企業兼大株主帝人東証プライム:3401】「繊維製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社は、株主価値を高めるとともに、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に価値を提供し、持続可能な事業活動を行う使命のもと、その実現を脅かすあらゆるリスクを統合的かつ効率的に把握・評価・管理し、グループ経営に活かす組織的・体系的アプローチを行っています。当社の持続的成長にかかわるあらゆるリスクに対処するために、経営戦略・経営計画策定、戦略的なアクション、個別投資プロジェクトの決定等に伴う「経営戦略リスク」と、業務運営に悪影響をもたらす様々な有害事象である「業務運営リスク」を対象とするTRM(トータル・リスクマネジメント)体制を構築し、リスクの統合管理を行っています。

2003年度からCEOを委員長とする「TRMコミティー」を取締役会のもとに設置しています。取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行うとともに、重要なリスクを管理し、事業継続のための体制を整備します。また、監査役は、取締役会がTRMに関する適切な方針決定、監視・監督を行っているか否かについて監査します。「経営戦略リスク」の評価についてはCEOが直接担当し、取締役会等における重要な経営判断材料として提供します。「業務運営リスク」についてはサステナビリティ管掌が担当し、海外を含むグループ全体の業務運営リスクの管理を行います。各事業本部、グループ会社等が行う個別のリスク管理状況を全社横断的に把握・確認すると共に、グループ全体で統一的な対応指針が必要なリスクへの対応を推進しています。また、マクロ環境動向については、帝人グループへの影響としてのリスクと機会の両面について、マテリアリティと関連づけて捉えています。

 なお、以下の文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。また、本有価証券報告書は、リスクと不確実性を伴う将来見通しに基づく情報も含んでいます。当社グループは、下記リスクのほか、本有価証券報告書中の他の箇所に記載されているリスクに直面しておりますが、これらのリスクの影響により、実際の業績が、将来見通しに基づく記述が想定しているものとは異なってくる可能性があります。

<「帝人グループ 収益性改善に向けた改革」によるリスクと対応>

外部環境変化のスピードが加速し、同時多発的に発現するリスクに対し、レジリエントに対応する為に、2023年度より、経営判断・実行を迅速化するべく、経営体制の変革を図っています。具体的には、事業本部をCEO直轄に集約し、組織階層をフラット化し、本社による事業戦略・計画の立案やモニタリング力を強化するとともに、事業本部長に決定権限の更なる委譲を行い、実行の迅速化とリスク管理の両立を図ります。また、収益性改善に向けた改革におけるリスクについては、経営戦略リスクとして重点管理します。([(2)経営戦略リスクの抽出・分析と対応方針]参照)

<新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関するリスクと対応>

自動車・航空機向け用途を重点市場とするマテリアル事業領域ではCOVID-19による世界経済の影響を受け、特に炭素繊維における航空機向け需要は影響を受けました。その対応策として、需要が旺盛な他用途への展開による生産稼働率の向上や販売構成の改善による収益性改善策の実行、中長期的な需要回復を見据えた航空機向け炭素繊維中間材料の新規大型プログラム獲得に向けた開発を進めるとともに、収益性のモニタリングを継続して実施した結果、航空機向け需要の回復とともに収益性が改善しています。また、2022年3月末より始まった中国のゼロコロナ政策によるロックダウンに起因したサプライチェーンの混乱、自社・顧客製造拠点の稼働停止などの影響やその後に続く低調な需要の状況を注視しました。

COVID-19拡大に伴う業務運営上のリスクに対処するため、2020年1月にCSR管掌(現 サステナビリティ管掌)を本部長とする「緊急対策本部」を設置(グローバルに感染が拡大した同年4月から6月までは緊急対応のみならず総合的なBCP対策・対応を取るためにCEOを本部長とする「新型コロナウィルス対策本部」も併せて設置)し、さらに2021年4月からは「帝人グループ新型コロナウィルス対策本部」として、従業員とその家族の安全確保と事業継続のための、グローバルな視点での方針決定と施策推進を行ってきました。日本国内においては2023年5月8日以降、感染症法上において新型コロナウィルス感染症が第5類に分類変更となったことから、同日をもって新型コロナウィルス感染拡大防止に関する各種の対応ガイドラインを廃止しました。また併せて帝人グループ新型コロナウィルス対策本部を解散し平時の体制に戻すとともに、基本的には各国ルールを遵守し、この3年間実施してきた感染症の拡大防止対策を踏まえ適切に行動するよう全従業員に求めています。

