企業兼大株主川崎重工業東証プライム:7012】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当連結会計年度は、「グループビジョン2030」で描いた成長シナリオの着実な推進を見据え、各事業の足元の競争力強化や事業ポートフォリオの変革、更には「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」の注力フィールドへのチャレンジに向けた研究開発に取り組みました。

 これに向けて、各事業部門と本社各部門が一体となり当社グループの技術シナジーの最大化を図るほか、社外パートナーとも連携し、最新のデジタル技術も取り入れながら、将来にわたる顧客への提供価値を高めるべく研究開発を推進しました。また、将来のカーボンニュートラルに向けては、グリーンイノベーション基金などの政府支援も活用しながら、液化水素サプライチェーンの構築を目指した商用化実証など、水素社会の実現を目指した取組にも注力しています。

当連結会計年度における研究開発費は489億円であり、各事業セグメントの主な研究開発の内容及び費用は以下のとおりです。

航空宇宙システム事業

 防衛航空事業では防衛省による抜本的な防衛力強化の方針を受け、固定翼機や回転翼機の近代化・派生型事業や次期練習機に向けた研究開発、新SSM等のスタンドオフ防衛能力向上に向けた研究開発、先進的なAI技術を活用した無人化・自律化システムの研究開発、VR等のデジタル技術を活用した教育訓練システムの研究開発に重点的に取り組んでいます。民間航空機事業ではロボットを活用した生産技術、宇宙事業では有人・探査分野や小型衛星の研究開発を推進しています。また基盤技術として、デジタル技術を用いた航空機設計・製造プロセス高度化にも取り組んでいます。

 航空エンジン事業では、自社開発エンジンの防衛事業への展開実績を足掛かりとして、小型・軽量・高出力なエンジン(KJ300シリーズ)の実用化に向けた研究開発を推進しています。また、堅調な成長が見込まれる民間航空エンジン整備事業に必要な各種研究開発、更に航空エンジンの高効率化・環境性能向上に貢献する圧縮機・燃焼器・ギアシステム技術や革新的な生産技術に関する研究開発についても取り組んでいます。

 加えて、小型航空エンジンの水素100%燃料による運転試験の実施など水素航空機のエンジン/燃焼システム技術や燃料タンクに関する研究開発にグリーンイノベーション基金も活用しながら取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は63億円です。

 車両事業

 鉄道保守関連ビジネスの拡大を目指して、各種センシング・デジタル技術を活用した車両・軌道の状態監視や診断による効率的なメンテナンスシステムの開発と実証を推進しています。また、鉄道事業者の課題解決ニーズに応えるメンテナンス性向上、自動化・ロボット化による合理的生産技術等の開発に取り組んでいます。更に、非電化鉄道でのカーボンニュートラルを目指し水素を動力源とする車両システムの開発と実証に取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は10億円です。

エネルギーソリューション&マリン事業

 エネルギー事業では、エネルギートランジションへの対応に向けガスタービンやガスエンジンの水素混焼・専燃対応のための技術開発や、エネルギー分野で培ってきた圧縮機に関する豊富な実績・知見を活用した大型遠心式水素圧縮機の開発にも取り組んでいます。更に、カーボンニュートラルの実現に向けたCO2分離回収システムの実用化開発などの研究開発に取り組んでいます。

 プラント事業では、地上用大型液化水素タンクなど液化水素の出荷/受入基地向け機器の研究開発や、循環型社会の実現に向けた廃リチウムイオン電池リサイクルシステム、AI技術を活用した資源選別支援システム、ごみ処理施設の自動運転システムなどの研究開発に取り組んでいます。

 舶用推進・船舶海洋事業では、液化水素運搬船の輸送効率向上のための船型や新形式タンク・燃料供給システムなどの研究開発や、大型化する船舶の更なる安全管理と人手不足が進む乗組員の負担軽減を目指した安全離着岸支援システムなどの開発に取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は58億円です。

