山忠
【名証メイン:391A】「不動産業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関す
る事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 経営理念
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方よしの精神
② 社訓
発想・・・「発想」とは、日常の生活の中で「つまらない」ことを思うことです。
工夫・・・「工夫」とは、このつまらないことを「加工」し何とか現実のものとして「考える」ことです。
どんなことにも前向きに「考える」ことです。
考動・・・「考動」とは、いくら良い「考え」を持っても、それを実行に移さなければ何の意味もありませ
ん。ただし、それを実行に移すには、そこでもう一度「考え、動く」ということです。
③ 行動指針
我社は、お客様へ提供する情報、技術、接客の対価を収益とします。
我社は、会社の繁栄と共に社員の生活向上に努めます。
社員は、お客様に最善の知識とアドバイスを提供すべく、常に、勉強を怠りません。
社員は、お客様に喜びと感動を与えられるよう日夜精進します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、収益性の指標として売上高営業利益率を重要視しております。その理由は、営業利益につい
ては、企業が販売した商品やサービスなど営業活動の結果である売上高から営業活動だけでなく管理業務など全
ての経費を差し引いて計算されることから、会社運営や販売組織の効率性を含めた利益獲得力を示す指標と捉え
ているためであります。なお、当該指標の推移は以下のとおりであります。
重要な経営指標 | 前連結会計年度 (自 2023年5月1日 至 2024年4月30日) | 当連結会計年度 (自 2024年5月1日 至 2025年4月30日) | ||
売上高営業利益率 (%) | 計画 | 実績 | 計画 | 実績 |
11.1 | 14.7 | 10.0 | 12.7 |
(3)経営環境
開発セグメントが属する不動産市場においては、国土交通省による「不動産価格指数」では、不動産価格の上
昇は2013年頃から続いており、当社グループが事業展開を行っている名古屋圏の指数推移については、2010年を
100として、2024年12月時点で住宅総合が118.9、マンションは186.7となっております((注)1)。
また、株式会社不動産経済研究所による「全国新築分譲マンション市場動向2024年」では、2024年の東海・中
京圏における新築分譲マンションの発売戸数は6,080戸と前年比で1.0%減少しているものの、当社グループが都
市型分譲マンションを主に企画・開発する名古屋市内においては4,476戸と前年比で0.1%の増加となっておりま
す。しかしながら、2025年の東海・中京圏における新築分譲マンションの発売戸数は約6,000戸と2024年比で
1.3%程度の減少が見込まれております((注)2)。
これらのことより、当社グループでは、今後の東海・中京圏における不動産価格及び新築分譲マンションの発
売戸数など係る市場の動向については、一層注視する必要があると考えております。
ストックセグメントが属する不動産賃貸市場においては、一般財団法人日本不動産研究所による「全国賃料統
計」では、当社グループが事業展開を行っている名古屋圏の賃料推移については、2019年頃から概ね横ばいであ
り、2010年を100として、2024年のオフィス賃料指数は109.2、共同住宅賃料指数は99.7となっております。な
お、2025年については、東京圏や大阪圏などで上昇が続き、全国平均のオフィス賃料指数が0.7ポイント、共同
住宅賃料指数は0.9ポイント前年比で増加することが予想されているため、名古屋圏においてもテナントオフィ
ス及び共同住宅の賃料上昇が期待できるものと考えております((注)3)。
ホテルセグメントが属する宿泊市場においては、観光庁による「宿泊旅行統計調査」では、2024年1月から12
月の延べ宿泊者数(日本人及び外国人全て)は65,028万人泊であり前年比で5.3%の増加、外国人延べ宿泊者数
については16,360万人泊であり前年比で38.9%の増加となっております((注)4)。
インバウンド需要の増大をはじめ、雇用・所得環境の改善など国内経済活動の正常化により、経営環境は総じ
て良化していくことが期待されます。
(注)1.出典元:不動産価格指数(国土交通省)
年間約30万件の不動産の取引価格情報をもとに、全国・ブロック別・都市圏別等に不動産価格の動向
を指数化し、国土交通省から毎月公表されております。
〔住宅総合〕 (2010年を100とする)
2022年12月 | 2023年6月 | 2023年12月 | 2024年6月 | 2024年12月 |
112.7 | 119.6 | 117.6 | 118.1 | 118.9 |
〔マンション〕 (2010年を100とする)
2022年12月 | 2023年6月 | 2023年12月 | 2024年6月 | 2024年12月 |
180.1 | 181.1 | 182.3 | 186.0 | 186.7 |
(注)2.出典元:全国新築分譲マンション市場動向2023年(株式会社不動産経済研究所)
全国新築分譲マンション市場動向2024年(株式会社不動産経済研究所)
新築分譲マンションの発売戸数や平均価格などの調査結果が株式会社不動産経済研究所から毎月発表
されております。
〔東海・中京圏〕
| 2023年 | 2024年 | 2025年見込 |
発売戸数(戸) | 6,144 | 6,080 | 約6,000 |
前年比(%) | △3.3 | △1.0 | 約△1.3 |
〔名古屋市〕
| 2023年 | 2024年 | 2025年見込 |
発売戸数(戸) | 4,470 | 4,476 | - |
前年比(%) | △11.0 | 0.1 | - |
(注)3.出典元:第29回 全国賃料統計 2024年9月末現在(一般財団法人日本不動産研究所)
テナントオフィスや共同住宅の賃料動向を把握するため、一般財団法人日本不動産研究所が全国の主要都市を対象に数値化したものであります。