<地政学的リスクに関する対応>

 ロシア軍によるウクライナ侵攻をはじめとし、北朝鮮情勢、台湾情勢等グローバルな地政学リスクの高まりを踏まえ、グループ緊急対応体制、緊急退避プログラム、人道支援等を整備するとともに、直接的及び間接的影響を整理し、事業に与える影響を評価したうえで対応を行っています。

(1)業務運営リスクの抽出・分析と対応方針

業務運営リスクは、①自然災害等 ②製造 ③製品・品質 ④法令・倫理 ⑤情報セキュリティ ⑥その他に分類したうえ、「影響度」と「頻度」の観点から最新のリスクを抽出・分析し、下記5項目のグループ横断的リスクを「グループ重大リスク」と位置づけ、対応方針を策定しています。

 ・ 気候変動リスク

 ・ 人権リスク

 ・ 情報セキュリティリスク

 ・ 地政学リスク

 ・ 安全リスク

[短期的な業務運営リスクへの対応方針]

①グループ重大リスク(気候変動リスク、人権リスク、情報セキュリティリスク、地政学リスク、安全リスク)に対し

 て、グループ横断での対応に注力する。

②事業継続マネジメントの取り組みを強化する。

[中長期的な業務運営リスクへの対応方針]

①グループリスクマネジメント規程に則ったリスクマネジメントを遂行するとともに事業継続マネジメントの整

 備を進める。

②「3つの防衛線」における第2の防衛線の「支援力」を強化し、管掌職務分掌に役割を明確化する。

[業務運営リスク:グループ重大リスクへの具体的取り組み]

リスク項目

リスク概要

関連するマテリアリティ*

対応策

頻度

影響度

気候変動

リスク

・気候変動に伴う制度変更等に対応できない場合、事業継続に支障をきたす可能性があります。

・気候変動に伴う自然災害の発生

例えば、マテリアル事業においては自然災害による物流の混乱、サプライチェーンへの影響、エネルギートランジションによる原燃料価格高騰等が想定されます。

A

気候変動を起因とする各事業における関連リスクを網羅的・体系的に把握し管理するものとし、各事業の気候変動リスク棚卸しとリスク管理PDCAの深化を図ります。

また、具体的な事業への影響が経営戦略リスクに相当するものについては、経営戦略リスクへの対応策として取り組みます。

中~高

人権

リスク

・従業員の人権を侵害する様々な事象に会社が適切に対応しない場合、従業員の維持・採用に支障をきたし事業継続が困難になる可能性があります。

・サプライチェーン上に存在する人権問題に適切に対応できない場合、事業継続に支障をきたす可能性があります。

E

人財流出に繋がりうる人権に係る

リスクを把握し、体系的に管理します。

また、取引先による法令遵守にとどまらずソフトロー対応状況までを、当社の一貫した方針・ガイドラインの下に把握し管理するものとし、取引先のコンプライアンス管理を強化します。

中~高

情報セキュリティリスク

・予期せぬ情報漏洩により競争力を損なう、あるいは、法に抵触し制裁金の対象となる可能性があります。

・サイバー攻撃により事業継続に支障をきたす、また、重大な情報漏洩、身代金請求につながる可能性があります。

E

情報資産・営業秘密の管理・移転、サイバー攻撃について、物理的脅威・脆弱性、技術的脅威・脆弱性、人的脅威・脆弱性の観点でリスク対応を図り、情報セキュリティガバナンス体制・プロセスの構築を進めるものとし、情報セキュリティ部会を通じて具体的取り組みを推進します。

中~高

地政学リスク

・紛争やテロにより当社グループ社員の人命・資産が脅かされる、あるいは、物流・調達・インフラの寸断により事業継続に支障をきたす可能性があります。

E

グローバルベースでいずれの事業拠点が巻き込まれても支援できるよう平時から緊急対応体制を整備するものとし、グローバル危機管理体制整備と訓練を実施します。

安全リスク

・職場の安全確保が十分でない場合、操業の中断、生産性の低下が起き、従業員の維持・新規確保が困難となることで、事業性が悪化したり、事業継続ができなくなる可能性があります。

E

帝人グループの安全基準を確実に各拠点に浸透し、事故が多発している拠点に対して全社的な支援を行います。

[業務運営リスク:グループ重大リスク以外の主なリスクへの具体的取り組み]

リスク項目

リスク概要

関連するマテリアリティ*

対応策

頻度

影響度

供給リスク

・当社グループとサプライチェーンを取り巻く様々な供給に関するリスクとしては、災害時の事業継続に係るもの、労働・人権に係るもの、環境影響に係るもの、不正・腐敗に係るものなどが想定されます。