精密機械・ロボット事業

 精密機械事業では、ショベル分野において製品競争力の強化に加え、カーボンニュートラルや省人化などESGの視点から、電動化に向けた高速電動油圧ポンプユニット「K-Axle™」や、自動化/自律化に向けた将来建機油圧制御システムの開発に取り組んでいます。このほか、ショベル以外の建設機械分野や農業機械分野、一般産業機械分野への拡販に向けた油圧機器の開発・シリーズ展開も進めています。また、水素関連事業として産業車両/商用車を含む燃料電池車用高圧水素ガス弁や建設機械を含むモビリティ向け燃料電池システム、水素ステーション用油圧ブースター式水素圧縮機等の開発に取り組んでいます。

 ロボット事業では、産業用ロボット分野において半導体製造用ロボットや物流業界向けロボットなど人手不足への対応等の社会的ニーズが特に高まっている製品の開発に取り組んでいます。また、これまで産業用ロボット分野で培った技術を活用し医療分野で医療従事者や患者の負担を軽減する「hinotori™」サージカルロボットシステムや、労働力不足や生活の様々な課題などに幅広く社会適用が可能なソーシャルロボットの開発を推進しています。更に、インテグレーションを効率化しロボットの社会実装を加速させるロボットデジタルプラットフォーム「ROBO CROSS」の構築に他社とも連携しながら取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は66億円です。

パワースポーツ&エンジン事業

Kawasakiのブランド力強化を目指して、二輪事業では、伝統のブランドの血統を受け継ぐレトロスポーツモデル「W230」・「MEGURO S1」を、四輪事業では、コミュニティ内をより便利にクリーンに移動できるカワサキ初の電動四輪車となるパーソナルトランスポートビークル「NAV」シリーズや、毎日の仕事から休日のレジャーまで快適にこなせる汎用性と、上質なデザインを備えたオフロード四輪「RIDGE」シリーズに4〜6人乗り2列シートの新モデル「RIDGE CREW」を追加する等の新機種開発を行いました。また、継続的な新機種の投入に向けてデジタル技術の活用による開発期間の短縮と効率化を推進しています。更に、EVやHEVにとどまらず、水素エンジンなどの内燃機関エンジンを含めカーボンニュートラル社会の実現に向けた多様な選択肢に挑戦しています。加えて、2030年以降の更なる成長を見据え、パワースポーツ向けエンジンのノウハウを活かした航空機用レシプロエンジンの開発にも取り組んでいます。

 当事業に係る研究開発費は144億円です。

 本社部門・その他

 社長直轄プロジェクト本部では、激甚化する自然災害や医療・介護・物流・製造現場等の労働力不足などの社会課題に対して、無人ヘリコプター「K-RACER」や配送ロボット、ソーシャルロボットなどを活用したソリューションの開発を進め早期の社会実装を目指しています。

 技術開発本部では、当社グループの更なる企業価値向上を目指し事業部門と一体となって「新製品・新事業」の開発に取り組んでいます。また、「グループビジョン2030」で掲げた注力フィールドを中心に将来の社会課題解決の実現に必要な技術開発にも積極的に挑戦するとともに、持続的な事業成長の源泉となる基盤技術開発や食料安全保障など新たな分野へのチャレンジに向けたイノベーション活動にも取り組んでいます。更に、TQM活動をベースにバリューチェーン全体のプロセス標準化を通して製品品質の向上や足元の収益向上にも取り組んでいます。加えて、DX戦略本部と連携してAI活用やデジタルプラットフォームの構築によるデータ活用を通じたビジネスモデルの変革や事業プロセス全体の生産性向上を推進するほか、全社の技術系人財の育成強化にも取り組んでいます。

 水素戦略本部では、商用水素サプライチェーンの実現に向け世界初の液化水素運搬船による海上輸送・荷役等の各種試験を通じて得た知見を活用し、水素供給コストの低減に向けた水素関連製品の大型化や高効率化、更にはそれらの高効率生産のための技術開発などを実施し、水素エネルギーの着実な社会実装を推進しています。

 これら本社部門に係る研究開発費は145億円です。

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