〔名古屋圏〕 (2010年を100とする)
| 2023年 | 2024年 | ||
指数 | 変動率(%) | 指数 | 変動率(%) | |
オフィス賃料 | 109.2 | 0.0 | 109.2 | 0.0 |
共同住宅賃料 | 99.7 | 0.0 | 99.7 | 0.0 |
(注)4.出典元:宿泊旅行統計調査(観光庁)
宿泊旅行の全国規模の実態等を把握し、観光行政の基礎資料とするために観光庁が行っております。
| 2024年1月~12月 (万人泊) | 前年比 (%) | 2019年比 (%) |
延べ宿泊者数 | 65,028 | 5.3 | 9.1 |
日本人延べ宿泊者数 | 48,668 | △2.6 | 1.3 |
外国人延べ宿泊者数 | 16,360 | 38.9 | 41.5 |
(4)経営戦略
開発セグメントについては、その都度の取引で収益を獲得するスキームが主であり、社会経済情勢などの事業
環境や都市型分譲マンション・宅地分譲の用地仕入れや引き渡し時期など事業活動の状況により、四半期ごとの
業績が大きく変動する可能性があるフロービジネスであります。
一方、ストックセグメント及びホテルセグメントについては、一つひとつの金額は大きくないものの、年間を
通じて継続的かつ安定的に売上高や利益を確保することができるストックビジネスであります。
このため、当社グループでは、開発セグメント、ストックセグメント及びホテルセグメントの売上高比率をバ
ランス良く構成することで、グループ全体の業績の安定化を図っております。
総売上高に占める割合(%) | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 |
開発セグメント | 70.3 | 67.0 |
ストックセグメント | 10.4 | 10.5 |
ホテルセグメント | 19.3 | 22.5 |
今後においても、都市型分譲マンションや宅地分譲などの積極的な企画・開発、販売により開発セグメントが
グループ全体の成長を牽引し、ストックセグメント及びホテルセグメントがその成長を支える役割を担ってまい
ります。
なお、ホテルセグメントにおいては、ビジネスホテルの多店舗展開を計画しており、2017年3月にジャストイ
ンプレミアム名古屋駅の営業を開始し、本書提出日現在、3店舗(ジャストインプレミアム名古屋駅、ジャスト
インプレミアム豊橋駅新幹線口、ジャストイン松阪駅前)を運営しております。その4店舗目として、「第3
設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、東海太田川駅西土地区画整理事業のうち、高次
都市機能地区に係る太田川駅西複合開発共同企業体の一員として、ホテル施設の優先交渉権者に決定しておりま
す。
当社グループでは、引き続き、不動産情報収集力、マーケティング活動及び内部管理体制などの強化に努め、
より強固な経営基盤を構築し、積極的な事業展開を図ってまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業エリアの拡大及び確保
当社グループは、主に愛知県を中心にその周辺地域を事業エリアとして企業活動を行っております。今後にお
いては、事業エリアの拡大も視野に入れているため、今まで以上に商品の質を高めるとともに顧客サービスの向
上に努めてまいります。
なお、事業エリアを拡大したとしても、当エリアが当社グループの企業活動の中心であることに変わりないた
め、今後も地元密着型の企業として地域社会に貢献し続けてまいります。
② 不動産情報収集力の強化
当社グループは、仲介業者やその他不動産会社、金融機関等から不動産情報を取得しておりますが、今後の継
続的な成長を図るためには更なる情報ルートの確保が必要不可欠であります。そのため、現在の情報取得先との
良好なリレーションシップの維持・向上に加え、新規仲介業者や他業種の企業など情報ルートの多様化に努める
ことで不動産情報収集力の強化を進めてまいります。
③ ビジネスホテル事業の増強
当社グループは、「(4)経営戦略」に記載のとおり、ビジネスホテルの多店舗展開を計画していることから、
そのための基盤づくりとしてインターネット宿泊予約の戦略構築、高稼働率の確保、顧客サービスの向上等に努
め、ジャストインブランドの確立に注力してまいります。
④ マーケティング活動の強化
当社グループでは、ソリューション事業及びマネジメント事業において、ポスティングなどの紙媒体とインタ
ーネットサイトによるデジタル媒体との組み合わせによるマーケティング施策を実行しております。レンタル事
業及びビジネスホテル事業においては、上記施策に加え、Instagramによるマーケティング施策を実行しており
ます。今後、事業エリアの拡大やブランドイメージの向上を一層推進すべく、毎月1回開催している営業戦略会
議などにおいて協議し、機能的なマーケティング活動を実施してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、効率的な業務運営の実現、コーポレート・ガバナンスの強化、財務報告の信頼性を確保する
ためにも内部統制の適切な運用が重要であると考えております。そのため、内部統制を整備・運用し、継続的に
改善していくことを通じて内部管理体制の強化に取組んでまいります。
⑥ 優秀な人材の確保
当社グループは、今後の継続的な企業成長を実現するために優秀な人材の確保が重要であると認識しておりま
す。そのため、積極的な採用活動によって外部から確保していく他、既存役職員についても各種会議体の更なる
活性化や社外研修などへの積極的な参加を通じて経営者意識を持った人材を育成してまいります。
⑦ 財務体質の強化
当社グループは、不動産の仕入れや都市型分譲マンションの建設工事等の資金について主に金融機関からの借
入により調達しており、市場金利の上昇など金融環境の変化の影響を受けやすい体質であります。そのため、今
後は資金調達手段の多様化に取組むとともに、自己資本の充実による財務体質の強化に努めてまいります。
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