E

経営レベルのBCP・緊急対応体制を見直すとともに、サプライチェーンを俯瞰した顧客起点のBCP整備を行います。またグリーバンスシステムを整備し、CSR調達対象の拡大と調達先の監査を進めます。

製品・品質

リスク

・当社の製品・サービスにおいて予期しない重大な品質問題が発生する可能性があります。

E

当社グループでは、帝人(株)及び帝人ファーマ(株)等の主要な子会社に、他の部門から独立した専任の品質・信頼性保証部門を設置し、厳格な品質管理基準に基づき、事業活動全般における品質保証を確保する体制を敷いています。

中~高

低~中

企業倫理・

コンプライアンスリスク

・当社グループの事業の多様化、グローバル化が進展する中、事業を展開する国や地域において様々な規制に違反した場合、また規制の新設・強化や想定外の適用等に事業活動が抵触するようになった場合、監督当局による行政処分、訴訟対応、事業活動の停止、企業ブランド価値の棄損、ないし、社会的信用失墜のリスクがあります。また、人権課題や腐敗防止への対応等、ソフトローに適切に対応できない事象が発生した場合、事業運営への支障や社会的な信頼の棄損などの影響が生じる可能性があります。

E

当社グループにおけるグローバルレベルでのコンプライアンス推進を管理監督するための、トップマネジメントへの報告体制、コンプライアンス関連規程の見直しを進めるとともに、グローバルな内部通報対応体制を整備し、不祥事予防のための啓発・教育活動を継続していきます。

知的財産

リスク

・第三者から知的財産権侵害の指摘を受け、製造販売の差止めや損害賠償等が生じた場合または当社が保有する知的財産権が第三者によって不法に侵害された場合に、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

・当社が営業秘密として管理する未公開の技術ノウハウ等が第三者によって不正に取得された場合に、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。

E

当社グループに関連する事業分野において他社が保有する知的財産権を定常的に監視するとともに、当社知的財産権の侵害被疑品に対しては正当な権利主張を行っています。

営業秘密管理の当社グループ統一基準である「グループ営業秘密管理ガイドライン」等に基づく管理と、定期的な管理状況の監査により、厳格な営業秘密の管理を行っています。

*マテリアリティ A:気候変動の緩和と適応、B:サーキュラーエコノミーの実現、C:人と地域社会の安心・安全の確保、D:人々の健康で快適な暮らしの実現、E:持続可能な経営基盤のさらなる強化

(2)経営戦略リスクの抽出・分析と対応方針

経営戦略リスクは下記カテゴリーでリスクを分類し、基本的な対応策を設定しています。また、事業戦略における既発現のリスクを含む具体的かつ最新のリスクについて、経営戦略リスクマップを用いて、「影響度」と「発現時期」及び「リスクの増減傾向」の観点から分析し、緊急度や影響度に応じた対応方針を設定の上、速やかに対策に着手しています。

 特に2023年度は、前年度の活動レビューを踏まえ、リスク管理体制の改善点を抽出し、また、「帝人グループ 収益性改善に向けた改革」の進捗を含み、重点管理対象と位置付けたリスクについては、より一層のモニタリングとリスク発現時の対応の強化を図ります。

<リスク分類>

① マクロ環境リスク(為替、金利、原燃料価格等)

② 市場・競合環境変化リスク

③ 制度変化リスク

④ 資金調達・財務健全性リスク

⑤ 個別戦略リスク(「収益性改善に向けた改革」を含む)

[経営戦略リスクの対応方針]

・「帝人グループ 収益性改善に向けた改革」の2023年度での取り組みについては、計画の実行段階における計画乖離リスクを管理することで、確実な計画達成を目指す。

・地政学的リスク、インフレーションの高進等が事業活動に影響を与えるリスクを網羅的に抽出することで、不測の事態に陥ることを回避する。

・抽出されたリスクについては、リスク発現時に備えたモニタリングを行い、計画との乖離が発生した際には、早急に対応策を実行する。

・対応策の実行において、発現リスクが完全に収束するまで確実なフォローを行う。

[経営戦略リスク:全般的リスクと基本的対応方針]

リスク項目

リスク概要

基本的対応方針

①マクロ環境リスク

・各国・地域の景気動向や経済状況、主要な供給先である自動車・航空機市場の動向による販売量の変動

・原燃料価格変動によるコスト変動

・外貨建て取引の財務諸表への反映及び海外連結子会社の財務諸表の円換算等で必要となる為替レートの変動(対米ドル1円の円高の場合、営業利益で約3億円/年の減益影響)

・金利の変動による支払利息の変動

業績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性のあるものを中心に抽出し、アセスメントを実施しています。

