料には形状・粒子サイズが均一で高結晶な微粒子が求められています。当社は、これらの要望に応えるべく湿式合成法(水溶液中での化学反応)を用いた当社独自の微粒子合成技術を活用し、150nm以下の微粒子に特化した製品の開発・製造を進めております。

 さらに、加工度を高めた分散体の開発にも注力しております。当社のチタン酸バリウムは湿式合成法で生成し乾燥させた後、粉体状でお客様へ提供しております。その後、お客様は、チタン酸バリウムの粉体を分散体に加工して使用されております。これらを踏まえ、当社では、お客様の使いやすさを追求し、湿式合成後、乾燥させることなく分散体まで加工し、高付加価値品として提供することを目指しております。次期には専用設備を本稼働させる予定であります。

 また、MLCC市場は、当期よりAIサーバー向けを中心に需要が回復しており、チタン酸バリウムの受注も増加傾向にあります。これに対し、当社は安定品質・安定供給に努め、事業のさらなる拡大を図ってまいります。

 軟磁性材料は、電子機器に搭載されるインダクターに使用されております。インダクター市場は、特に自動車やICT分野において拡大が続いております。近年では、各種機器に搭載される電源モジュールの小型化が進んでいることから、インダクター本体にも同様に小型化が求められております。加えて、多くの電流を効率的に処理するために大電流化への対応も求められており、使用される材料も従来のフェライト系からメタル系にシフトしております。この需要に対応するため、当社グループでは、以下の取組みを進めております。

・顧客ニーズに応える様々な磁気特性・粒子サイズのメタル系磁性粉の供給

・メタル系材料を取り扱う韓国子会社「戸田マテリアルズ株式会社」との連携強化

 これらの取組みにより、成長を続けるインダクター市場の需要を確実に捉え、事業の拡大を図ってまいります。

 機能性顔料(着色顔料、トナー用材料)においては、引き続き価格是正、原価低減、諸経費削減等の合理化活動を推進し、収益性のさらなる向上を図ってまいります。

 また、「次世代事業」として取り組む環境関連材料では、機能性顔料で培った酸化鉄に関する知見と技術を応用し、環境負荷の低減に貢献する新素材の開発を進めております。現在、主に2つの材料開発を進めており、いずれも温室効果ガスを資源化する取組みであります。

①CO₂分離回収材料の開発

 室温でCO₂を分離・回収する材料で、2025年「大阪・関西万博」に出展し、事業化に向けた実証試験を進めております。

②CO₂フリー水素・CNT製造技術の開発

 メタンガスを原料としたCO2フリー水素・カーボンナノチューブ(CNT)の製造技術・材料の実証試験を北海道豊富町で実施しております。

 これらの材料は、第95期(2028年3月期)までの事業化を目指しており、第98期(2031年3月期)には売上高10億円、営業利益率10%の事業規模への成長を見込んでおります。

財務戦略

 「Vision2026」において、財務基盤の安定と資本効率を意識した事業運営を推進するため、営業利益率、ROE、自己資本比率、運転資本回転期間をKPIとして設定し、推進しております。当期は、特別損失の計上なども影響し、KPIを大きく下回る結果となりました。今後、収益力の強化に向けた活動に取り組み、利益創出による財務基盤の改善を図ってまいります。また、キャッシュ・フローの改善にも注力しており、棚卸資産の適正化を進めております。市場環境の変化に即応した在庫管理の徹底により、当期においては在庫金額が大幅に減少し、在庫回転期間の短縮を実現しております。引き続きKPIの達成に向け、ためらうことなく施策を推進してまいります。

 株主還元としては、当社は安定的な配当を継続することを最も重要視しております。しかしながら、現時点では、安定配当を実施するための基盤が未だ整っていないことから、配当を見送る判断をいたしました。

 「Vision2026」の期間において復配に向けた体制の整備に注力し、安定的に利益還元が可能となるよう取り組んでまいります。

人財戦略

 当社グループは、事業の発展のカギが人財であると考え、経営戦略と一体となった人財戦略を実行しております。

 また、採用、育成、配置、エンゲージメント、DE&I、健康の6つの施策に取り組み、技術立社を支える人財開発を推し進めております。

 「Vision2026」では、以下の3つを重点施策として定め、具体的な活動を展開しております。

①主要部門のサクセションプラン強化

 経営戦略と人財戦略の連携を図るため、社内取締役・人事部門による「人財育成会議」を定期的に開催しております。また経営・事業の中核を担う後継者候補の選定と育成計画を策定し、変化する経営環境に対応できるリーダーの育成を目指しております。

②女性及びマイノリティのキャリア開発

 社内意識改革を促進する教育プランの実施や、女性のライフプランに配慮したキャリア支援を通じて、管理職への登用を推進しております。

③DX推進を加速する人財育成

 情報セキュリティ研修やガイドライン整備、推進を担う専門部署の設置等、DX導入環境を整えております。今後は専門部署を中心に、全従業員のスキル向上を図り、全体最適の視点からグループ全体の生産性向上に取り組んでまいります。これにより、企業価値の創出・保護と、顧客価値の最大化を目指してまいります。

 最後に、当社グループは、「事業活動を通じて、社会的な課題解決を支援する」ことを使命とし、社会のニーズや時代の最先端の要請に応えることで持続的な成長を遂げてまいりました。今後も、酸化鉄の可能性を追求し、新たな素材やソリューションを提供し、多様化・高度化する社会を支える存在であり続けることを目指しております。

 また、メーカーとして重要な責務である「お客様のニーズに応える製品の安定的かつ継続的な供給」に真摯に取り組み、信頼されるパートナーとしての役割を果たしてまいります。

 当社グループは、今後も会社を生々発展させることを通じて、株主様、お客様、従業員及び地域社会の皆様に対する社会的責任を果たしてまいります。

パーパス

微粒子の可能性を、世界の可能性に変えていく。

 

経営理念

私たちグループは、酸化鉄で培った微粒子合成技術を深化させながら、永遠に生々発展します。

誠実・信頼を基盤とし創造力と製造力を結集させ、魅力ある独創性に富んだ新素材及びソリューションを通じて、広く社会に貢献します。

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