原燃料価格は適正在庫水準の確保、長期契約による購入価格安定化や適切な販売価格政策、為替レートは為替予約取引等の活用や海外投資に対する現地通貨建てでの資金調達、金利については負債の長期・金利固定化を通じ、リスク低減を図っています。

②市場・競合環境変化リスク

・競合環境の変化による需給構造の変動

・素材・中間材料・部品供給ビジネスにおける、末端の需要動向がもたらすサプライチェーン各段階での実体経済以上の在庫調整

・感染症や災害、地政学的リスクの発現等による生産活動への影響や物流の停滞等のサプライチェーンの混乱がもたらす需給構造の変動

各国・地域における環境規制や保護主義の台頭などの制度変化リスクや、それらの影響も含めた市場・競合環境の変動リスクに対しては、影響する個別事業において事前にコンティンジェンシープランを作成するとともに、予兆も含めモニタリングを継続し、戦略の変更等早めの対応ができるよう準備しています。また、経済安全保障に関しては関連する情報取得を進め、危機の早期把握に努めています。

③制度変化リスク

・温室効果ガス排出規制、プラスチック製品規制等の想定以上の強化

・米中貿易摩擦の再燃等をはじめとする世界的な保護主義の台頭や経済安全保障リスクの高まり

・国内における薬価改定等の医療費抑制

政策の加速

④資金調達・財務健全性リスク

・経営環境の著しい悪化等で生じる収益性の低下等による保有する固定資産についての減損損失の発生

・将来の課税所得の予測・仮定が変更されることで繰延税金資産の一部または全部が回収できないと判断された場合の繰延税金資産の減額

資金調達に際しては、短中期的な大規模資金需要や自己資本毀損リスクも踏まえ、財務健全性に配慮した最適資金調達を検討します。定期的に「ネット有利子負債/EBITDA」「自己資本比率」「D/Eレシオ」等をモニタリングするとともに、減損懸念資産や繰延税金資産の継続的なモニタリングを通じて自己資本毀損リスク規模を把握しています。また、運転資本管理、政策保有株式縮減等による資産圧縮を徹底しています。

⑤個別戦略リスク

(「収益性改善に向けた改革」を含む)

・収益性改善の計画に対し遅れや実施困難な状況により計画から乖離

・戦略に適合する案件が探索できず、設備投資・M&Aの実施が不可となる、もしくは遅延

・研究開発費の投入に対し、研究開発の成果が目標から大きく乖離

計画の進捗に対するKPIを設定しモニタリングを実施することで、計画からの乖離を管理しています。

(「収益性改善に向けた改革」における個別戦略リスクは[経営戦略リスク:事業戦略上の主要リスク(経営戦略リスクマップにおける影響度「大」)への対応]に各リスクへの対応策を記載)

事業創出・拡大のための大型戦略投資案件については、事業環境を考慮した見極めや個別課題へのアクションプランを重点的にフォローしています。

[経営戦略リスク:事業戦略上の主要リスク(経営戦略リスクマップにおける影響度「大」)への対応]

事業

リスク分類

リスク概要

関連するマテリアリティ*

対応策

時期

影響度

リスクレベル

増減傾向

マテリアル

アラミド

⑤個別戦略リスク

・アラミド生産量回復の遅れ

A~C

計画の進捗についてKPIを設定のうえ、生産量回復プログロムを着実に実施し、長期安定的な生産・供給を図ります。日本からエンジニアリングチームを派遣し支援を行います。

短期

複合成形材料

⑤個別戦略リスク

・複合成形材料事業の米国での収益性改善の遅れ

A~B

各改善施策の計画的推進及び定期的なKPIモニタリングを継続し、拠点統廃合を含む追加施策のアクションプランを実施します。生産の自動化を進めるとともに日本からエンジニアリングチームを派遣し支援を行います。

短期

ヘルスケア

医薬品・在宅医療

 

⑤個別戦略リスク

 

・事業変革の遅れ

D

進捗のモニタリングを継続し、計画前提に変化が生じる場合に、必要に応じた追加施策を実施していきます。

また、医療機器については、調達コストの適正化などにより一層のコスト削減対策を進めます。

短~中期

・ヘルスケア既存品・新製品の販売目標未達

C~D

計画の進捗についてKPIを設定のうえ、遅延が発生した場合、適切なキャッチアップ策を実施していきます。

 

短期

*マテリアリティ A:気候変動の緩和と適応、B:サーキュラーエコノミーの実現、C:人と地域社会の安心・安全の確保、D:人々の健康で

快適な暮らしの実現、E:持続可能な経営基盤のさらなる強化

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